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2015年12月 3日 (木)

ミキシング・レディオ【OIL AGE OSAKA+TOKIO】151202

2015年12月02日 芸術創造館 (125分)

東京公演での感想はTwitterでけっこう見かけていましたけどね。
まあ、ここまで衝撃的な作品だとまでは思っていませんでした。
凄いとしか言えないような驚愕する作品です。

生収録のラジオ番組中に起きるドタバタ。
様々なトラブルに襲われるDJはじめ、スタッフ陣。
それを何とかやり過ごそうと頑張る姿が超ハイスピードでコミカルに流れて展開する中、いつの間にか、その結束が、人は決して一人では無い、皆に助けられ、逆に助けながら日々、成長していくんだという心温まる答えに導かれている。
気付けば、ちょっと涙ですよ。あれだけ、笑いながら、スピード感に圧巻されて、茫然としていたのに。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

DJ、秋山真希のラジオ番組生収録。
本番直前だけど、いつものように真希は生真面目そうな音響担当の古田を相手に冗談を飛ばしている。
清掃員の重森が申し訳なさそうに訪れる。
今日は、レイティングという、スポンサーに視聴率を報告する非常に大切な収録。女学生たちに人気のアイドルグループの一員、カッキーがゲストに招かれることになっている。重森は娘が大ファンということで、色紙持参でサインをもらおうとしているみたい。
レイティングということで、いつも以上にテンション高くなってせからしい放送作家、犬山とディレクターの卵、宮古田も相変わらず頼りなさそうな感じで現れる。緊張したらすぐに吐いてしまうという情けない男。顔はイケメンなので、元アイドルだったなんて噂もあるが本人は否定している。肝っ玉の据わった感じの、下手な社員より有能そうなバイト、宮本もスタンバイ完了。
そんな中、研修としてやって来た新人アナウンサー、橋口は、話がしっかり通っていなかったらしく、大事な日だし帰れと言われるが、真希の計らいで収録ブースに入れてもらえることになった。誰も文句は言わない。真希は、いいかげんそうだけど、姉御肌で人情熱い、責任感の強いDJとして認められているようだ。
後は、統括ディレクター、マイケルさんが到着すれば、収録の準備は万端。
カッキーは忙しいので本番直前に来るだろう。重森はいったん仕事に戻ることに。

ラジオ局に連絡が入る。
マイケルさんが事故。
交差点でボーっとしていた女性を避けて、信号機にぶつかったらしい。病院に搬送中。命に別状は無いようで何よりだが、この大事な日に統括ディレクター不在で番組を進めないといけない状況は厳しい。それでも、やるしかない。今いるディレクターは、宮古田だけ。彼にこの日の収録のディレクションは全て任せることに。宮古田は既に吐きそうな状態。
カッキーがやって来る。ペラペラ喋る豪快な女性に連れられて。マネージャーらしい。この女性、何かとやかましい。カッキーは委縮してほとんど自分のことを喋れない様子。
こんなドタバタの中で、番組が始まる。
さすがは、ベテランDJ。色々なトラブルに焦ることなく、落ち着いて番組を進行。
何もしないのにやたら調子のいい犬山、期待は全くできない宮古田、緊張しまくっている橋口、うるさいマネージャー、ほとんど喋らないカッキー。
悪条件を挙げればキリが無いくらいだが、冷静沈着に多視点で周囲を見れる古田や、頼りがいのある宮本がいるから何とかなるだろう。

そんな中、重森が若い女性を連れて戻って来る。
カッキーは既にブーズの中にいますよ、もしかしたら娘さん連れて来ちゃったのなんて軽口で皆はお出迎え。
でも、その女性の手には包丁。
女性は切迫した表情でカッキーと話したいことがある、会わせろと言っている。
そんな状況は収録中のブースの中にも伝わる。
皆、何とかせねばと焦っているうちに、女性はブースの中に侵入。
今は放送中だから待ってと真希は女性を抑えながら、必死に番組を進行。
この最悪の状況の中、ちょっとおどけた人の好さそうなおじさんと、キリッと有能そうなきつい感じの女性がやって来る。
スポンサーの社長と秘書が見学に来たらしい。
こんな状況がばれたら一大事。
ブースの中の女性はカッキーのファンであるリスナー、隣の重森をその父親だと説明。
アットホームな番組作りだとスポンサー受けはしたが、真希にとってはたまった話では無い。
それでも、フリートークコーナーと称して、若い女性とカッキーを話し合わせることに。
若い女性の名前は典子。
典子はカッキーを問い詰める。裏切り行為。カッキーはある有名アイドルと付き合っていると。
まずい。真希はCMを入れて放送をいったん切る。
聞けば、典子は、カッキーがそのアイドルと歌番組収録中に仲良さそうに話をしている姿を見て、そう思ったらしい。そんなことぐらいで、こんなことをされたらたまった話では無い。
真希はカッキーにはっきりと、付き合っていないと言って決着をつけろと促すが、どうもカッキーの歯切れが悪い。ちょっとすることはしてしまっているらしく。1回だけだが。
半狂乱になる典子。あんな不細工な女と。それを聞いて、そのアイドルのファンの橋口は聞き捨てならないと絡んできて、事態は収拾つかないことに。
そんな中、典子を重森がひっぱたく。
目を覚ましなさい。娘もカッキーのファンだから、よく分かる。本当のファンならカッキーを見守り、一緒に喜んであげるべきなのではないか。
そんな本当の父親のようなきついけど優しさのこもった言葉に典子は目を覚ます。
放送再開。
典子は、ファンとしてとんでもないことをしたとカッキーに謝罪。もうファンでいられなくなってしまったと涙を流す。
そんな典子にカッキーは、いつまでもファンでいて欲しいと答える。
マネージャーは大喜び。これで好感度は急上昇だろうから。
典子は嬉しそうに答える。ありがとう。これからもファンでいます。たとえ、あなたがあんなアイドルと1回やってしまっていても。
凍りつく空気。

ここまでで1時間。
実はここまでで、もうお腹一杯くらいのボリュームで、もう2時間ぐらい経ったかなと思って、終わりかと。時計を見てびっくり。そして、ここからどうするんだろうと。
まだまだ、ここからトラブルはもっと深刻になって真希たちを襲うことに。
悪気は無かったのだけど、結局、どえらいことになってしまった典子の発言。
マネージャーはカンカン。カッキーもさすがに怒っている。
それに、全ての事態を把握したスポンサーは、リスク管理がなっていないことに怒っている。
責任を取りなさい。
こういった場合、責任を取るのはディレクター。宮古田が全責任を押し付けられる。クビ。
その責任問題はとりあえず、それでいいとして、今は、まだ番組を続けないと。
もう帰るとカッキーとマネージャーは言っているが、このまま帰れば、あの発言が本当だということになる。残りの時間で何とかしましょう。
真希の脅しに近い説得にマネージャーも納得。番組を何とか再開することに。
ここまで来たら、皆で最後まで、やり抜こう。
そんな輪から外れて、一人取り残された宮古田。
いつもそうだ。あの時だって、自分のせいに全部されて。カッキー、カッキーとちやほやされやがって。自分だって昔はちやほやされるアイドルだったんだ。
気付けば包丁を振りかざし、宮本を人質にブースに立てこもる。

宮古田がアイドルだったのは本当のようだ。
マネージャーが思い出した。
シングルを数枚リリースするもののさして売れず、この宮古田のゲロ吐きのせいで完全に人気を無くしたアイドルユニット。
事務所としては、汚点とされている黒歴史。
真希は、そんな宮古田を今のアイドルカッキーと語り合わせ、新旧アイドル対決みたいなコーナーで乗り切る。途中から、あの頃を思い出したマネージャーが参戦して、むちゃくちゃな舌戦バトルになるが。
とりあえず、宮古田は皆で取り押さえ、縛って放置。
番組も交通情報センターの成瀬さんに繋いで、体制を整え直す。
成瀬さんもカッキーのファンらしく、いつもより甘えた声で対応。真希は時間があるならスタジオまで遊びに来てなんて適当なことを発言。

ようやく落ち着いた。
メインコーナー。
悩み相談室。
あらかじめリスナーから悩みは聞いてある。
輪の中に入れず、一人ぼっちの女学生。これにカッキーがいいアドバイスをするという手筈。
これが上手くいけば、色々バタバタしたけど、何とかおさまるだろう。
スポンサーの社長はご機嫌斜めかと思いきや、宮古田の代わりにディレクターの仕事を楽しそうにしている様子。
電話がかかってくる。
あらかじめ聞いていたとおりの悩みを女性は語る。
いじめ、無視。
カッキーは昔、自分もそんなことがあったことを語ろうとした時、女性はもう嫌だ、死ぬと言い出す。この番組を聞いて、カッキーの声を最後に聞いてから死ぬのだと。
重森はその声が娘だと気付く。
声をあげる。娘は父親がいることに驚くが、それ以上にこれまでの番組を聞いている。番組では、カッキーを脅していた典子という女性の父親ということになっている。隠し子。
もう、本当に嫌だ、死ぬ。
電話は切れた。
騒然とする中、娘の携帯にかけ直すが通じない。
ラジオから父親もカッキーも真希も必死に語り掛ける。もう一度電話をしてきて。

電話が鳴った。
急いで出る。騒がしい。どこかの居酒屋みたい。
そう、今日は居酒屋の現場レポートのコーナーもあったのだった。もちろん、そんな電話はすぐ切る。恐らく、次回からはもうこのコーナー無くなることだろう。
どうするかとバタバタしている中、成瀬さんが真希の言葉を真に受けてやって来てしまう。ほんわかした女性で、今の切迫した空気は似つかない。
古田は先ほどの電話の音声を解析。何か手がかりがつかめたら。残念ながら踏切音が聞こえることぐらいしか分からない。後、何か電子音が聞こえるのだが。
カッキーの声がラジオから聞こえ続ければ死なないのでは。この番組が終わっても、次の番組に出ればいい。おっさん二人が真夜中から明け方までする番組に出演することに。
そんな中、真希はあることに気付く。
カッキーの新曲の歌詞。交差点で一人、踏切・・・
マイケルさんの事故、さっきの電話。
この子は、今、カッキーの新曲に従って行動している。飛び込み自殺でもするつもりか。それならば踏切の場所を限定しないと。
交通に詳しい成瀬さんのおかげで、路線はかなり限定されてくる。
マイケルさんに連絡をしたら、車を避けた女の子は緑色の服を着ていたと。その色は重森の娘の学校の制服の色と同じ。
恐らく、この推理は間違いない。

番組はとりあえず、成瀬さんと橋口に任せる。
成瀬さんには今日の交通情報ダイジェスト、橋口にはニュースとフリートークでもさせておけば時間を稼げる。
続きをカッキーに歌わせるが、グループなので、担当じゃないところは覚えていない。そこに踊りながら入り込んできたのがスポンサーの秘書。実は彼女もファン。ただ、カッキーではなく、別のメンバーが好きみたいだが。
彼女は全て振りつきで歌えるみたい。振りは要らないが、歌詞を皆で聞く。
イルミネーション、町を見下ろす、フライアウェイ・・・
飛び降りを想像させる歌詞だ。
電話の電子音の正体が掴める。これはある駅の電車の案内放送。
これで繋がる。その駅に電飾されたタワーがある。彼女はそこにいるはず。
でも、今から向かっても間に合わない。
ここまできたのに。
いや、居酒屋レポーター。今日の居酒屋レポートの駅と同じ。
真希はすぐに連絡。レポーターをタワーに登らせる。
皆が、そこにいてくれと祈る中、そこに緑色の服を着た女の子がいると報告が。
電話が繋がる。
娘は驚きを隠せないが、それが父親を含め、カッキーや皆が、あなたのことを想っている証拠なのだと。決して一人なんかじゃない。
カッキーが続ける。君の悩みにまだ答えていないからと。
自分もいじめられていた。ひょろひょろしていたから。だから、ダンスをして体力をつけようと思った。
そのダンスに救われて、今、こうしてアイドルになっている。
きっと、いつか自分を救うような、自分の本当にしたいことが見つかるからと。
父親も語りかける。よかった。その一言だけだ。
会社をクビになって、今は清掃のバイト。それを娘に黙っていたから、こんなことになってしまった。悪かった。これから迎えに行く。
典子も心配だから付いて行く。きっと、重森の娘とはカッキーのファン同士、そしてそのことで迷惑をかけた者同士で語り合えるはず。

番組も、もう終わりに近づいた。
カッキーとはそろそろお別れ。だって、次の番組に出てもらわないといけないから。
マネージャーはもう助かったのだからいいだろうと言うけど、そうもいかない。カッキーは笑顔で頑張ってきますと。
成瀬さんは、とんでもない仕事を押し付けられた割にはカッキーと会えて満足そう。
スポンサーの秘書は、お目当ての子と会えなかったようだが、カッキーからその子のことは教えてもらう。けっこう、色々と悪いことしてますよと。
橋口はちょっと笑みを浮かべている。ニュースを読み切った後にした自分とお爺ちゃんの昔話。どうも、品の無い話だったようだが、リスナーには大うけだったのだとか。クレーム電話がたくさん。続きを聞かせろと。
真希は、宮古田の縛りを解くように指示。
ディレクター宮古田。番組を始めるのも終えるのも、それはディレクターがすること。
今日の番組の締めは当然、宮古田にさせる。
真希の言葉に宮古田は吐き気をこらえて、うなずく。
慣れないディレクションを始める宮古田。
それに古田、宮本、そして、今やすっかりスタッフに落ち着いたスポンサーの社長がそれに答える。
最後のキュー。
真希はいつものように軽快に・・・

一応、あらすじ書いてみましたが、実際、起こることはこんなもんじゃないので。何で2時間で終わったのかと思うぐらいのボリューム。
驚愕の作品でした。

感想はそれぐらいしか書けないので、役者さんに簡単にコメント。
秋山真希、椎名亜音さん。圧巻。そして、かっこいい。痺れました。上司にしたい女性ランキングNo.1ですね。
犬山、早川丈二さん。とにかくチョコチョコとせわしく動く。業界人って感じのいいかげんさを醸しています。
宮本、梅田悠さん。出来るバイト。バイトの社員に対してちょっと控えたところを出しながらも、その出来るという貫録が漂っています。
重森、うえだひろしさん。実直で芯があって、厳しさの中に温かみがあって。素敵な男の匂いがぷんぷんと。
宮古田、藤堂瞬さん。なんと頼りなく、情けない役。酷い目にも合わされて可哀想に。でも、最後のぎごちないながらも真摯な姿。この作品はこの役の成長物語でもあったのではと思わせるような締めです。
成瀬さん、及川規久子さん。ほんわかと穏やかそうな空気。その天然感が何をしても心地いい面白さを醸されています。
スポンサー社長、上杉逸平さん。お茶目で、おっさんっぽい調子の乗り方。男って必要とされるとすぐに調子乗っちゃうんだよなといった掌で転がされている感が可愛くも見え。
スポンサー秘書、緒方ちかさん。ビジネスに通じた冷淡さと有能さを持つ出来る女性かと思いきや。無理してる感じがとても出てて、愛着湧くキャラに。
橋口、飯嶋松之助さん。多分、役と同じような状況だったのではないでしょうか。先輩方に囲まれて。これから、こいつ活躍するぞといったキャラのオチも現実でもそうなりそうですし。
典子、奥田彩香さん。最初の登場から、何か不思議な感じで。すごく、可愛らしい美人さんなんですが、内に内に入り込んで妄想の世界と現実の境目が曖昧になってしまうという狂気的な異常犯罪を起こしそうな、何か怖い空気があります。
古田、福地教光さん。職人って感じの冷静沈着な出来る感じを出されていました。男は黙って、どんな状況でも最善の仕事をこなす。そんなポリシーに溢れるかっこよさがあります。
マネージャー、宇田川美樹さん。びっくりするくらいのうるささ。人の話は聞かないし、強引だし。よくこれだけ、自分が喋るだけでなく、相手の言葉に反応もした上で喋れるなあと。上司にしたくない女性ランキングNo.1ですね。
カッキー、岸本卓也さん。最初はいくら役と言ってもちょっとオドオド、不愛想過ぎるんじゃないかと思っていましたが、そんな姿が後半のちょっとした一言の重さに繋がっていたみたい。今を大人に混じって生きる若者の真摯な想いが見えたような気がします。

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