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2015年12月21日 (月)

今度は愛妻家【MEHEM】151220

2015年12月20日 Cafe Slow Osaka (120分)

3年前に学生劇団で拝見した作品。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/121206-1d55.html

観終えて、そのままを書くとほとんど泣けなかった。オカマのあるシーンぐらいだったのではないだろうか。上記リンク先の感想では、かなり泣けたことを記載しており、また自分でもその時のことはけっこう覚えている。
別に泣ければいい作品だということはないし、自分自身にも日々変化がある中で以前に観た作品との比較にどこまで意味があるのかは分からないが、やはり正直なところを書けば、見劣りした印象が強い。
まあ、個々の役者さんの熱演は楽しめたとは思うが、この作品自体を味合うには、いまひとつだったなというのが感想。
話の筋を覚えていたところも大きいと思う。朝早くから仕事をして詰め込んだ日程の観劇だったので少し眠気があったことも。年初に母が死に、死と向き合うことに対して、感情的では無く、冷静に分析するような視点があったのかもしれない。秋頃に彼女と別れて、愛する、大切に想うなんてことを斜に構えて見てしまっているところもあったかな。
これぐらいが、観る側としてのマイナス評価になった理由。
作品を拝見して一番感じるのは、どうもテンポというか、流れが悪い。特に、後半に向けて心情を蓄積しなくてはいけない前半が顕著。これは、個々の役者さんの一つ一つのセリフであったりもするし、しっくりこないぎごちなさを感じてしまう掛け合いや会話にもあったように思う。
これがために、ラストあたりの熱演、心情込めた数々の言葉も心震わされるレベルまでもっていかれなかったように思う。

話としての感想は、上記リンク先とほとんど同じ。
失った者と決別して、今を生きる苦しみ。失った者への悔いや、これ以上失うことを恐れて、前へ進めなくなってしまう。
でも、生きなくてはいけない。進まなくてはいけない。自分に大事な想いがあったことを大切に背負って。
そして、そんな苦しみや悲しみの中にいる自分の周囲には、いつも自分のことを想ってくれている人がいる。それは、きっと失った者だってずっとそうだったはず。
自分のため、失った者のため、周りの人たちのためにも、歩み続けよう。
そんなことが、妻を亡くした夫と彼が創り出した妄想の妻との未だ続く日常生活、彼の純粋で真摯な部下と自らの夢のために人を愛すること、愛されることを信じたられなくなってしまったようなモデルとの恋、彼を見守り続けるオカマによって描かれているようだった。

妻を亡くした夫の妄想世界に、現実がじわじわと染み込んできてしまうような感覚が悲しみを誘います。悲しみというかは、残酷な現実の厳しさでしょうか。
彼は、自分の想像を越える新しい出来事を妻と共有することは出来ない。亡くなってしまった妻と共有できるのは思い出という過去の産物だけであり、やはり、これからの未来はいくら頑張っても妄想の妻から引っ張り出すことは出来ないのでしょう。
思い出だけを手繰り寄せて、時間を過ごす。これは、きっといつか終わってしまう。思い出は有限でしょうから。繰り返すことでしか無限には出来ない。
だったら、その終わりを始まりにしてあげたい。これから先の時間にある無数の出来事を彼の人生に植え付けていってあげたい。
そんな想いが、彼の創り出した妄想の妻に、本当の亡くなった妻のあの世の意識が入り込んだのでしょうか。
生き残る方が辛い。そんな思いをしたくないから、死んだ方が良かったのかも。だから悔いることは無い。
妻は、夫に対して、自分とのさよならの覚悟をさせます。

一つ一つ、生死を分かつことになってしまったことから生まれる悔いや悲しみを消していく。
会いたくても会えなくなる。会えないことは現実だから決して変わらない。もう、会えないのだ。
でも、会いたい気持ちもきっと変わらない。それだったら、その人を愛し、大切に想った尊い気持ちを悔いにし続けるのではなく、自分のこれからの大事な誇りに出来ればと考える。
作品名の、今度はという言葉は、決してこれまでを悔いて出てくるものではなく、悲しみや悔いを自分の中に取り込み、それを抱きながらも、希望を胸に抱えてこれからを大切に生きていくための自分自身への訓示のように感じる。

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