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2015年12月13日 (日)

覇道ナクシテ、泰平ヲミル 真王孫権編【劇団ZTON】151212

2015年12月12日 HEP HALL (120分)

両編とも観れて良かった。
既に観た偽蝕劉曹編の続きということだったが、続きというよりかは、孫権視点でもう一度、偽蝕劉曹編の真ん中あたりから話を見直して、補完しながら、泰平の世が生まれる夜明けみたいなところまでを描いている感じかな。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/120-a76f.html#more

真の平和のために。
それは、人が真になることから始まる。
2編通じて長い作品でしたが、行き着いた先は、そんなことを感じます。

劉弁を擁立していた董卓、呂布に殺される。
劉協、劉備に煽られ曹操に殺される。
再び、帝不在の世。
そんな世を水龍の守護を受ける曹操は武力で抑えつけて制覇しようとする。
黄巾党、張角亡き後、黄龍の守護を受ける許褚は民が満足さえすればそれで良しと野望が小さく、曹操に民を食わせると言われ、容易に取り込まれる。
袁紹、公孫瓚、董卓亡き後土龍の守護を受ける馬超が、反曹操を誓い血判状を作る。
孫堅亡き後、風龍の守護を受ける孫策にもうながすが、曹操の配下でいいという天下への志の低い考えで断られる。
黄龍、風龍共に、自分たちの時代を掴むために付いている人間に不満を抱えている。

劉備は、曹操が劉協を斬った場から逃げ出し、今は諸葛亮という名で姿をくらましている。偽の劉備を立てて、曹操が帝となっても何も変わらぬ世を変えるために、自らに力を貸してくれと民衆を煽っている。裏で策略を練って、曹操を再び倒すつもりらしい。
そんな諸葛亮の下に、龍を知る者として劉備を訪ねて来た一人の女性、劉弁。董卓亡き後、本当の名前、尚香となっている。
世を変えようとした董卓。それをはばもうとする曹操。自分と董卓は同じ道を歩んでいる。それに、敵討ちを探すにしても、一人でどうにかなるものではない。
そんな巧みな言葉で諸葛亮は、尚香を仲間として引き込むことに成功。

尚香は、敵討ちの相手とすぐに出会うことになる。
呂布。
尚香は、ある日、董卓にさらわれた。そして、董卓の天下への野望のため、劉弁として生きることになる。しかし、尚香は、董卓の熱い天下泰平の考えを崇拝しており、董卓を実の父のように思っていた。敬愛していた育ての父ともいえる董卓を殺した男。そして本当の父である孫堅を殺した男。
あの時のことが蘇る。
何者かによって殺され亡骸となった董卓。その場に、曹操軍であった孫堅がいた。尚香は剣を交える。しかし、孫堅はその相手が幼き頃に生き別れた娘であることに気付く。
でも、遅かった。自分は董卓の娘として生きてきてしまったから。どうして探してくれなかったのか。抱き合う親子の下へ、呂布が現れる。
呂布は孫堅を殺し、その肉を喰らう。董卓と同じ殺され方。
尚香にも襲い掛かる呂布を、孫堅は最後の力を振り絞り、呂布に剣を斬りつけ、追い払う。それが実の父との最期。
この日から、龍がいるから、いつまでも戦乱が続くのだと恨むようになった。
今、目の前にいる呂布を尚香は斬りつけ、敵討ちを果たす。
その姿を見た民衆は、尚香を劉弁だと気付き、もう一度、帝となって泰平の世をと救いを求める。
全ての復讐を終えてから。曹操、袁紹、そして龍たち。

曹操は、孫策、黄巾党を率いて、袁紹討伐へ。
劉備たちは諸葛亮の指示で、曹操軍、袁紹軍に分かれて戦うことに。
そして、諸葛亮が袁紹を、尚香は曹操を殺す計画。
公孫瓚と馬超はすぐに捕まる。公孫瓚は処刑。馬超は使えると曹操は配下に。馬超も認めてもらうために曹操に必死に仕える。黄龍に引き続き、よそ者の龍の保持者を仲間にするなという水龍の意見に従わない曹操。
逃げ出した袁紹は劉備によって殺される。
孫策は曹操のむごたらしい処刑の様子を見て、曹操を帝にしておくわけにはいかないと、自分が帝を目指すことを決意。
しかし、なぜかこれを嘆く孫策の配下、周瑜。
周瑜は裏切り、曹操に偽の血判状を渡し、周瑜が曹操を殺そうとしていると伝える。
孫策は処刑される。
そこに曹操暗殺に尚香が現れる。残念ながらはばまれてしまう。
風龍は孫策亡き後、新たな守護者として尚香に継ごうとするが、尚香はこれを拒否。
龍がいるから泰平の世が来ない。人は龍と決別すべきだと声高らかに叫ぶ。
曹操の剣が尚香に降りかかる。
周瑜はこれを防ぎ、尚香を連れてこの場を逃げる。

周瑜はこれまでの裏切りを告白する。
董卓に、孫堅の子供、尚香をさらわせたのもこの男。
さらに、呂布に龍の守護を得るために、孫堅の肉を喰らえとそそのかしたのも。
孫家を滅ぼすことが目的ではない。そんなことをしたら、風龍は別のところへ行ってしまうから。
かつての周王朝。これを破滅させたのが、この風龍。王を守護する身でありながら、一人の男に恋をして、王が二大派閥となり、凄惨な戦いの末に滅んだらしい。
風龍の時代が来ないように監視する。これが周瑜が背負い続けていた重い任務。
しかし、龍を無視して、人間が世を創るという新しい考え。尚香にその可能性を周瑜は見出したみたいだ。

諸葛亮がやって来る。
袁紹は殺したとの報告。尚香は曹操暗殺は失敗したと。
周瑜は諸葛亮の姿を見て、この男は劉備だと気付く。
知られてしまったからには、剣を周瑜と尚香に向ける劉備。
しかし、曹操軍の追手が迫って来る。一時休戦。
周瑜は尚香に故郷に戻って避難するように伝える。

故郷までたどり着いた尚香。しかし、その城門は開かない。
尚香はこれまでのことを全て語る。そして、その上で、自分は正式な孫家の血を引く者として、孫権と名乗り、世を平定することを宣言する。
城門が開く。
遅れて、周瑜、諸葛亮も到着。
曹操軍は大軍の船団を組んで攻めてくる模様。
火を放てば勝機あり。しかし、そのためには風を読む必要がある。それが出来るのは風龍。
風龍は、その力を使って助けてもいいが、尚香に周瑜を殺すことが条件だと言う。
曹操軍がやって来る。尚香は周瑜に剣を斬りつける。
風龍は約束通り、風を読む。
赤壁の戦いが始まる。
これで、尚香、改め孫権が国を平定。風龍の時代がやって来る。
笑みを浮かべ、孫権に寄り添う風龍。しかし、孫権は龍の守護に頼らない、人間の力で世を平定するつもり。
そして、周瑜は死んではいなかった。
周瑜は周王朝の正式な血筋。つまり、風龍の姿が見え、言葉が聞ける。今までずっと見えぬ聞こえぬふりをして、無視していたらしい。当然、風龍の策略を知り、鎖帷子を仕込んでいたらしい。
そして、周瑜は誓う。
龍に頼らない新たな世。その世を創り上げようとする孫権こそ、真王であると。

船に火が放たれ、混乱状態。
それに乗じて、劉備は馬超を利用して曹操に剣を向ける。
剣をぶつけ合う曹操と劉備。
そこに孫権自らも参加して、肉体をぶつけ合う。
孫権の剣が劉備と曹操に衝撃を与える。しかし、とどめをささない孫権。
誰が王になっても、もう世は大丈夫。
人が龍と分かつ時が来た。
龍を信じない劉備。龍を凌駕する曹操。そして、龍を殺す孫権。
人間が、自らの力で創り上げる新しい世がこれから生まれようとしている・・・

実際は、時系列で話が展開せず、シーンが行ったり来たりするので、だいぶ記憶から抜けてしまったところがあると思いますが、だいたい、まとめるとこんな感じの話になるのでは。

龍は自分自身の奥に潜む弱さが、それを隠すための力となって現れたみたいなものでしょうか。
黄龍や土龍が顕著に感じるが、自分の弱きところや、順応されないところが如実に出ているように思う。
自分の中に潜んでいる、他の者との協調を無視した、己がためだけの欲望。
それに翻弄されている間は、戦乱は続き、泰平は訪れない。
龍を信じない劉備。己だけを信じ、運命や神に惑わせられない。
龍を凌駕する曹操。己の運命を受け止めた上で、それを超える力で自らを制する。
龍を殺す孫権。運命を断ち切り、自らの道を信じて歩む。
確かにこれらは、自分に打ち勝って道を切り開いた者たちの姿であり、それが本当の自分の世界を創り上げているように感じます。

三国志はよくビジネス本の考え方なんかにも引用されることが多いみたいですが、自分に打ち勝ってこそ、本当の自分の世界を創り出せるんだみたいなこの作品の感覚はそれに通じているような気がします。
ある時代の戦乱の世から泰平の世までを描いた歴史ものですが、一人の人間として見立てることも出来るのではないでしょうか。
自分自身の中にある自己本位な考えは葛藤や欲望を生み出し、心の中のいさかい、心をざわつかせます。これが戦乱の世。
これと向き合い、本当の自分を信じ、時には強い自律の力で抑えつけ、調和していく。その先に心の平穏が訪れる、これが泰平の世。
龍は、そんな人が自分で生み出して、心の中に巣食う争いの種みたいなものであり、これと戦い打ち勝たない限り、世も心も平和など訪れない。
別に教科書のようにその龍との決別の仕方が決まっているわけではない。劉備、曹操、孫権のように自分の個性を活かした方法で打ち勝てばいいわけで。
そんな一人一人が出来る、争いから決別するための戦いが、一人の人間の成長へと繋がり、それが世の平和にまで繋がるようなイメージをこの作品を通じて感じます。

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