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2015年11月14日 (土)

Bar あの夜Ⅲ【真紅組プロデュース】151114

2015年11月14日 インディペンデントシアター1st (105分、休憩10分)

1、2回目の感想。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-5.html

今回も、ちょっと不思議なバーで、客としてやって来る時空を超えた歴史上の人物たちが、その人の生き様を語りながら、テンポ良い楽しい会話を繰り広げる。
客は全員、女性。ガールズトークが炸裂といったところか。キャラもかなり濃く個性的な設定なので、その会話を聞いているだけで面白い。
同時に、このバーは悔いを残した者が、あの世へ行く前に留まる場所でもある。
客はもちろん、このバーで働く者も。
客、ママ、メイド、下働き、バイトが互いに触れ合う中で、自分の生き様を振り返り、その人生に誇りを抱いて、この作品の場合は来世になるのか、より良き人生へと進んでいこうといった考えに変わっていく人の姿を見ることが出来る。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

あの世の一歩手前にあるBar あの夜。
前回、修行中とやらで店にいなかったメイドのイヨは帰って来たようだ。イヨは卑弥呼であるママの跡継ぎだった人。どこかでレコーディングでもしていたみたいで、いつの間にやらCDソロデビューを果たしている。
人の上に立っていただけに、相変わらず、その可愛らしい容姿に反して、きつく冷たい。
いつものとおり、開店前の仕事の段取りが悪くて叱られるケンヤ。
前回は、女系天皇たかこがバイトに入っていて、かなり高飛車にいじめられていたので、今回はまだましか。
と思ったら、そうでもない。たかこの代わりにキミオという新人が入っている。
ちょっとイケメン、仕事も優秀で、テキパキとこなす。空き時間はバッグギャモンをするような知的派。プライドも高そうで、出来の悪いケンヤを見下した話し方をするので、ケンヤは悔しい思いをしているみたいだ。
ケンヤはお気楽主義で、まだこんなあの世の手前のバーで楽しんでいるが、本来はここにいるということは何かしらの悔いを残しているから。
キミオにもその悔いがあるらしい。悔いといっても、後悔だけではない。納得できていないことがあるらしい。
この店で働く者のその悔いを明らかにして、人が生きることを考える。お客としてやって来る歴史上人物の楽しい会話に耳を傾けて笑う。
この構成は、これまでと同じなのだろう。
ママも店に。開店。

最初の客は、どこか妖艶な空気を持つ女性。それもそのはずで、5代目高尾太夫の紺屋高尾。太夫になっただけに、数多くの芸事にも通じているらしく、どこか知的な空気も漂わす。シャルドネを鮮やかに飲む。
続いて、ウクレレ片手に陽気な女性。源義朝の側室、後に平清盛の側室になった源平合戦に翻弄されて女、母として生きた常盤御前。泡盛のサンピン茶割りを。
お姫様姿の女性。今でも百人一首に名を残す、恋多き平安時代の歌人、和泉式部。裏表があって素行が悪かったというのは本当だったみたいで、豪快にオリオンビールをジョッキで。男がいたらカシスオレンジとかにするらしい。
アイドルのような姿、テンションで入ってくる女性。お茶屋の娘でありながら、浮世絵のモデルとなり、その人気で一世を風靡した笠森お仙。あの頃が忘れられないのか、今でもアイドルとして活躍する気満々。
こんな4人が、恋愛やら、理想の男やらの女子トークを繰り広げる。途中から、イヨも入って、アイドルグループ結成を目指したり。
時代も違うから、男の趣味もまちまち。
本当の恋って何だろうか。
そのうち、自分たちの生き様を振り返り始める。
恋をして歌を唄ったのか、歌のために恋をしたのか、いつの間にかあやふやになってしまっていた和泉。
芸事をたくさん学んだけど、決してそれを突き詰めてプロになることは出来なかった高尾。
男の戦の中で、女として、子供を守る母として、生きることの厳しさを思い起こす常盤。
本当はお茶屋をもっと広げて、プロデューサーとして活躍してみたかった仙。
色々と思うところはあるけど、皆、その時代で自分の力で懸命に生きてきたことだけは確か。
今は、そのことに、そして死んでしまっているけど、これからの自分たちに乾杯。

京都三条にある沖縄料理店くぼちよーから、店長の久保田晃平さんが、このバーに表敬訪問。
沖縄民謡歌手でもあるらしく、三線で涙そうそう、オジー自慢のオリオンビールを歌われる。
昔、どこかで入った沖縄料理の店で、このオリオンビールの歌で何回も乾杯させられたなあ。

再び、開店。
トラの顔が全面に広がるシャツ、豹柄のカーディガン、異常な程のテンションの高さ、コテコテの暑苦しさ。大阪のおばちゃんが紛れ込んで来たかと思いきや、後醍醐天皇の妃、阿野廉子。マイウェイを歌い上げ、箕面ビールをジョッキで一気飲み。
うって変わってお上品な雰囲気の女性。藤原不比等の妻、橘三千代。実際は互いに結婚していて婚姻関係は曖昧だったらしいが。スパークリング日本酒を。
華やかな衣装を身に纏い、かなりインパクトのある登場で店に入ってくる女性。あの春日局、お福らしい。
3人の共通のテーマは頼れぬ男ども。男の友情は固いなんていうけど、裏切りなんてしょっちゅうだ。
そんな男どもの時代の中で、女として力強く生きて、その証を残した女性たち。
豪快に酒を煽る彼女たちが語る男たちへのダメ出しは手厳しいが、どこか愛がこもっているような。

閉店。
キミオは要領よく店の片付け。
動きの遅いケンヤに嫌味も含めて、人の上に立ちたいとか、お金とか思わないのかと問う。
そんなことには執着しないお気楽主義のケンヤ。酒池肉林はしたいと想像を膨らませている。この人の場合、肉林ではなく肉欲みたいだが。
最後にママ、イヨも含めて、4人で乾杯。
キミオは乗り気ではないが、嫌々参加。ケンヤは酔って寝転がっている。
キミオが語り出す。
自分は、人の上に立ち、国を統治し、政に従事した。しかし、民衆は付いてこなかった。でも、イヨはそれを実現した。
様々なことを勉強し、研究することを怠らない自分がなぜイヨに負けたのか。
これがキミオの悔いのようだ。
ママは答える。
人の話を聞く。耳を傾けること。
キミオの頭の中にそんなことは全く無かった。
イヨも口を挟む。
ケンヤに色々と嫌味を言ったりするのは、きっと相手に興味があるから。そこから、相手が何を考えて、何を言っているのかを聞いてあげればいい。
このバーがなぜ、こんなところに存在しているのか。
その理由がぼんやりと浮かび上がる。
まだ、しばらくは、この店で色々な人の話を聞いて勉強するのも良さそうだと考えるキミオ。

懸命に生きてきた。
でも、上手くいかなかったことなどいくらでもある。たくさん、悔いを残す。
これは、この作品のように人生に終わりを迎えた者だけでなく、人生途上の段階でもたくさんあることだと思う。
そんな時、ちょっと立ち止まって、楽しい酒でも飲んで、これまでを振り返ってみる。
頑張って生きてきたことに誇りを持って、同時にその楽しい飲みや会話の中から、相手の言葉を拾って、自分のこれからに繋げていけるのではないか。
本当の自分、本当の自分の力。これをどう人生の中で表現し、発揮すればいいのか。
それは、自分を見詰めるだけではなく、他者の生き方、考え方に目をやって、それを取り込んでいくことが大事であることを伝えているような気がする。
気楽に飲みながら、そんなことが実現できる場所あったらいいなあという、誰もがふと思う夢をこの作品は舞台で見せているのでしょう。

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