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2015年11月15日 (日)

月の王子【劇団空組】151114

2015年11月14日 カナリヤ条約 (85分)

私がこの劇団を初めて拝見した作品。
2010年1月ですね。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/100116-4646.html
<↑簡単なあらすじを書いており、ネタバレしますのでご注意願います>
この時、けっこうお気に入りになったみたいで、初演もDVDで拝見しています。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/dvd-90b6.html

私の中では、今回の再々演で、確実な名作としての位置付けとなりました。
童話を題材にしているので、キャラの楽しさをベースに、ちょっと笑いも組み込みながら、人が人を幸せにしたいという美しく優しい想う力が、世界の幸せを創り出すような素敵な温かみある作品となっているように思います。

あらすじは、上記の再演を生で拝見した感想記事を参照。
細かなところは覚えていませんが、ほぼ変わっていないように思います。

舞台はほとんど素舞台みたいな感じですが、奥壁に白カーテン。途中、話の展開に合わせて、これが開いた本の形のように展開し、童話を題材にしたこの舞台作品自体がそのまま本に刻まれて残るような印象を受ける美しい演出がなされます。

自分一人の存在を消し去ることで、大切なかぐや姫を含めて皆の幸せに変えようとしたディアナ。
彼の物語を描いた本は、世の人たちを不幸に陥れたみたいですが、それを自分の力で変えました。自分で人生を切り開くことが出来ることを証明した彼の姿は、バッドエンドの物語の中にいる多くの登場人物たちに勇気を与えたことでしょう。
もちろん、ハッピーエンドに話を変えるのは作者ですが、登場人物たちに、幸せになりたい、そして、その姿を見た者に同じように幸せになって欲しいんだという強い気持ちがなければ、実現できなかったことのように感じます。
登場人物たちは、作者の手によって創り出され、その頭の中で言動する存在。支配権は作者に依存されていますが、その作者を動かしているのは、登場人物たちとも言えるのでは。最後の各々の物語の変わっていくシーンでは、自分たち自身の幸せ、その作品の世界の幸せを始めから諦めてしまっていた登場人物たちが、自律して、作者と共により良き世界を創り出そうとし始めたように映ります。

幸せを願う者。その願いは、自分自身に巡り巡って戻って来る。
ディアナは月の女神に祈り、その作品、月の王子はハッピーエンドを迎えますが、それは決して、幸せをただ人任せに待っていたのではなく、そうした願いを想いに込めて、自らが行動した結果だった。
世間が勘違いした誰かがどうにかしてくれる考えや、どうせ作者が決めるんだからと幸せになることを放棄した他作品の登場人物たちの姿。
そんなことはない。自分で今を変えていかないといけないんだ。運命やら環境やら時代やら、大きな存在があるけど、それに流されることはない。自分の力で、自分自身、そして大切な人の幸せを掴み取る道を切り開こう。
誰かが誰かの幸せを考える。大切な優しい想いは、この世の中で、続く時間の中で、循環して膨らみ続けているみたいな感覚が得られるところも、安堵に似た温かみを感じます。
作者が失敗作だったと考える月の王子は、その主人公ディアナの強い想いの力で、本当のハッピーエンドを生み出し、今、長き時を経て、作者の子孫になるらしい男と、その男が大切にしたいと思う女性二人の幸せ、そして、ディアナ自身も、あのかぐや姫の世界できっと幸せを掴んだようなラストで話は締められます。

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