新・学校の怪談【馬鹿(うましか)やろう】151129
2015年11月29日 シアターカフェNyan (80分)
妖怪という分かりやすい面白キャラを活かした、楽しいドタバタコメディー。ちょっぴり恋だの友情だのといった青春要素も盛り込んでいる。
ダンス部設定で、ダンスアクトのエンタメも加え込むという巧みさもある。
話のまとまり、展開が粗いところも多々あるように思うが、総じて、心地よい時間を創り出しているように感じる。
社中学。その名の通り、学校には社があって、その中に勾玉が祀られている。
ダンス部のたろう、やまと、ゆいは今日も練習に励む。りょうが来ない。どうやらサボりみたいだ。練習を終え、みんなで牛丼。
りょうはサボってサッカー。パスをトラップミスして社を壊してしまう。覗いてみると、勾玉が。りょうはそれをポケットに入れる。突然、目の前に道が開ける。
翌日、ダンス部の面々はバタバタしている。りょうと連絡がつかない。昨日の夜も家に帰っていないのだとか。3人は社に向かう。
壊れた社。無くなっている勾玉。もしかしたら。
でも、りょうも知っているはず。この勾玉は悪霊を封じ込めていて、これを手にすると生贄を差し出さないと戻って来れない世界に連れて行かれることを。
3人がふと見ると、空間にどこかに続く道が開いている。霊界に通じる道だろうか。3人は怯えながらも、意を決して、その空間に飛び込む。
霊界。
今日は集会が開かれるので、お化けたちが集まっている。
二宮金次郎。今や情報化社会。手にするものは本ではなくタブレット。
テケテケ。足を生やしたらしく、もう見た目は普通の元気で明るい女の子でしかない。
口裂け女。美容整形をして、すっかり美人に。口だけ女と勝手に改名。
人体模型。会議というTPOを考えて、スーツ姿。顔は怖いが普通の紳士的な青年だ。
花子さん。100年以上、トイレにこもっており、金次郎に継ぐお化け歴の長さ。最近、彼氏が出来てメロメロ。
会議の内容は、人間の驚かせ方。ネットで、これまでの驚かせ方は全て載ってしまっている。新しい方法を考えなくてはいけない。驚かせ方にこそお化けの個性があったはずだが、時代の流れか、姿もこんな風に変わってしまっているので、仕方ないことか。
そんな中、りょうが現れる。
ちょうどいい。驚かせ方の練習台に。でも、こんな姿では怖くも何とも無い。りょうはこんなことには付き合ってられないと逃げ出す。
お化けたちは逃すものかと追ってくる。
たろう、やまと、ゆいの3人も霊界に。
トイレの女神様に出会う。女神を名乗るだけに美人。ちょっと自尊心が高そうだが。男たちはすっかり虜に。
トイレの花子さんを探しているのだとか。
りょうの情報が入るかもしれないし、一緒に探すことに。
花子さんといえば、学校の七不思議の一番目。二番目がこっくりさん。
こっくりさんを呼んでみるかということに。
現れたこっくりさん。なぜか巨体のオカマ。
こっくりさんは、イケメンのやまとがお気に入りみたい。
こんなオカマ相手にしてられるか。怒り出すこっくりさんに追われ、3人と女神様は逃げ出す。
お化けやらコックリさんやらに追われ、スレ違いが繰り返される中、りょうと3人は無事に出会え、ここから脱出できるのか。
そして、トイレの女神様は花子と出会ってどうなるのか。
SNSにはまり、友達を求める二宮に掴まるたろう。
口だけ女は、美人になったのでやたら男を意識する。やまともそんな一人に。でも、彼はこっくりさんに狙われ、しかも花子さんの彼氏にもそっくり。人間嫌いでわがままな花子さんも彼のことなら少し理解を示す。
花子さんによると、こっくりさんはかなり昔に霊界追放になっているらしい。単なるそっくりなオカマ説が飛び交う中で、オカマの寂しき辛い人生を語るコックリさん。
人体模型は出会ったゆいに一目惚れ。りょうに想いを寄せるゆいの眼中には当然入らない。
テケテケはすっかり、ちょっと間の抜けた可愛い子になってしまっているので、人を襲うことなど忘れてボケーっとしている。
トイレ掃除をするように花子さんに伝えに来たトイレの女神様。その女神様に惚れてしまった花子さんの彼氏。女同士の醜悪な舌戦が繰り広げられる。
ついに出会えたりょうと3人。
しかし、花子さんの八つ当たりに近い怒りはピークに達し、人間たちに襲い掛かる。
この世界から抜け出さないと。
勾玉。これで抜け出せる。でも、生贄が必要となる。
たろうはその生贄になる覚悟を決める。だって、二宮が離してくれないから。
そんなことは出来ない。仲間だから。りょうをダンス部に誘ったのはたろう。りょうはさぼったりしてるけど、やっぱりみんなと踊るのが大好きだ。
そんな仲間たちの友情に、オカマゆえに、本当の友達がいないという、人生そんな想いをしたことが無いこっくりさんが心を動かされて、生贄になると言い出す。
オカマだから覚悟を決める時はしっかりしている。
りょうと3人は無事に元の世界へ。
とんでもない目に合った。
もう二度と会うことは無いだろう。この世と霊界に通じる者でもいない限り。
遅くまで残って早く帰りなさい。学校の用務員さんに叱られる。
その顔は、あちらの世界でも見たことがある・・・
お化けVS人間。
お化けがキャラを活かした個性的な設定。
姉御肌で純粋な花子さん、お調子者な勘違い男の二宮、自意識過剰な恋に恋する口裂け女、不思議ちゃんの可愛いテケテケ、おとぼけ感を出しながらシュールで紳士な人体模型、裏表の激しいヒロインのトイレの女神様、破壊力抜群の飛び道具のこっくりさん。
片や、人間は、どこにでもいる普通の学生像を映す。
熱くまっすぐで男気のあるたろう、ちょっと間の抜けた人のいいやまと、皆のムードメーカーな明るく元気なゆい、調子にのるけど仲間への想いが熱いりょう。
そんなお化けと人間の狭間に、正体不明の怪しげな用務員。
登場人物設定のバランスの良さが、話の分かりやすさ、コメディーとしての心地よい楽しさを生み出している。
ただ、話としては、あっち飛び、こっち飛びで決してまとまりのあるものだとは思えない。一つの筋ありきで、色々と脱線しながら楽しませるような、キャラのインパクトだけでなく、話としての面白さが後々まで印象に残るようならば、もっと良かったように感じる。
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コメント
テケテケ役の劇的☆ジャンク堂の山田です!!
ブログ、携帯の前で待機しておりました(笑)
ご来場ほんとにありがとうございました(*´ω`*)
投稿: テケテケ | 2015年11月30日 (月) 11時01分
>テケテケ(山田百合香さん)
コメントありがとうございます。
一人芝居とかも観に伺えなかったので久しぶりでしたね。
めちゃくちゃ可愛かったじゃないですか(゚▽゚*)
ちょっと頭悪そうな感じだったけど(゚ー゚;
いい旗揚げ公演に参加できましたね。
今後のご活躍も楽しみにしております。
投稿: SAISEI | 2015年11月30日 (月) 18時45分
可愛いありがとうございます!!
頭悪そうなのを目指しました(笑)
またどこかでお会いできるように精進いたします。
ほんとにありがとうございました(*´ω`*)
投稿: テケテケ | 2015年11月30日 (月) 21時45分
二宮役の馬鹿(うましか)やろう副代表の牛島です。
遅くなりましたが、ご来場いただきましてありがとうございました
投稿: 牛島龍馬 | 2015年12月 5日 (土) 16時41分
>牛島龍馬さん
コメントありがとうございます。
二宮さん、ちょっと痛々しい役でしたね。
楽しませていただきました。
また、次回公演を期待しております。
投稿: SAISEI | 2015年12月 9日 (水) 12時02分