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2015年11月11日 (水)

火曜日のゲキジョウ【ナルセケ×劇団ヴァダー】151110

2015年11月10日 インディペンデントシアター1st (25分+25分、休憩15分)

スレ違う父娘。
スレ違う夢を追う妙齢の者たち。
性別や世代が違ったり、日常の生活スタイルが異なっていたりと様々な人間たちが、分かち合えていない現状に不満や不安を抱きます。
でも、相手の心の中に少し潜り込んでみたら、そこには同じ視線で見ていることがたくさんあり。
繋がり、分かち合い、想い合いはそこに存在していた。
そんな安堵と温かさを描くという、無理やりですが共通テーマが見られる2作品。

・ソルト娘とシュガーパパ : ナルセケ

ママ、婦人会の催しで外出。
久しぶりにパパと娘だけの夕食の食卓。
普段、コミュニケーションを取っていないから、話すことがなく、沈黙。
くだらないダジャレを言って場を和まそうとしているんじゃないか、何とかダジャレを考え出さねば。
定番の最近どうだみたいな会話から切り込んでくるんじゃないか、まさか最近どうだって言ってくるんじゃないだろうなと思われているのではないか。
そろそろ話題を振ってくれと思っているんじゃないか、さすがにこの沈黙をどうにかしてはもらえないものか。
娘は冷静にパパの挙動から心を読む。パパもパパで沈黙の娘に気を遣って焦りながらも娘の心を読む。
ただ、互いに心を探り合ったところで、現状を打破するには及ばず。
せっかくの娘の一言も、パパは考え事をしていて聞き逃す。覆水盆に返らず。
娘が手を差し出してくるので、パパも差し出して握手でもしようとしたら、きつく払われる。パパ、お茶。冷たく一言。
パパは思い出す。ちょっとセクシーな会社の後輩に、娘と二人っきりになるけど、どんな会話をしたらいいかを聞いたことを。聞きたいことを聞けばいい。それなら、彼氏のことを聞いてしまおうか。いや、いないことは分かっているが。いやいや、これだけの美人な娘を男子高校生が放っておくだろうか。いやいやいや、まだ恋愛なんて知るはずがない。聞きたくないし、知りたくない。身もだえて苦しむパパ。
娘は思い出す。ちょっと無理がある同級生に、パパと二人っきりになるけど、どんな会話をしたらいいかを聞いたことを。いつも通りでいい。いつも話さないし。だって、パパは自分に興味を持っていないから。だったら、彼氏がいるって嘘ついちゃえば。嫉妬してきっと興味を持つはず。同級生は悪そうな顔をしている。
沈黙も限界。
パパの彼氏いるのかの質問に、平然といると答える娘。
パパからの答えは無い。その代わりに新聞を読み始めるパパ。新聞紙、逆さまだけど。
パパとの間にある壁。パパは私のことをどのくらい知っているの。聞いてくれないから、きっと分からないでしょ。
完全な沈黙。
パパは、娘のことを考える。娘に聞きたいこと。何年生、誕生日、友達、部活、雑誌・・・
娘を見詰める。こんな顔をしていたのか。
パパは娘に声をかける。最近どうだ、学校はどうだ。楽しいと答える娘。
娘が手を差し出す。お茶。いや、娘はパパの手を求めている。
握り合う二人の手。
娘は彼氏はいないと口にする。
安堵と喜びが沸いてきて、やや錯乱状態に陥るパパ。
少しずつ饒舌に話し始める。その言葉に娘も耳を傾けている・・・

父と娘のスレ違い。
父と娘が一緒にしたいことの1位は父も娘も旅行。2位は父が飲みに行くに対して、娘は特になし、あまり関わりたくないらしい。
このアンケート結果から分かるように、どちらも分かち合いたい、繋がり合いたいという気持ちはあるものの、その温度差は大きいみたいだ。どこまでも、べったりと娘と一緒にいる機会を設けたいという甘い考えと、あんまり日常の深いところまでは一緒にいられても困るという手厳しい塩辛さは、砂糖と塩で表現された父娘の関係をよく表しているのかもしれない。
互いに相手に対して不器用になってしまう父と娘が、思いやりの中、触れ合うことを求めていく。いつもは母に間に入り込まれてしまい、なかなか出来ないのだろう。旅行に行きたいというのも、そんな日常から少し離れないと、言葉が交わし合えないことを潜在的に感じているのだろうか。
シャレた言い回しや、特別な言葉など要らない。
ありきたりで不器用な言葉が、二人を繋げる。
どちらも全力で相手のことを想っている。キャッチボールが父と娘だと下手くそなだけで、目はいつも向けられているのだろう。
基準点5点に、成瀬サキさんの落ち着いた演技に+1点、成瀬トモヒロさんがうるさいくらいに娘を娘をって言っていたので+1点、二人のハーモニーの美しさに+1点。
30分がやや長いのか、彼氏ネタ一つでは後半、やや話が持たず飽きがきた印象があり、-1点の7点評価。

・BIGBANG : 劇団ヴァダー

アマチュアバンド。
誰よりも熱く、華やか、パワフルだったボーカルのアクセスが脱退。もっとでかいことをすると言って去って行った。
魚屋のジョージ、ネットカフェ店員のルイス、パート主婦のドロシー。妙齢のおじさん、おばさんたちは嘆き悲しみ、これからを憂う。
そんな中、IT企業に勤める若手のトビーは、皆を励まし、前向き思考で、この苦境を乗り越えようとする。既に対応策も考えているみたいだ。
新ボーカル、クリスティーナ。ヴィクトリア・ベッカム似の歌の上手い女性らしい。
その女性がやって来て、皆はびっくり。
どう考えてもバンド経験など無さそうだし、巨漢なのでインパクトはあるだろうが、ボーカルに必要な華やかさには欠ける。
遊びでやっているんじゃない。アマチュアで、他に仕事もしているけど、自分を変えられるこのバンドに真剣に取り組んでいる。
メンバーは皆、そう言ってクリスティーナを拒絶する。
彼女も口を開く。私も真剣。歌を唄っている時、自分は変わる。何にでもなれる。普段、どれだけ、皆からバカにされようと。歌が私の全て。
聞いて欲しい、私の歌を。
彼女は小坂明子のあなたを歌い上げる。
魂を込めたその歌声に、彼女は自分たちと同じ人間だと納得する。
早速、練習。
バンド名はBIGBANG。エアーバンドとして活躍している。
エアー・・・

2011年観劇以来の劇団。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/110702-4965.html
久しぶりなので、あまり覚えが無いですが。
最後、二段オチで、エアーだったというまさかのオチが消えてしまったような。
ボーカルのアクセスがやっぱりここが良かったと戻って来てお終い。
結局、もうでかいことなんか出来ないんだよといった、身の丈に合った人生の選択という厳しい現実が切なくもあります。
役者さんは、登場人物の年齢に合ったそこそこ妙齢の方々。
作品のアマチュアバンドは、そのままこの劇団といったメタフィクションでもあるのでしょうか。
何かに取り組む。それを継続する。それだけで、パワーがいるものですよね。
それを働くという仕事の道に組み込むのか、別の道を走らせるのかはなかなか難しい問題でしょう。
でも、楽しくが一番だろうし。そうなる道を人は自然と選ぶのではないでしょうか。
頑張り続ける人たちの真剣さと同時に、そんな人に対する世の厳しさも見えてきて、熱血だけど何か哀しいという空気が感じられます。
基準点5点。加点の要素は申し訳ないですがありません。
話の展開が単調でやや退屈。-1点しようかと思いましたが、何となく楽しそうな役者さん方のお人柄や空気がいいこと、神戸から大阪まで挑戦しに来ていただいたことで相殺しました。5点評価。

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