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2015年11月29日 (日)

CREATIVE DIRECTOR【THE ROB CARLTON】151128

2015年11月28日 HEP HALL (110分)

前作もベタ褒めでしたけどね。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/115-cbf9.html
今回も絶賛です。
笑ったし、感動したし。
DVDで何回も観て、家でも楽しみたいなあ。
この作品に限らず、これまでの作品も。
でも、きっと、ここはいつもチケットが自分の名前も記載されたホテルからの招待状みたいになっており、恐らく、その日、その時の特別な時間を提供しますといったスタンスが強いのだろうから、無理なんだろうなあ。
でも・・・、皆から声があがったら、記念品みたいな形で何とかならないものですかね。
作品は大満足。この劇団の上質、スマート、cleverな空気も大好き。
不満はその一点ぐらいです。

いつものごとく、降りかかる災難に必死に立ち向かう男たちの姿。
ドタバタになりながらも、スマートにその困難をクールに乗り越えようとする展開に大いに笑う。
今作は、その先に、それでもやり抜く。たった一つのものを創り出すために、誇りを持って。
そんな創造する者の熱き精神で最後、感動させて話を締めています。

<以下、ネタバレしますので公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

クリエイティブオフィス、BRIGHTON。
全てを統括するクリエイティブディレクター、今藤の下、実際のあらゆるデザインを担当するアートディレクターの肘方、そんな二人のスケジュール管理から何から何までをフォローするマネージャーの置田。
置田のメールにはフランスから仕事の依頼。ねじらないクロワッサンを作りたい。そんな根本的概念を覆すような仕事は訳が分からない。堪能なフランス語で、パリに住まないパリジェンヌみたいな例えでお断りのメールを送り返す。
そんな傍ら、肘方は今日の大事な会議で使う建築モデルの入った箱をひっくり返してしまい、運送業者のせいにしようと必死に画策中。
そんな中、今藤が出社。
ビデオカメラを手にしたディレクターと一緒。密着取材らしい。
今藤の様子はいつもと違う。恐らくはかっこつけているのだろう。いいセリフを吐くたびにカメラ目線で決めポーズ。
クロワッサンの件も聞くなり、引き受けましょうと即答。
実際に明日までに案を出さないといけない肘方にとってはいい迷惑だ。
とりあえず、箱を開けてみたが、建築モデルが壊れていなかったことは不幸中の幸いか。

打ち合わせ開始。
国際競技大会委員会のエンブレム担当の五輪、競技場担当の菅平の二人も来社。
長い机に離れて座るという、最大限まで距離を置いて、互いに遠慮することなく意見を出し合えるという独特のスタイルで始まる。
エンブレムの幾つかの案はなかなか好評。
続いて、競技場の方をといったところで、担当者が腹痛。スイカと天ぷらを食べたらしい。それは仕方がないことだ。いったん退席。
そこに、とんでもない来客が。
トップクラスの北欧家具メーカー、VikeaのCEO、フィッツパトリック。椅子のデザインを依頼されている。
約束は来月のはず。勘違いしていた。入社以来、ミスをしたことがない完璧な置田が初めて犯したミス。
どうしようもない。何とかバレないように打ち合わせを一緒にするしかない。競技委員会の二人をフィッツにはスタッフ、同じくフィッツには二人をスタッフだと嘘をついて、打ち合わせを同時進行する。幸い、フィッツは北欧語。二人には分からない。通訳の置田が上手くすれば可能ではある。
資料も違うし、会話もズレる。でも、奇跡的にその場を凌ぎ、競技委員会の二人は帰ることに。ただ、エンブレムに関してはさらに10案を求められる。もちろん、カメラの前の今藤はOKと即答。肘方にクロワッサン、エンブレムの仕事がのしかかる。
皆でお見送り。

フィッツとディレクターが二人だけ部屋に残される。
そこでとんでもない事実が発覚。
フィッツ、日本語ペラペラ。通訳を用意してくれていたりするBRIGHTONに対して、失礼かと思って日本語が分からないふりをしている。礼節を重んじての偽り。
このことは皆には話さないで欲しいとフィッツはディレクターに言う。もし、約束を破ったら、ひどい目に合うことになるみたいだ。
そして、フィッツは、まだ、核心にまでは至っていないものの、何か今の打ち合わせがおかしかったことには気付いている。
ディレクターは互いの秘密を背負うことになってしまう。

次の来客はファッションブランド、ヘスケス。
先ほどとは違って、厳しい意見を突き付けてくる難解なクライアント。
責任者とニューヨーク法人CEOの二人。
先ほどと同じパターンでごまかす。でも、一つ大きな問題。現地法人CEOが北欧語が喋れないけど聞き取れる。
フィッツをニューヨークのアナリストだと紹介。
怪しい。二人は馬鹿にされていると判断し、帰ってしまう。
皆で追いかける。

再び、取り残されたフィッツとディレクター。
ディレクターは本当のことを告白する。
でも、それはフィッツを大切に思ってのこと。彼らもまた、礼節を重んじての偽りを演じている。
スピリットは同じ。フィッツはそのことを理解し、その演技に付き合うことに。
ヘスケスには、BRIGHTONのアナリストだと思わせ、片やBRIGHTONの人たちには、騙されているふりをしないといけない。一番難しい役。
自信がない。でも、とにかく、やるしかない。そう、いい感じで動くしかない。

戻って来た二人。
こちらを立てれば、あちらが立たず。そんな数々のパラドックスが横行する中、フィッツのいい感じの動きもあって、奇跡は続く。
そこに、先ほどのエンブレム担当、五輪が駆け込んでくる。
エンブレムに盗作疑惑。
まずい。ヘスケスに提案したロゴが、既視感があるとクレームをつけられ、盗作など一切うちには無いと大見得を切ったのだから。
とりあえず、五輪も社員ということにしてごまかす。
当然、二人は疑うが、ここでもフィッツがナイスなフォロー。五輪がここの社員だと二人に説明。
BRIGHTONの面々はさっきの嘘が今、一つの嘘を救ったと思い込んでいる。
続いて、競技場担当の菅平も。予算オーバー。
こちらもまずい。ショップ建築の見積もりは大丈夫なのかと言われ、絶対予算内に収まると言ってしまっているのだから。
建築モデルをもう一度。肘方は焦って一部を壊してしまう。
その壊れたところを省けば、予算内におさまりそう。まあ、こちらはすぐに片付いた。

それでも、残されている問題は山積み。
ヘスケスはロゴを作り直せと。エンブレムは盗作ではないが、やはり似ていることは間違いない模様。フィッツのこと。
もう、どうしようもない。
今藤。全てはトップに委ねられる。
今藤は、自分たちのBRIGHTONのポリシーを語る。少し自分に酔いながら。
エンブレムは、すぐに手直し。明日までには必ず。今藤は五輪にそう伝え、安心して帰ってもらう。
そして、今藤はロゴを書きなぐる。肘方に印刷を命じる。出来上がったロゴは、ヘスケスに大受け。二人も大喜び。
お見送り。

部屋に残った置田、フィッツ、ディレクター。
時が来た。フィッツは全てを明かす。あまりのことに置田は動揺を隠せない。
どうりで上手く事が運んだはずだ。でも、フィッツからの信頼を失ってしまった。
そんなことはない。今回の件で、どんな苦境でも諦めない、クライアントのことを何が何でも考える会社のポリシーにフィッツは敬意を表している。
このことは3人だけの秘密に。もし、破ったら北欧から多くの人が何かするらしい。
皆が戻って来る。 すぐに次の打ち合わせ。
フィッツは空気を読んで、もう帰ると言う。
お見送り。 いや、結構。見送られたら別れが辛いだなんて紳士的なことを言って。
それと、フィッツは別れ際に今藤に言う。
明日までにもっと別の椅子のデザインを頼みたいと言ったらどうするか。
肘方にとっては気を失いそうなジョーク。また、今藤は格好をつける。急いで、カメラを止めさせる。
でも、今藤の答えは善処します。
カメラに撮られているからだけではない。クライアントの要望に、とにかく全力で取り組む。生み出されたデザインが、既に世に生み出されていたものだったりすることもあるだろう。その時は、またそこから生み出す。それがBRIGHTONだから。
そういう会社だった。ずっと。そして、これからも。
肘方は覚悟を決める。何かピンときた。ねじれていないクロワッサン。
次の打ち合わせまで数分間。その間を使って打ち合わせ。
そんな創造者たちの熱い姿をカメラは再び捉え始める・・・

巧妙な展開。見事な話の設計図でしょう。
この作品こそ、最高峰のクリエーターたちが創り出した、誰にも真似できない、この演劇界に新たに生み出された一つのものとなっているように思います。

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コメント

SAISEI様

DVDの件、伝えておきました。先方も今公演くらいから考えていたそうです。次回公演くらいから実現する可能性大のようです。

再演は主宰が基本考えておられないそうで記録用には撮っておられるそうなのでオマケや景品として附けてもらえるようお願いはしておきました。

Rob-carltonの方は固定ファンがしっかり附いたはるみたいで今までの公演や客演先など話したいと思ってもいつでもファンに囲まれて話せなかったので今回初めて話せて良かったです。非常に丁寧な対応をしていただいたと思います。

投稿: KAISEI | 2015年11月29日 (日) 07時09分

>KAISEIさん

おっ、DVD可能性あるんだあ。
楽しみですね。
ここは、気軽にいつでも鑑賞できる作品なので、ほとんど外食だけど、たまに家で食べる時に楽しめそう。
お話しできたんですねえ。
皆さん紳士そうな感じですもの。

投稿: SAISEI | 2015年11月30日 (月) 18時39分

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