木曜ドラマ 警部パハップス(全10回)【劇団ガバメンツ】151115
2015年11月15日 道頓堀ZAZA HOUSE (105分)
嘘丸出しの刑事ドラマと、それを演じる役者さんの実際の姿。それを演劇作品として舞台で見せるこの作品。
テレビ、現実、舞台と不思議な構成ですね。
この曖昧な彷徨った感覚が、警部パハップスの口癖、多分に通じているし、現実の日常を生きる者も、大したことなど起らずとも、自分に何か訪れることを信じて、我慢しながら日々を過ごしているといったところに結びついているようです。
この劇団ならではの洗練されたとか知的なとかが感じられる、いつも楽しんでいる面白味が味わえる素晴らしい作品でした。
女子アナ、アンドウ。
スラッとした美貌に、知的さが漂う。
担当する番組でニュースを読み上げ、最後はお天気情報。明日のじぇんこくの天気は・・・
滑舌の悪さは今に始まったわけではない。また、youtubeで面白おかしく取り上げられてしまうことだろう。この仕事は向いていないのかも。
疲れて家に帰ったら、彼氏から電話。売れないバンドミュージシャン。あまり気が乗らない。今から家に行きたいと言ってくるがそれどころではない。明日は、警部パハップス セカンドシーズンのロケ現場取材。警部役の少し気難しいヤマモトにインタビューをしなくてはいけない。今から、録画しておいたファーストシーズン全10話を観なくてはいけないのだ。当時、ヤマモトの電撃結婚が発表され、話題になったドラマだが、視聴率はあまり取れなかったみたい。大して面白くなさそうだが、そんな状況でも続編が決まるぐらいの力があるのだろうから、やは予習はしておくしかないだろう。
ところが、3話からしか録れていない。幸い、彼氏は録画していたみたい。今から1、2話を観てあらすじを伝えるように彼氏にお願いする。お願いというか、強制だが。
とりあえず、自分は3話から観始める。
ケーキ屋でパティシエの女性が死体で発見。
ヨネが現場検証。警部のアブさん、続いてパハップスもやって来る。
絞殺痕、作りかけのケーキ、被害者の口に残る甘い香り。
アブさんは他殺を主張するが、パハップスは自信満々に述べる。これは自殺だ、多分。
女性刑事が、ケーキを予約していたケーキ屋の客を連れて来る。
アブさんは、こいつが犯人だと強制連行。取り調べもこじつけで犯人に仕立てようとする。
パハップスが彼女に聞き取り。
彼女は被害者と昔、一緒に働いていたらしい。そして、被害者の彼氏が彼女のことを好きになってしまい付き合うことに。被害者は、もうすぐあの人の誕生日だから、誕生日ケーキは二人のお祝いに作らせてなんて、恨みなど何も無いよといった感じで平然としていたが、やはりはらわた煮えくり返る怒りを内に秘めていたみたいで、顔も見たくないからこの町から出て行けと引っ越しを余儀なくさせられたらしい。
彼女は店の砂糖と塩を全部入れ替えて、笑顔で去っていったらしい。
目撃者が連れて来られる。テンションのおかしい家政婦。ドラマなら必ず犯人を見ていないといけないのに、この人は見ていないらしい。何のために連れて来られたのか。
パハップスは、取り調べで疲れている彼女にお菓子を渡す。
そして、皆を呼び集め、自分の推理を語る。
被害者への怨恨による彼女の犯行。被害者が作るケーキを食べて、絞殺して自殺に見せかけた。証拠は、彼女の口に残る甘い香り。さっきのお菓子だ。
彼女は当然、否定。しかし、彼女は逮捕される。砂糖と塩の入れ替え。業務上威力妨害罪。連れて行かれる彼女。涙するパハップス警部。
意味が分からないドラマ。
アンドウは、彼氏に電話。1、2話の内容を聞く。
1話は女子校生が殺されて、付き合っていた先生が疑われるが犯人では無かった。でも、その付き合いの中でテストの内容を教えたりしていたらしく、その罪で逮捕。パハップスが涙して終わったらしい。話を聞いていると、殺される被害者は多分、3話と同じ役者。途中、出てくる目撃者のテンション高い同級生も同じみたい。新しく知ったのは、典型的な風見鶏スタイルで生きている署長ぐらいだろうか。要は、全部同じ構成みたい。
一応、2話も聞いてみたが、場所が病院、被害者がナースになっただけ。
ありがとうとそっけなく電話を切る。
アンドウは、4話の予告編だけを観て、もう明日に備えることにする。
しかし、4話の予告編、何一つ意味が分からない。
仕方ないので、5話も観ることに。
5話は漫画家のアシスタントが殺害される。いつもの役者じゃない。その役者は漫画家役みたい。
女性刑事は自分の仕事の出来なさに悩んでいる。出来ないけど、出来るように見せて必死に頑張る。向いていないかもと辞表を胸にしながら。その姿は今のアンドウ自身であり、すっかり感情移入してしまう。
ただ、この回は大ファンの役者が登場。筋肉隆々のいい男。役名もプロテインだ。惚れ惚れして観る。
結局は自殺だったみたい。でも、漫画家は自分を逮捕して欲しいと言い出す。アシスタントの作画を流用していた自分。最初だけチヤホヤ。ちょっと出来なくなるとパッシングされる。そんな日々にうんざりしているみたい。アンドウはそんな漫画家にも感情移入する。
少しだけ興味を持ったのか、6話だけ観て寝ることに。
6話は料理評論家のお婆ちゃん二人が殺害される。現場ではチュッパチャップスという声が聞こえたのだとか。あの家政婦が登場して言っている。マンションの管理人やセクキャバにも勤めているという新事実が発覚した。結局は首の締め合いだったみたい。
ロケ現場の取材。
ファーストシーズンでは結婚が決まっていたパハップス警部を演じるヤマモト。今回は離婚が決まったらしい。
署長役のアサヒナは大麻で捕まって降板なのだとか。女性刑事を演じるアイドルのササキが不用意に発言。
アブさんを演じるコウドウはセクハラまがいの演技が嫌われたのか、いなくなっている。
ヨネを演じるイシハタはお笑い芸人として、空気を盛り上げようと必死。
だいたい殺され役のニシオカ。劇団に所属しているらしく、目立とうと前へ前へ出ようとするが、そのたびに分をわきまえろとコレツネにきつく諫められている。
その家政婦役のコレツネは、私生活をそのまま役にしているらしく、何をしても悲惨な状況みたい。
大好きなプロテインを演じるカクは、生で見てもやはり素敵。
アンドウが大ファンらしいですよなんて暴露する女優のカタヤマ。婦警姿。この人はケーキ屋のバイト、アシスタントなどのチョイ役だったはずだが、すっかり定ポジションにおさまっている。やたら、ヤマモトとの距離が近い。
何か皆バラバラであまり盛り上がらない。
ファーストシーズンの具体的な話になるが、話題に挙がるのは、ちょうど観ていない4話や、7話以降ばかり。
7話は北海道ロケで、カタヤマが婦警役として登場したらしい。ヤマモトとのちょっとした恋愛シーンもあったのだとか。女を使って、役を得たということか。女優なら、こんなことも必要なのだろう。
結局、観ていないことがバレて、ヤマモト激怒。
最悪の結果に終わった。ただ、番組にとってはいい宣伝になったはず。
落ち込んで家に帰ったら、また彼氏から電話。もう空気を読んで欲しい。冷却期間を置きましょう。別れ話を切り出す。
そんな態度を取ったのには理由がある。
あのプロテインのカクから、電話番号を内緒で手渡されていたのだ。
早速、かけてみる。
カクと話が盛り上がる。もちろん、あの後、きちんと観た7話以降の話で。
9話はプロテイン、銃で撃たれる。倒れるプロテインに女性刑事が寄り添い、泣き叫ぶ。その後ろで女性刑事に抱き付こうとしているアブさん。その犯人はヨネさんが疑われている。署長はちょっと登場するが呂律が回っていないので、何を言っているのか分からない。
最終話。セクキャバが舞台。無理した姿の家政婦がもう辞めたいとママに願い出ている。ママ撃たれる。やっぱり、ママはいつもの役者。
アブさんが登場して、パハップスが犯人であると言及。
銃を構え、アブさんに向けるパハップス。
チュッパチャップスがキーワードだった。入れ歯を鳴らすチュッという音。その後に続くパチャップス。パハップス。
パハップスは最近、女と別れた。その女とよく似た人を殺し続けていた。
パハップスの銃が鳴る。倒れるアブさん。いつも通りにと言いながら現れるヨネ。涙するパハップス。
何やらよく分からないが、これで終わり。よく続編をする気になったものだ。
アンドウは、食事にカクを誘う。
カクもOKの返事。
でも、アンドウが女子アナを辞めるかもしれないことを話すと急に距離を置いた会話になって、電話が切られた。電話口で若いアイドルのような声が聞こえたような。
インターホンが鳴る。
こんな時間に。アンドウが玄関を開けるとそこには彼氏が。
翌日、ニュースでは、恋愛トラブルから男を殺害した女子アナの事件が報道される・・・
最後はブラックなオチなのかな。
何かを得ようと色々とあざとく策略を練ったり、我慢したりしている人がいる中で、女子アナは自己欲を満たすために、特に何もせずにただ、甘えていたみたいな感じだから。
婦警のカタヤマ、女性刑事のササキなどの同じ女性と比較すると、何となくそんな感じ。
それが大麻に逃げたり、セクハラというしょぼいことして欲を満たし、テレビから、舞台から消えていったアサヒナやコンドウと同調して見てしまいます。
可哀想なのは、劇団のニシオカや、不幸の中で懸命に生活する家政婦のコレツネ。頑張れば、道が切り開けるもんでもないという厳しさが滲みます。
まあ、そんなこと関係なしに、たっぷり笑える面白い作品でした。
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