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2015年10月 3日 (土)

ガールズ、スロー!ピロー!【こみかさ×ハナさく*ラボ】151003

2015年10月03日 紫明会館 3F講堂 (80分)

惹き込み方が非常に上手い。
4人の27歳になった小学校の時の同級生。
彼女たちの悩める今と、仲良しグループだった頃の記憶を先生という大人を交えながら回想していき、揺れ動く心情を同調させていく。
そこには、一人が怖いから群れをなしていた迷える自分がいた。でも、今だって迷っている。
かつての先生の言葉が、時を超えて、今、また響く。
孤独を恐れて出来た群れは、今、友情で結ばれた大切な場所となっている。そんな場所を得ている自分たち。彼女たちは、不安を恐れずに、明日に向かっての一歩を確実に踏み出していく。

冷静沈着な空気の中、周囲への気配りを見せる賢い子。
せかせかと落ち着きない、自由奔放な子。
ちょっとズレてる変わり者。
斜に構えたような客観的な視点で物事を見てしまう優等生。
常に前を向き、自分の夢へと向かって邁進する潔い覚悟を見せる先生。
登場人物のバランスの良さが、軽快な会話を作り出し、楽しく面白い時間を実現している。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

小学校の同窓会。
旧校舎の講堂に27歳になった4人の同級生が集まる。
さいちゃんは、本好きで本屋に勤める。寝るのも好きなのか、羊の枕をいつも持参。最近、仕事を変えたいと思っているみたい。
まーこは、Facebookにはまっている。早速、同窓会の模様を写メしてアップ。おじさんファンは多いらしく、すぐにコメント。海外からの怪しいメッセージも入っている。結婚願望は強いが、まずは彼氏を作るところからといった状況みたい。
ゆーゆーは、ちょっと人と色々なところがズレている変わり者。結婚して、専業主婦。子供が出来るかもと、働かなかったら、そのままズルズルと。働きたいし、子供も欲しいし。どっちつかずの現況に悩んでいる。
かおりんは、キャリアウーマンとして活躍。昔から優等生で、中学はみんなと別々。クイズとかも得意でいつも一緒だった4人組のブレーンだった。

今回はタイムカプセルを開けるというイベントで集まった。
さいちゃんはスコップ、ゆーゆーは新幹線で来たのに大きなシャベルという張り切りよう。
でも、昔のことなので忘れてしまったのか、そんなものは必要ない。今時のタイムカプセルは、保管会社から郵送で届くようで、まーこの手元に既にある。卒業証書の筒のようなものに、手紙を入れているみたい。
思い出話に花を咲かせ、盛り上がったところでみんなで開けようと言っているのに、ゆーゆーがうっかりと開けてしまう。中には一通しか手紙が入っていない。
桜の木を掘れ。

こんなの宝探しみたい。
そう、宝探しといえば修学旅行だ。
修学旅行の最終日、宝探しがあった。色々なクイズをクリアして、推理を効かせてお宝を見つける。でも、4人組は全く活躍できなかった。
その理由は、前日の出来事にある。
夜、枕投げではしゃいでいた。それを原先生に見つかり、学年主任のオガタ先生に報告すると言われた。
オガタ先生は怒るととても怖い。4人は叱られることを恐れて力を発揮できなかった。かおりんは班長だったこともあるのか、相当、凹んでいてクイズも全然答えられなかったようだ。
かおりんにとって、苦い思い出となっているのは、その後、原先生が学校を辞めたから。
オガタ先生から、生徒の監督不行き届きだと責められ、原先生はクビになったと聞いた。中学の推薦入学のこともあり、かおりんは何も言うことはできず、罪悪感だけが残る。今なら分かる。都合のいい人に責任を被せるという大人のやり方を。

まーこがこれは原先生の復讐なのではないかと言い出す。
桜の木の下を掘ったらそこには自殺した原先生の死体が。
さいちゃんはそれを否定する。自分は原先生から直接、辞める理由を聞いたのだと。
原先生は英語の先生。小学校では教える機会が少ない。もっと英語を使える仕事をするために辞めるのだと。
みんなは一安心。
それでも、まーこは思い込んだら、残酷な想像が頭から離れないらしく、講堂にかおりんと残ることに。

さいちゃんとゆーゆーの掘り組が戻って来る。
今度は小さな瓶。
中身はまた手紙。英語の授業で見た映画に出てきた花の花壇を探せ。
それはきっと美女と野獣のバラだ。
ゆーゆーは思い出す。自分も原先生から辞める理由を聞いたと。赤ちゃんが出来たから。
まーこはずっと日記をつけている。校舎の花壇配置は花の水やり係になった時に書いているはず。それを調べている中、自分も原先生から辞める理由を聞いていたことが分かる。結婚するから。
みんな、別々の理由だけど、子供ながら嘘をついているような顔ではなく、これからに希望を抱いた幸せそうだったことを覚えている。
かおりんは、原先生から直接は聞いていないみたい。

花壇を探しに行く。
かおりんだけ残る。仕事の電話。オガタ先生。
個性を活かした教育改革なんてことを唱える、今やだいぶ偉くなったオガタ先生の特集記事。
口先だけ。言うことをきく優等生を自分の周りに集めて、地位を固める。
時には嘘だってつく。自分の時のように。原先生への罪悪感を植え付け、オガタ先生に従わないといけないような状況に追い込まれた。あの頃はそれを飲み込むしかできなかった。
さいちゃんが戻って来る。
かおりんは何となく戻って来るような気がしていた。自分がもう帰ろうとしていると思われているのではないかと感じていたから。
かおりんは、聖書の羊飼いの話をする。100匹の羊。1匹がいなくなり、その羊のために残りの99匹を残して、懸命に探したという話。
彷徨う者を救う。原先生はそんな羊飼いのような人だった。
あの頃、私も彷徨っていた。
一人は怖い。だから、みんなと一緒にいた。それは単なる仲良しグループで友情とかではない。一人でいるのが辛いから、群れを求めていた。楽しくなんてなかったと。
さいちゃんは、かおりんの言葉を否定せずに聞いている。

みんなが戻って来る。
花壇からタイムカプセルが出てきたみたいだ。
かおりんは、みんなの前で、もう帰ることを伝える。
さいちゃんに言った言葉を繰り返し、もうみんなとも会わないと。一緒にいてくれた、仲間に入れてくれて一人にならないですんだことへの感謝を残して。
出て行こうとするかおりん。
タイムカプセルをさいちゃんが開ける。
最後の指令。講堂のどこかにあるタイムカプセルを探せ。

各々、散らばって探し始めるみんなにかおりんが声をあげる。
やみくもに探しても見つからない。
かおりんは推理する。
この指令の手紙は誰かによって仕組まれたもの。その犯人はこの中にいる。
今日、講堂に集まることを知り、かつ、数々の指令をこなすために掘り起こす道具を用意している者。それもわざと知らないふりをして。
かおりんはさいちゃんを見る。
さいちゃんは本当のタイムカプセルを取り出す。

さいちゃんは修学旅行の宝探しのことをよく覚えていた。
前日に枕投げをしようと言い出したのは自分。
中学でお別れになるかおりんと色々な思い出を作りたかった。
でも、そのせいで、宝探しがダメになった。もう一度、宝探しをやり直したい。
その悔いから企てた計画だったらしい。
ごめんなさいと謝るさいちゃんに、かおりんはありがとうの言葉を返す。

かおりんが思い出す。
自分も原先生から辞める理由を聞いていた。
ニュージーランドへ行く。もっと今を楽しみなさいと言われた。
想いを分かち合った二人の写真をまーこが撮り、ネットにアップしようとすると、さっきの海外からのメールがニュージーランドからであることに気付く。
動画が添付されている。
再生すると、それは原先生からだった。
ニュージーランドで羊たちと一緒に、家族で暮らしている。仕事は、そこで子供たちを教えているのだとか。
全部、嘘じゃなかった。
きっと、原先生は、各々に向けた言葉で辞める理由を語り、去っていったのだろう。それだけ、一人一人を見詰めてくれていた。
気付けば、あの時の言葉が、全部、今27歳になった自分たちに向けられているものでもあることが分かる。
先生は当時、27歳。今の私たちと同じ歳。同じようにこれからどうしたらいいのかと悩み、迷っていたのだろう。
時を超えて、あの時の先生の言葉が響く。今、また相談しても、今を楽しみなさいとしか言わないだろうけど。
やっぱり先生は羊飼いだった。私たち迷える子羊たちを懸命に助けようとしてくれて、自分の群れへと連れ戻してくれる。
タイムカプセル。
次回でいいのではないか。また、会いたい。
4人は、これからに迷いながらも、明日に向けて、仲間たちと共に27歳のスタートをきる・・・

今、迷い悩んでいる若い女性たちの明日を見出すまでの時間を描く。
小学校の頃の仲良しグループ。確かに、そんな頃からアウトローでなんているのも大変で、どこかのグループの群れに所属することは、けっこう大事な現実。一人になるのが怖いからという迷える羊という表現はぴったりかもしれない。
その時は、友情とかではなく、ただ一緒にいたというだけの存在だったのかもしれない。でも、そんな存在がもう一人になっても迷ってはいけない大人になった時、大切な場所であることにも気付くのかと思う。
あの時の先生も同じように迷える羊から脱却しないといけない時期だったのかもしれない。その時、群れから飛び出す勇気、一人で生きていく覚悟を与えてくれるものは、自分が幸せに楽しく時間を過ごすことで自分が望む道へと進むことが大事なのだと教えると同時に自分にも言い聞かせていたように感じる。

先生が各々に投げ掛けた言葉は、小学校の頃の彼女たちには、迷ってしまい群れに戻してもらう羊飼いのものだったのだろう。
今、27歳の彼女たちには、それは群れから離れることを恐れず、自分の楽しいと思う信じる道へと一人で進んでみなさいという言葉でもあったことに気付かされているように思う。それは、きっと、もう彼女たちには、いくら迷っても、戻って来れる大切な場所が、あれからの長い時から創り上げられているから。単なる群れは、今、彼女たちの友情で結ばれる大切な場所へと変わっているはずである。
あの頃、群れから離れて彷徨ってしまった1匹の羊。それを先生という羊飼いが救いの手を差し伸べてくれた。でも、同時に、残りの99匹が我関せずだったわけではない。さいちゃんがかおりんのことをずっと想い続けていたように、99匹の羊の中には、その1匹を案じ、このまま群れから離れてさよならになっても、また一緒に同じ時間を過ごす時が来て欲しいと願っていてくれていたのだろうから。
その想いが、時を経て、友情へと刻まれる。
そんな想い合う女性たちの素敵な姿と、これからをそんな友達に見守られながら勇敢に進む凛とした覚悟ある姿が最後に映る。

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コメント

SAISEI様

こみかささん好きですよね。旗揚げから全部行ったはるのでは?

私も一度行きたいのですが…

投稿: KAISEI | 2015年10月17日 (土) 23時28分

>KAISEIさん

ご出演のみずきりまさんから、何かの公演でコメントいただいて以来、知り合いになって。
旗揚げするとのことで観に行くようにしています。
今回は、日程厳しく辞めとこうかとも思いましたが、頑張っているようなので。
今回は脚本が良かったかな。非常によく練られているように思います。

投稿: SAISEI | 2015年10月19日 (月) 18時15分

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