FIVE STAR SPLASH【W.Strudel×壱劇屋】151005
2015年10月05日 ABCホール (175分)
正直、長過ぎるわ。
観終えて、その感想しか出てこない。
色々と盛り込むのはサービスたっぷりでありがたい話ですが、疲れやもういいよ、そろそろ終わろうよみたいな気持ちが最後の方は強くなり、せっかくの感動シーンもあまり心揺れ動かず。
もっとスパッとしたって、十分魅力的な方々が揃っているのだから、その方が心に残るいい作品になると思うんだけど。もったいないなという印象が残ります。
ドタバタエンタメで楽しいし、話もちょっと切ない愛を含めながらサクサクと進む。
途中の遊び部分もけっこう面白い。
メリハリが無いわけではないが、緊張と緩和だったら、かなりのウェイトで緩和の方に傾倒した展開。
これで2時間越えは厳しい。
迫力ある殺陣やら、シリアスな展開のシーンでもっと緊迫感を煽るような形でも良かったように感じます。舞台で遊べる芸達者な役者さんが多かったのかな。
まあ、この緩さをのんびりとただ楽しめばいい作品なのかもしれませんがね。
金貸しのがめつい女主人、金金金の下に一人の女性、雫が訪ねてくる。
私を、いや日本を救って欲しいという何やら規模のでかい依頼。それだけに報酬もかなりのもの。
ジーザス製薬という会社から、ヘブンズドライブという薬を手に入れればいいようだ。
雫は、最強の男、ドラゴンナリタの力が必要だと言うが、あいにくどこか旅に出てしまっている模様。
おバカなイエスタディ、イケメンのジキル、刀フェチのSANADAを呼び出し、まずはナリタ探しから始める。しかし、その間に、雫が何者かにさらわれてしまった。
蒼はフリーマンソンJrという組織を訪ねて、ある依頼をしている。
あまりオーラが無いボス、エンペラー西郷、腕の立つハデスとケルベロス、知的な美女パンドラ。
依頼内容は雫と同じく、ジーザス製薬からヘブンズドライブを。
ジーザス製薬では、いまひとつ頼りなさそうな社長プレジデントチュータ、滲むセクシーを押し殺した有能な秘書ローズ、狂気的な研究者ドクターテルミー、着物美人の社長の妻エリザベス大納言が話し中。
ヘブンズドライブは国から依頼された新薬で莫大な金が動いているみたい。
鎮痛剤として開発されたヘブンズドライブだが、若返りなどの効果効能が凄いみたいだ。ただ、臨床研究では100人中98人が死んでいる。蒼と雫はその生き残りらしい。この薬を飲み続けないと、他の人たちのように死んでしまうのだろう。
プレジデントチュータは会社の利益に執着、ドクターテルミーは自分の研究に取り憑かれている。ローズは何やら怪しい動きを見せる。エリザベス大納言は、この会社のこれからを憂いている。
ドラゴンナリタが見つかったものの、雫がさらわれてしまった金金金の下に、天下一の泥棒と言い張るジャック・Dが現れる。
ジーザス製薬のセキュリティーは軍事施設なみ。
潜入は簡単ではない。
しかし、そこにローズという女が現れ、その情報を多額で売りつけてくる。
ドラゴンナリタ一行はその情報を買い取り、ジーザス製薬に潜入。
一方、ローズはフリーマンソンJrのところにも現れ、同じように情報を売る。
かくして、二つのライバルグループが、ジーザス製薬に潜入することになり、鉢合わせをすることになる。
色々あって、ドラゴンナリタは雫を救出。
ジャック・Dは薬も入手。解析のために、異常者、ドクターポイズンの下を訪ねる。
ドクターポイズンが、実験動物の♂悟空と一緒に悪ふざけばかりするので、なかなか時間がかかったが、ようやく解析終了。バイアグラだった。つまりは偽物を掴まされたということだ。
一方、フリーマンソンJrの面々は、蒼に騙されていたことを知る。エンペラー西郷を人質にとられ、更なる研究のためにドクターポイズンを連れて来るように脅される。
蒼はとにかく、ヘブンズドライブが手に入ればそれでいいらしく、社長に迎合したようだ。そうすれば、雫と二人だけでずっと生きることが出来る。アダムとイブのように。
しかし、ドクターテルミーはそれに反意を抱く。それは、ドクターテルミーが薬を開発したのは、会社のためでも、国ためでもなく、好意を寄せる雫を自分の手の内に置いておきたかったから。邪魔な蒼は監禁される。
ドラゴンナリタ一行とフリーマンソンJrは、ジーザス製薬に共に騙されていた悔しさから、共同戦線を張ることに。
そこにローズがさらに新情報を入手してきて、準備は万端。
さらには、今は刑務所に収監されているXと呼ばれる、イエスタディとジキルの凄腕のボスを招聘。共に世界一だと言い張るドラゴンナリタとの相性は最悪だが、再度、潜入を開始する。
と言っても、正面突破は難しい。
ローズの手引きで、ジャック・Dがメイドに変装して社長と接触。あえなくばれて、社内は緊急配備状態に。
もはや作戦などなく、めちゃくちゃな状態となる。
そんな中、蒼と雫が再会。
ヘブンズドライブを二人で飲み続けて一緒にいようと言う蒼を雫は拒絶する。
そんなのは本当の蒼ではない。
そして、ドクターテルミーは、雫への想いから、蒼を射殺。
やって来たXとドラゴンナリタに取り押さえられる。
好きだという気持ちを、ほんの少しの勇気でいいから言えばよかった。薬などに頼らずに。
そんな中、ドクターポイズンは全てを無にしようと、♂悟空を巨大化させて、会社ごと潰そうとする。
時間が無い。Xは全員を避難させる。
雫はその場を離れない。蒼と一緒に。
Xは二人の手を握らせ、あの世で一緒にと雫を撃ち抜く。
会社は崩壊し、全てが終わり。
社長の妻が現れ、感謝の意を示す。
ヘブンズドライブは国から依頼されて開発した薬。それは人口を減らすための目的で作られた。
選ばれた人間だけを生き残らせるために。
でも、これでそんなバカげたことは全て無に帰した。
社長の妻と秘書のローズは会見を開き、これまでの過ちを詫び、会社再生を誓う。
でも、これだけのプロジェクト。国からの圧力がこれからあるだろう。
果たして、社長の妻とローズだけでやっていけるだろうか。
きっと大丈夫。困った時は、また、あの人たちを呼べばいい・・・
ボリュームたっぷり。
人の生死を神のように扱えてしまう薬に翻弄された人たち。
そこにある利権や狂気、そして愛。
そんな薬に頼らず、神から与えられた生の限られた時間なのだから、自分の想いを素直に勇気をもって伝えれば良かったのに。
ドラゴンナリタをはじめ、自分にバカみたいに忠実に楽しく生きようとしている人たちみたいに。
楽しさの中に、そんな切ない人の心の弱さが生み出した悲しさもほんの少しだけ感じる作品。
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コメント
SAISEI様
最初の方の感想ほぼ同じ(笑)2時間45分とツイッターなどにあったのでそれなりに覚悟していきましたがまさかの3時間超えとは。長すぎたので最後のいい台詞もそこまで響きませんでしたね(笑)
特に退屈もせずあの時間を持たせたのは流石ですが(笑)
W. strudelは過去こんな感じの公演がなかったので壱劇屋の影響が強かったのかな? ブラック★タイツの公演に近い感じになっちゃいました。
流石に最後はお尻が痛かった(笑)隣の大学生かなあ、もずっとペロペロキャンディーを嘗めてたり前の座席の上の方に靴裏をつけたり座席に三角座りっぽく座って靴を座席に載せたり独り言が多かったり(笑)
お次はW. strudelだけも観てみてください。まだ無いですよね?
投稿: KAISEI | 2015年10月 6日 (火) 01時59分
>KAISEIさん
完全に壱劇屋色の作品でしたね。
お得意のドラゴンナリタシリーズの作品で、けっこうパターン化されており、私にとっては馴染みの話でした。
W. strudelはまだ観たことないですが、感じとしてはもっと深みのあるかっこいい作品を創られるのかなと思っています。
今回は、そのバランスがやや壱劇屋よりだったのが、緊張と緩和のバランスにそのまま出ているのではないでしょうか。
まあ、確かに退屈させない力は大したものです。
投稿: SAISEI | 2015年10月 6日 (火) 14時38分
SAISEI様
どうなんでしょうね。私はW. strudelは第2回公演の『サイボーグパパ』のチラシで目に留まり第3回公演が全編手話で演じられた武部優さんとその設定がめちゃ好きでしたが第4回公演『薫風』(第1回公演再演)はまあ普通でしたね。
イメージとして観劇をよくされてる方からの評価が悪いイメージがありますが(笑)
今回は内村氏も甲斐氏も格好良く演技は良かったと思います。
武部さんもまあ(笑)というか『ルパン三世』の峰不二子の役回りですわな(笑)
大熊さんはサービス精神旺盛なのでやり過ぎると時間が押すんですよね。
でも最近イロモノ多い感じが(笑)
投稿: KAISEI | 2015年10月 8日 (木) 17時45分