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2015年10月19日 (月)

愛染学園戦争決戦編!! ~戦場のgraduation~【劇的細胞分裂人間 和田謙二】151018

2015年10月18日 スペース・イサン (105分)

(前編の感想:http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/70-f77d.html

緩く観るつもりが熱演に感動。
ベタベタの学園モノの王道。ここまでやり抜けば、感動に値します。
戦いの中で敵、仲間と触れ合い、悩み苦しみの中で、自分自身を肉体的にも精神的にも成長させていく主人公。誰のものでも無い、自らの正義を貫き、そのために努力をして、必死に悪と戦い勝利を得る。
少年ジャンプの友情・努力・勝利の世界でしょうか。
本当の人の強さとは。
中高時代に、漫画を読みながら心震わせていた頃の感動が、40半ばのおじさんの心にもう一度舞い降りてきてくれたような時間を過ごせました。

愛染学園。
各運動部が覇権を争い、戦いを繰り広げる荒廃した高校。
剣道部主将、番堂仁は、学園の平和を取り戻すべく、立ち上がった。
しかし、学園を裏で仕切る風紀委員長、葉月と手を組んだ副主将、薬師寺の陰謀により、先の戦いで死亡。
その後、ずっとライバル視していた仁を死に追いやったことで、目的を失ったのか、薬師寺は海外留学。
再び、学園は荒れ始める。
剣道部は、主将戦で仁に敗れ、主将となれなかった葵がここぞとばかりに戻ってきて、薬師寺の忠臣だった加茂と中島を率いて、剣道部による学園統一を図る。
葉月は、バトミントン部だったゼンとレイを、華道部、書道部に転部させ、より個性を持たせたバージョンアップをして剣道部と手を組む。
生徒会長、一条は、先の戦いで仁の死にショックを受け、心身ともに疲弊した仁に想いを寄せていた剣道部員、春をかくまう。そして、仁の妹の直子と共に、仁が目指していた平和な学園を取り戻そうと、風紀委員長と剣道部に対抗する姿勢を見せる。

直子は先の戦いで信頼を寄せる卓球部員、和美を利用して、まずは加茂をおびき寄せて、亡き者とする。
次は中島。これで、剣道部の力を抑え込める。
しかし、葵はこの作戦を読み、おびき寄せた先にゼンとレイを待機させる。
不利になって殺されそうになる直子。そこに野球部の小金井が現れる。救世主かと思いきや、個人的な直子への歪んだ恋愛感情から直子を奪い取りに来ただけだった。
結局、三すくみ状態になり、この場は解散。ゼンとレイだけでなく、小金井にまで攻撃を受けた直子はその場に倒れる。何も出来なかった和美は、生徒会長の下に直子を運ぶ。

目を覚ました直子は、もう戦いを辞めると言う。
和美は役に立たない、一条だって自身の手は汚さず、自分をコマにしているだけ。兄の遺志を受け継ぐほど、自分は強くない。本当はただの女子高生でいたかった。
逃げ出す直子は春と出会う。
逃げてはいけない。八つ当たりをして、自分を正当化しているだけ。共に戦うつもり。皆もそう思っている。一緒に辛さを分かち合い戦おう。そんな春の言葉に、直子は兄の代わりではなく、自分自身の想いを貫くために、道を切り開く決心をする。
一条は何も考えていなかった訳ではない。傘を武器にして戦う五三桐という男を味方に用意していた。

決着をつける。回りくどいことは嫌いだ。正面突破。
待ち構える葵。五三桐がここは引き受け、直子には風紀委員と戦うように仕向ける。この戦いは兄の仇討ちではない。兄の願った学園の平和を直子の手で実現するための戦い。敵は風紀委員がふさわしい。そんな五三桐の配慮。五三桐の力は本物だった。葵は破れる。
小金井が再び現れる。直子の酷い言葉に傷つき姿を消していた和美が戻って来る。私も戦う。卓球部の誇りをかけて、そして、自分も愛する直子のために。和美の必死の戦いに、小金井は本当の愛を知る。心打たれた小金井は去っていく。
中島の下には一条が向かう。中島は一条が生徒たちを洗脳して学園を制圧しようとしている情報を掴んでいる。口封じのためにも、一条は中島を亡き者に。

直子は春と共に、ゼンとレイと対決。勝利を収め、葉月の下へ。
メイクもバッチリして待ち構える葉月。得意の銃攻撃も、直子の竹刀で叩き斬られる。
偉大な兄に囚われていた直子。その呪縛から解放され、本当の自分自身として戦う直子は強かった。
悪の道義。正義にやられること。その言葉どおり、今や学園のヒーローとなった直子に悪の葉月は破れる。

直子は戦いで傷つき入院。学園の様子を和美がメールしている。
学園には平和が訪れたようだ。
風紀委員の連中は生徒会が完全監視。
和美は卓球部として頑張っている。剣道部は春を中心に再結成をして、これからの発展を目指す。
小金井は直子に執心し過ぎて、野球の方がおろそかになっていて、大切な大会をすっぽかしたらしく、退部してしまったみたいだが。
今日は卒業式。
一条は卒業して、理事長になる予定。何か怪しげな空気はまだ残るが、少なくとも仁が描いた学園の姿の始まりとはなったのだろう。
そんな学園の姿を、久しぶりに戻って来て、皆から歓迎を受ける直子が見詰める・・・

前編同じく、引き継がれたキャラたちの個性的な魅力はそのまま健在。
番堂仁の妹の直子を演じる立川潤さんの熱演が特に光る。
この内に秘めた凛と熱く燃えあがる炎を見せる直子はじめシリアスさを見せる群と、他のおちゃらけた笑いを挟むキャラたちのバランスが崩れると、一本筋の王道の話だけに、魅力が薄れるんだろうなと最初は観ていました。そして、失礼ながら、正直、ここはそうなると思っていました。
ところが・・・
後半に行くにつれて、程よく笑わせてもらいながらも、その熱さは増す一方。話もどんどん盛り上がりを見せる。
心情の蓄積でしょうか。舞台も話も盛り上がり、自分の心も最大まで盛り上がった中での最後の決戦。
直子と、風紀委員長を演じる羽田兎桃さん(兎桃企画)の戦いシーンは、心震える最高の姿でした。
こんなことを書くと大御所に失礼なのかもしれませんが、ZTONやNOLCASOLCAのような卓越した殺陣よりも、大きな感動を私の中では生み出していたように思います。
心情が蓄積して、最後まで高まり続けさせた脚本と演出は見事。それを実現する、役者さんの個の力と、統率された集団の力の大きさを感じさせる名作に仕上がっているように思います。
迷わず、前編DVD購入。今回の作品も予約。

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コメント

SAISEI様

ベタ誉めですね(笑)

しかし直前に中心的な役者さんが出れなくなって脚本も変えはったのかな? それを感じさせない公演だったんですね。

私の方は一昨日はよろずやポーキーズ『ライブラリアン~海賊司書~』とヒノカサの虜『トウヒコウ』、昨日は四方香菜プロデュース『ガウデンテ~私が守りたかったメロディー~』を観てきました。

完全に被りませんでしたね(笑)

よろずやポーキーズは舞台美術がすばらしかったですが肝心の中身は最後の方の盛り上がりは流石と思わせたものの少し期待ハズレだったかな(笑)2時間15分。

ヒノカサの虜は全く合わず。2時間半ただ疲れただけの公演になりました(苦笑)途中から観る気をなくしましたから(苦笑)

四方香菜プロデュースはトータル2時間30分(途中10分休憩含む)で5分遅れで始まり後に仕事が入っていたため最後を観れず。音楽劇でした。

投稿: KAISEI | 2015年10月19日 (月) 12時53分

>KAISEIさん

ここは、けっこう厳しめの感想が多いところなんですけどね。
今回は非常にバランスよく、笑いと熱さが融合した、本当に漫画のような興奮する作品だったので。
皆でどうにかしようと頑張ったのではないでしょうかね。
いいチームワークを感じました。

投稿: SAISEI | 2015年10月19日 (月) 18時18分

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