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2015年9月21日 (月)

夜と星と風の物語【Contondo】150920

2015年09月20日 SPACE9 (85分)

星の王子さまをベースにした作品みたい。
と言っても、別役実作品なので、不条理で難解。
時空を越えて、無数に存在する多次元の人たちが、ある星降る夜に集い、交錯する中で、その多次元を包み込む宇宙が人の愛によって存在していることを思わせるような話かな。
思い出すことで、繋がれる人と人の心。この愛の力が、宇宙を回している。
小さな舞台が最後、壮大な宇宙へと拡がり、そこにある人の優しく力強い想う心が星のように輝いている、安らぎの空間を生み出していたように感じます。

ある星の降る夜の出来事。

パイロットである男は愛する女と、ちょっとケンカをして、ハンドバックで叩かれて、カサブランカを飛び立った。アフリカ航路を使い、サハラ砂漠上空を通り、ダカールへ向かう。両親はサハラ砂漠で亡くなった。どこかに二人の墓があるのかもとか思いながらいつも飛んでいるみたいだ。
カサブランカのマリエンヌから、ダカールのピエールに宛てた、恐らくは愛を綴っているのであろう手紙を届けないといけない。
その途中、アルディールで飛行機は墜落。
飛行機はもう動かない。砂漠のキャラバンの隊長がダカールに向かうのだとか。手紙をその人に託す。
広大な砂漠で、宇宙の星から花嫁を探しにやって来た王子様と出会う。
まだ、見つからないのだが、数日後に、この地球の真上に王子様の星が重なる時に、毒蛇に噛まれて、星へ戻るつもりだ。
星には、この地球にやって来る前に、お茶会をしてケンカになってしまった、バラの花がいるらしい。自分の帰りを待っているのだろうか。王子様が思い出すと、そこにバラの花は現れる。勝手に思い出さないでと冷たく言われてしまうが。
王子様は、以前にもこの地球に来たことがある。その時、持ち帰ったバラの種。それが、今のバラだ。
だったら、あなたの花嫁はきっと、そのバラの花ではないかとパイロットは言う。
今、そのバラの花は、星で同じように蛇に噛まれようとしているらしい。そんなことをしたら、その真上の星に行ってしまい、会えなくなる。
とにかく、王子様はバラの花に、あなたが自分の花嫁であることを伝えないといけない。

女は、ケンカして送り出してしまったパイロットの男を追って、サハラ砂漠のアルディールに向かおうとしている。そこに飛行機が墜落したのだとか。
線路が無い駅の駅長に事情を話すと、墜落した飛行機は、すぐそこにあると言う。でも、自分が探しているのは違う。
早く男を探して、怪我をしているなら手当をしてあげないと。
こんなことになるとは思わず、飛行機の目的地であるダカールに、男宛ての手紙を送っている。そこには、ケンカになってしまってごめんなさいという言葉が綴られている。

夫婦は、息子がパイロットである飛行機がサハラ砂漠に墜落した夢を妻が見て、心配になって駅にやって来た。飛行機が墜落する前に、クッションで少しでも衝撃を柔らげてあげたいのだとか。
駅長は、墜落した飛行機は、すぐそこにあると言う。まだ墜落していないはず。でも、息子を探している間に墜落したのか。話を聞けば、女の探すパイロットが息子のようだが、女のことは知らない。女もパイロットは孤児だと言っている。
夫婦が初めて出会ったのは、この砂漠だったか。ケンカして飛び立った夫を妻が探しに砂漠に来たのだったか。いや、行方不明になった息子を探して、結局見つからず、砂漠で死んでしまったのだろうか。

こんな人たちが砂漠で出会う。
普通なら、恋人同士、親子の感動の再会ですよね。
もちろん、別役実作品だから、そんなことにはならず、みんな同じ出来事を共有しているのに、互いを認識し合えないという不可思議な状態になります。
開始40分。
別役作品の不条理に好きなだけ打ちのめされ、襲ってくる眠気に、これはもう無理だなと半ば諦めていた頃に、天文学者が現れて、状況を説明してくれる。
これで、漠然とこの作品の世界が分かり、後半に繋がりました。

これは星たちの物語。
次元が異なるのか、宇宙が異なるのか。
この宇宙には、無数のピエールやマリエンヌ、両親がいるようです。
そんな多次元構造の世界を交錯して描かれる星たちが集う宇宙の話のようになっているみたい。
舞台は対面舞台。
椅子と、それを取り囲む幾つかのブロックやタイル。
それがいつの間にか、気付くと∞の形になっている。
無限大、メビウス、ループ。
交わるはずもない世界が、この星降る夜になぜか交差して、時間が流れ始めてしまったような感覚でしょうか。

個々が個別に出来事を認識しているだけでは、関係が繋がらないようです。これが別次元の人たちのような形で表現されているように感じます。単純にいくら共に過ごしていても分かち合えないといったような関係。
出来事を共通の思い出として、きっと心の繋がりのようなものだと思いますが、そんな繋がりで、人と人が繋がらないと関係は生まれません。ただ、星たちが瞬いているのではなく、その星たちは大きな宇宙の中で共に壮大な時間を輝き合って過ごしてきた存在であるように。
この作品で、繋がりを担うものはきっと手紙でしょう。
手紙を取り戻し、元の時間に巻き戻る。ただ、手紙はラクダに食べられてしまって、形無き物となりますが、それでも、そこにあった人の想いは残っているようです。
こうして、星の王子様は自分の星に戻り、この砂漠も全ては無だったかのようになります。

静寂が死の匂いを漂わせます。
もしかしたら、みんな死んでしまっていたのかもしれません。
ピエールは墜落して、マリエンヌはピエールを探して。
違う世界でも、夫婦となった二人は、息子を探して。
宇宙は愛の法則で成立しているそうです。
マリエンヌや両親はピエールを探します。彼への深い想いを愛にして。
そんな人の想い、愛が時間と空間を繋げた、一時の優しい夢だったかのような感覚が残ります。

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