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2015年9月26日 (土)

いいなずけ陰陽師【かのうとおっさん】150925

2015年09月25日 HEP HALL (120分+アフターイベント10分)

面白かったとしか書けない作品は、ブログ書きにはなかなか困ったものだ。
とっても、非常に、凄く、やたら、めちゃくちゃ・・・
接頭辞を付けるぐらいしか出来ない。
たっぷりの笑いの面白さと一緒に、今回はちょっと自分探しや、家族愛の要素も組み込まれていて、少し感動して泣けるところもちらほら。

才能や環境の問題から、自分の生きる道に悩む女子高生。でも、そんなことは実は大人でもみんな同じ。悩み苦しみ、今を自分なりに頑張って生きている。
そして、辛くなったら、誰かに救いを求める。恋人や友達、家族に。
悩み過ぎて頭がいっぱいになっていると、ついつい自暴自棄になって忘れてしまっていることがあるけど、自分にはそんな愛してくれて、想ってくれている人が必ずいるんだよといった心和らぐ安堵と、だから思いっきり自分の思う道を進んでみようかなという自信や勇気が沸いてくるような話でしょうか。そんな話を、あらゆる笑いで覆ってしまったような作品だと思います。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

60年前の、しののぎやまでの妖魔との戦い。
多数の山陰、九州の陰陽師たちが命を落とした。
その時以来、陰陽師は、時代も変わり、衰退の道へと進み始める。
その戦いの生き残りである、実力者、安倍綾、90歳。この安倍家の分家の主として、陰陽道を見守っている。
綾の弟のギザ一郎もその戦いの生き残り。と言っても、あまり力は無く、その戦いでも、妖魔に取り囲まれ、恐怖のあまりおもらししたくらい。もっとも、そのことが功を奏して、綺麗好きな妖魔を追い払ったのだが。今は衰退する安倍家を建て直すために、跡継ぎを育てるべき、奔走する日々。
長男の朝成。陰陽師としての才能が無いのか、42歳にもなって、ネット依存の無職。自分の心の隙間を埋めるかのようにヤフオクやら、アマゾンやらでショッピング。嫌なことがあれば、バイクで走り回る。そして、中学生たち相手に過去の栄光を、それも嘘ばかりを語る。一言で言えば、まあクズだ。
次男、俊平。ある日、何も言わず家を出て行ってしまい、今はいない。陰陽師としては一番の才能を持っており、跡継ぎはこの男のはずだったが、何か違う道を進もうと考えたみたいだ。
三男、さとし。三男ということもあるのか、陰陽師には全く興味が無い模様。無職だが、デイトレードで儲けるような力を持っており、長男とは一味違う。特に、今の自分に悩むことも無く、将来に不安があるわけでも無く。流れの向くままにみたいな余裕の生き方。
長女、清音。妙齢のフリーター。厭世観漂う。昔は、モテまくっていたらしい。今でも、モテると本人は言っているが、それは妄想の世界みたい。
次女のはるみは高校生。ごく普通の恋多き、年頃の女子高生。芸能界に憧れているが、そんな道に進むべきか、家のこともあり悩んでいる。
見習い陰陽師。修行中の身。ギザ一郎のセクハラ指導を受けながら、老体の綾の介護、だらけまくっている兄弟姉妹たちの身の回りの世話を全てこなす。
式神、プノンペン。陰陽師の家には式神が仕えるらしい。ユニコーンの化身かのような姿。しかし、その美しい角に反して、態度も性格も相当悪い神とは思えない姿を見せる。

そんな安倍家に、民俗学を研究する大学院生がやって来ている。
この物語は、彼がこの安倍家で陰陽師のことを勉強する中、ある事件をきっかけに、この家族に深く刻まれていた愛の姿を見出し、それを自分の愛する人に伝えるような、不可解な恋愛小説的記録物となっている。

安倍本家当主である安倍晴粕が亡くなった。
緊急長老会で、この安倍分家から当主を立てることに。
しかし、当主が務まるようなまともな奴は誰一人いない。
次男を探すか。でも、どこにいる。教えてくれプノンペン。やる気の無いプノンペンは何の役にも立たない。
長男は相変わらずダラダラ。
三男は次男捜索中に東京モード学園への進学を決意する。
長女は生きるのに精一杯。
次女は進路と恋に悩む。
そんな中、従妹の鬼童丸とその妻がやって来る。今は地下鉄運転手だが、昔は一緒に皆と修行をした。宴を開き、楽しい時間を過ごしていたが、昔を振り返り、今の自分のダメさ加減に自暴自棄になった長男は家を出て行く。

長男もいなくなり、跡継ぎ問題で揉めている中、九州から若い陰陽師、かけるが道場破りにやって来る。かけるの式神が鬼童丸に憑りつき、哀れな姿に。
しかし、その式神は、空腹で見境なく暴れ出す。
綾がやって来て、全てをおさめる。式神にはたくさんエサをあげないといけないのだとか。
哀れな姿になり、もう運転手としては働けない鬼童丸とその妻、行く宛の無いかけるも、しばらくこの安倍家に住むことに。
次女は、ちょっとデリカシーに欠けるが、親がいなくて天涯孤独の身なのに明るく、どこまでも前向きで、自分の思うままに人生を歩むかけるに少しずつ想いを寄せ始める。

長男は、することもなく風俗通い。借金取りに追われる。
そこで、衝撃的な次男との再会。
次男は、ある日、大阪モード学園への進学を決意して家を出て行ったらしい。でも、やはり就職は厳しい。安易に決めた進路。その成れの果てがこうなったらしい。もう、今さら家には戻れないとお別れすることに。

安倍家では、新たな訪問者が。
芸能事務所の社員、みゆき。みゆきは次女の姿を見て、涙を浮かべている。
ザキ一郎はみゆきを見て驚く。久しぶりだ。
彼女との出会いはゴルフ。キャディーだったみゆきと恋に落ちて、娘をもうける。親子三人の幸せな日々。
しかし、みゆきは女優の道を諦めきれなかった。ジャンヌダルクのオーディションに合格したみゆきは、ザキ一郎と娘を置いて東京へ。
その後、みゆきは女優としては芽が出ず、そのまま所属していた芸能事務所の社員に。ザキ一郎を探したが、女をとっかえひっかえして全国を飛び回っていたザキ一郎を見つけることは出来なかったようだ。
その事実を聞き、次女は自分は安倍家の実の子では無かったのだと怒り出す。その怒りは、とてつもない力となって、彼女を空へと飛び立たせる。
皆が驚く中、長女だけは困惑した表情を見せる。次女の力のことを知っていたが、ずっと黙っていたらしい。
この力は。見習い陰陽師は、才能の限界を感じ、家を飛び出す。

次女が一人落ち込む中、かけるがやって来る。
自分の生い立ち、力のことを知り、ショックを受けている次女にかけるは声をかける。
力は凄い。かっこいいし、自信を持てばいい。
血が繋がっていなくても、ずっと一緒だったのだから家族だ。お兄さんも、お姉さんもみんな愛してくれていたはず。
そんな言葉に少しを心を和らげ、家に帰ろうとした時、近づいていた台風に巻き込まれる。

気付くと次女は家にいた。
そこには、作業着を着て、毎日一生懸命働く長男。修行に励む次男。まだ幼く、可愛らしい三男。歩けば男に声をかけられるモテモテな長女。
ザキ一郎が赤子を抱えて、綾に育ててくれとお願いしている。あれが私だ。
時が経つ。少し大きくなった私は、ある日、その力で長男に怪我をさせてしまったみたい。腎臓を一つ失うくらいの大怪我。これで長男は働けなくなったみたい。
私の面倒を見る長女は疲れがたまって、少しずつ女の魅力を失ったみたい。私のせいでモテなくなったのか。
そんな家族の姿を見ていると、次男に気付かれる。
進路に悩んでいることを相談される。思わず、モード学園のキャッチフレーズを口にする。もしかしたら、家を出る決意を次男にさせたのは私かもしれない。

現実に戻って来た。
家に帰る。長男も帰って来ていた。ごめんね。何を言っているんだといった顔で、いつもどおりのいい加減な姿を見せている。
次女は相変わらず、飄々としている。今でも十分綺麗だ。
次男はどこで何をしてるやら。自分の言葉で成功を掴んだだろうか。
三男は昔と変わらず、甘やかされたのか自由気まま。次男と場所こそ違えど、同じ道を進むのだろうか。
見習い陰陽師は、才能無ければ修行をするだけとまた戻って来てくれたみたい。
お父さん、お母さん。ちょっとこれが両親というのはきついけど。
ザキ一郎は改めて、みゆきにプロポーズ。親子三人でまた暮らそう。
めでたし、めでたしと思いきや、現実はそうもいかない。みゆきは芸能事務所の社長とできているみたいで、軽く去って行く。
でも、別に構わない。私にはたくさんの家族がいる。
自分が持つ才能。やりたいこと。
焦らずじっくりと考えて、大切な家族と一緒にこれからを歩んでいけばいい・・・

細かく詰め込んだ笑いの中にも、じんわりと温かみを持たせた秀作でした。
目を惹いた役者さんベスト5。
どこかシュールで面白さ漂う神藤恭平さん(DanieLonely)。
けなげながら、冷たい空気で笑いを生み出す濱辺緩奈さん(演劇集団よろずや)。
うざさを笑いに変える田中尚樹さん(劇団そとばこまち)。
愛らしさと豪快な弾けを交錯させて、異色キャラを創り出す九鬼そねみさん(努力クラブ)。
絶妙な表情と巧みなセリフの間合いが楽しい桐山泰典さん(中野劇団)。

アフターイベントは、佐々木ヤスコさんの「ヤスコの仏の世界」。
天国と地獄ネタ。あと、仏教童話。
たたずまいがとても綺麗な女優さんなので、身体表現の魅力は抜群。
ネタとしては、ちょっとやっつけ仕事に近いかな。面白かったのは面白かったけど。

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コメント

かのうとおっさんから観られましたか(笑)

私は明日昼。

SAISEIさんは今日は笑の内閣かな…

私は今日は一心寺シアター倶楽に吉田商店を観に来ました。こりっちで変な表示がされたりホームページが見にくかったり開場が10分以上遅れるなど上演前はマイナス面が大きかったですが非常に楽しい公演で2時間半アッというまでした。

私は明日夜笑の内閣に行き、月曜日柿喰う客迷ってます。

投稿: KAISEI | 2015年9月26日 (土) 17時54分

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