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2015年9月 6日 (日)

In The Cage【Random Encount】150905

2015年09月05日 Cafe Slow Osaka (100分)

3話がリンクした気味悪い作品。
籠の中の鳥。
きっと、籠を意識している間は大丈夫なのかな。
誰も入って来ない。籠が自分を守ってくれる。扉が開けば、飛んで行ってもいいし。その安堵の空間でさえずっていればいい。
でも怖いのは、籠の中にいると思っていない鳥。
人から強制的に閉じ込められた籠には気付くが、どうも、自分で創り出した籠や巧妙に用意された籠には気付かないみたいだ。
全ては自分の弱さに起因しているみたい。弱さが、防衛本能をくすぐるのか、いつの間にか、籠の中で守られたいと閉じ込められてしまうみたい。
籠の中では、飼われているだけで、自分は自分でいられない。だから、本当の自分が見出せないなら、きっと今、籠の中に入ってしまっているのかも。扉を開いて、外に出て、本当の自分を生み出そう。
そんな感覚を抱く作品でした。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

第一話:
白昼、女は男を刺し殺す。
周囲には誰もいなかったのに、いきなり人が現れ、逮捕される。拘束される自分の横で、レポーターが事件のあらましを伝えている。
女がいつも見る夢。その男は、会ったこともなく、誰かも分からない
後輩のナナは、先輩は疲れているんですよと励ましてくれる。もしかしたら、その男とどこかで会ってるんじゃないですか。新人の頃からずっと世話をしていたからか、やたら慕ってくるが、いつもチャラチャラした男を取っ替え引っ替えしてイラ立つ子。今は、リュウキとやら、ユーチューバーとして金を稼ぐ男と付き合っているのだとか。
友達から電話。約束していたライブに行けなくなったのだとか。子供の都合らしい。気にしないでと返す。いつも、あなたも仕事一筋じゃなくて男を作れば。結婚して、子供を持つのもいいものよ。寝る時に誰かいれば、悪夢も見なくなるんじゃないのなんて言ってくる。自分の幸せを他人に押し付ける。自分を馬鹿にしているのだ。
女はライブへ向かう。気付くと、あの男を絞殺。逮捕。いつものとおりの夢。
ところが、夢から覚めても、レポーターが消えない。あなたは何者なのと聞くと私は私と答えてくる。客観的な視点で捉えられる、もう一人の自分らしい。
レポーターの私は、完全犯罪をすれば夢は終わるんじゃんないかと提案。
今度は毒殺。上手くいくわけもなく、いつものとおり。私はちょっと浅はかなところがある。
今度は男の私が現れる。
だったら、爆殺か。歩いている男にいきなり荷物を届ける。当然、怪しまれ、荷物をその場に置いて、去って行く。その荷物を拾う女。タイマーはまだ作動している。どうしていいのか分からず、オロオロ。気付くとナナが目の前に。
荷物を開ける。危ない。ところが、中身はクマのぬいぐるみ。今、会社で開発しているサンプル品。
爆殺はさすがにない。安易すぎるし、強引だ。やっぱり私だけあって、やり方がまずい。
友達から電話。この前のライブの件で謝罪。家に招待して食事をご馳走してくれるのだとか。あなたとご主人と、息子さんと私だけよねと確認。やっぱりだ。妙齢の独身男も呼んでいるらしい。
幸せの押し付け、自分の価値観で、私を不幸だと決めつけて憐れんでいる。ふざけるな。二度と連絡しないで。電話を切る。
私たちが現れ、その友達と会話している。彼女も私なの。
みんなで会議。いつの間にやら、また私が。完全犯罪なんてダメ。人は殺しちゃいけない。私の良心部分だろうか。めんどくさいやつだ。
私たちは、みんなで考えをまとめるために会議を始める。
私は取り残される。疲れた。
すれ違った男に顔色が悪いと言われる。
あの男だ。
女は男を刺し殺す。逮捕される。今度は夢から覚めない・・・

第二話:
サヤカは画家をしている。
最近では、見ず知らずの男を刺し殺した女の裁判の絵が好評だったみたい。
彼女の絵に感銘を受けて、田舎の畑付きの家を準備してくれたムツエの好意に甘えて、今は、一人で田舎暮らし。
サヤカはムツミがいないと何も出来ない。
身の回りの世話は全てムツミがやってくれる。
ムツミもそのことを理解しており、自分がサヤカの全てだと思い込んでいる。
でも、サヤカは決してムツミと一緒には暮らさない。適度な距離感が心地いいから。
そんなサヤカの家の隣にニシノという男がやって来る。
ニシノはサヤカに接近する。
そのことに不安やイラ立ち、嫉妬の念を覚えるムツミ。
ムツミは、敵対心をニシノに表すが、ニシノは、ムツミにも接近してくる。
閉鎖空間に生きるサヤカとムツミ。籠の中の鳥。
ここは幸せ。だからさえずる。でも、その籠の扉が開いたら。外に飛び立つかは、鳥の自由だ。
ある日、ニシノはサヤカの下を訪ね、彼女を抱き締める。
籠の扉が開いた。
隠れて観ていたムツミは止めに入る。
サヤカを外敵から守るため。満たされるサヤカを籠から飛び立つのを防ぐため。その開いた扉が自分ではなかったことの嫉妬。
ムツミはニシノをサヤカから遠ざける。
ニシノは引っ越すらしい。サヤカから金をもらっている。
全てはサヤカの策略。サヤカの脚本に劇団所属のニシノが演じただけみたい。
閉鎖空間での倦怠を解消するため。
ニシノが去り、サヤカはムツミと抱き合う。
あなたが、私の鳥籠。その言葉にムツミは喜びの笑顔を浮かべる。
籠の中の鳥はムツミ自身でもあるとも知らずに・・・

第三話
ニシノは劇団に戻る。
友達のリュウキに電話して、ずっと音信不通だったことを謝罪。しばらく、おかしな女に雇われて田舎暮らしだったから。
リュウキはナナの彼。
変な女から刺される夢を見る。
目が覚めても、またウトウトしたら、今度は絞殺。
ナナは、疲れているんだよと励ましてくれる。職場の先輩が殺人事件を起こして、その仕事が回ってきて大変なのに。安心して眠れるようにと、クマのぬいぐるみを部屋に置いていってくれた。
ニシノが、音信不通のお詫びに飲みに来る。
酔って寝たら、今度は毒殺。
あの女はいったい何なのか。
女癖は悪い。適当なことを話してその気にさせた女は数知れない。今もナナと付き合いながら、お金をくれる年増と付き合っている。どうにかしないととは思っているが、二番目でいいからなんて言葉に甘えている。
荷物が届く。箱に耳を傾けると、タイマー音がする。爆弾。どうしていいのか分からず、オロオロ。気付くとナナが目の前に。ところが、中身は手紙。映像の仕事不採用の通知。
本当に疲れているのか。
眠ると、おかしな女二人が自分を殺す相談。いつも自分を殺す女もいる。
今度は銃殺。
リュウキは恥を忍んで、占い師の元カノに連絡。
鏡を持たされ、念を送られる。鏡にあの女。憎しみを抱いている。誰でもいい。あのいけすかない後輩の彼氏だから殺す。そんなの逆恨みだ。
また、殺されそうになる。
気付くと、占い師が目の前にいる。寝てしまったらしい。
どうやら、生霊ではないらしい。自分自身の問題。
何か罪悪感にさいなまれているのでは。まあ、心当たりはある。
また睡魔が襲って来る。殺される。助けて、ナナ。
目が覚めるとナナが目の前に。
怯えるリュウキ。お前なのか。きちんと仕事をしていないから。浮気しているから。錯乱するリュウキをナナは抱き締める。
ごめんなさい。全てはぬいぐるみのせいだったみたい。
安眠を促すぬいぐるみだったが、どうも逆効果の音波が出ていたらしい。
安心したリュウキは、これまでのことを悔い改める。
殺されそうな時、自分はナナのことを呼んだ。こんな愛している人を裏切るようなことをしていた自分。
これからはぬいぐるみじゃなくて、ナナにずっと一緒にいて欲しい。
ナナはにっこり微笑み、リュウキに見つからないようにぬいぐるみの腹から盗聴器を取り出す。これからはずっと一緒。もう不要だから・・・

エピローグ:
私が、レポーターの私と話している。
周囲では私がたくさん死んでいる。
密室殺人。その境界とは。例えば10km四方の空間で起こった殺人は密室なのか。逆に最小単位は。自分の頭の中。
自分の世界で、誰にも見られず、私を殺す。完全犯罪の密室殺人。
私が私だけであるために。
私と私は決着をつける。
人格統合成功。
これからは、私に邪魔されない、本当の私として生きていく。
まずは、社会に貢献するように生きる・・・

自分自身に潜む妬み、憎しみ、自己嫌悪が自分の行動を閉じ込める。仕事だけしていればいい。男なんていらない。でも、そんな自分で創った籠の外では、楽しそうにしている鳥たちがさえずっているのが見える。自分が籠の中にいると思っていないから、扉を開けて飛び立たないとそこにはいけないことには気付かない。私と一緒の場所にいるのに、あいつだけと憎悪の念だけを募らせたような女。
私は自分だけの大切な鳥を籠の中で飼っている。扉は開けない。大切だから、飛んで行ったら困る。毎日、餌をあげて、掃除してあげて、面倒見てあげる。鳥も楽しそうにさえずっているから、私も嬉しい。そんな女の周囲に、籠の柵があることには気付いていない。いつの間にか、自分が籠の中にいることを。飼われているのは自分。世話して喜ぶ自分のさえずりを楽しく聞いているのは、彼女が鳥と思っている女。
このままではいけないことは分かっている。でも、惰性で全てに流されて生きてきた。ネットを通じて、もしくは女と付き合うことで、自分は社会の一員として自由に存在しているように思っている。でも、そんな潜む罪悪感が自分を閉じ込める籠を欲する。彼を独占したい彼女の用意した籠の中に無意識に入り込んでしまった男。

自分の弱さ、うしろめたさ、自信の無さから、逃げ場として籠の中に入り込む。
その籠の中で、平穏と自分の幸せを感じる。
でも、本当は違う。そこでは、自分は自分でいられない。
自分自身、または誰かの操り人形になっているだけ。
エピローグでは、誰かのような自分に操られている女が、自分同士で戦い合い、勝者がこれからの籠の外で生きる自分となる。
人格統合して、扉を開いて、籠の外に出た女。
彼女は、社会の一員として生きる決意を語る。
逃げて籠の中に閉じこもる人たち。そんな人に籠の中にいることを気付かせ、そこでは本当の自分が得られないことを教える。そして、外に出ないと、本当の自分がいつまでたっても生まれてこないことを知らせてあげる。
飛び出した彼女がまずしたことが、この演劇作品を創作することだったようなメタ構造のようなラストで締められている。

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