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2015年8月 5日 (水)

HPF2015 総括

4年目の講評委員をさせていただきました、久保健太郎と申します。

例年どおり、このブログで感想を書くという形でお引き受けいたしました。
演劇経験が全く無い故、講評としては未熟なところが多々あり、単なる感想にしか至っていないことを考慮して、皆様のお顔を直接拝見して講評を述べることは遠慮させていただいております。失礼かとは存じますが、どうかご容赦いただきたくお願い申し上げます。
以下に、拝見した作品の感想記事のアドレスと簡単なメッセージを記すことで、講評に代えさせていただきます。
作品の感想、特に話自体をどう理解したか、そこから感じた作品に込められたメッセージを中心に言及しています。
また、私が理解した中でのあらすじ、個々の役者さん方の魅力的だと感じたところをコメントの形で後記しています。
単なる感想にしか過ぎないですが、皆様が創り上げた作品が、公演という形で観客にどう届いているのかを知る術の一つとなり、今後の更なる発展に繋げていただければ非常に嬉しく思います。
(各校の感想記事は、枚数が多くなり過ぎますので、印刷の都合上、書面での提出を控えさせていただきました。お手数ですが、リンク先アドレスでご確認いただければ幸いです)

今年は7校の作品を拝見しました。
個々の感想は、下記していますが、共通して感じるのは、変化の中に身を委ねる自分を見詰めて、その変化とどう向き合っていこうかと考える真摯な姿でしょうか。
変わらないといけない。じゃあどうやって。これまでを変えずに守る必要は無いのか。変わってしまえば、今の自分はどうなるのか。
そんな不安を抱えながらも、変わりゆく世の中に、戦いを挑もうとする姿が見えてきます。決して、それはこれまでを封じ込めるわけでも無く、変化に抗おうとする者を暴力で抑え込むわけでも無く、同じように悩み苦しみながら、より良く生きようと決意する者たちが寄り添い、想いを通じ合わせながら、先へと歩みを進めようとしているようです。
その秘めたる覚悟が伝わってくる。
そして、その覚悟から生まれたものが、今回拝見した、皆様で創り上げた演劇作品だったように感じます。
きっとぶつかり合いながらも、互いに見詰め合い、手を取り合って、作品が人の心を動かす大きな力となるように出来上がっているのだと思います。
今年も、その大きな力に敬意と感動を抱かされました。そして、それを伝えるための各校の独自の視点に、興味深い個性や演劇の可能性を強く感じます。
わずか2週間程度でしたが、舞台での皆様のお姿、そして、その創り上げられた作品を拝見して、溢れる想いや誠実な態度に、様々なことを気付かされた日々だったように思います。
今年も勉強させていただき、新鮮な気持ちを得られたことに深く感謝します。
変化に対峙して真摯に前へ進もうとする今の気持ち、そして、その想いを演劇作品として仲間たち皆で創り上げた成功体験を決して忘れないでください。
誰もが出来る簡単なことではありません。本当に、本当に素晴らしいことをされた、していると思います。
今年は、変わろうとしている世の中に、戦いを挑もうとした出発点のような気もします。今の想いが、より良き世へと導き、自分自身も豊かな自分へと変化していくのか。
そんな生きている私たちの時間を、これからも皆様と共に見届けることが出来たら嬉しく思います。

*8/29に開催される閉幕セレモニーで配布する資料として作成しています。

・贋作・罪と罰 【淀川工科高校】
(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/120-a76f-2.html)
さすがの出来で、圧巻の舞台でした。役者さんの活き活きとした姿、惹きつける力。私自身に演劇経験が無いためか、普段は当たり前に観聞きしてしまうのですが、緊迫感を煽る音響、松明の灯りがともる美しい舞台、その風景が浮かび上がる照明効果と、総合的な技術の高さを感じる作品に仕上がっていたように思います。

・変化をめぐる習作のいくつか 【追手門学院高校】
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/55-97dc.html
これまでと変わろうとしている演劇部。それに対して、不安を抱えながらも決して投げやることなく、その変化と対峙し、これまで培った自分たちの力を信じて、一つの道しるべを見出す。そのためにお別れしなくてはいけなくなった過去。そんな辛さも乗り越えて、未来を見詰める演劇部員たち。作品の魅力はもちろんですが、こうして、この作品を公演するに至ったことが素晴らしいと賞賛します。

・アテルイ 【金蘭会高校】
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/hpf150724-baaa.html
この大作を演じきる高校生。それも、十分に高いと思われるクオリティーを持って。それでいて、溢れる情熱、一体感ある力強さ、若々しい爽やかな空気を醸されて、ベテランが創ったものだとは決して思わせず、高校生の等身大の姿が浮き上がる。この魅力に心を奪われます。作品の選択もいい。はるか昔の時代の話でも、現在に通じており、生きることで抱える苦しみや、その中で守りたい大切な想いが綺麗に描かれている。

・Spare 【工芸高校】
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/55-97dc-1.html
少し感性を研ぎ澄ませて感じながら観ないといけないような作品だったように思います。それだけに、解釈が難しく、思い起こしても、未だどういうことだったのかなと分からないところも多々あります。普通って何なのだろうか。自分は臓器移植のドナーのように誰かのスペアなのか。じゃあ、レシピエントはオリジナルと言えるのか。そんな、自身と周囲が求める普通の間で揺らぐ自己みたいなことを感じます。私には少々難しい作品でした。

・秘密基地 【東百舌鳥高校】
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/45-8d0a.html
悩みを抱える女子高生。その悩みは、複雑で入り組んでいるけど、きっと自分らしさの追及に繋がっているよう。周囲や時代から色々なものを背負わされて、本当の自分が見えなくなってしまう。逃げ込んだ場所で仲間と出会う。仲間と寄り添うことで、その逃げ場所をこれからの出発場所に変えていくまでの話。淡々と流れる日々。描かれる女子高生の姿も淡い。でも、そこにある狂おしい自分への苦しみが熱く伝わってくる独特の空気感がありました。

・オリジナルノート 【箕面東高校】
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/65-0472.html
明るく楽しく素敵なファンタジー。といった中に潜む、人間関係や周囲の視線から、自分に降りかかってくる圧力に悩み苦しみ、それに囚われてしまい、自分を見失ってしまう少女の辛い姿。そんな少女が自分は自分であればいいのだと気付くまでの姿を童話をベースにして、ミュージカル調に描き出す。多彩な役の演じ分けの技術を魅せながら、コミカルで楽しい展開の中で少しずつ凍った心を溶かす優しさに心温まる作品でした。

・新羅生門 【大谷高校】
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-8077.html
楽しさを魅せる、舞台に惹きつける力が卓越しています。そんな可愛らしく、明るく、輝く皆さんの姿。でも、その中にもきっと鬼の心は潜んでいる。それを嘆き悔いて、抑え込んでしまっても仕方がないし、それに囚われて姿まで鬼になってしまってもいけない。それから目を反らして、ただ淡々と与えられた生の時間を過ごしても。鬼の心を受け止め、同時に必ずある人を想う心の素晴らしさをもって、人生を歩みたいと考えさせられるような作品でした。

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