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2015年8月14日 (金)

カム・ブロー・ユア・ホーン【JIIN Project】150814

2015年08月14日 京都芸術劇場 studio21 (110分)

1961年、ニール・サイモンの作品。
ちょうど、時間も空いたし、海外の古典戯曲のお勉強でもしとこうかなといったぐらいの気持ちで、足を運んでみました。
思いもかけず、面白い作品に出会えました。
ワンシチュエーションでの意表を突くスレ違い、勘違いを巧みに笑いにする優れた脚本、巧妙な仕掛け、伏線を活かしたテンポのいい話の展開。
味のある役者さんの心情伝わる魅力的な演技、最後に触れる家族の優しい想い。
上質で洗練された見事な喜劇を観ることが出来たように思います。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は明日、土曜日まで>

自由気ままに暮らしている兄、アランのマンションに、バディは転がり込む。
横暴で強引な父、何かとやかましい母にうんざりしての家出。
兄は歓迎してくれている。もっと遊べ、自由を楽しめと。明日から新しい人生へと踏み出せそうだ。
母は早速心配して、電話をかけてくる。
父が激怒しているらしい。まだ、会社にいるから、自分の家出は知らないはずだ。激怒の原因は兄。
大事な商談を放ったらかして、同じマンションの映画女優希望の女、ペギーとスキーに出かけたみたいだ。何やら映画のプロデューサーと会わせると言ったらすぐについてきたらしい。もちろん、嘘なので理由をつけて会えないことにしたが。その旅行から、ちょうど今しがた戻ってきたところ。とりあえず、別れて、また後ほど、部屋で落ち合う予定になっている。
先方には、アラン主催でパーティーを開く予定になっていたらしく、待ちぼうけを喰らった商談相手はひどく怒っているらしい。
そんな状況。父が家に帰って来て、自分の置き手紙を見たら、どうなることやら。そこには会社を辞めて、家を出ることをしたためているのだから。

そんな中、ドアベルが鳴る。少し早いがペギーだろうか。と思ったら、父が怒鳴り込んでくる。バディはとっさに隠れる。アランはすっぽかしの件で、カンカンに叱られる。我が息子なのに極道呼ばわり。そして、バディとどうしてこうも違うのかを嘆き始める。バディは優秀。文句のつけようがない。万一、あいつがいなくなったら、自分は自殺するだろうと言い残し、部屋を出て行く。バディは嬉しいやら怖いやら。
とりあえず、アランは商談相手に電話。スレ違いになったとか言葉巧みに騙して、改めてパーティーを開催することにする。もちろん、お詫びの印に、女もあてがう。アランの電話一本でいつでも飛んでくる女が何人もいるらしい。

また、ドアベルが鳴る今度こそ、ペギーかと思いきや、コニーと名乗る別の女性。
少し、アランの態度が他の女と違う。本命なのか。彼女は芸能人。長期間、出かけることも多く、今回も久しぶりの再会。戻って来るやいなや、アランに会いに来たというわけだ。それも、アランが欲しがっていたスキー帽をお土産に。彼女は芸能界を引退すると言う。理由はただ一つ。アランのそばにいつもいたいから。でも、アランは、才能がもったいないとか難癖つけて、続けるように説得する。私とずっと一緒にいるのが嫌なの。結婚。それとも都合よくベッドで寝る相手。コニーの追い込むような言葉の応酬にアランは素直になれず、決裂。コニーは怒って出て行く。

ようやく落ち着いたが、まだ問題は解決していない。
アランは、ペギーと会う約束をしている。商談相手のパーティーにも向かわないといけない。
そこで思いつく。バディをペギーと会わせる。それも、バディを映画プロデューサーとして。うまくいけば、いい仲になるだろう。昨日21歳の誕生日を迎えた、まだ女を知らないバディへのプレゼントだ。
バディは無理だと言いながらも、ちょっと期待してしまっている。
結局、アランはパーティーに向かい、バディは部屋で待機。
ドアベルが鳴る。少し香水をつけたりして、テンション上がるバディ。
しかし、扉を開けるとそこには母が。
心配して来たらしいが、今はまずい。
なだめすかして追い出そうとするが、マイペースを崩さず。ようやく、帰ることになったが、タクシーを呼べと。バディはタクシーを捕まえに外に出る。
その間、部屋には母だけ。
タイミング悪く電話がかかりまくる。
商談相手、商談相手の下へ向かう予定の女、コニー。
適当に聞くだけで、伝言を頼まれてもメモもしない母。結局、電話の内容は誰にも伝わらない。
商談相手の妻が来てしまったので、パーティーは中止にという大切なことも。
さんざんかき回して母は去って行った。

ドアベルが鳴る。
ようやくペギー登場。
明らかに色仕掛けの衣装で、バディを誘惑。バディの妄想も膨らむ。
そんな中、父がやって来る。
ペギーをとりあえず台所に隠す。
父は激怒している。手紙を読んだらしい。裏切られたと悲しいやら、悔しいやら、腹が立つやらで取り付く島もない。
何とか巧くあしらおうとしているところに、ペギーが顔を出して見つかってしまう。
そして、タイミング悪く、アランも帰宅。パーティーでトラブったらしく意気消沈して。
父は、極道息子たちは勘当という言葉を残して部屋を去る。

ドアベルが鳴る。
ペギーかと思いきや、今度は酔ったコニー。
バディは席を外す。
先ほどの話の続き。YESかNoか。この部屋に私を置くのか、出て行かせるのか。選択を迫るコニーにアランは、だったらYes。結婚すると言うが、そんな無理からの答えでは納得できないみたいだ。
結局、コニーは持ってきた酒瓶片手に部屋を出て行く。

しばらく時間が経ったみたい。
バディはすっかり遊び人になってしまっている。
アランはコニーとのことがショックなのか、落ち込んだ日々を過ごしている。もう、あまり遊んでもいないみたい。
バディは、言葉巧みに女と付き合い、揉め事があっても適当に乗り切る。
ペギーとは未だ、映画プロデューサーという名目で付き合っているみたいだ。
そんな弟、バディにアランは苛立ちを感じる。
全て、自分がお膳立てしてあげた数々の遊び。それを今となってはバディが全て自分だけの楽しみにしてしまっている。バディへの妬み。
心配する母には連絡せず、父が一人で仕事をして大変な状況なのにそんなことは頭にも無いみたい。
でも、そのバディの姿は、かつてのアランそっくり。
自分を映す鏡を見ている。そう思うと何も言えなくなるアラン。

ドアベルが鳴る。
バディの遊び相手だろうか。
母だった。
家出をしてきたらしい。続いて、父が後を追ってくる。
父は会社を売り払い、母と世界一周旅行に出るつもり。それを母は拒絶している。
アランもバディも文句をつけるが、自分も勝手にするつもりという意志は固い様子。
そんな中、コニーも部屋にやって来る。
芸能界に復帰したらしい。確かに才能がもったいない。だから、芸能界を続けることにした。今日はお別れを言いに来たらしい。
電話がかかって来る。父はバディと、アランはコニーと揉めているので、母が電話をとる。
大口の顧客からの電話。その名前を聞いて、アランが電話にでようとするが、父が先にとる。今まで、何度、足を運んでも契約に行き着かなかった相手。その相手とアランは交渉し続け、遂に落としたらしい。
その契約内容を父に伝え、大きい仕事のなので、自分では無理だから、父に仕切るようにお願いする。
極道息子にそんなことを言われる筋は無い。そんなことを言う父に、アランは、身を固めるつもりだから、もう極道息子では無いと反論。
コニーの下へ向かい、プロポーズ。コニーもそれを受け入れる。
もう、父は何も言えない。明日、早くに会社に出勤するように指示するぐらいしか。
父と母は、挨拶がてらコニーと一緒に食事をすることに。
部屋をアランと一緒に出て行く。
バディは、父に、今さらながら、家を出ていいのか聞く。
その答えは、No。
でも、続きがある。もう大人になったバディ。私がNoでも、お前がYesなら、それはYesだろう。
バディを一人の大人としてようやく認めたらしい。
部屋に一人残るバディ。
ドアベルが鳴る。今度こそ、きっとあの子だ。バディの本当の楽しき人生が始まる・・・

メモ書きから思い起こして書いているので、少し違うかもしれませんが、だいたいのあらすじ。
要は、遊び人アランと生真面目バディ兄弟が、共に暮らす部屋に、父、母、女と色々とやって来る中で、各々が自分の生き方を見詰め直し、最良の人生へと導かれる。その中で、バラバラになっていた家族が再生され、さらには大きくなるというラストに至っているようです。
1961年の作品のようですが、こんなスレ違い、勘違いを巧みに活かして、コメディー調ながら、家族の想い合いを感じさせるような作品があったんですね。
結局、家族だから、どんな状況でも、ついつい、家族のことを想ってしまうことを描いているように感じます。それは、ただ単に遊びほうけている時には、忘れてしまいがちですが、辛く苦しい時にこそ、自然に頭に浮かんでしまうようです。
忘れてしまうのも、頭に浮かぶのも、行き着くところは、自分を想ってくれるし、自分も想うことが出来るという絶対的な安堵のようなものから生じているように思います。
それこそが、理由も何も無い、無償で想い合える家族ってやつなのでしょう。
アランが好きになったコニーも、家族になります。ダメな自分、弱い自分、やる時はやる自分・・・そんな色々な自分を見せても、受け入れてくれて、最後には味方となってくれる。それを互いに信じ合えたから、結婚に至ったようです。
家族はそんな信じることが当たり前に出来て、互いにより良くあって欲しいと願えるような特別の間柄であることを再認識させてくれるような話だったように思います。

スマートで上質な空気を漂わせながら、アメリカンコメディータッチで話が展開。
その空気感にぴったりとはまる味のある役者さんが揃われていました。
アラン、越智健太さん。まあ、遊び人のチャラチャラ感。と言いながらも、それは女絡みであって、兄として、父の跡を継ぐ者としての責任感みたいなものを少し漂わせながらの、遊びを経験として活かす賢明さも垣間見られるところがありました。
バディ、佐々木詩音さん。真面目で堅苦しい男ですが、どこか兄のような、弾ければこいつは遊び人になるなという素質を感じさせます。実際、調子に乗ってすっかり遊びにはまる後半は、弟という、兄には無かったより自由なところも手に入れ、これから痛い目にきっとあって、家族みんなに助けられるなと思わせるような無邪気な奔放さを醸しています。
父、松井壮大さん。頑固、堅物をベースにしていますが、どこかそこに不器用な愛情を感じさせます。突き放しながらも、寄り添うスペースを必ず準備して待っているような。やっぱり家族の大黒柱、核なのだなと思わせる父像でした。
母、中村彩華さん。この母親と毎日一緒だったら、ちょっと家を出る気になるのもうなずけるような豪快なお母さんでした。小さいことにこだわり、それでケンカして、無意味な軋轢を作ってしまう幼稚な男どもを尻目に、マイペースに自分を楽しみ、それを家族自体の幸せへと導いてしまうような大らかな優しさを感じさせる母像でした。
ペギー、津田美杉さん。どこを見ていいのやら。目のやり場に困るセクシーさ。描かれる家族からは外にいるようです。それはそれで、自分の魅力を信じ、それを武器に力強く生きるというたくましさを誰よりも感じさせるキャラでした。
コニー、高田歩さん。モデル風で、清楚なイメージですが、男を追い詰めるとなると修羅になりますね。女の怖さをしっかり魅せます。アランは大きな契約を取ったみたいですが、彼女と結婚するという契約を結ぶことに比べれば容易いものだったのではないでしょうか。

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