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2015年7月20日 (月)

Fire Cracker【演劇空間WEAVE CUBE】150720

2015年07月20日 芸術創造館 (145分)

当日チラシを拝見したら、何とか編という風に幾つかに話が分かれている上に、一人何役もすることが分かる。
これは、ややこしいから話を追うのが大変だなと思っていましたが、意外にすんなりと分かりやすく話が展開。
演じ分けが上手いというのが最大の理由だと思いますが、次の展開が気になる話の運び方、時間軸をけっこういじくっている割に混乱させないという練られた脚本も見事だったように感じます。

人間とロボット。近未来を設定に描かれる作品は多く、そこから命や想いを浮き上がらせる話はありがちだなと観る前は思っていましたが、この作品は一味違う。
大きく言えば、生命誕生から、生命が終わるその時までの物語として描かれています。
その中で、人類がその時間の流れに身を置く数千年。
数々の愚かな行動をしながらも、たとえ自己本位であったとしても人間としての誇りを守り、時を止めぬように生を繋ごうとしていく生命の強さを感じさせられる話でした。
私たちは、この素晴らしき地球で生まれ、そこで数十年の時を刻む。そして、その命を次世代へと受け継いでいく。個人のレベルではそうですが、人類の一人として考えれば、今の自分には、壮大な過去があり、さらには壮大な未来がある。流れ続ける時間が止まることのないように、生命を育んでいかないといけない。
種としての人間。滅んでしまった恐竜と異なり、まだ時間が流れ続ける人間は、どういう強味があって、その時を終わらせていないのか。
そこには、守り続けたい人の心が確かにあるからなのではないか。
そんな人間の尊さと、人間はありとあらゆる生命の時の流れを共に刻み、止めることの無いよう、大きな責務を背負っているように感じます。

2100年。
天才科学者、曼荼羅博士は、幼き頃には既に設計図を創り上げていた二体のロボットを完成させる。
第一号は、ちょっとおっちょこちょいのドジな女ロボット、ハル。二号はパワーは最高性能、頭はちょっと・・・といったおバカロボット、メガロ。どちらも完璧にしていないのは、同じく天才と謳われた父の教えでもある。ロボットも人と同じように成長していくことを望んでいたのか。そんな父も、ある日、突然いなくなってしまい、今でもその行方は全く分からない。
あまり大したことないのに、曼荼羅をライバル視して、やたら対抗心を燃やしてくるのが、隣に住む仮々博士。自称、美人天才科学者である。彼女もまた、アストロというロボットを造り上げている。
曼荼羅が今、熱意を燃やして研究しているのが、父の形見であるサイクロンという装置。一言で言えばタイムマシンである。
いつものように研究をしていると、国防省から連絡が入る。博士のロボット技術を戦争に使いたいらしい。博士が断ると、国防省の者たちが、博士を亡き者にしようと襲い掛かってくる。
博士は二体のロボットと仮々を、タイムマシンで逃がす。アストロは捕まって、連れ去さられてしまった。博士は銃弾に倒れる。

仮々、ハル、メガロの三人が行き着いた先は1799年。
ミツ姫が、これまで国のために忠誠を誓って尽してくれていた彦佐という重臣に襲われている。原因は、ミツが持つ、トキドケイという箱のような代物らしい。
たまたま通りかかった、剣豪、七八がミツを守るべく、重臣たち追っ手を倒したところ。
七八は流れ人。面倒なことに深くは突っ込まない。ミツを助けたのも気まぐれに過ぎず、その場を去る。
ミツはトキドケイを彼らの手に渡すわけにはいかないと逃げ続けるつもりのようだ。何とか城に戻って、父と連絡が取れれば。三人は手を貸したいところだが、ミツは皆を巻き込みたくないと拒絶し、この場を去る。
これ以上、ここにいるとタイムパラドックスが起こる危険がある。すぐに帰らなくては。しかし、それどころではなくなってしまった。いつの間にやら、メガロがいない。物珍しさで城下町の方へ向かってしまったらしい。
仮々とハルは、城下町へ。途中、ミツがトキドケイをどこかに隠しているのを見つける。仮々は何の気無しに、それを懐に入れる。
メガロは、城下町で女スリ師と一緒にいた。すっかり意気投合してしまい、町人からお金をいただいて一緒に飲もうなんてことに。ところが、狙った相手が悪く、役人。
二人は追われる身に。
仮々とハルは、追われる二人を発見。そして、一緒に捕まってしまう。その時、ミツもこの人たちの仲間だと訴えかけて、共に捕えられることに。どうやら、捕まって城に潜入する作戦のようだ。
城の牢に入れられる皆。仮々は、二度とこんなことをしないようにと、メガロの頭脳回路に修正を施す。これで、これからはメガロは様々な知識をインプットして賢くなっていくはずだ。といって、事態が良くなったわけではない。どうにかして逃げ出さないと。
彦佐は、ミツを見つけ出し、トキドケイの場所を吐かせようとする。
ミツは、あれだけ懸命に働いてくれていた彦佐の真意を問うが、国のためとしか答えない。あれさえあれば、他国から脅かされることなく、この国が全てを支配できるのだと。
彦佐は、トキドケイを見つけ出し、それを奪い取る。しかし、そこに一人の剣豪が助けにやって来た。七八。
七八は彦佐を斬り捨て、トキドケイを取り返す。
ミツの父がやって来る。このトキドケイの力で、自分たち一族はこうして大名にまで上り詰めた。でも、もうこれ以上、トキドケイに頼ることは無い。大切なのは、この国を発展すべく共に盛り上げようとしてくれる彦佐をはじめ、数々の仲間なのだから。そのことを曖昧にしていたがために、こんなことになってしまったと悔やむ。
でも、トキドケイは力を発揮する。放たれる光は、彦佐を生き返らせて、また共に国のために頑張るような道を授けてくれた。
これがあれば、撃たれた曼荼羅を救える。
三人は、トキドケイを持って、また元の時代へと戻る。

2100年現在。
曼荼羅は無事、生き返った。
トキドケイは、時間を操ることが出来るのか。枯葉を若葉に。そして、自分自身の傷を、元の状態にまで治すことが出来た。
何はともあれ、めでたし、めでたし。
ただ、借りたものはきちんと返さないといけない。
トキドケイを返しに、もう一度、1799年に。曼荼羅は、そのトキドケイのメカニズムをぶっ潰して調べたかったようだが。
メガロはすっかり賢くなり、今では哲学的なことにまで興味を抱いているようだ。
ハルは、相変わらずのドジっぷり。
タイムマシンの設定を間違える。
行き着いた先は、301年前の過去ではなく、301年後の未来、2401年。

2401年。
この301年の間に、人類は大きな転換期を迎えていた。
2157年。人類は火星への移住計画を進めており、その開拓民たちが火星のコロニーに住んでいた。
フミとミヨという女性もそんな開拓民の一人。
フミの父はコロニーで医師として働く。ミヨの父は、重要な資源発掘のために、地下採掘をしている。
フミは、遠く離れた星で任務にあたる恋人に日々メールを送る純粋な女性。もうすぐ誕生日。忙しいのでなかなか返事をくれないが、誕生日ぐらいは期待したいものだ。
ミヨは、明るく元気な女性。ちょっとおっちょこちょいで、お調子者なところも。フミの誕生日を一週間間違えた上に、火星に住んでいるのに、火星の石をプレゼントするなんて、あまり笑えない冗談を仕掛けて来る。
でも、ミヨとももうすぐお別れ。来週には地球に戻るらしい。
お別れ会、いや、また会いましょう会をしなくては。
ところが、火星に異変が生じる。
手が痺れる、怠いといった症状が蔓延。
誰もが風邪だと思っていた。でも、これは火星特有の微生物による感染症だ。
地下採掘により、その眠りを覚ましてしまったらしい。
その感染症は、人の体を内部から蝕み、やがて石にしてしまう。
ミヨは死んだ。フミの父も。恐らく、コロニー全員が石となって死ぬ。救援は間に合わない。着いた時には、コロニーに住む人たちの石像が並んでいることだろう。
誕生日を前に、フミの命も、消えようとしている。
やがて、迎える誕生日。一通のメールがフミに届く。待望の彼からのメール。でも、フミはもうそのことに気付くことは無かった。

2300年。
世界は相次ぐ戦争で、A国とB国だけになり、それも冷戦状態が続いていた。
そして、戦争のために造られたロボット兵たちは、今や自分たち人間を脅かす存在となっている。
B国大統領の娘は、幼少期を思い出している。
父と一緒に見た流れ星。願いを叶えるためには3回も言わないといけない。そんなの無理だ。
アニメのタンパンマン。悪いパツキンマンやドギツイちゃんをやっつけるタンパンマンは強くてかっこよかった。
自分も強くなりたい。だから、誕生日プレゼントに銃が欲しいと言った。
でも、もらったのは水鉄砲。これでは、力を手に入れることは出来ない。
そんな頃からだったか。父と会話をすることが無くなったのは。
そして、ある日、母と自分は暴漢に襲われる。母は殺された。自分も殺される。その時、水鉄砲を発砲する。どうなったのかは分からない。ただ、暴漢はその場に倒れていた。守るため、力は必要だ。
ある日、A国から、B国へ、国交回復の提案がなされる。今、戦うべきは、人間を襲うロボット兵であり、互いに憎しみ合っている場合ではないと。
A国は、その決意表明として、B国の建国記念日に壮大な花火を準備しているのだとか。
B国は、この申し出に疑いを抱く。
建国記念日前日。A国の誇る巨大陸上要塞の数々の砲台がB国に向けられている。一斉砲撃を受ければ、B国は瞬く間に壊滅する。
B国大統領は、自分たちを守るために、火星から入手した微生物を世界中に散布する。
これで人類は滅亡する。でも、A国によって滅ぼされることはなくなる。
娘は、人類が滅亡することになったと言う父に向かって、発砲する。
でも、それは水鉄砲。父を傷つけることは無かった。よかった。でも、終わりの時は迫る。

曼荼羅たちは2401年にたどり着く。
タイムマシンから降りた瞬間に銃声。
メガロが盾となり、銃弾を防ぐが、それはおさまる様子が無い。
とりあえず、メガロを置いて、皆はどこか違う時代に急いで逃げる。
メガロは、ある人間に助けてもらったようだ。そして、この時代のことを知る。
人間はもはや50名しか生き残っていない。
そして、自分たちを襲うロボットたちと戦う日々を過ごしている。
メガロは思う。ロボットが人を襲うことはない。ロボットは人の役に立つために造られるのだから。
でも、現実は違った。ロボットは、戦争の兵隊として造られ、人を傷つけるように命令されていた。
メガロは、自分の存在について、心を悩まし始める。

皆が逃げた先はさらに100年後の2501年。
数名の人間が、この世を支配するロボットを滅ぼすべく最後の戦いに挑んでいた。
聞けば、ロボット兵を造ったのは曼荼羅だと言うことになっているらしい。
お前のせいでと襲われそうになるが、詳しく聞くと、大元はアストロ。あの時、仮々が造ったロボットが国防省に連れ去られ、悪用されたのだろう。
自分たちにも責任ありと、残された資材で対ロボット用の武器を作り、最後の戦いに参戦することに。
ロボットたちのトップに君臨する者は、巨大陸上要塞の最上階にいるらしい。それを潰せば、この世のロボット兵たちを壊滅させることができ、人間が再びこの世の支配者となる。
ロボット兵たちをなぎ倒し、最上階にたどり着く皆。
そこには、ロボットのトップがいた。メガロ。
メガロは100年の時、ロボットの在り方について悩み続けていたようだ。
そのメガロが倒される。
これで、人間の世が取り戻される。
しかし、そんなことはなかった。人類は既に滅亡している。
この時代に残された者たちも、ロボット。ロボットと戦うために、人間が造り出したロボット。
彼らもまた、ロボットを倒すという命令を受け、もういない人間のために戦っているだけだった。
全てを無に帰す。
この巨大陸上要塞の数々の砲台には、核爆弾が搭載されているらしい。それを発射させて、地球を壊滅させて終わりにするつもりのようだ。ボタンが押される。
タイムカウントが始まる。
どにかして止めなくては。しかし、ロボットたちの力はあまりにも強力。
その時、ハルは、トキドケイの力を使う。
はるか昔出会った、あの剣豪、七八をこの時代に連れて来る。
やって来た七八は、次々とロボットたちをなぎ倒していく。
そして、トキドケイの力で発射までの時間を遅らせる。
しかし、ハルのドジっぷりは、健在だった。
逆に時間を進めてしまい、カウントは0を刻む。
砲台から爆撃音がする。
空には数々の花火が打ち上がり、建国記念日おめでとうの文字が映し出される。

いつの時代か、太陽は膨張を続け、地球は干からびた大地となる。
もう生命体は存在しない。
そんな時に、曼荼羅の父はいる。
過去、現在、未来と流れる時間。その時が止まる。
その流れる時間を誰も見詰めることが無くなった時。
曼荼羅の父は、そんな終わりの時の中で、静かにその命を・・・

人間がその時間の流れが止まることのないように、懸命に生きる。その中で、矛盾した愚かな行動をしている様が見えてきます。
友達、彼氏、重臣、親・・・と一緒の時間を過ごしたいと思っているのに、全てが滅んでしまうような愚かな行動を起こそうとしてしまう人間。
自分が想う人も、自分を想う人もいなくなってしまうことは分かっているはずなのに。
自分、その周囲の人といった狭い視点で人間を見ていると、人は人に優しいし、ロボットにに対してだって心を寄せ合っているように感じます。
それが、もっと広い視点で、世界を見るようになると、自滅的な行動を平気で起こそうとするのは何故なのでしょうかね。
今、隣にいる大切な人に抱く想い。これからもずっと一緒に同じ時の流れに身を寄せ合っていたい。その積み重ねが、全人類が、全生命が、時が止まるような悲しい出来事を引き起こさないような抑止力に繋がらないものかと考えます。
向き合い、心を通じ合わせることで、皆が実は同じように優しい心を持っていて、互いに傷つけ合う必要性などどこにも無いということがきっと分かる。綺麗事で正論でしょうが、そうあることを人の誇りとして信じたいように思います。

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コメント

SAISEIさん

出だしあまり声が届いて来なくて、あ~これは失敗やったかな、と思ったのですが途中少し飽きた部分も何回かあったものの最後まで楽しく観れました(最近体調が悪い)。

イメージ手塚治虫の『火の鳥』っぽいんですかね? リメイクだったんですね。ごちゃごちゃしてたんですが不思議とあまり感じなかった感はあります。


今日はこの後観劇した劇団ウンウンウニウムも含めて初めて観る役者さんが多そうな日でした… 唄種夢さんはNyan Selectの感想で書かせてもらいましたもんね。あとはスプートニクの川田さんくらいが観たことがある、と認識してる方かなあ…

投稿: KAISEI | 2015年7月21日 (火) 01時24分

>KAISEIさん

声は私も。
出だしにそうなるのは、よくありがちですよね。
まだ役者さんもあたたまっていないのか、その状態で最初に客を掴もうと音楽も大きめなのかは知りませんが、けっこうテンション落ちます。
まあ、そんな中でも、巧い脚本と役者さんの腕で盛り上げたのではないかと思います。

脚本の名乃さんが、けっこうアイディア豊富な方という認識なので、そのあたりの話の巧さが感じられたような気がします。

投稿: SAISEI | 2015年7月21日 (火) 18時03分

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