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2015年6月22日 (月)

POST★GIRL【激団しろっとそん】150621

2015年06月21日 MOVE FACTORY (95分)

おかえりなさい、しろっとそん。
長く待っていた私たちを、迎えてくれたのは、各々の道で成長し、その魅力を高めたメンバーの方々と、その力を結集し、また一つになって創り上げた文化祭と称したとても楽しい時間でした。
いい時間でした。

公演名の作品の他に、1本の短編、そして、その間は、しろっとそんメンバーのフリートークや歌・踊りで繋がれる。
基本設定は、劇団でありながらも、アイドルグループとしての存在となっているみたい。

・姫ちゃん女子会なう。

シンデレラ、美女と野獣のベルが、とりきで飲みながら語り合う。
継母への愚痴、元野獣とののろけ。城での窮屈な生活。プリンセスも色々と大変。
まだまだ、食って飲む。注文を取りに来た女性は、何とお友達のラプンツェル。
話を聞けば、お金が欲しいのだとか。そんなもの、国民から徴収すればいいのに。
どうやら、そうもいかない模様。旦那が浮気をしているらしく、探偵を雇いたいのだとか。
怪しいと踏んでいる相手はアインデール国の王女・・・

ショート作品の大御所、中野劇団はじめ、多くの劇団がネタとする、ゲーム・アニメ・映画等の登場人物の想像する実態を面白おかしく描く作品。
女子を活かし、題材をプリンセスに。そして、女子のブラックさ、男への微妙な恋愛感情が非常によく引き出されており、この劇団のメンバーならではの魅力に溢れている。
題材と役が見事にはまり、かなり面白い作品に仕上がっている。
実はこれだけ観て帰っても満足するぐらいにお気に入り。
シンデレラ演じる宵河くろさんの、変わらぬ切れ味鋭いツッコミ、ブラックさに、ベル演じるしろさんのギャル風の可愛らしくも憎たらしいボケ、天然さの掛け合いが見事。
お二人とも、久しぶりだったが、本当に綺麗になられた。

・POST★GIRL

花の名が人の名として授けられる世界。
花の栽培を専門とするガーディニスト、花の名前を公式に与えるポストマン。この二人が、新しく生まれた者たちの下へと赴き、花とその花の名を届ける。
今は亡き、ガーディニストとしても、ポストマンとしても最高の称号を持つ花の帝王と呼ばれた男、バートンの娘であるポインセチアは、この世界の全てを管理する花屋管轄の名前を手配する専門のオフィス、ネームファクトリーの支配人、カトレアの命により、ある花を新生児に届けることに。

ポインセチアは、優秀だった父に比べるとまだまだ未熟。いつも父と比較されて、嫌な思いをすることもあった。バートンは、ポストマンである相棒と名コンビを組んでいた。しかし、その相棒が花を食することで生きるグラスイーターと呼ばれる人種であったことが判明する。花を愛でる自分たちにとっては、敵となる人種だ。だが、バートンは決して、その相棒を否定するようなことはしない。コンビ解消後も、どう接し合っていたのかは分からないが、その相棒と共に、崖から転落するといった謎の死を遂げている。
何一つ、娘であるポインセチアには語らずに。
そんな、敬愛と憎悪の感情が入り混じるポインセチアの父への愛情。
今回、花を届ける先は、サントリーという町。その町こそが、父が亡くなった場所である。

ポインセチアは、優秀なロゼアという配達人と共に出発する。一人ではまだ頼りないポインセチアであるが、彼女の芯にある花への愛情をよく理解し、誰よりも素晴らしいガーディニストへと成長すると信じているロゼアは、父のことからか自信を持てないポインセチアにとって、最高のパートナーだ。
その途中、問題が起こる。
リナリアを花の名として届ける予定だが、その花が咲かない。
ポインセチアは、ちょっと生意気なリナリアの声を聞き、彼女自身も語りかける。
その中で、リナリアが咲かない、咲けない理由が明らかになっていく。
二人の跡をずっとつけている、バートンのことをなぜかよく知るガマズミと名乗る女性。その女性と通じているらしき、ネームファクトリーのカトレア。
全てが繋がった時、ポインセチアの父であるバートンの死の謎、そして、バートンが花を誰よりも愛し、その花によって誰もが、豊かな心で過ごせる美しき世界を創り上げようとしていた想いが浮き上がり・・・

以前に拝見したPOST★MENの未来の話らしい。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/3030ego-rock100.html
何かに囚われ、自分自身の花が咲かない。咲いてはいけないように思ってしまう。どう咲けばいいのか分からない。
リナリアの陥った状態は、ポインセチアも同じだったように感じます。奇しくもその原因にバートンという存在があったようです。
その囚われているものを、ほったらかしにしないで、見詰める。自分だけで見詰めることが出来ないなら、誰かと語り合いながら見詰める。
そうしたら、そこに囚われているものの正体が見え、それは自分の花が咲くのを抑えるために存在しているものではなく、花咲くための大切な栄養であったことが分かる。
花を咲かすのは大変。でも、咲きたい、咲くんだという心があれば、周囲の人が、きちんと水をくれたり、栄養をくれたり、いい環境を整えてくれる。
ポインセチアには、自分のことを誰よりも分かってくれるロゼア、二人を見守るカトレアやガマズミの存在がある。亡き父、その父と一緒の時間を過ごした人たちの想いも彼女には降り注がれているでしょう。
空回りしていたポインセチアは、自分の花を咲かす、少なくとも咲かそうとし始めたようです。そんな姿は、リナリアにも伝わり、彼女にまた花を咲かして楽しむ時間を与える。
咲かないなんて損。
美しく咲いたリナリアは、これからどんな花を咲かすのか、新しく授けられた命の下へと向かい、その新しい命にこれからの人生の希望を与えます。
咲いた花による、この世界を生きることの幸せを伝える連鎖反応。この不可思議な花の世界が、こうして豊かな心を抱いて生きる人であふれて欲しいという願いは、亡きバートンが大切に考えていたことであり、それがポインセチアにガーディニストとしての大切な使命であるという、彼女が仕事をする上での尊き精神として伝わったようです。

カトレア、たるきりねさん。以前から、こうした支配人のような謎めいた上に立つ者といった雰囲気ですが、それがより一層磨かれているような感じです。この作品の他にも、声の仕事の鍛錬を積まれているだけに、歌、MC、DJとしての姿も披露されます。ご自分の魅せ方に芯があり、それが不思議なオーラ、存在感を醸しているようです。
リナリア、ぼんてんべすさん。言葉を選んで書かないとね。ふんわり、ぼんぼん、ふくよか・・・こんな言葉なら大丈夫でしょうか。純粋でひたむきな空気感は以前と変わらず。悩みながらも、精一杯、懸命に輝き輝かせたいというこの役の本質がそのまま、この方の姿として映し出されているようです。最後に見せる新しい命への優しい微笑みは、さすがは役者としての存在をしっかりと魅せています。

メンバーの方の名前を挙げるように書いてきましたが、大牧ぽるんさんだけまだだな。
彼女は、変わりません。
これは、彼女のことを、魅力的な脚本を描く作家さんとして好きで、役者さんとしてもちょっと抜けたところがあるが、可愛らしく面白いと思っており、何よりもその舞台で表現することへの一貫した揺らがないポリシーを、娘ぐらいの歳の方ですが、尊敬している私から、彼女に伝えたい賞賛の言葉です。
舞台を愛し、そこに集まる創り手、客を含めて、全てを愛しているような彼女。その真たる想いが、今回も多くの人を劇場に呼び寄せているのでしょう。

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コメント

ただいま!SAISEIさん!
前回からありがとうございます。すごくすごく嬉しいです。
やっぱり私はしろっとそんでした。ほんまありがとうございます。この脚本を書けたのは彼女たちのおかげです。
2月、待っています。

投稿: 大牧ぽるん | 2015年6月22日 (月) 11時23分

>大牧ぽるんさん

おかえりなさい。ぽるん。・・・ちゃん
ぽるんさんの人を想う気持ちがしっかりとこもった素敵な作品でした。
まとめあげるのは大変でしょうが、色々な道で活躍する方々の魅力を最大限に引き出して創り上げる作品は、きっと、もっともっと素晴らしいものとなるように思います。
作家、役者、アイドル?としてのぽるんさんも応援し続けますが、やはり、しろっとそん団長のぽるんさんを素敵に思います。
今後も益々ご活躍ください。
お疲れ様でした。

投稿: SAISEI | 2015年6月22日 (月) 18時10分

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