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2015年6月13日 (土)

メインディッシュはちゃうかちゃわん ~それってメインディッシュなの~【劇団ちゃうかちゃわん】150613

2015年06月13日 大阪大学豊中キャンパス 学生会館2階大集会室 (110分)

毎年、このオムニバス公演は観に伺うのですが、疲れますね。感想書くのが・・・
下記の感想を書き終え、今、ようやくこの冒頭部分を書いています。
観るのは気楽なのに、なぜか、毎年、膨大な時間がかかってしまいます。
きっと、新入生の方も入って、いつも以上に様々な人の熱が籠っていることを感じるからでしょう。

今年は6作品中、4作品しか観られませんでした。
今年の印象を思ったまま書くと、だいたい下記のような感じでしょうか。
脚本が非常にしっかりしている。30分弱で短か過ぎず、間延びもしていない良作。
映像の技術が上がったのか、従来のエンタメに巧く溶け込み、より魅力的な舞台が出来上がっている。
上回生の方々の舞台での姿はやはり貫録があり安定、安心感がある。
派手さは無く、じっくりと落ち着いた感じだけど、何か奥に潜んでいる面白さが浮き上がるような役者さんが多い。
新入生、可愛らしい方が多い。
と、これぐらいかな。

・お帰りなさい

高校時代のクラブの同僚、奏と付き合い、今は同棲している大学生の恭一。
なんでモテるのかはよく分からないが、次から次へと女を取り替えひっかえして遊びまくる。
今は、香織という女性といい感じ。あわよくば、その妹までをも狙っている。
そんな恭一の下に、天使が舞い降りる。もちろん、祝福に訪れるはずもなく、天罰を与えるため。
ところが、恭一は悪びれる様子もなく、天使まで口説く始末。呆れた天使はせめてどんな罰かを教えてあげる予定だったがやめることに。誕生日に分かるとだけ伝えて、去って行く。
誕生日。奏からメール。大好物を作って待っているのだとか。
恭一は、それをスルーして、香織の家に遊びに行く。
ところが香織は、自分のことを知らないと言い出す。浮気がバレてご機嫌斜めといったわけでもなさそう。
仕方ないので、そのままナンパ。押しに弱そうな子を狙って、強引に迫って、一晩を共にする。でも、後日、電話をしても、彼女は恭一のことを覚えていない。
恭一は奏の下に戻る。奏は覚えてくているみたいだ。遅れてしまったが、誕生日パーティーもする。自分の大好物もしっかり覚えてくれている。
どうやら、父親や高校の後輩にも忘れられてしまっているみたいだが、まあ、何とかするしかないだろうと気楽だ。
ある日、恭一は奏の日記を見つけて読む。
そこには、驚愕の真実が書き記されていた。
神様が罰を与えるのに、奏だけ忘れないような設定にするわけもなく、実は奏も恭一のことを忘れてしまっている。でも、彼女はそれに気付き、過去の日記を基に、必死に恭一のことを思い出し、たとえ忘れても、変わらず恭一を愛し続けるべく、恭一のことをまた一から書き記していた。その想いは、少しでも恭一のことを知るために、大学を休学までするといった強い意志。
それを知った恭一は合鍵を置いて、部屋を出て行く。そして、さらには、奏が自分のことを忘れて楽になれるように、殺人予告のメールを流し、共に時間を過ごした部屋から奏をしばらく遠ざけることにした。
数年後、彼女の結婚式に恭一は現れる。新郎は敵意を示すが、少しだけ奏と話をする機会を得る。
奏は、恭一のことは全く忘れている。時折、頭の中に無意識に漏れ出てくるようではあるが。恭一は、その姿を見て、祝福の言葉と共に、永遠のお別れをする・・・

ちょっと切ないですね。
自業自得と言えば、そうなのですが、まあ、何か許されるようなエンドであって欲しかったような気もします。
でも二人には、もはや恋愛は成立しなくなってしまうのでしょうか。
こんなことになるまでもそうだったのでしょうが、奏のたくさんの想いを存分に恭一は受け止めて幸せな気持ちを心に秘めて安心しながら、その恭一の想いは数々の女に分散させていたのでしょう。それでも、奏はそこから、不安な気持ちの中、恭一の自分への想いを少しでも受け止めるように努力し続けていた。
これが、もう忘れるようになれば、受け止めることが全く出来なくなってしまうのですから。
想い合っていれば、恋愛が成立するわけでは無く、その想いのバランスが互いに保てるような関係じゃないと、重苦しくなったり、浅くなったりとしてしまうような気がします。
もはや、奏からの想いを一方通行に受け止めるだけになった関係での恭一は、いつかはパンクしてしまうでしょう。だから、去っていったのでしょうか。
そう思うと、恭一の罰は、忘れられるのではなく、自分の想いが相手に伝わらないということだったような気がします。これは完全に孤独で、人を想えないから、もう想われることもない。女遊びのつけにしては、あまりにも酷い罪を受けることになったものです。
恭一、岡本卓也さん。遊びながらも、ちょこちょこと奏への想いを漏れ出す。男の不器用さや調子にのってしまう愚かさを滲ませたキャラが出来上がっているように思います。本当は、結婚式で奏に抱き付いて、思い出して欲しいといった行動を取りたいくらいに、苦しい時間を過ごしていたのではないでしょうか。それが出来ない、男の恋愛に対するしょうもないプライド。そんなことも感じる、かわいそうだけど、よく理解できるような男でした。
奏、田中茜さん。この方も、新人さんだったかな。カーテンコールで挨拶があったのですが、全員の顔を覚えておらず。この温かさを滲ませる空気は何でしょうかね。優しく謙虚でつつましい言葉遣いに、ちょっとした仕草。幸せになって欲しいと思わせる女性像であることが、どうして恭一はこの子を幸せにしてあげられなかったのだという厳しい悲しみを増長させるようです。
天使の岩崎未来さんは、よく受付とかで拝見しますが、久しぶりに役者さんのお姿。どの公演のどの役で、こんなイメージが私の頭の中に付いているのか定かではありませんが、清潔、清純とか清らかな雰囲気がある割に、妙にいけずで底意地の悪いキャラといった印象があります。今回の役はそれそのままだったような気がします。

・ゼウス太郎に内定を

ゼウス太郎。キラキラネームの彼は、ただいま就職活動中。
この世代の親の時代に神様ブームでもあったのか、同期のマスティマたかし、メメント森、ミカエル、ガブリエルらと共に、様々な会社の就職試験を受ける。
最初は、定年退職で枠の空いた次期キリスト。
地球破滅という状況での実技試験。
汚らしい高齢者がウロウロしている。チキンラーメン博物館に行きたいのだとか。こっちは必死なのに冗談じゃないと無視していたが、メメント森はその高齢者の手をとる。自分はサイコパスだとか、一番こういう行動からはかけ離れていた奴なのに。何かが降りてきたみたいだ。
その高齢者こそがキリストだった。メメント森は合格。これで、採用枠も減った。
大した取り得もなく、低学歴でバカにしていたマスティマたかしも職を決める。
ミカエルは、神7に選ばれ、アイドルとなった。
ガブリエルは、どこも決まらないなら、自分で会社を立ち上げればいいと新興宗教を始めた。
自分は神権ゼミで頑張り、学歴も高い。だから、いいところに入らないと。母は、高望みしないでなんて言っているが、これはプライドの問題だ。
ゼウスの頭の中では、周囲の職を決めた者たちや親たちが自分を責めるかのように駆け回っている。
遂に採用枠は0となる。
そんな時に、まさに救う神のごとく声をかけてくれる人が。
よし、ここで誠心誠意、働くぞ。周りの人たちの目は死んでいるが・・・

この作品は、創った人がまさに神ですね。
非常によく出来ていると思います。
確かに就職活動の実態って、こんな感じかな。時期も時期で、本当に神頼みしないといけないような頃でしょうか。
そんな苦しむ人たちを見て、じゃあ、自分たちが神様だったらみたいなことでも考えたのでしょうか。
ゼウス太郎、赤井亮介さん。真面目に考え過ぎで、これまで頑張ってきた自信からかプライド高く、遊び幅が少ない。これは確かに決まらないんだろうなあといったタイプを上手く演じられます。
マスティマたかし、松田義顕さん。おとなしく、あんまり前へは出ないけど、内に何か策略を持っている。この潜んだ感じが気味悪く面白い。
メメント森、西浦勇輔さん。だいたい、この方が全部、もっていってたんじゃないでしょうかね。何でしょうか、この独特の空気は。
ガブリエル、辻このみさん。最初はごく普通だったのですが、新興宗教を開祖してから弾けましたね。就職活動中にこんな感じで狂ってしまう人は私の時もいました。

・カグヤゲドン

思いのほか、美人に育ったかぐや。
お婆さんは、かぐやを芸能界に入れます。かぐや姫の誕生。
かぐや姫は、人気も出て、お婆さんは荒稼ぎ。
でも、そんな日は長く続きません。
月からの使者がかぐやを月へと連れて行ってしまいます。
金に執着するお婆さん、存在の薄いお爺さんは抵抗を試みますが、不老不死の薬と引き換えにかぐやを渡してしまいます。
時は流れ、幕末、黒船来航。
ペリーは、月に連れて行かれた人たちを救うプロジェクトをNASAと組んで遂行している模様。
お爺さんは、突如として現れた未来型ロボットの力や、かぐやが稼いだ大金を使って、NASAに向かい、宇宙飛行士を目指すことに。
不老不死でも若さが足りず、宇宙飛行士になるための体力が追い付かず。
自由の女神と対決して、若返りの薬を入手。
こうして、船長はじめ、お爺さんと3人の宇宙飛行士の乗ったアポロ17号は月へと向かいます。
月でかぐやと再会するお爺さん。
でも、宇宙船のトラブルで、一人だけ宇宙船に乗って地球に帰還できないことに。
お爺さんは、月に残ります。
こうして、かぐやはお婆さんの下に戻り、またアイドルとして金を荒稼ぎしながら、幸せに暮らしたのだとか。
お爺さんは月から、地球を見詰めています。あれから、なかなか来ないアポロ18号を待ちながら・・・

はちゃめちゃですが、筋は通っていますね。
まあ、無茶苦茶な話です。一応、おとぎ話だから、何かメッセージが込められているのでしょうか。よく分かりませんね。
よくよく考えると、本家のかぐや姫の話自体に何か意味があるのかな。単なるこんなことがあったみたいな話でしかないような気がしますが。そもそも、何で地球に来たのか、月に帰らないといけないのかもよく知りません。
お爺さん、山本伊織さん。一人芝居かのように、とにかく動きまくる。時を超え、場所を超え。そんな最後に行き着く、ゆったりと落ち着いて座っている姿は、この物語のラストにふさわしい哀愁漂うものでした。
お婆さん、松嶋菜々子さんは、貫録ですね。堂々と舞台で自由にされている。
船長、谷貴人さん。これまた、貫録の空回りする人のダメッぷりを面白おかしく演じる。
ナレーター、ン・シェリルさん。この作品は実際は語り手がいて、それがこの方。外国の方ですよね。ナレーターというと、一番、言葉多そうで、セリフの展開とか全部把握しておかないといけなさそうだけど。詰まるところがいくらかあったものの、和風の凛としたお姿で、この昔話を楽しむ空気を創られていたように感じます。

・シンデレラは泡風呂に沈んで

女子高生の高橋。気弱でおとなしく、眼鏡をかけているからか、ちょっとどんくさいイモっぽい感じの子。
クラスメートのがさつで柄悪い女の子たちとは大違い。
男子高生の今井。同じく、気弱でおとなしく、不器用そうな、いわゆるいい人って感じの子。
クラスメートのチャラチャラして、ガキのようにはしゃぐバカな男たちとは大違い。
今日も、掃除を高橋と今井は押し付けられる。先生もことなかれ主義なのか見て見ぬふりだ。
高橋は、嫌そうに悔しそうな顔をしながら掃除をしている。そして、今井に悔しくないの、言い返さないのと、自分に訴えるかのように聞く。今井は、いや、別に好きでしてるからとしか答えない。
だいたい、放課後の掃除を押し付けられるので、二人は本やCDを貸し借りすることもあるみたい。この日も、それを返し合って、また明日と互いに家路につく。
高橋はその帰り道、怪しげな研究者に出会う。この薬を風呂に入れて、泡風呂に入ると美人になるのだとか。
とりあえず、帰って試してみると、どうやら本当に効果があるみたい。母親までもが、美人になったと驚く。
次の日から、高橋はクラスのヒロインに。男子は全員、高橋の親衛隊に。女子もすっかり高橋と仲良しに。掃除など、もう押し付けられることなどない。そんなものは、今井一人にやらせておけばいい。
さらには、学校一のイケメンにまで告白される。美男美女カップルともてはやされる。
しかし、高橋の体に異変が生じ始める。顔にしわが出来てくる。研究者に聞くと、この薬は若さを削って美しさを手に入れるのだとか。
嫌なら、辞めればいいという研究者の言葉に、高橋は続けるとしか答えることが出来ない。
学校でミスコンが行われる。
まあまあ美人と、これはないだろうという子が出場。ドレスアップした高橋が負けることは無い。誰もがそう思っていたが、現れた高橋の顔は、しわだらけの醜い姿。
当然、選ばれるわけもなく、周囲の人たちも高橋から去っていく。
一人たたずむ中、今井が高橋に近づく。
自暴自棄になっている高橋に、今井は好きだと告白。
みんなと同じ、綺麗になった私の見た目だけを見ていたのだろう、今のこの顔を見てそんなことが言えるのかと、履いていたハイヒールの靴を投げつける。
違う。今井は、もっと前から、高橋の優しい心が好きで、だから、押し付けられる掃除も一緒に過ごせる時間だから、好きでやっていた。
そんな気持ちを心の底から出し、焦らずゆっくりとやっていこうと高橋に伝える。
チャイムが鳴る。
今井は、高橋に靴を履かせ、魔法のとけた本当の姿の高橋と共に歩き出す・・・

これも巧く出来ている。
最後のシーンなんて、シンデレラをしっかりと彷彿させる描き方となっており、秀逸。
このシーン、観劇の帰り道、LINX'Sプロデューサーの方とお話していて、男が女の手を引くべきだったのではないかと述べられていた。
ただ、不器用な童貞男にそんなシャレたことは出来ないという演出なのかもしれないと。恋愛経験豊富な自分なら出来るけどとも言われていた。
他にも随分と細かくプロデューサー視点で見られているところがあったので、あの方のブログや、会った時にでも話を聞いてみたらいいと思います。
素人レベルでは、微笑ましく、温かさが感じられるラストで非常に良かったと思います。
高橋、大崎詩織さん。最初のイモくさい女、綺麗になった女、老化した女。この方、美人なので、はっきり書いてしまうと、どれも綺麗で可愛らしいと見えてしまうので、疎外、親近、疎外と進む展開があやふやに感じる。メイクでこういうところをクリアするのか、卓越した演じ分け技術を駆使するのかは知りませんが、メリハリが感じられれば、もっと入り込めたかな。それか、もしかしたら、変わらず見えるというのは、恐らくは今井の視点と同じであり、そこに客も同調できているのかもしれませんが。
今井、多田剛志さん。ひたむきでまっすぐ、でも不器用、どんくさいみたいないい人の感じが非常に印象的です。しっかりと心に、この役の想いを抱いているから出る空気なのでしょう。
イケメン、柴田峻さん。この人、何だろう。いきなり出て、思いっきりやらかして去っていかれたけど。飛び道具みたいな感じで、呆気にとられました。
クラスメートの男の一人、木村圭佑さん。まだ、卒業されてないんだったかな。久しぶりに拝見したような気がしますが、やはり、上回生は舞台での貫録が違いますね。舞台に自分の居場所をしっかり作るといった感じが見事でした。

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