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2015年6月21日 (日)

俺の屍を越えていけ【いるかHOTEL】150620

2015年06月20日 B.SQUARE (95分)

6人の中堅、若手社員が、管理職以上の上司を誰か一人選んで辞めさせるという社長命令を下され、話し合うという作品。

凄い臨場感。気が重い会議の空気がひしひしと伝わる。
濃密な話の中に完全に惹き込まれる。個々のキャストの個性的な魅力も栄えている。
また、話がリアルだ。これから、本当にぶつかる問題だろう。
今、44歳の自分は、その時、どちら側にいるのかと思ってみたり。
早ければ、人を斬る苦しみ、遅ければ、斬られる苦しみか。人を斬るよりかは、斬られたいなんて言いたいが、きっともがき苦しむことになるのだろう。
話自体は、これからの若手に斬る想いをさせたくないから、自決するといった形をとる、ある男の姿と、その姿を胸に、今、出来ることをひたすら頑張ろうとする若い人の姿が描かれる。

今、活躍している自分の周囲には、そうさせてくれる環境を整えてくれていたり、かつて自分を指導してくれた先輩や年配の人たちの姿があることに気付こうとするような話でしょうか。同時に、社会問題ともなる、老害みたいなものを、セクハラや最新技術についていけないみたいな単一視点で全否定してしまうことで失うことの大きさも伝えているような気がします。
若者はまだ、未熟だからという理由で、技術的に足りないことや、思慮が足りない行動を許容されることがあると思います。でも、それは、年配の者でも実は同じなのでしょう。年配の者でも、足りないことはたくさんあります。時代に合わない行動を思慮が足りないと言うならそうなることもあるでしょうし。
出来なかったら否定。自分にあるのに、その人に無ければ否定。
そんな否定し合って戦うような関係ではなく、互いに、利用できるところを使い合うぐらいの巧妙さを持って、補填し合える関係があればいいように思います。もちろん、そんな先導は、きちんと年配の者がする責任があると思いますが。

<以下、あらすじを書いていますが、有名な作品みたいなので、調べたら出てくると思いますので、白字にはしていません。ご注意願います。公演は、本日、日曜日まで>

とある神戸の放送会社。
社長の命で、極秘に集められた6人。
アナウンサー志望だったがラジオの制作部配属になった若手の女性。早朝5:00からの番組担当。スポンサー無しの番組なので、誰が聞いているのかも分からない。それでも、今、やれることをと、日常のちょっとした工夫なんてコーナーを設けて、そのネタを毎日、懸命に考えて頑張っている。同じペンネームだけど、毎日、応援のハガキが届く。
そんなのストーカーじゃないのと、からかっているのが、報道部の女性。職場柄か、ズケズケとものを言うたくましさを持つ。
技術部の若手。貝殻、五円玉、サンドペーパーなどなど、様々な物を用いて効果音を作ることに関しては右に出る者がいないと言われているムナカタという大ベテランに師事して、音響の仕事をしている。ただ、このムナカタという男、セクハラ親父らしく、女性陣からの受けは悪い。特に報道部の女性は毛嫌いしている。この会社では、組合員も少なく、かなり力が弱いみたいだが、組合にも所属しており、若手として、こちらでもちょこまかと一生懸命頑張っている。そんな姿が母性本能をくすぐるのか、妙齢の女性社員からはマスコット的な扱いを受けているらしい。もっとも、本人は、ラジオ制作の女性を密かに見詰め、もっと自分に視線を向けて欲しいと思っているみたいだが。
アナウンサーの女性。厳しい世界にいるからか、ちょっときつい感じ。ラジオ制作の若手女性から、出演依頼を受けているようだが、その原稿を見て、厳しい指摘をして場の空気を冷たくする。
組合の部長を務めるのが営業部の男。中堅どころといったところか。組合の長を務めるだけあって、情に厚いようだが、その想いが熱くなり過ぎるところがあるみたい。
営業部の男と同期の制作部の男。こちらはテレビ制作ディレクターをしている花形。最近では、人気番組も任されて、会社に一目置かれている。と、本人は思っている。

遅刻する者がいたり、会うとお互いの仕事の話をぺちゃくちゃ。それと、昨日行われた、突然、辞めることになったウツノミヤという男の送別会の話などで、会議開始は30分遅れてスタート。
一応、司会進行は立場上、制作部の男。
会議の目的は、既に社長から各々が聞いている。
管理職以上の誰かを一人辞めさせる。
管理職だから、そこそこ年配。家族もいることだろう。辞めさせられれば、窮地に陥ることは間違いない。いわば、死刑執行だ。
色々と気に喰わないことはあるのだろうが、辞めさせるとなると話は別。
話は一向に進展しない。
誰かを決めないと仕方がないとは分かっているものの、話が煮詰まると、こんなことをさせる社長や会社はおかしいとふりだしに戻ってしまう。
30分経っても、決まらない。やむなく、各々、紙に誰か名前を書くことに。
そして、それを社長に持っていき、その中から選んでもらう。自分たちにこんなことを押し付けることが間違っているのだから。
制作部の男は、最近、活躍してるので、自分の言うことなら社長も聞いてくれると、その集めた紙を持って、社長のところに。
いったん、解散。

しばらくして、男が戻って来る。
顔色が悪い。
みんなが再び集まり、男は口を開く。まず分かったことは、自分がそれほど会社に大切に思われていないこと。つまりは社長に拒絶されたということみたいだ。
さらには、30分以内に決めなければ、この6人の中から誰かを辞めさせると言われたらしい。
営業部の男はこれは脅しだと発言する。管理職と自分たちでは給料が違う。代わりにはならないはずだから、ビビらせているだけなのだと。
でも、そうでもないようだ。
昨日、送別会が開かれた、突然、辞めることになったウツノミヤ。彼は、実は、これが原因で辞めることになったのだとか。最後はくじ引きとなったらしい。
昨日、最後まで彼と飲んでいた若手の技術部の男が語る。

時間が無い。
自分たちが辞めるわけにはいかない。
先ほど書いた紙を読み上げることに。
ムナカタ2票、アナウンス部長1票、なぜか円広志1票、棄権・社長の横暴に応じないと書かれた無効票2票。
営業部の男は、ムナカタのことを敬愛している。元組合だったこともあり仲間意識が高いこともあるが、彼の技術や人柄は会社にとって大切だと主張する。しかし、セクハラのことや、最新の技術に付いていけていない欠点も指摘される。
アナウンス部長を記したのは、アナウンサー。部下への配慮が無く、厳しいだけの部長は職場の空気を悪くしていると主張。
アナウンサーは営業部の男に言う。ムナカタを辞めさせたくないなら、私に賛同すればいいのではと。
理論的にはそうだが、分かったとは答えられない。結局は、こんなことおかしいとふりだしに戻る。

結局、決選投票をすることになる。もう、こうするしか無い。
結果は、全く同じことに。
残り数分。制作部の男は、安堵の表情を浮かべて、急いで社長の下へ向かおうとする。
それを止めようとする営業部の男。どうして嬉しそうなんだと。
二人が入社したのは就職氷河期。互いにコネも無く、数十倍の倍率を勝ち抜いて、内定をもらった時は抱き合って喜んだ。
制作部の男の語るそんな思い出話がその答えなのだろう。

静まり返る会議室から、アナウンサー、報道部の女性は立ち去る。
技術部の男が言う。自分はムナカタに入れた。ムナカタが、昨日、そうするようにと言ったから。
それを聞き、営業部の男は、お世話になったと飛び出す。
残された若手の二人。
まだまだ、未熟な自分たちは、与えられたその場で頑張らないといけない。
ラジオ制作の女性は、引き続き、自分が出来る形で番組を盛り上げないといけない。技術部の男はムナカタの意志を受け止め、彼の後を継げるように頑張らないといけない。
会議室を去ろうとするラジオ制作の女性に、技術部の男は、ラジオをいつも聞いていることを伝える。
朝の5:00から毎日。そうか、この人か。いつもハガキをくれていたのは・・・

重苦しかった空気が、ようやく少しだけ緩和され、温かくなって終わり。
それは、きっと、ムナカタさんの若手に対する想いと、若手が知らずうちにそれを受け止めて、これからの頑張りに繋げていこうとする姿が感じられたからなのだと思います。
決して万事OKではありませんが、まあ、今日のところはこれで良かったんじゃないのかなといった感じで、自分も会議を終えた感覚を得て、まずまずスッキリして劇場を後にしました。

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