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2015年6月13日 (土)

キンセアニェーラ【baghdad cafe】150612

2015年06月12日 カフェ+ギャラリー can tutku (20分、15分、15分、25分  切り替え、各5分)

次回本公演に向けての試作公演。
3つの15分程度の作品を上演し、最後に各々の作品の説明、PRポイントが語られる。
そして、客はどれかを一つ選ぶ。

イベントとかではありそうな感じだが、これに演劇的な技術を加えて、新テイストの不思議な魅力を醸す作品。
役者さんの言葉と身体から創り上げられるサイケデリックな空間を楽しむ、コレクトエリット風の作品。
時間と空間軸を交錯させ、二つの表現者の物語を描く、sunday風の作品。
こんな感じでしょうかね。
好き嫌いはありますが、各作品とも魅力や期待が感じられ、本公演のレベルにまで拡げたら、面白そうな作品が並んでいます。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

・案劇

新しい手法を用いた演劇スタイルとして、3種類のプレゼン。
(噛む演劇)
セリフを噛んだら、青汁を飲む。殺し屋なのか傷を負った男とその男の話を聞く男の会話劇。噛みやすそうな言葉や早口言葉がセリフに盛り込まれる。
さすがは役者さんだなあという凄さの方が印象強い。それだけに何回も噛むと面白いよりもイラダチの方が。そして、なぜか話の内容が全く頭に入ってこない。
(ズレる演劇)
台本のセリフが一行ずれてしまったみたいな感じで、違う人の役のセリフを喋りながら、動きはその人の役。ヤンキー高校生の会話劇。
これは難解でどうやっているのかなあ。観てたら、混乱するのか、自分の本来喋るセリフは口パク。結局、全ての役のセリフを全部覚えるみたいな感じなのだろうか。最初は二人の会話劇。それだけなら、まあ出来るものなのかなと思っていたが、後半もう一人入ってくる。単純に凄いものだと。
(しりとり演劇)
文字通り、しりとりでセリフを繋げる。
なかなか、寝付けない夜、男はしりとり妖怪の話を女にする。その妖怪は、しりとりで会話を繋げさせる。んがついたら終わり。その人は食べられてしまう。そして、残された者は、その会話を永遠に続けさせらる。そんな話をしていたら、女は気付く。会話がしりとりになっていることを。これは、妖怪がいるというサイン。女がそう言った瞬間、二人に暗闇が訪れる。もう一回やり直し。妖怪にやられたのか、横たわった女と男が同じ会話を繰り返す。間にはそれを繋ぐ妖怪の姿が。また、やって来る、んがつく瞬間。男は永遠に彷徨い続ける。
当たり前ですが、やはり創作家は色々と考えますよね。最初にしりとり演劇と聞いた時は、ありがちなネタだし、しりとりだけじゃあなあと思って、怪談風にしていると聞いても、特に魅力は感じなかったのですが。実際に作品を観ると、まあ巧く創られるものだと。

・チル、アウトバーン

白いハットに、白いスーツ。靴も白。酒瓶片手にダンディーなこの男が、踊り出す。
そして、かつて恋した、15も年上の女性、チルが現れ、彼の思い出が蘇る。
チルという女性は3人で表現されている。単調な仕草や言葉の繰り返し。そこにわずかな動きのズレを出したり、エコー、スロー、音飛びなどの声で、そのサイケデリックな空気を創り上げる。
かつて観た中では、コレクトエリットみたいな感じだろうか。よく何のことか分からず痛い目にあうことの多いコンテンポラリーよりも、動きや言葉において明確な情報は多いはずなのだが、非常に苦手な作品。コンテンポラリーを観る時は、だいたい勝手に話を頭の中で作って観てしまうのだが、この手の作品はそれができない。話はきちんと明確にあるにも関わらず。
恐らくは、動きや言葉は、そのほとんどがダミーで、話を知る情報としては機能していない、させていないのだと思う。その全体の空気から自然に浮き上がってくるようなものを話として捉えないといけないのだと思っている。
よく分からない。これに尽きる感想となる。15分という短い時間で冒頭だけを上演。なかなか、これでこの作品の魅力を頭の中で膨らますのは難しい。他作品よりもプレゼンとしてはハンデがあったように思うが。

・作演不在最終公演

男は知り合いの女と一緒に、クラブなのか飲み屋なのか分からないが、騒がしいところへ。男は心ここにあらずの状態。トイレでいらだつ気持ちを抑え込もうとしていると、女がハイテンションで入って来る。このどうしようもない気持ちを女にぶつけそうになるが、すぐに冷静になって気を落ち着かせる。少し驚く女を席に戻し、もう一度、トイレで気を落ち着ける。高まる感情をトイレの鏡にぶつける。
男は、洋服買取店で仕事をしていた。そこで、買い取り商品の横流しみたいな横領行為をしていたみたい。それを店長に見つかる。店長が女性だからと、なめていたわけではないが、ひどい剣幕で叱られる。そして、本社は法的な措置をとることを決めたらしい。警察に捕まるかも。男は携帯の着信音や町に鳴るサイレンにすら反応し、自分のこれからに怯える。幸い、おばあちゃんが店に賠償金を払ってくれることになった。でも、こんなことになったのだから、今しているバンドはもう辞めよう。
ところ変わって、喫茶店で劇団員と元劇団員が話をしている。
演劇の必要性を感じなくなった。次回公演を最後にするつもり。三作品のカフェ公演。元劇団員は辞めてはいけないと立ち上がるが・・・
多分、時系列的にこういう話だったと思うのだが。時系列をバラバラにして、空間の異なるバンドの男と劇団員の辞める話とかを、同一シーンで見せる。
鏡を割った後の右手の包帯とか、後々考えると時系列を再構成するヒントは隠されていたのだろうが、なかなか難しい。役者さんも幾つかの役を切り替えるので、混乱は避けられない。この手の作品は、最後にどこかに時間と空間が収束するはず。これが15分では見られないので、混乱とどうなるのだろうかという期待を抱くにとどまる。

・キンセアニェーラ

お茶会。
乾杯をした後、各作品のプレゼン。
客は次回本公演で上演して欲しい作品を選ぶ。
10分ぐらいのシンキングタイム。この間は、役者さんが客席を回って話をしたり、客同士で議論をする。
こういうのちょっと苦手。短時間で感想をまとめられるほど頭の回転が良くないから。
ちなみに私が選んだのは案劇。
チル・アウトバーンは恐らく、この劇団に一番似合った作品なのだと思うが、わざわざ苦手なものを選ぶのには抵抗がある。でも、この劇団が上演するなら、必ず観に伺うだろうから、勉強にはなるかと少し迷うが、やっぱり。
不在公演は、15分でこれだけ混乱するなら、本公演ではもっと痛い目を見ることになるはずだ。sundayとかと似た感じになるのかな。ただ、話としては面白そうだし、最後まで観たいという気持ちは大きい。本当はこれでも良かったのだが、どうせなら、どう考えても本公演ではやらないような案劇を、どう仕上げるのかの方に興味を持った。
この日の客が選んだ最終投票結果は案劇だった。と言っても、6票。他の作品は共に5票。
他公演日でも同じことをして、最終結果が発表されるらしい。
まあ、どれになっても、興味はある。ちょっとチルは個人的に厳しいが・・・

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演劇」カテゴリの記事

コメント

13日(土)11時~観劇。

バグダッドカフェは『リターン☆プラネット』が初めての観劇でしたが私的にイマイチやったんですね(苦笑)ハシゴで観たミジンコターボの解散公演千秋楽の方が自分にあった記憶が残っています。ただ泉さんに対する高い評価は聞いていまして匿名劇壇の杉原さん目当てで行った泉さん作演の『坊っちゃん』が面白かったのと火曜日のゲキジョウの『彼女って必要?』(一瀬さんと松本さんの演技が良かった)が火ゲキ個人ベスト3に入っているので今回も楽しみにしてました。


まず思ったのは男性役者の巧い人連れて来はるな、と。泉さんがバグは女系劇団やし、みたいな言い方されてました(笑)し今回は一瀬さん・松本さん目当てで行ったので。


私も『案劇』に票を投じました(笑)私の時は8票案劇でした。あとは6票と5か4やったと思います。たぶん(笑)あの3作品をあれだけ観ただけやったら案劇が一番魅力的やと思いますよ。


【案劇】
「噛む演劇」
家に帰ってから覚えている台詞を言ってみましたが噛む噛む(笑)流石ですね。近藤さん・吉田さんともステキな役者さんで。印象に残りました。御二人とも噛むと言うほど噛んだあらへんかったな。近藤さんの方が難しい

投稿: KAISEI | 2015年6月19日 (金) 01時44分

台詞だったと思いますが(笑)


「ズレる演劇」
これもよく思いついたなあ、と。まあ脚本書いてるときにズレちゃうことがあるのは私も原稿(会話文。戯曲じゃないですよw)書いたりしたことがあるのでわかるんです。それを実演するとはね。近藤さんと辻さんと吉田さんでしたよね? お三方の動き合ってましたね~


『しりとり演劇」
2VS2の記事のコメントにも書きましたが私は声のイントネーションや強弱のつけ方に魅力を感じるタイプみたいで一瀬さんいいなあ、と思って観ていました。火ゲキから一瀬さん好きになったのですが『リターン☆プラネット』や満月動物園の時はあまり印象に残らなかったのは好みなのかなあ、と思います。近藤さんの台詞回しも大好きで二人のやり取り最高でした。


ショートでこんだけ楽しめたのは初めてかな。ネタはとても私に合ってました。


【チル、アウトバーン】村山さんの存在感が印象に残っています。あとエコーをきかせたっぽい台詞とか。技術はともかくあれだけやと難しいですよね。


【作演不在最終公演】
これも一部分だけやと分かりにくいですよね。時系列がバラバラやし。難しかった。

投稿: KAISEI | 2015年6月19日 (金) 01時47分

>KAISEIさん

結局、作演不在最終公演に決まったみたいですね。
まあ、ある程度の長編になれば、複雑さが逆に緩和されるでしょうね。

不思議と惹き込まれる役者さんというのがいて、そのオーラもありますが、確かに言い回しの妙はありますよね。
私は、今はあまり少なくなりましたが、学会発表とかの時は、苦手ながらも、少なくとも起伏は意識していたものです。
そのためには、何度も何度も発表練習。原稿はあるけど、全部、自分の言葉となるように。演劇も同じなのかもしれませんね。

投稿: SAISEI | 2015年6月22日 (月) 17時55分

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