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2015年6月20日 (土)

ツキノオト【満月動物園】150619

2015年06月19日 シアトリカル應典院 (140分)

この劇団、初観劇作品。もう5年前になりますか。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/100813-b52c.html
今では、当たり前になった、この劇団特有の美しい舞台の空気に、なかなか感動していたようです。
あらすじは書いていないのか、少し変わったのか、よく分かりませんが、基は同じですが、ずいぶんと膨らんだような気がします。

想いを通じ合わせることって、本当に難しい。
きっと無理に引きずり出すことをしてもダメだし、ただ待っていても時間が経つだけ。
結局、そこに想いがある。これに寄り添って、人を信じていかないとしょうがないのかなと感じさせられました。
そして、人生というのは、限られた時間。その限られた時間にいつ終わりがくるかは分からない。生死を分かち合うことで、そこにあった想いが消えるだけなら、まだいいような気がします。残される生きる者にとっては、別れによって、伝えられなかった想いは、悔いや悲しみに変わってしまい、苦しみを生み出す。だから、限られたその時間で、少しでも、人の想いを感じ合いながら、喜び、楽しみを生み出し、幸せな時間を過ごしていきたいとも思わせられるような話でした。

<以下、ネタバレしますが、再演作品なので、白字にはしていませんのでご注意願います。公演は日曜日まで>

ある日、突然、交通事故にあって跳ね飛ばされる彩子。
まだ、死にたくない。今日、プロポーズされたばかりなのに。
その願いは、すぐ近くにいた死神によって叶えられる。正確には、本当は死ぬ予定では無かったらしい。サンタからとらばーゆしたばかりの新米死神なので、周囲が見えず、自分のことを喋り過ぎて、いったん死んでしまうのだが、偉い神様に叱られるので、生き返らせてくれることになる。とんだ大失敗だ。
さらには、死神は口が滑って、彩子がいつか観覧車が倒れて死んでしまうことも話してしまう。
それでも、彩子は今は死にたくないと生き返らせてもらう。たくさん、いいことをすることによって得られる立派な魂と引き換えに。
彩子は気付くと、血まみれで、朱鷺という女性の部屋に。どうやら、ここまで飛ばされたらしい。救急車が到着するまでの間、ソングライダーを目指す朱鷺は彼女の美しい歌声を聞きながら過ごす。

それから数ヶ月後。
瑠璃という男が、彩子を尋ねる。プロポーズをしたあの日から、数ヶ月間、放ったらかしだったらしい。決して男が冷たい訳ではない。彩子が、誰にも連絡せず、携帯も壊れて変えていたりして、瑠璃もどうしようも無かったらしい。彩子のこんな大雑把な性格は今に始まったものではない。
そして、迷惑をかけたお詫びなのか、朱鷺と同居している。
とりあえずは、彩子の怪我も完治し、以前と変わらず元気そうなので安心する瑠璃。
ただ、彩子のそばには常に死神が付いている。彩子にしか見えない。生き返らせる契約である立派な魂を得るために、口うるさく色々と言ってくる。
友達なのか、二人のサンタの格好をした死神も一緒。サンタのリストラは相当、深刻みたいだ。
こんなにも彩子に死神が憑りついてるのは、三人の死神は、彩子のかなり昔の子孫に当たるからみたい。と言っても、かなり昔なので、かなりの確率で祖先とはなるのだが。
その中でも、事故の時に出会った死神は、自分が産んだたった一人の娘である、彩という女性から引き継がれた唯一の子孫が彩子であるらしい。

人だからいつかは死ぬ。その時は明かされていないものの、どうやって死ぬかを知ってしまった彩子。当然、ショックは受けるが、ただ、その時を待って生きるのは嫌なのか、逆に観覧車に毎日乗るという行動をとる。
彩子は、両親に非常に大事に育ててもらい、彩子自身も互いに想い合っているそんな両親を敬愛している。しかし、実の両親では無いことを中学生の時に知る。その時から、迷惑をかけてはいけないと思ったのか、自分の想いを人に伝えることを辞めてしまう。

彩子はイベント会社に勤めており、忙しい毎日。
年上だけど、職場では後輩の浮気からの夫婦喧嘩に足を突っ込んだりして、気弱な朱鷺のオーディションに一緒に参加したりして、人のことばかり。
自分の方はと言うと、結婚話もほったらかしの状態。
近々、後輩夫婦の仲直りの話し合いの場にも一緒に付いて行ってあげることに。

瑠璃は組紐職人。
まだ未熟なので、なかなか満足いく組紐が出来ない。周りの職人は全く教えてくれない。
本当は結婚式の衣装に、最高の組紐を使ってもらおうと思っていたが、どうやら間に合いそうもないので、今、作れる最高の品をプレゼントする予定。
でも、肝心の彩子が忙しくて、なかなか会えない。結婚に関して、どう想ってるのかもなかなか伝わってこず。人が何を考えているのかは、なかなか分からないものだ。感じ取れる日までひたすら待たないといけないのか。
そんなちょっとした不安や愚痴を、組紐を卸してる問屋の事務の女性に語る。
この女性、夫の浮気が原因で別居中。あまり、相談できる相手では無いみたいだ。
それどころか、逆に相談を持ち掛けられる。大晦日に、夫と話し合いをするので、一緒に付いてきて欲しいと。
そんな現場を、友達の死神二人組が目撃。浮気ではないかとワイワイ騒いでいる中、かつてのサンタの仕事が無意識に出てしまい、部屋にあった靴下に、瑠璃の組紐を入れてしまう。問屋の事務女性は、それを自分への想いと勘違いした状態になる。

大晦日、瑠璃と彩子は二人で時を過ごすこともなく、互いに人から依頼されている用件で出掛ける。ところが、二人は出会う。別居中の夫婦の話し合いは、どうやら彩子の後輩と瑠璃の卸先の女性だったみたいだ。
話し合いは、問屋の女性が勘違いしていることもあって、ややこしいことになるが、まあ何とか落ち着く。
二人の仲違いは根深い。後輩は真摯に愛している気持ちを露わにしている。でも、女性は、結婚において、その覚悟が足りないと思ってるみたいだ。
でも、想いをひたすら伝えようとしている男と、それを受け止めようとはしている女性。いつの日か、またよりを戻す日が来るのだろう。
こんな夫婦みたいに喧嘩をしているわけではないが、自分たちはどうなのか。瑠璃と彩子は心のどこかで、想いが通じ合えていないことに不安を抱えている様子。

瑠璃と彩子の、ズレは徐々に大きくなっていく。
朱鷺が、瑠璃に想いを寄せ始めてしまう。気弱だけど、その歌と同じように、想いを伝えることに関してはストレートなので、告白をしてしまう。
そんなこともあり、瑠璃と彩子は二人の関係に、互いに自信が無くなったのか、不安が溢れるくらいに大きくなってしまったのか、距離を置くことに。

瑠璃は、いつまでたっても、上手く出来ない、よれよれの組紐を眺め、それでも決して切れてはおらず、結びついていると自分に言い聞かす。
瑠璃の妹は、よく彼氏とケンカをする。妹が優位な立場なのか、男を追いかけず、ただ向こうがくるのを待つ。男は想いが通じるまで追いかけないといけないのか。そうしたら、相手の想いを知ることが出来るのか。
彩子の母は、結婚したら、離婚すると言い出す。あんなに素敵な関係だったのに。彩子は、この時初めて、二人はずっと一緒にいて欲しいと、自分のわがままを口にする。母は、そのわがままを彩子が心の底からの本当の気持ちをぶつけてくれたと喜ぶ。彩子は、人に想いを告げること、受け止めてもらうことの喜びを知ったみたいだ。
でも、気付けば、彩子は一人だけになっている。朱鷺は、オーディションがうまくいき、事務所入りのために引っ越して行った。

彩子は、一人観覧車に乗る。正確には死神と一緒に。
後輩からは、今日、もう一度妻にプロポーズをすると聞いている。確か、初めてのプロポーズの時は、河川敷で打ち上げ花火を見ながらしたと聞いている。だったら、観覧車の一番上から、花火を打ち上げてやろうと考えているみたい。
瑠璃は朱鷺と会う。瑠璃と彩子の仲がおかしくなったことは自分のせいだと思っているみたいだ。そして、彩子が大切にしていた物を部屋から持ち出して、瑠璃に渡す。
それは、和模様の生地をつなぎあわせたハンカチ。彩子の母が、出社する夫に常に渡し続けていたと聞いている。
それが何枚も何枚も大切に箱にしまわれている。ずっとずっと、彼女は自分のことを想いながら、それこそ、入院している時ですら、これを作り続けていたらしい。
瑠璃は、彩子に会いに向かう。今、伝えたい言葉がある。
はるか先の観覧車を見る。
そこに観覧車は無い。轟音と共に、観たことの無い景色が広がっている・・・

あまりにも哀しく切ないラストに涙はしますが、エピローグで、永遠のお別れにはなってしまったけど、そこに愛があったから、生死で分かたれても、二人は幸せな時を過ごすことを描いています。
前作で拝見した、ツキノウタは、生まれてきてはいけないと思って、孤独や悲しみの中に入り込んでしまったような人が描かれていましたが、このあたりは似ているところがあるでしょうか。
彩子は、想われてはいけないと、自分の生い立ちから制御がかかってしまったようです。想いの受け止め方が分からないと、想いを伝えることも出来なくなってしまうものなのでしょうか。子供の虐待における負の連鎖みたいなものを感じてしまいます。
それでも、彩子は、人の幸せを願い続けていた。想いが無いのではなく、それが外に出てこないだけだということが分かります。現に、人を想う心を内側でしっかりと育んで人生を過ごした彩子は、立派な魂となって、あの世へと向かったことがラストに描かれています。

その内に潜んだ想いを感じ取るためにはどうしたら良かったのでしょうか。待ち続けていてもダメ、追いかけてもダメ。寄り添うという言葉がふさわしいのか、そこにある想いに身をゆだね、信じることなのでしょうか。
作品中に描かれる、様々な人同士の想い合いの姿は、どこか根底に愛があることは分かりますが、色々過ぎてで、その答えは分かりません。
ただ、言えることは、この作品のように、人はいくら想い合って、愛し合っていようとも、死という永遠の別れが突然、襲い掛かることがあるということ。
その時、内にあった想いは全て、悔いや悲しみを生み出す要因になってしまう。生きていて、それを外に向けて発信できれば、想いは喜びや楽しみになる一番の源なのに。
そのことを意識して、限りある時間、私たちは人への想いを通じて、より豊かな時間を過ごしていかなくてはいけないように感じます。

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コメント

6月21日11時~観劇。


満月動物園3回目の観劇で慣れてもきたのか初めてバチッと感覚が合いました。『ash melody』がまずあまり肌に合わなかったのは『ツキノウタ』の記事へのコメントにも書きましたが『ツキノウタ』も評判ほどではないなあ、と言うのが前回までの本音だったんです。あれでも抑えて書いてたんですね~(笑)


それで今回の記事など死神シリーズの記事を全部ザッと読ませてもらって笑ってしまいました。何か死神シリーズへのアプローチが私SAISEIさんと同じなんですよ。


まず芸術性が高そうで敬遠(私は『ash melody』がこれに当たるかな)→『ツキカゲノモリ』は観てない(12月唯一観られる時間に20年ぶりくらいのアルバイトの同窓会が入ったw)→『ツキノウタ』が死神シリーズ初観劇(SAISEIさんは『ツキノオト』)。死神の平易な台詞回しが好きでない。ホンマ辿ってきた感覚が一緒で(笑)


で、今回メチャ感動しました。最前列の舞台に向かって右端で観劇したので役者さんの表情もよく見えたのもあるのかなあ。隣の年配の男性が〔しっかり観たはったんですが〕時計を何回か見たり本を私の足元に落とさはってすぐに拾わあらへんかったせいで私が足を組み換える度に気にした素振りをしたはったのが気になったくらい。でも物語に引き込まれました。2時間20分そんなに長く感じなかったかな… あっ、上演時間書いといてくらはって助かりました。14時~壱劇屋入れてたので(笑)


月曜劇団の上原さん演じる瑠璃(月曜劇団はまだ未観劇。上原さんは『君はアカツキの星』などで観たことはある)良かったです。たぶん上原さんの演技が私と合ったのもあるんでしょうね。ステキな役者さんで。


彩子役の河上さん(前の記事名前川上になってましたねw)も今回の役で好きになりました。いやいやもうステキとしか言いようがない。言葉不足ですが(笑)


ニビ役の丹下さんも何回か観ているはずですが今回ので完璧に落ちましたね。もうね。ステキとしか(笑)


珊瑚役の竜崎さんも何回か観ていますが前回も印象に残ったはずですが今回で完全にノックアウトされました。表情見てたらステキ(笑)過ぎる。ははっ(空虚な笑い)


こうやって深みにハマっていくんでしょうね(苦笑)


最後に今回の5タイトル連続上演『ツキノウタ』と『ツキノオト』公演順入れ替えはったんですかね? 理由ご存知ですか?

投稿: KAISEI | 2015年6月23日 (火) 07時11分

>KAISEIさん

このシリーズ、劇団もかな、慣れがいるんじゃないですかね。
私も、最初は、美しく温かい作品を創られるなと思って、このタイプは好きなはずなのですが、どうも苦手意識もあったような気がします。
でも、今、普通に好きですもの。

記されている役者さん、これからも観るたびに好きになられると思いますよ。
私は上原さんの妙な安定感、そして竜崎さんの可愛げのある存在感が印象に残ります。

公演順番、どうしてだろう。
ツキ・・・と、私自身もどれがどの話だったか、ブログ見ないと思い出せなくなるくらいに混乱しているしなあ。

投稿: SAISEI | 2015年6月24日 (水) 09時27分

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