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2015年5月11日 (月)

SHOW UP in 船場サザンシアター【劇団ショウダウン】150510

2015年05月10日 船場サザンシアター (30分×2 休憩10分)

いやあ~、唖然としましたね。
まず、公演自体の感想は、まあまあ面白いです。緩く出来上がっている2作品なので、強烈に心を震わせることはないにせよ、さすがはショウダウンで、どんな作品にも熱をしっかり入れ込むだけあって、えらい丁寧に真摯に創り上げているなあといった感じです。
唖然としたのは、為房大輔さん(劇団ZTON)。ZTON本公演を2回しか拝見していないので、この方は、人の倍速で動く殺陣師で、影あるキレる悪人といったかっこいいイメージで固定化されていますから。
それが、あんなことやこんなことを・・・
う~ん、凄く好きになってしまった。素敵な人は何をさせても、やっぱり素敵なんだなあ。

・Bayonetta

特殊な銃剣、バイオネッタを扱う鍛錬を積んだ女戦士。
熱意溢れる新人ほやほやと、一応、冷静沈着なちょっと先輩の二人は指令を待つ。新人は早く戦いたいと血気盛ん。先輩はそんなすぐに私たちなんかに指令はこないと温度差のある二人。
ところが国王からの勅命が下る。指令を読み上げる上司はどこか哀れみの目で二人を見ている。指令は魔王討伐。
意味が分からない。これは罰ゲームだと訴える先輩に上司は頑張れとしか言えない。新人は既にやる気満々で旅支度を整えている。
そんなこんなで魔王討伐の旅に出る二人。着いた先は魔王城。
すぐに潜入して魔王を倒そうとする新人を諌める先輩。そういうもんじゃない、RPGの世界は。レベルを上げて、苦難の末に倒さないと。
二人はスライムを倒し、経験値を稼ぎ、金を巻き上げ、村人たちの大切な畑を荒らして薬草を手に入れ、家の壺を割りまくって軍資金を貯める。
レベルも上がった。再び、魔王城に向かう二人。
待ち構えていた魔王は実に消極的。魔王を倒して世界に平和をみたいにテンション上がりまくっている二人への対応に苦慮する。
とりあえず四天王を倒してからと、問題を後回しにするが、・・・

よくあるRPGネタ。私の知る限りでは、中野劇団の短編集みたいな感じでしょうか。これに、この劇団らしいハイテンポな掛け合いが入り込んで笑いを誘います。突進、抑え、困惑と登場人物の役割が明確で、よく練られているように思います。また、掛け合いのテンポの巧みさは抜群で、バイオネッタのお二人はこの作品と同じように、かなりレベルを上げて、得体の知れない魔物のような観客たちに対して戦いを挑んできたように感じます。
手応えはどうだったのでしょうか。私はバイオネッタのお二人の可愛らしい掛け合いに、まさかの為房さんの三枚目にやられて、負けを認めて財布から2200円を落としてきてしまいましたが。

・コンフェッション・オブ・ザ。デッド

会社の女先輩と後輩。後輩は途中入社で年齢も少し上だが、この先輩には逆らえない。とにかくグイグイくる人で、プレデターなんてあだ名がついているくらいだ。でも、隠し事もなくサバサバしていて、ある意味、豪快な気持ちのいい人で後輩も決して嫌いじゃない。まあ、女としては自分の理想像からは、ストライクゾーンを大きく外れた大ボールではあるが。
ある日、遅くなって先輩に車で送ってもらう。運悪く、飲酒運転の車に正面衝突。
後輩がふと気付くと、看護士さんたちの会話が聞こえる。まだ、若いのにかわいそうに。まだまだしたいことがたくさんあっただろうに。24時になったら、きっとお迎えが来るね。
時刻は23時を回ったところ。そうか、先輩は・・・
振り向くと先輩がいる。五体満足でピンピン。いつもと変わらないべらんめえ口調で元気一杯だ。遊園地に行くぞ。後輩は連れ去られる。
夜中にも関わらず、遊園地は開いていた。先輩は雰囲気どおり絶叫系が大好きみたいで、後輩はフラフラ。少し休みたいとメリーゴーランドを提案したが、ガキかと却下。ティーカップで妥協したが、それもクルクルに回される。正直、もう帰りたい。
でも、一緒に時間を過ごしていると、彼女の荒々しさの中にも、気遣いや優しさが見えてくる。きっと、先輩は自分のことに気付いている。自分は先輩の心残りを少しでも無くしてあげないと。
24時までだからな。後一つぐらいしか乗れないだろう。お前の好きなのを選ばせてやる。
そんな先輩の言葉に後輩は困る。だって、彼女いない歴イコール年齢の自分は、女性とこんなところに行ったことなかったから。そういえば、愛する彼女といつか観覧車に乗ってみたいなと思っていた。
後輩は先輩と観覧車に乗り込む。てっぺんまできたら、町の風景が見えている。会社の電気が点いている。こんな時間に何をしているのやら。
会社のバカ野郎、上司のバカ野郎・・・、そして、自分のバカ野郎。そう叫ぶ先輩は、もうすぐ終わる自分の人生の悔いを語り出す。
そういうことか。先輩はやっぱり優しい。そしてやっぱり強い。先輩は気付いていた。自身のことを。そして、自分のことも。気付いてしまった自分なんて、怖くて怖くて。
そんなことを思いながら、後輩は・・・

オチがどうなるのかなあと思いながら展開を見守っていました。実は死んでたのは後輩みたいなブラック系、先輩と後輩の想いが通じ合うけど生死の別れがやって来る切ない恋愛系、後輩の先輩への真の想いが彼女を救う感動系、遊園地のアトラクションで気を失った後輩の夢オチ系・・・
実際は、そうか、普通に考えればそうなるわなといったものでした。英語がもっと出来れば、作品名からオチも推測できましたね。コンフェッションなんて単語、知らないから。
遊園地は後輩の夢、心残り。自分のせいで後輩を死へと巻き込んでしまった先輩の最後の罪滅ぼしだったようです。
もちろん、誰のせいでもない。運命といえばそうだったのでしょう。きっと、人生の最期にどこか、親しみを感じているのに距離のあった二人が近づく時間を与えられたことも。
二人の続きは、これから二人が向かう光の先にある来世でまた始まるのではないでしょうか。
先輩の償いの念は、後輩はもちろん、この遊園地での最後の時間を与えた神様に許され、二人に素敵な来世を用意してくれるような気がします。

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