For スマイル【プロデュースユニットななめ45゜ 白木原一仁ソロマイム公演】150510
2015年05月10日 インディペンデントシアター1st (60分)
う~ん、素晴らしい。感動。
3年前にINDEPENDENT一人芝居フェスティバルで30分バージョンを拝見。
(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/independent12-1.html)
印象に残っている作品ではあり、パイプをくわえる姿がとてもお気に入りで、今回もネクタイ柄、タイタック、カフスと全部パイプに統一しての観劇。
にしても、ここまで感動するとは。
何だろう。始まってすぐに、前に拝見した時に比べて、妙に心に響くなあと思っていたが、35分で涙が出てきてしまいました。
いいです。心に沁みます。素敵でした。
海に囲まれた家で一人、暮らしているおじいさんを描いた作品。
最初の方は、家が海に沈まないようにレンガを積み上げながら、日々、魚を釣って食料確保したり、パイプをくわえて、ワインを楽しんだりと今の暮らしをちょっとコミカルに描きます。
そこから、記憶をたどるかのように、記憶の海の中に潜り込んでいきます。
娘が生まれ、成長していく。
ご機嫌とって、オシメも変えて、泣いたら抱っこして、無理して肩車して。
映写機のフィルムには、そんな楽しい時間が刻み込まれているみたいだ。
やがて、愛する人を連れてきて、父親の威厳を見せたり。
そして、おじいちゃんになる。
笑顔。いつも、笑顔を授け、笑顔を与えられてきた。
でも、そんな楽しい時ばかりではない。
記憶の海は悲しい過去も映し出す。大切な人や物が全て、流されてしまった時も。
それでも、分かつことになった者との大切な思い出、残された者の明日のために、笑顔を振り絞る。
記憶の深層にさらに潜り込む。
幼き頃。自分もそうだった。
笑顔で遊び、親に笑顔を見せて、親もそれに応えてくれて。
愛する人と笑顔を共有したいと思い、家族ができた。
愛する妻や娘、ちょっと気に入らないけど絆を築いた娘の旦那、可愛らし過ぎる孫。自分の笑顔がこみ上げてくるようなかつての時間は、きっと自分の幼き頃の親にも通じている。
ずっと世界は繋がり続けている。
誰かのため、自分のため。
分かつことになった人、残された人のため。
みんなに笑顔を。
たった一人のおじいさんができることは今も何も変わらず同じ。
おじいさんはレンガを積み上げる。
記憶の海に溺れないように。
扉を開ければ、全ての大切な思い出が溢れ出てくる。
何度でもその思い出を噛みしめて、笑顔で明日を迎えられるように、今を過ごす。
そのレンガがやがて、天にたどりつくその日まで。
観終えて、自分の中に出来上がったおじいさんの物語。
今も、パイプをくゆらせ、ワインと魚を数々の思い出と共に楽しみ、明日、浮かべるだろう素敵な笑顔を信じて、人生の時間を積み上げていくおじいさんの姿が思い浮かびます。
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コメント
ご来場、ありがとうございました!
パイプで揃えて頂いていたとは!
ちゃんと見れば良かったー。
去年の5月にやるはずだったのですが、白木原の体調が悪く、直前に延期になってしまいましたので、今年は公演する事が出来て本当によかったです。
今後も、この作品と向き合い、更にいい作品にしてお届け出来ればいいなぁと思っております。
ありがとうございました。
投稿: 秋津ねを | 2015年5月12日 (火) 10時57分
>秋津ねをさん
コメントありがとうございます。
また、この公演の時は、パイプセットできめて伺います(゚▽゚*)
本当に良かったですわ。
心に沁みる見事な作品。
この作品含め、また色々と観たいですね。
お疲れ様でした。
投稿: SAISEI | 2015年5月13日 (水) 02時18分