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2015年5月 2日 (土)

透明人間【唐組】150501

2015年05月01日 南天満公園 (115分、休憩10分含む)

唐組は、鉛の兵隊、桃太郎の母に継いで、今回で3回目。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-7756.html

いつもどおり、さっぱりでした。
何か気味悪いくらいにおかしくなっている人もいっぱいいました。
ただ、これまで拝見した3作品の中では、一番、面白いという感覚が残ります。たぶん、不条理な設定や姿恰好だけでなく、掛け合いや言葉としての笑いというか、ブラックジョーク的なものがたくさん含まれているからかもしれません。
そして、ちょっと泣けます。
遠き日に想いを残して消えていった者たちが、今の時代に何かを成し得たい、より良き日々を創り上げたいという繋がった想いを通じて現れたかのような感じで、その深き想いみたいなものが心を震わせます。

水を怖がる犬の噂。狂犬病の疑いありと、保健所員の田口は上司命令で飼い主を訪ねる。
そこは焼き鳥屋。客席もあるその二階の押入れに飼い主の合田と時次郎という名の犬が住んでいるという。
焼き鳥屋では、モモというあまり喋らない女が働いている。田口と賭けをした上田という男の妹で、女っ気が全く無い家族だった田口の妹に一日だけなるみたいな話になっており、突然、会うことになったものだから、田口は焦りまくっている。
田口は合田と会うが、狂っているのか、要領を得ない。何とか色々と聞き出すと、どうも合田の同僚の息子、辻という男に散歩を任せているらしい。
そんな中、ついに少年が噛みつかれたという情報が入る。母親や町内商店街の面々がヒステリックに怒っているらしい。直に、ここに抗議にやって来ることだろう。
辻が犬をほったらかしにして帰って来る。よくよく聞けば、噛みついたのは犬では無く、辻だった。

辻もまた狂気的な人で、モモを狙っている様子。上田もそれを知り、田口との賭けにのったみたいだ。
辻の父はかつて福建省の演習地にいた。そこで狂犬病になったのか、行方をくらました軍用犬、モモ。部屋に飾っていた水中花。演習地にあった沼。苦しみを共に、傷をなめ合うように一緒に暮らしていた娼婦。
辻は父の形見のジャンパーを着て、かつての父に想いを巡らせる。
焼き鳥屋には、そんな一緒に暮らしていたモモと似た女が突如、現れ、上田の妹のモモの存在を消し去ろうとする。スーパーの前の水たまり。田口は上田の妹のモモに、自分の存在を見出すように励まし続ける。
少年の母が怒鳴り込んで来る。精神分裂病にかかっているのか透明人間が見える少年が尊敬する先生もやって来る。
11:00のベルが鳴る。かつての恐水の感情が溢れる中、この焼き鳥屋の二階にその源が、様々な人たちの絡み合いの中で浮かび上がってくる・・・

と、こんな話だったような、違うような。
まあ、ストーリーがあるような、無いようなみたいな話で、かつ筋を追っても意味の無い創りになっているので、だいたいといった感じでいいと思います。

モモは、辻の父が飼っていた軍用犬、かつ娼婦、そして、焼き鳥屋で働く上田の妹の名前ということでいいのかな。
辻はそんな父の形見のジャンパーを着ることで、その記憶を蘇らせます。というか、かつての本人のように暴力的だけど、弱く、故郷の日本を偲び、その地で必死に生きる女性に想いを寄せる優しさがある人になってしまったかのようです。ペストとかにおいて、人とネズミの遠く離れた距離をノミみたいなもので媒介したように、辻と父も時を超えて、その血に流れる感受性を同調させたのでしょうか。
辻の父と娼婦のモモは、想像するに、福建省の演習地の沼で日々、ベルが鳴れば労働みたいな感じだったのかな。そして医務官みたいな怖い人に強制されて。
二人は部屋に飾ってあった水中花のように、水の中でひっそりと溶け込むように二人の大切な絆をはぐくみたかったのかもしれません。でも、その水中花の水すら、沼のように濁っていく。帰れない日本。不安や恨み、そこに郷愁の念もこもった切なき日々が映し出されます。二人で消えてしまいたい。それが透明人間であり、でも、そうは当然なれず、その想いだけが犬に託されるようにどこかへ姿をくらましてしまったみたいな感じに思いました。

今の辻とモモがその頃の二人とシンクロしているみたいな感じなのかな。
モモを従業員として黙々と働かせる焼き鳥屋。モモにちょっかいをかける男たち。
スーパーの前に出来る不衛生なリスクがあるから保健所管轄となる水たまり。かつての自分たちのように水を恐れる犬。
福建省で消えたモモという軍用犬が、今、この時代に現れて、全てを伝えようとしているかのようにも見えます。
モモと似た女は、もしかしたら、その犬のモモであり、あの当時の二人の生き様を見せようとしたのかもしれません。

焼き鳥屋のモモは、自分自身を透明人間のように消し去ろうとしますが、辻とのやり取りや田口の想いなどからか、自分の存在を掴んだような形になります。
それは少年や、女先生なども似た感じ。
自分自身にある、消し去った透明人間となっている部分をきちんと見詰めて、自分を取り戻そうみたいな感じでしょうか。
本当の孤独の中、消え去るしか手段がなかった時代があった。帰ることも出来ず、日々、労働して過ごす日々。沼を、水を恐れるようになって狂ってしまったかのような人は、いつか誰からも忘れ去られて、本当の透明人間となってしまう。
でも、今なら、そうはさせない。あの頃、出来なかったことを、成し得たい。そんな先人たちの想いが、辻に乗り移り、この狂犬病騒ぎに絡んだように思います。

最後は田口が、母のことを語り、水中のモモに連れられるように、水の中に入り込んでいきます。
ここまでも、ずっと???続きで、今さら、最後が???でも、もはやどうといったことは無いくらいの構えでしたが、急に話が変わったみたいな感じで何だろうと思いました。
田口は母を女性としては見ていないようなことをブラックジョーク的に話しています。でも、このラストは、母を崇めるみたいな、母がいるから自分が今、こうして存在しているみたいな感覚を得ます。
これは、前回拝見した桃太郎の母でも感じたのですが、母性というものを非常に尊んでいる意識があるように感じます。
田口は妹にとか言っていましたが、モモを母のように想っていたのか。恐らくは辻も。
辻の父も、かつてのモモを。少年は、ヒステリックな母ではなく、女の先生を。
人が彷徨う時、女性に母を求める。そこには、きっと、自分の生の存在がしっかりと認識できるからのような気がします。自分は透明人間でも何でもない。母という女から生を受けたこの世に自分として存在するものなのだと。

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コメント

あ~有りましたね(笑)この公演。野外テントでしたっけ?今日は一心寺シアター倶楽に劇団離風霊船を観に来ました。来られると思ってましたがお時間合われなかったんですね…

投稿: KAISEI | 2015年5月 2日 (土) 16時31分

>KAISEIさん

連発してお会いしているので、ここでコメントというの何か変ですが(^-^;
また、どこかでお会いしましょう。
私はラグナロクはやはり仕事で無理そうです・・・

投稿: SAISEI | 2015年5月 5日 (火) 10時39分

劇団離風霊船『夜が明けたとしても…』一心寺シアター倶楽 14時~ 120分弱

【舞台美術】
舞台両側に商店街が真ん中に向かって設置。真ん中にも商店街が設置。

ジュンペイが所宮市についてのアンケートを通行人に採っているがろくな回答をもらえない。

ジュンペイが上司のマキにアンケート調査の結果を報告している。ジュンペイは上司で仲人を頼んだマキに婚約者のサオリを取られ結婚式を3日前にキャンセルしマキにそのキャンセル料も肩代わりしてもらったようだ。そこにサオリから電話がかかってくる。舞台袖にサオリが登場。

寂れた商店街の酒屋、蕎麦屋、八百屋、床屋、ブティック、時計店の経営者たちが朝の体操をしている。体操し終わって世間話をしているところにサオリ登場。ジュンペイの父親は時計店主らしい。父親はサオリにジュンペイが婚約解消後出奔して1ヶ月経っていることを告げる。

所変わって美人過ぎる女市長の執務室。市長とマキはできているみたい。市長は流出する若者人口に危惧を覚えておりマキを対策部長に任命する。

喫茶店にマキがいる。そこに客として来たオタクの男、コンドーム製造会社のOLの2人、ウェイターをスカウト。

マキが商店街にやって

投稿: KAISEI | 2015年5月 5日 (火) 22時38分

そこに市長も登場しマキが以前ヒトラーの片腕ゲッペルスの言葉を引用していたことを指摘し何を企んでいるのかを問う。追い詰められたマキはサオリの言ったことを全て認め何も考えていない若者たちにはリーダーが必要だ。ナチスのような組織(言い過ぎかも。いろいろ言ったはったし)を作ることが目的だった。そのリーダーとしてジュンペイを選んだということを白状する。
それを聞いたサオリはジュンペイにこれでも目覚めないの?みたいなことを言う。ジュンペイは今までマキに従っていたのは何が目的か探るためそれがわかれば復讐しようと思っていた、と言ってナイフを取り出しマキを刺そうとする。ごめんなさい、と謝るマキの姿と市長が対策部長の罷免を言い渡すのをスマホで撮る。

(ここで終わっていたら前半は良かったけど後半の設定が甘い、という感想やったんですが…)

マキが舞台袖で電話している。マキが悪者になって良かったのか?と問う電話相手にマキはそのほうが好都合。若者への圧政者である自分を倒したジュンペイの姿が日本中に広まり若者のヒーローとなる。一朝事あらばジュンペイを取り込めば若者たちの組織を取り込め列強に比することができると。そして最後に電話相手にこう呼びかける。内閣官房長官殿と。

以上のような話。

携帯で投稿すると字数制限で切れちゃうみたいです。不便… コトリ会議の時もそうでしたね(笑)お楽しみいただければ(笑)私のは本当にスジだけですが(笑)

投稿: KAISEI | 2015年5月 5日 (火) 22時42分

11時~『ラグナロク』行ってきました。14時に終了しました(笑)作品はプロジェクトマッピングをかなり使ってましたね。USJなんかのアトラクションっぽかったです。まあ元々USJのアクションチームが母体っぽい劇団さんなので。作品自体は私は『桜×心中』の方が好きですね。今回は歌のシーンが作品とは直接関係ないところでいくつかありました。イベントとしてならいいのですが作品としては私はちょっと…私はイマイチでしたね。終わってからのmaechangさんや上野さんのファン対応の良さの方が記憶に残っていますわ。西原さん・野村さんも出てきたはりましたね。御二人とは少し言葉を交わしたくらい。西原さんも可愛らしい方ですよね。満月動物園の公演でお話ししてますが。野村さんもお話ししたいのですが毎回周りはお花畑(笑)初めて会話らしい会話になりました。白井さんは出てこられず(笑)

ちなみにこの前KAIKAのコンビニで話されてたのサロメさんですよね?(笑)雨宿りしてるときにおられてそうかな?と思ってたんですがやっぱり舞台上と雰囲気違いますね。もっと大きく見えました。

投稿: KAISEI | 2015年5月 6日 (水) 00時53分

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