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2015年4月11日 (土)

啓蒙の最果て、【がっかりアバター】150410

2015年04月10日 道頓堀 ZAZA HOUSE (85分)

う~ん、う~ん。
どうしたらいいのか。正直、観なかったことにしてしまいたいくらいです。
プレビュー公演を拝見しました。だから、普段、アンケートを書かないので、このブログにどうだったかを書く義務があるわけで。
面白かった時は、手放しにおもろかったわあと書けばいいでしょう。そうじゃない時は、いくら個人の感想といえど、せめて理由を述べないとね。
ということで、その理由が漠然とし過ぎて上手く書けないので困っています。
感想は簡単に一言で書けます。
全く面白く感じませんでした。全くと言っては語弊がありますが、諸所のシーンではなく、この作品の全体に関して述べるとそうなります。後半は嫌悪感すら抱いて、ただ時間が経つのをしのいでいました。
まあ、当たり前ですが、個人的な感想です。
足を運ばれて、確かめてください。公演は日曜日まで。

この作品、前半は楽しい愉快なファンタジーRPGの世界です。
前作のあくまのとなりを観た方なら、その楽しさ、面白さを分かってもらえると思います。
お遊戯会のような軽快な歌や踊りの中で、エロさや毒もちょこちょこ交えた不可思議な世界を創り上げ、楽しい時間と空間を魅せてくれます。

お茶目で剽軽な乾寿々香さん演じるバンパイアの卵、可愛らしくも毒がある松下あゆみさん演じる魔法使い、ビビりながら空回りの懸命な姿を見せる東洋さん(東洋企画)演じる剣士のパーティーが、面白い掛け合いをしながら、コウモリがはびこる国で修行を積んで成長しながら悪い奴を倒す物語。
悪い奴は、外の世界に怯えながらも純粋な姿を見せる楠村史帆さん演じる車椅子の病気の少女の父親。葛原敦嘉さんが、紳士的な凛とした姿でおよそ悪とは思えないかっこよさを魅せます。
少女の身の回りの世話をするアンドロイド、船津丸葵さん(同志社小劇場)。スマートな美しい出で立ちで華麗な動きを魅せながら、パーティーたちに襲い掛かります。
父が少女の病気を治すために作った工場が公害を撒き散らし世の人々を苦しめているようです。
父は少女のためにも工場を閉鎖するわけにはいかない。でも、このままでは多くの人が不幸になってしまう。
少女は、この誰もが誰かを愛するがための戦いを終わらすために悲しい決断をします。

といった、恐らくはこの作品の中でも描かれる、誰かに向けられた愛は必ずしも双方向で結ばれる訳ではなく、でも、その愛を掴むために人は戦い、追い求める。色々な方向を向いた愛の線はいつしかぶつかり、激しい戦いを生み出したり、結ばれる愛となったり。
なんてことをイメージさせるような物語を演劇作品として見せます。

演劇作品というのは、この人たち、みんな役者さんのようで、観ていた虚勢を張って柄の悪さを醸している長谷川桂太さん演じる、元・面白くない演劇を更生するとかいう委員会のメンバーにいちゃもんをつけられます。男に同調することが愛だとばかりに同じような柄の悪さを醸すあさのふみさん(演劇集団Q)演じる女と共に、舞台はめちゃくちゃに潰されてしまいます。
そんな中に、現役の更生委員会の南風盛もえさん演じるクールビューティーでキレそうだけどどこか脆さも感じさせるいい女もやって来ます。そして、いったい何者なのか、バカの王様のようないでたち、雰囲気の八柳まごいちさん演じる会長もやって来て・・・

あとは、何やら分からないうちに、色々な愛の線が交錯していき。
バンパイアの卵は魔法使いが好きだけど、魔法使いはヤリマン。寂しい剣士は更生委員会の女に愛をぶつけるが、女は会長の愛人。といっても、会長は別にその女だけが好きなわけではなく、あちこちに女がいる。
車椅子の少女は父に依存するような愛を見せる。父はその少女の愛に応えるが、自分の全てを少女に与えることは出来ない。アンドロイドは持ち前の美貌で、セックスだけの愛無き男に声を掛けられる。元・更生委員会の男は、一緒にいる女に性病を移される。つまりは浮気されたということ。
愛をセックスという形でえげつなく残酷に見せていきます。好きとか嫌いとか、友達以上恋人未満とか、そんな曖昧なものではなく、いくら愛していても、他の奴とセックスされたら、それは、その愛は受け入れられなかったという分かりやすい現実のように。

長くなりましたが、多分、私がこの作品、面白くないなと思ったのは、恐らくこの愛の交錯、そこから生まれる心の葛藤、苦しみという描写が、演劇をする自分たちをイメージさせてしまっているからだと思っています。
言葉としても出てくるので、恐らくは意識して表現されているのでしょう。
当日チラシの作・演の坂本アンディさんの言葉からも、劇団として、演劇人として、様々な葛藤の中でもそこを乗り越えて前へ進むという覚悟を示されているのかもしれません。
これが強く出過ぎると私は嫌になるみたいです。特に後半は、ご自分方の苦悩や覚悟を、通じ合えない愛の中でも、愛を求め続け、懸命に見出そうとする人の姿に置き換えたような自己陶酔にも見えてしまいました。

同系統の作品を観たことがあり、一番感覚が近いのが下記の作品だと思います。今回と同じような感想を残しています。
(キョム! 悪い芝居:http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/101223-d8b0.html
確か、劇団員の方が辞められたりで、これからの劇団の転機となった頃に創られた作品だったはずです。
葛藤や苦しみに寄り添って欲しいのでしょうかね。
苦しみの中での懸命な頑張りに敬意や憧れを抱き、その熱を自分も少しでも感じ取れたらといった気持ちで観劇をしているところがありますから、改めてそれを見せられてもそれは興醒めしてしまいますから無理ですね。少なくとも作品としては、観たくないように思います。
そんなことをほのめかしていると感じてしまったのが、今回の感想に繋がったように感じます。

それにしても、この劇団。初めて観た時に衝撃を受けて一目惚れ。それからも、愛して止まない劇団の一つです。前作のあくまのとなりを拝見して、その好きな気持ちは募るばかり。
こんなに好きなのに、私が求めるものを今回はもらえなかった。
辛いなあ。当日チラシの言葉をそのまま借ります。
愛の葛藤を、本当に体感させるという点では、見事な手法だったように思います。

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コメント

明日千秋楽観劇予定。どう感じるか楽しみです。

投稿: KAISEI | 2015年4月11日 (土) 10時59分

確かに酷い芝居だったと思います。見終わった後の脱力感、そして後悔。役者さんのテンションも下がったようで終演後の拍手もなく送り出しもありませんでした。このあと、この劇団が出演する「春の文化祭」とスペドラを観に行く予定ですが、とても不安です。又、千秋楽の感想をお願いいたします。

投稿: 南洋 | 2015年4月12日 (日) 15時18分

12日17時半~観劇。がっかりアバターはリンクスの『僕とセックスをしようよ』の方を観劇、あとカストリ社の公演を2本。基本私は演劇公演において下ネタはキライ。がっかりアバターについてはマイナスイメージから入っています(笑)SAISEIさんのblogをザッと拝見して不安にはなりましたが(笑)本公演初観劇。ちなみに(土)元立誠→一心寺シアター→1st(日)ホスピタリティツーリズム大阪→ZAZAに行きました。あらすじとは全然違いましたね(笑)前半のファンタジーの部分いいですね。がっかりアバターがどういう劇団かちゃんと把握していないのでわからないですが殺陣のレベル高い。エンタメでも全然イケる。乾さんやはり好きかな。他の役者さんも中々。後半は心の準備ができてたからかな(笑)まあね。楽しい話じゃなかったですけど。でも映像使ったり客席使ったり果てはサイゼリヤを使ったりハケ口見せたりいろいろやってくれますわ。エロ×暴力のミックスは私の好みではなかったですが女の役者さんにも結構当たり強かったのがリアル差を感じました。この作品を上演できるのがこの劇団のスゴさであり観客を選ぶ由縁ですかね。ただ嫌悪感を覚えるのはエロも暴力も人間について回るものだからかな?役者のテンションは落ちているとは思いませんでした。演技でしょう。最後もハケて戻って来ずで終了。坂本氏の演劇と観客に対してへの挑戦ですかな(笑)抽象的な部分に関するSAISEIさんの解説部分は本当に参考になります。作者の意図なのかはわからないですが解釈として説得力はありますね。毎回お世話になりありがとうございますm(_ _)m

投稿: KAISEI | 2015年4月12日 (日) 20時23分

>南洋さん

コメントありがとうございます。

ちょっと、私は今回は合わなかったですね。
ご自分方をさらけ出す身を削るような作品だったので、覚悟の想いをこの劇団なりに思いっきりぶつけてきたのかもしれません。
毎回こんな苦しみを生み出すような作品を公演するとも思えず、今回を一つの区切りとして、また魅せる芝居をされるんじゃないかと思っています。
私もスペドラは一度リセットして、また、この劇団の魅力を追い求めようと考えています。
文化祭は、毎年、私語が多くてイラッとするので多分、観に行かないと思いますが。
スペドラの感想は楽しく書きたいものです。
ちなみに、千秋楽の感想は、私のブログをいつも読んでくださっているKAISEIさん(名前が似ていますが)がコメントに書いてくださったみたいです。
ご一読いただけると幸いです。
よかったら、またスペドラ後、こちらに訪ねてきてみてくださいね(゚ー゚)

投稿: SAISEI | 2015年4月14日 (火) 14時54分

>KAISEIさん

今、出張で徳島です。

相変わらず、なかなか精力的に観劇されていますね。

けっこう体が切れる役者さんが多いですからね。
殺陣も踊りも、リズム感ある楽しさはいつも感じています。
ただ、そこを今回は打ち消す闇というか、覚悟を強く押し出した感じでしょうかね。
嫌悪感を抱くのは、恐らくは、彼らの覚悟に対する嫉妬や自分がその域まで達し、その壁を破って生きているのかという不安からきているように思います。
自分たちの演劇スタイルの宣言。ここを超えて、まだ観に来る者に最高の感動を与えてやるよといった旗揚げ的な公演だろうと理解しています。
次回に注目でしょう。

投稿: SAISEI | 2015年4月14日 (火) 15時03分

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