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2015年4月27日 (月)

~ゲキゲキ短編集Vol.2~【劇団「劇団」】150426

2015年04月26日 京都スペース・イサン 
                (30分、35分、35分 冒頭、間にストーリーテリング各5分)

2年くらい前に拝見した劇団。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/121116-6405.html
この時、なかなか巧妙に作られた作品が面白かったので、ちょっと時間が空いたこともあり、短編集とやらを観に伺う。

30分程度の作品が3つ。
エンタメを基盤に、色が全く異なる作品を集めたようです。
それでも、共通テーマみたいなものが感じられるけど。人の心の奥深くに潜んでしまっている気持ちを掘り起こそうとしてるような。
恐らく、人の心を描くという、エンタメと同じく、この劇団の基盤となっているものなのでしょう。

感想は、好みの問題もあるでしょう。
詳細は下記しますが、ドタバタで拒絶感、切なくも湧いてくる前へ進む勇気、伝えたい想いを通じ合わせる感動といったところでしょうか。

・レンジャーマスク

訳あって久しぶりに町に戻って来た男。彼はレッド。
ビジュアル系ロッカーのブルー。
魚屋さんのイエロー。
何か宇宙人みたいなグリーン、いやグレー。
ポストになったピンク、真っ赤だけど。
変わり果てた仲間たちに愕然とするレッドだが・・・

以前に拝見していたイメージとあまりにも違い、また、被り物でドタバタしているので、正直、これはつまらんと観る気力を無くしてしまった。
残り2作品を観て、恐らくはこの作品も、単なるコメディーにとどまらず、テーマとなっているのであろう、ヒーローたちの心の内側を描いていたのだろう。
早めに、これはダメだと切り捨ててしまったことを後悔している・・・

・がんばれ! ドリアンズ

29歳独身の派遣OL。
生真面目で黙々と仕事をする愛想のない女性だが、特に性格が悪い訳でもないし、容姿はけっこういけている。
だから、定時になったら、同僚や男連中に声をかけられるが、そんなものは全く相手にせず、会社を飛び出す。
彼女が向かう先は球場。社会人野球チーム、ドリアンズを応援する。お目当てはエーススラッガーの男だが、とにかく今は予選を勝ち抜いて、悲願の対抗戦進出目指すことが大事。
今日もビール片手に選手たちに檄を飛ばす。
彼女の心の中の天使はアラサー女性のこの切ない姿を嘆いている。でも、悪魔は楽しいことしてるんだからいいじゃんと平気な様子。
ある日、いつものように応援していると、声をかけてくる若い男が。呼吸というテーマで、スケッチの課題を与えられているらしい。それで、やっぱりスポーツだろうと球場に足を運んだみたい。でも、野球のことを全く知らないので、どこに呼吸が潜んでいるのか分からない。諦めて帰ろうとしていたところ、この女性と出会う。
女性は、そのテーマなら、必ずこの球場で感じられるはずだと、指導をすることに。
この日から、二人のドリアンズ応援と、呼吸を探す時間が始まる。
もしかしたら、これは恋。いや、そんな訳ない。野球ばかりで、恋愛なんてずっとお休みしてたから。
予選最終日。この試合に勝てば、対抗戦進出だ。そして、これで、男と球場で出会うことも無くなる。
女性はある決断をして、試合を見守るが・・・

結局、試合は負ける。同時に男に彼女がいることが分かり、その恋も終わる。
全てがゲームセット。
やけになったのか、実は女たらしだったエーススラッガーに誘われるままホテルへ。でも、そこに自分の愛するドリアンズエーススラッガーの姿は無かった。
男から渡されたものがある。それは、女性がドリアンズを必死に応援して、選手たちを見詰めている球場での姿を描いたスケッチ。
その人の呼吸が伝わってくる。ずっと人間関係が怖くて、煩わしくて逃げてきた。自分自身を見詰めることも無くなっていた。絵の中の自分自身は、確かに呼吸している。すぐに絵から飛び出して躍動しそうなくらい。
そんな全力で人と向き合える自分を思い出し、逃げることなく、溢れる感情のままに涙する女性。
色々な感情が入り組んだ泣き。フラレて辛いやら、騙されていて悔しいやら、逃げていた自分に気付いて悲しいやら・・・
でも、そんな涙の後は、きっと逃げずに向き合える自分をもう一度取り戻せた喜びと誇りの涙へと変わるのでしょう。

・逆転ドラマ

ラーメン保護局員とかいう、窮地に陥ったラーメン屋を颯爽と救うドラマが人気らしい。
もう、シーズン幾つかまで続く人気シリーズとなっている。
人気の秘密は、主人公の保護局員の男。少し顎が伸びているものの、そのイケメンっぷりと、大きな体から溢れる熱のこもったセリフが人々を魅了しているようだ。
おかげでヒロインの女性も各方面から仕事が入るようになり、人気女優となった。
そんなことについつい自惚れてしまったのか、だんだん態度が横柄になる男。セリフもいい加減に覚えてきているのか、よく飛ばすし、無理なアドリブも増えた。そんなところを視聴者に見抜かれているのか、視聴率も低下している。
ついにプロデューサーは打ち切りを決断する。ヒロイン女優も降板することを納得。スタッフも仕方がないと概ね賛意を示す。
でも、男は反論する。この作品は、これまでみんなで作り上げてきた大切なもの。そんな簡単に切り捨てられてたまるかと。
さらには、男以上に喚き散らす女の子。このドラマの大ファン。今日はオーディションに来て、自分とお揃いの芸能神社のお守りとやらを男にプレゼントする気だったみたい。オーディションには落ちるわ、打ち切りの話を聞いてしまうわ、男が思い描いていた素敵な人じゃなかったわで最悪の状況。
プロデューサーは言う。明日、もう一度だけチャンスをやる。完璧にセリフを覚えてやれたら、打ち切りを考え直してくれるみたいだ。男は、みんなにもう一度、自分の想いを伝えるためにも必死に台本を覚える。
明日、頼むぞ。そう言いながらお守りを手にした時・・・

ちょうど前日にTheStoneAgeヘンドリックスの公演を観に行きました。何と偶然にもそれと同じ展開。まさかの入れ替わりネタ。
男と女の子が入れ替わってしまい、そのまま、本番を迎えることに。
男と女の子は、互いに話し合い、どちらもこのドラマを愛している気持ちを通じ合わせます。男も、決していい加減にしていたのではなく、なぜかセリフをしっかり覚えても本番ではそれがおかしくなってしまう状況が続き、不安からの行動だったようです。
とは言っても、入れ替わってしまっている以上、今は男の姿をした女の子が本番をするしかありません。セリフは当然覚えていません。
でも、その本番、女の子はこれまでドラマをずっと観てきて覚えているセリフを繋ぎ合わせます。これまでのことを振り返るような時間。ヒロインやスタッフたちは、かつて、みんなで必死に頑張っていた頃を思い出し、惜しみない拍手で男を称えます。
ところが、不満そうなのはプロデューサー。実はこのプロデューサーは、かつては役者で、このドラマの主人公のオーディションに落ちている。それで男に逆恨みをして、台本をすり替えたりと小さな嫌がらせを積み重ねていたようです。
完璧にセリフが言えなかったからダメだと言い張り、打ち切りを強行しようとする。
その時、再びお守りが輝き、二人は入れ替わる。元に戻ればこっちのもの。
男は、再び、台本どおりに、かつての輝きを魅せながら全員が圧倒されるほどの演技で周囲を沸かせます。

一作品目はきちんと観ていませんが、共通するのは、不安や悩みを抱える者たちが、それを乗り越えていく話でしょうか。
自分の心の中にある、自分の本当の気持ち。それと向き合うのが怖くなって、そこから逃げたり、それを台無しにしてしまうような言動をしてしまう弱い人間。
でも、ふとしたことで出会った人や仲間との触れ合いの中、それをもう一度見詰めることが出来たような話となっているようです。

音響と動き、セリフを合わせたメリハリある展開が卓越しているように感じます。見せ場がしっかりとしているような。
ただ、若干、最後がどれも間延びしている感が残ります。恐らくは、オチがついた後のエピローグ部分が余分に思います。けっこう、スパッと感動的なオチを付けているのに、そこからまた話が始まると興醒めしてしまうところが出てきますね。
ストーリーテリングを間に挟んでいるので、そんなモノローグに対する形として、必要なのでしょうが、少々、違和感と、バシッと決まった後のけだるい感が残ってしまうようです。
まあ、それが微笑ましさを感じていいのかもしれませんが。

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コメント

26日11時半~観劇。劇団「劇団」は初観劇。スペースイサンも初めて。少し迷う(笑)11月の芸創の『LARPS』を予約するも仕事でキャンセル。ちょこちょこマイナス評価も聞くも自分の感覚で確かめるため観劇を決める。
①『レンジャーマスク』
SAISEIさんも(笑)という感じ。バタバタ感ありましたよね(笑)やっぱりそうか…となじめない感から入りました。あとハケた後移動中姿がチラチラ見えるし。聞いていたとおりでした。ピンクの郵便ポストの松田さんの顔芸が面白いくらい、と思ってましたが最後の方、レッドが他のレンジャーマスクより働いていることが明かされその思いに動かされた各レンジャーがレッドを救いに行く、というベタですが終わり良しの展開に可もなく不可もなし。ただあまりキャストと配役ががちっと当てはまってる感がありませんでした。好きになった役者なし。

②『がんばれ!ドリアンズ』

主役を演じた上本さんがダントツで良かった、と思った作品でした。フラれちゃいましたが上本さんの演技でかな?結構引き込まれちゃいました。
③逆転ドラマ
一番役者さんが輝いていたのがこの作品かな。主演の俳優を演じたさいとうさんの演技も良かったし人格の入れ替わった少女を演じた

投稿: KAISEI | 2015年4月29日 (水) 01時37分

>KAISEIさん

②、③の感じから、これからに期待を感じる劇団ですね。
もっと繊細な部分にも気を使って、今の巧さを活かしていけば、きっと、満足度の高い作品をもっと創られるんじゃないかと思います。

投稿: SAISEI | 2015年4月30日 (木) 15時30分

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