fly me to the xxx.【劇団うんこなまず】150307
2015年03月07日 Live Space B.SQUARE (85分)
こういった作品の感想を一言で書くのに、何かぴったりはまる言葉があったはずなんだけどなあ。
どこかの劇団の紹介文で載ってて、自分でもこのブログのどこかに書いたことがあるように思うのだけど。
ハイカラ、スタイリッシュ、スマート、・・・
近いけど、これじゃない。思い出せない。
照明、音響、映像が創り出す洒落てて、小粋な雰囲気の舞台で、生き苦しい、息苦しい人の歩みが浮かび上がってきて、そんな人たちが、しゃがみこんだり、妥協したり、受容したり、反発したりするんだけど、やっぱり各々が抱えているものを背負いながら、各々の歩みで歩いていく。
そんな生きにくさの中で人が力強く前へと進むような感じだけなら、この劇団を今ほど好きにはなってないのかもしれない。
突拍子もない大胆奇抜な発想は、今回もしっかりと健在で、だったら、今、自分がいる空間や時間を全て無にも無限にも出来る、それこそ宇宙へと飛び立てばいいんじゃないかと声なき轟音と共に旅立ってしまうような痛快さが感じられる話だった。
あらすじは・・・
いつか、この劇団の作品のあらすじをしっかり書けるくらいに、舞台で起こった出来事を頭の中にだいたい入れ込める日が来るかなあ。
フラッシュ的で、瞬間瞬間のシーンや言葉で入ってくるみたいで、観終えるとだいたい、どこにいったのか消えてしまっている。
後に残るのは、何か生きるのって厳しいんだよなあといった締め付けられるような心と、何かおかしな人ばかりで面白かったかもしれないなという曖昧な感情。
男たちは歩く。
自分のこれまで抱えてきた過去の荷物をリュックに背負って。
歩き方は、人それぞれ。時折、歩幅を変えてみたり、足をほぐしてみたり、手探りしながら見えない前を確かめたり。たまには、後ろを振り返ってみる。ちょっと前まで一緒に歩いていた人がいるかもしれないし。
人生を歩く。それはピクニックみたいに気楽なものではないし、かといって雪山登山のように死がすぐ傍にあるほど厳しいものでもない。でも、雪山で寝たら死んじゃうように、立ち止まったら、それは死が迎えに来ることになるのかも。
一緒に歩く人がいる。
昔は、そんな人たちはみんな友達で、ただお喋りしながら、あんまり考えることなく歩いていたのかもしれない。
背負うリュックの荷物が大きくなった頃からか、自分が歳をとって、そんな歩くことに疑問を抱いたりするようになったからなのか。
その時、一緒に歩いている人が自分とは異なることに気付く。
当然、その人は自分ではないので、色々と考え方が違う。
好きとか嫌い、次元が違うなんて感情が生まれる。
正論を突き付けて、薄っぺらい言葉しか発しないで、要領よく歩く人もいるし、今は感情を捨てて、とにかく前へと歩けばいいというスタンスの人もいる。
深く考え込み過ぎてしまったのか、一度、これまでを整理しないととしゃがみこんでしまう人も。そして、そんな人に声を掛けて、心配してくれる人もいれば、説教をかましてくる人も。
そんな人たちは、一緒に歩くのだから繋がる。線で結びつく。線上に二人が存在すれば、そこは戦場になってしまうこともある。
分かり合えない。頭の中では、こいつは敵だとばかりに警報音が響く。
自分一人で歩く方が気楽なのかもしれないが、それでは、この人生の大きな山はきっと越えられない。
時には休息の時も必要だ。
同じように休息を求めてやって来る人もいる。
小さなビニールシートを敷いて、そこでほんの少し、立ち止まって同じ時を過ごしてみる。
水を飲めばほっとする。熱い、ホットな気持ちを思い起こさせてくれる。
体も心も疲れてしまう時。体も心も栄養不足。こんな時に限って、むやみに歩き回ったりして、気力が無くなってしまう。自分が充電不足になっていることに気付かないとえらい目にあってしまう。
雪が降る。寒い中でも進まないといけないのだから、自分をしっかりと充電しないと。フル充電されて、また歩き始めればいい。
そして、いつか見つかる。
全てを帰納するかのような自分なりの生き方が。
その時、人はあらゆることを超越した時間と空間の中へと導かれる・・・
勝手に解釈してしまえば、だいたいこんな話なんじゃないかなと。
マクロ視点では人生の教訓みたいなものを導き出そうとしているかのよう。
もっと狭い視点で観れば、会社の行き詰ったプロジェクトに関わる人たちの姿をブラックに描いているみたいにも感じます。
大して分かってもいないのに、同じ言葉ばかり繰り返してその場を凌ごうとする人や、とにかく犬になって感情を押し殺す人、正論だけは一人前の人、整理しなくちゃといっぱいいっぱいになっている人。
こういう人はいますし、私もその中の一人です。
そりゃ、そんなメンツで飲んだ日には飲み会なんて寂しいものです。
もう、このプロジェクトはダメだ。鳴り響く警報音の中で、それを乗り越え、突破できる時は、まさに、この作品のように全く別の視点からプロジェクトを見詰め、そこから大胆不敵な行動に結びつけられる人が生まれた時のようにも思います。
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コメント
抽象的な作品をされる劇団さんなのでしょうか?名前のインパクトで前から気になってましたが今週末の予定では二次選考(笑)で脱落しました(笑)
そとばこまちのロミジュリは良かったですよ。私が観たロミジュリの中では一番です(言うても二三本ですがw)。私が観たそとばこまちの作品でも一番良かった(『十二夜』『ゆきむら』『3~世にも奇妙な欲の物語~』)です。上演時間90分で結構大胆に演出されてましたね。行かれるとしたら明日でしょうしここまでにしておきます。明日は満月動物園・自由劇場・そとばこまちくらいを行かれるのでないかと予想してます(笑)
投稿: KAISEI | 2015年3月 7日 (土) 23時19分
>KAISEIさん
初めはとっつきにくいかもしれませんね。
観ているうちに何か観逃せなくなってしまう劇団です。
そとばはかなり早い段階で満席になっていたので、今回はスルーしました。
自由劇場も行きたかったですが、最近、土日に仕事が絡むので。
投稿: SAISEI | 2015年3月10日 (火) 14時30分