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2015年3月15日 (日)

ドロップキック・シスターズ【DOORプロデュース】150314

2015年03月14日 中崎町コモンカフェ (70分)

ある三姉妹の家族会議の会話の中から、自分自身が自身を認め、誇りある価値観を抱いて生きていくことの大切さと、その中で、常に自分だけでなく相手を思いやる想い合いの気持ちを持つことの大切さを見出していくような話かな。
自分が真剣にぶつからないと、相手だって受け止められない。ぶつかりで大きな傷を相手も負うかもしれないが、それは相手にとっても大事な経験。その痛みを知って、自分もまた思いっきり真剣にぶつかり返せばいい。下手に遊び半分で繰り出した技の方が、相手を意味なく傷つけてしまうような感じだろうか。
そんな人のぶつかり合いの妙を描いた話でもあった。

<以下、あらすじがネタバレしますので公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

本日は新城家の家族会議。
参加者は、三姉妹。開催場所は、次女夫婦が経営する小さなカフェ。臨時休業して、じっくりと話し合う模様。
実家に住む長女が席に着き、次女、三女の到着を待つ。母は早くに亡くなっており、今は長女が高齢の父の介護をしている。昔から母代わりのようなところもあったようで、婚期を逃したのか、未だ独身。
次女は、ただいま授乳中。生後4ヶ月になる子供がいる。泣くからあやす、ウンチやオシッコの世話、抱っこ、授乳と日々、大変みたい。子煩悩で、子のためなら何でも出来るような、ちょっとお調子者だけど人の良さそうな旦那が、授乳だけは自分には出来ないから悔しいみたいなことを長女に愚痴っている。
ようやく寝付いたみたいで、次女も現れる。
三女は早くから家を出て、東京で活躍している。最近、仕事が形になってきたらしく、忙しいのか、なかなか顔を見せない。
そんな三女もやって来る。顔にとんでもない怪我をして。
お騒ぎになりそうなものだが、本人は平気そうだし、姉たちも心配はするものの大慌てはしていない。当たり前なのだ。プロレスラーだから。それも、悪役で、怪我して、根性見せてなんぼといったキャラで売っているらしく。
そんな中、会議は始まる。

議題は遺産相続。
父は高齢で、認知症の兆候も少し出てきている。先日など、ボヤ騒ぎを起こしたばかりだ。何かうしろめたい気はするが、こういうことは、生前にきちんとしていた方がいい。相続税の問題もあるし、何よりこれで絶縁になるくらいに揉めることがある。次女の提案だ。
長女が、家の全財産が入った箱を持参しており、次女がその全てを書類にして一覧化している。
法律的には三等分ということになる。誰一人、文句を言う者はいない様子。基本的には仲良しの姉妹だから。
だったら、何でこんな会議をといったところだ。
次女が真剣な表情で姉を見つめて、口を開く。三等分はおかしいと思っている。だって、全てを長女に押し付けて私たちは生きてきたんだから。
早くに母を亡くしたので、長女が家の面倒は全部みていた。今も、父の介護を全てしてくれている。私たちのために夢を捨てたことだって知っている。本当はアクション俳優を目指していたのに。父や私たちの面倒をみるために、それを捨てて地元の会社に就職。父の介護問題で、結婚にだって躊躇せざるを得ない状況なはず。
遺産は長女が必要な分を確保し、その残りを次女と三女で分割するべき。それが次女の提案。
これに対して長女は反発。次女がそんなに自分のことを心配してくれている感謝と喜びもある。でも、ずっとそんなことを思っていたのかと、少し怒りも交える。私は私で幸せにやっている。勝手に不幸みたいにしないでと。
言い合いになるが、子供が泣き始めた。ウンチにオシッコと大変な状況らしい。水入り。まあ、いいじゃない。三等分、三等分。家族会議終了。姉の明るい一言で一応の決着がつく。

・・・のはずだった。
今度は三女が深刻な面持ちで、口を開く。
プロレスラーの彼女。そんなものを目指したのも、きっと、アクション俳優を目指していた長女の影響だったのだろう。やはり、血は争えないもので。
私は0でいい。ずっと、自分勝手にしてきたから。それに法律的に私に相続の権利はないんじゃないのかな。
その三女の言葉に、長女も次女も強い口調で、権利はある。当たり前。姉妹なんだからと返す。
重たい空気になるが、とりあえずは、泣いている子供をどうにかしないと。

三女は養子だったらしい。両親が事故で亡くなり、友達であった父が引き取った。その時、三女は生後数か月。ちょうど、今、ギャーギャー泣いている次女の子供くらい。
それ以来、当たり前のように三姉妹として育ってきた。
でも、中学の時、近所のおばさんの不用意な言葉から、三女は自分が本当の子供でないことを知る。
両親や姉にそれを知ったことを告げると、みんな大泣きだった。そして、両親も姉たちも、自分が家族の一員である、これまでも、これからもということを心を込めて言ってくれた。ずっとずっと両親から可愛がられてきた。多分、姉たち以上に。そして、姉たちも自分を甘やかし過ぎなぐらいに可愛がってくれた。
でも、本当の子でないこと、血が繋がっていないことを知ってから、どこか変わってしまった。私自身が。自分の存在を見失ったのか。
今、プロレスをやっていると、そんなことを忘れて、自分が今、生きているみたいなことが感じられる。
三女は、姉たちには言えなかったことを次女の旦那に語る。
みんな家族だと思っている。そう返す次女の旦那。次女の旦那だって、血は繋がっていないけど、今は家族だ。
次女の旦那は、外で雑誌を買ってくると言う。週刊プロレス。三女の悩んでいる間があったら、血のしょんべん流して頑張れみたいな、力任せで適当なお悩み相談室のコラムが人気らしい。サインをもらって店に飾るつもりみたい。

三女は、ちょっと子供をあやしてみる。
プロレスラーの道を進んで、今ではちょっと遠い距離にある、普通に結婚して子育てする自分が浮かぶ。
そんな中、次女の旦那が飛び込んでくる。
長女と次女に買ってきた週刊プロレスを見せる。
電流爆破デスマッチ。あの、重傷者を必ず出す、無茶苦茶な試合。それに三女が参戦する記事が載っている。しかも、言い出したのは三女からみたいだ。
自分の存在を見失って自暴自棄になっている。止めないと。そう叫び、慌てふためく次女の旦那はとりあえず、騒がしいので奥に引っ込めて、三姉妹は再び、家族会議を始める。

三女が自分の想いを語り出す。次女の旦那に話したようなことを、今度は姉たちにぶつける。
三女の何の隠し事も無い、がちんこな想いのぶつかりに、姉たちも自分たちの想いを三女に真剣に返す。これまで、真剣勝負をしてこなかったのかもしれない。
想いをぶつけ合うことをしてこなかったのか。人の想いは時にとても重たいから、受け止めてくれるであろう信頼が無ければ、相手もぶつけてこれない。そんな付き合いじゃなかったのかもしれない。どこかに遠慮があったのかも。
姉たちは三女に隠していた大事なことを告げる。
そこには、両親が三女に抱いていた想い、そして姉たちも含めて新城家が三女に抱いていた想いが詰まっており・・・

姉たちが三女に見せたものは、父の4冊のノート。全財産の入った箱に入れてある。それくらい新城家にとって貴重なものらしい。
各々、名前が書いてある。几帳面な父は、姉たちがまだお腹の中にいる頃から成長記録を付けていた。もちろん、三女の名前もある。
もう一冊のノート。それは、生まれてこなかった、弟の分。初めて、男の子が誕生すると盛り上がっていた新城家はその時、不幸のどん底に落とされた。あんなに暗く重い空気に包まれた新城家は初めてだった。
そんな時、一人の女の子がやって来た。それが三女。
新城家に光が差し込んだ。明るく温かい家族に戻っていった。だから、その子をみんな大事に大事にした。
そんな事実があったらしい。

三女はデスマッチを辞めはしない。自分の生き様だから。
でも、それを姉たちに観てもらいたいと思えるようになったみたい。チケットを送るからと言い残し、急遽、入った試合のためにカフェを去る。
姉たちも観に行こうと思えるようになったみたい。血は苦手みたいだけど。
三女のがちんこを観てやろう。それも最前列で。彼女のそんな真剣な想いを受け止められるのは私たちしかやっぱりいないんだから。長女と次女はその日を楽しみにする。次女の旦那だけは、どうして止めなかったのかと不安いっぱいで泣きそうになっているが・・・

互いの価値観を大切に認め合う。
絆を作るのに大切な要素だと思いますが、なかなか難しいことですよね。自分とは違う他人の考えですから。
家族という血の繋がった関係でもそうなのでしょうか。
この作品を観ていると、通常、例えば、仕事関係の人の価値観を認め合い、プロジェクトを進めるような難題とはまた別のような気がします。
登場する三姉妹は、きちんと互いの価値観を認め合っているようです。でも、家族だから、そこにある心の隙間みたいなものをどうしても見つけて、その隙間が辛いだろうと埋めようとしてしまっているように感じます。
全ては認める、受け入れながら、相手を想う優しい気持ちから生じることのようです。

次女はいい旦那、子供に恵まれます。三女は自分の夢に向かって思いのままに進みます。自分が満たされているから、それでOKではなく、だったら長女はどうなのだろう。自分が満たされているところに、長女は穴や隙間があって辛い気持ちでいるんじゃないだろうか。だったら、何とかそこを埋めてあげられないか。
何か、そんな感じで動き合っているようで、それが絆を深めもしますが、いらんことだと揉め事にもなっているようです。
家族の心に穴や隙間があるなら、それは自分にとっても冷たい風が吹き込む場所となる。心の中ではいつも同じ家に一緒に住んでいるような感覚です。

三女は、ずっと自分がそんな穴や隙間みたいな存在と思ってしまっていたのでしょうか。自分の存在が、家族の家のどこかを削って穴や隙間を作ってしまう。だから距離を置いて、自分は別の場所で存在を見出そうとした。ここにも、家族のことを基本的に念頭に置いたが上の行動が感じられます。
でも、実は自分の存在は、この家族の一番大きかった穴を埋めていた。
この家族の家がいつも温かいのは、実は自分のせいでもあったわけです。
そんなことを知った三女は、戦い、血を流し、その姿を賞賛し、自らの生き様に同調してくれるプロレス客に対して、これからは、自分が一つの家の家族の一員であるという誇りを心に抱き、リングの上で強い存在感を醸すことでしょう。

温かみのある素敵な話でした。
でもなあ・・・
うち、母が三姉妹です。長女です。
こんなんじゃないですよ、遺産相続って。
これは嘘だなとどうしても思ってしまいながら観ていました。
ただ、この三姉妹の描き方は見事ですね。多分、こんな感じです。長女はまあしっかりしているんだけど、どこか兄弟に依存するような感じもあり。三女は自由奔放、ちょっと頼りない感じ。そして、次女がこんな感じで頭がキレる。
うちの場合は、その次女が頭のキレを活かして、色々としてくれたみたいですけどね。色々と。いいことじゃなくて悪いことを。
まあ、どれだけドロドロだったか。
赤ちゃんのウンコやオシッコなんて綺麗なもので、それよりも大人の吐き出す何かによって悪臭漂う吐き気を催す空間だったわけです。
どうして、この作品の舞台はそんなことにならないのか。
答えは簡単ですね。相手を想う気持ちに、どんなシーンでも溢れるような作りになっているからだと思います。

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