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2015年2月19日 (木)

うちやまつり【桃園会】150218

2015年02月18日 アイホール (115分)

連続殺人事件が起こった、とある団地の空き地で行き交う住人達により織り成される会話。
住人達に深いコミュニケーションは無い。でも、自然とこの空き地では、自分たちの生活を語ってしまうみたい。
結局、計画倒れになったみたいだが、集会所が作られようとしていた場所だったから、そんな念が残っているのだろうか。それとも、そこに埋まる数々の生を失ったものたちが、生き残るものたちを裁こうとしているのか。

自然に浮き上がる住人達の闇。舞台は真っ白。光と闇。
過去の連続殺人事件、それどころがまだ隠されている殺人事件の犯人は確実にここの住民で空き地に集う誰かに間違いないというミステリー小説を読むときのようなドキドキした緊張感。でも、住人達には闇を感じさせられて、ドロドロした状況にいる人もいるが、普通の日常生活を悩みながらも頑張って過ごしているちょっと変わった人たち。時折、可愛らしく面白さすら感じてしまう。それが会話にも出ている。緊張と緩和。
会話の話題の一つに性、セックスが色々な形で取り上げられる。通常は生を生み出すセックスを語りながら、人に死を与える殺人本能の衝動も内に含まされ、時々、外に顔を出そうとする。生と死。
近くにあった神を祀る神社。穢れた人間たちが集う団地。神と人間。
神社の祭りかなんかで入手したのか、黒と白が際立ったあの動物。黒と白。
・・・
もっと色々とあるのかもしれないが、こんな相反することが描かれるバランスが非常にいいといったことが一番の感想だろうか。
ドロドロした闇の中に深く入り込まされ、心穏やかでいられないようなことにはならないし、飄々とした会話が面白かったとはいえ、ずっとケラケラ笑っていられるほどに真剣味を失うことにはならない。
ちょっとエロいなあと女優さんをやらしい観方をして食いついてしまっても、そこに確実にある闇を感じてしまえば、やっぱり女、怖いわと適度に離されてしまう。
手に汗を握って犯人探しを頭の中で巡らせていたが、いつの間にかリラックスして、なるほど、そんなこともあるかもといった住人の言葉の主張に耳を傾けて、犯人そっちのけになってしまっていたりする。
これがとても心地いい。
要はなぜだか分からないが、観やすい。どこかモヤモヤする桃園会の作品なのに。
そして、観やすいということは、間違いなく面白いということに繋がっている。
最終的には、そんな矛盾こそが人間であり、その中で私たちは生きている。その矛盾の不安を埋めるために、人は人を求めるのかなあと思ったり。コミュニケーション不全が数々の犯罪を生み出す要因となることは、人の持つ本能的な衝動を外に出すしかなくなってしまう状況に追いやられるからなのかと考えたり・・・

この話の前日談として下記の作品がある。
先日、入院中に絶食して点滴を受けながら、何か食べたいなあという食欲本能だけ剥き出しの状態で配信されていた動画を見た。
見ていなくても何の問題もないが、ざっくりと覚えていた登場人物の名前が出てきたりして、どこか懐かしい。あ~、こういう運命をたどることになるのかあ。そんな感じになりそうな人だったしなあ。あの時はこんな闇を隠して祭りに参加していたのか。きっと祭りどころではなく苦しかっただろうに。といった楽しみ方も出来る。
どうせなら、この作品も公演してくれたら良かったのになあ。やっぱり、3作品もすると、創り手側の限界が超えてしまうのだろうか。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/150211-17dd.html

舞台は上記したように団地の空き地。
こやまさんちの庭といった愛称で呼ばれているが、そのこやまさんがこの空き地に飼っていたインコを埋めたり、花を植えたりして管理のようなことをしていることは語られるが、何者なのかなど詳細な情報は無い。
ゴミが捨てられていたり、立ち入り禁止区域になっているのに、ベンチがあって休憩できるようになっていたりと、文字どおり、怪しげな空虚な場であるが、何かここには色々なものが渦巻いていることが感覚的に分かってしまうような舞台。
そんな場所で、連続殺人事件に疑いをかけられて、えらい目にあった一人の男が、この場にやって来る住人達と会話をしていく。
時はお正月。夕方、次の日の明け方、夜と3幕になっている。

あらすじはしんどいので省略するが、男が住人達と接する中で、近親相姦、不倫、同性愛、セックスレスといった人の本能である性の歪みが浮き上がる。それも、こちらが求めてないのに勝手に。
男はあくまで、犯人という疑いをかけられることで、自分に中に眠る人を殺すという性と同じような本能に関して見詰めることになってしまったみたいで、彷徨っている。
痴情のもつれみたいに、その本能を蘇らせる確固たる理由があるなら、理解も出来ようが、男は見えない理由を見ようとしてしまい、それが分からないから、自分が殺した可能性だって否定できないといった考えに至ってしまっているよう。
この住人達との会話で、男は人を殺す理由の数々が渦巻く中に入り込んでしまったみたい。殺人という非現実的な世界に、疑いをかけられ連れていかれてしまった男が、現実世界を見詰めてみたら、そこの方がよっぽど、異常な非現実世界だったみたいな感じで、感覚を狂わせてしまったように映る。
自分を追い込んで、地中深くに潜り込んでしまうかのような男。でも、その地中にこそ、数々の真実が埋まっており、それが淡々と掘り返されていく。

空き地は常に監視されているらしい。カメラでもどこかにあるのか。
それとは別に、向こうの団地のビルから、鳥を追い払うための大きな目玉がこちらを覗いているみたい。
神の裁き、社会の正義、好奇、無関心、個人の妬み、慈しみ・・・
その目はどんな心を持って、ここを見詰めているのだろう。その目は、見返すことは出来ても、心を通じ合わせて互いの気持ちを理解し合うことは出来ないみたいだ。

単に空き地の場で積み上がる会話から、浮き上がる殺人の真相といった形ではあるが、そこに至るまでのことを考えさせられる話。
失ったもの、無くしたもの、どこかに置いてきてしまったもの。これを取り戻したいという欲求。人と繋がり合いたいという欲。
これを満たすために、人は本能的な行動を露出しようとするのだろうか。
それが、身を重ね合い互いが通じ合うという人を求めるセックスに繋がり、どこかで人を殺してでも繋がり合っていたいというところにまで至っているように感じる。
コミュニケーション不全の社会は、そんなどこか負の感情を奥深くに隠しこみ、社会から自分が疎外され抹殺されたかのような状況にまで育て上げるみたいだ。これが爆発して外に出てきた時に殺される前に殺す、そして自分の存在を見出すといった形にまでたどり着いてしまうのではないだろうか。

数々の闇が埋まっていた空き地。
最後、男はここに花や草ではなく、木を植えたいようなことを言う。
人の生きる世界に闇がはびこるのは仕方ないことなのかもしれない。性や殺人というのが同一の本能ならば、人はきっと創り上げる欲求と同時に破壊してしまいたい欲求も持ち合わせている。
でも、そんなもの全てを糧に成長していく一本の木に育てたい。一時の美しさではなく。
こんな世の闇、人の負の本能みたいなものを受け止め、それでも、大きくこれから先の長き未来を生きて、繋いでいく。それも、また生物の本能であり、それを男は実現したいという希望を語っているように感じる。
作品は答えの無い心理テストで締められる。
ジャングルの中で、あなたは、私は何?
過酷な環境の中でも、人を求めて彷徨い続け、出会い、共にどこにゴールがあるのか分からないが、この場から脱出していく。人生のことを言っているのだろうか。
やはり、私もあなたも人間だという答えを誇りを持って言えればいいのだが。

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コメント

桃園会も昨年から行きたいと思いながらなんだかんだで観られず。今回も組み合わせで結局漏れてしまいました。彗星マジックもそうなんですよね。良かったですか?

投稿: KAISEI | 2015年2月21日 (土) 00時23分

>KAISEIさん

ここは、やっぱり心揺さぶる作品を創られます。
難解なので、正直、厳しい時も多々ありますが、確実に何か心に残ります。
元々は同志社の第三劇場ですし、機会あれば、また是非。

投稿: SAISEI | 2015年2月21日 (土) 01時51分

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