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2015年2月16日 (月)

君はあかつきの星【浮遊許可証】150216

2015年02月15日 インディペンデントシアター2nd (115分)

とても美しい舞台の中で描かれる、狂おしい恋の想いを感じる作品でした。
想いを伝え合う時のどうしようもないもどかしさと共に、色々な形での恋の成就の姿が感じられ、人を真摯に想うことの素敵さが自然に浮き上がります。
心の中がギューっときます。

99戦99敗。相撲界のハルウララのような力士、天道虫。
そんな天道虫にも、絶対に掴み取りたい星が出来る。
恋文をしたため、初白星を挙げて告白なんて計画を立てていたら、友達に抜けがけされてしまった。
ヤケ酒ならぬ、ヤケちゃんこ。
店の特別な計らいで、何やら汚らしいがかなりの価値があるらしい鍋でいただく。
すると、ランプの精霊ならぬ、鍋の九十九神が現れる。
願い事でも叶えてくれるのかと思いきや、逆に恋文を書く能力を認められて、ある依頼を受けることに。
訳の分からぬままに連れて行かれたのは元禄時代の大阪。
そこでは、近松門左衛門も存命しており、心中芝居を得意とする二つの芝居小屋が競い合っていた。
しかしながら、世に悪影響を及ぼすからと心中芝居を禁じる法度が出される。抵抗をするものの、奉行には逆らえず、どちらかは取り潰されることに。
どちらが生き残るか。勝負は心中芝居7番勝負へと持ち込まれる。

二つの芝居小屋。
一つはシュテンという花形が在籍する一座。
本当の心中事件を基に芝居を作る。シュテンは、かつて、心中に失敗して自分だけが生き残った下足番に言いつけ、町娘をかどかわし、心中へと追い込む。もちろん、本当に死ぬわけではない。と言って、ごっこ遊びでもない。
本物を求め、自らの肉体、精神を削って心中芝居を完成させるストイックな人のようだ。
もう一つがマホロという美しい盲目の看板役者がいる一座。
芝居をするのは男しか許されないが、実はマホロは女。兄と共に一座を守る。勝負のためなら手段選ばずといった汚い一面を見せるが、それも芝居への強い執着の裏返しといったような人たち。
このマホロに惚れ込んでいるのが、鍋の九十九神。
この勝負、負けるわけにはいかないと、天道虫に心中芝居の脚本を執筆させようとする。
九十九神の仲間たち、筆・将棋駒・箪笥・・・古くて人間たちに忘れ去られてしまい、長きの時間をかけて神となったモノたちのプレッシャーのかかる応援の中、天道虫は無理矢理、執筆へと追い込まれる。
ダメな自分にそんなもの書けるわけがない。天道虫の筆は一向に進まない。

シュテン一座は心中事件が起こった直後に、神出鬼没にどこかの寺に現れ、そこで公演を行う。そして、観客を魅了し、勝負を優位に進め始めるが、奉行からは目を付けられ始める。
そんな中、マホロはシュテンの頭の中にある脚本を盗み出そうと偽の恋文をしたため、シュテンを呼び出す。
シュテンは、代役を立てて下足番を向かわせる。下足番はマホロに想いを寄せるようになる。
そんなことをしている間に、シュテンは舞台で足を踏み外し、あの世の人に。一座は下足番を影武者にして、舞台を続ける。
マホロ一座も勝負が進む中、巻き返しをはかり始めるが、マホロはシュテンに本当の恋をしている自分に気付く。

九十九神とマホロという神と人間の許されぬ恋。下足番とマホロの運命に認められなかったような恋。本当の恋と気付いても決して結ばれることが出来なくなったシュテンとマホロの恋。
数々の勝負に負け続け、それでもこれだけは勝ちたいと願ったけど恋に見放されてしまった天道虫。
叶わぬ恋。
それは、かつては人間と共に時間を過ごしながらも、いつの日か人間たちに忘れ去られ、その想いを通じ合わせることなく、神となったモノたちの哀しみと相まって、天道虫にこの狂おしい想いを筆にぶつけ始めさせる。
勝負はもつれ、最後の7番勝負。
天道虫の想いを込めた作品が舞台で・・・

かつての時代に生きていた者が、今の時代と変わることなく、人に恋し、心をときめかせ、その恋を失うことで悲しみに暮れていた。
そんな想いはモノたちも同じで、神となっても、恋に囚われる。
ひょんなことから、そんなかつてを生きていた人たちの時代にトリップしてしまい、自分の今の恋する想いも込めて、一つの作品にそれをぶつけた。その作品自体が、この公演作品みたいな感じなのだろうか。
実らずとも懸命にその想いを伝え合おうとしたことを描く心中芝居。その時の心ときめかせた人々の輝きは今なお輝き続ける。それも、遠い宇宙にある星の輝きのようにやがては消えてしまうのかもしれないが。それでも、モノが神となる長き時ぐらいは輝き続けるみたいだ。
最後、舞台には天道虫だけが残る。今を生きる天道虫には、当然のごとく、今を、これからを輝かせることが出来る。
ドックンドックンと心をときめかせ、その想いをいつの日か本当の恋として成就させられる可能性に溢れている。天道虫の人生という舞台はまだまだ、これから続くのだろう。それを素晴らしき希望として描いているように感じる。

全体的に美しい印象が残るのは、分かりやすく綺麗な女優さん方や艶やかな衣装の影響だけでは無いだろう。
舞台セットが何か印象に残る綺麗な空間だった。
円形舞台の周囲が骨みたいなもので取り囲まれ、奥には両脇に灯篭が立つ道が続く。
単純に力士だから土俵。心中芝居という古典芸能っぽいから花道みたいなもの。
ドームのようにも見え、宇宙なんかも想像できる。
周囲の骨みたいなものは、心臓を守るあばら骨だろうか。取り囲まれた円形の場がドックンドックンする心臓そのもののようで、そこが舞台となっているかのよう。
花道の奥はどこへ繋がるのか。円形が心臓ならば、口だろうか。狂おしい想いを口から外に吐き出す。
このときめき。舞台で育った恋するときめきの真摯たる想いが、外へと発散され、確かにその時を生きてきた者たちの姿を映し出しているように感じる。

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コメント

 この週は疲れてたのか不感症の週で前日のエリーの晩餐会の後に観た劇団ピノッキオが話としては何も感じず。。。年始からはずれが無かったのですが。。。昨年のバグダッドカフェの「リターンプラネット」もそうでしたがあっちこっちに話がいく芝居はあまりあわないみたいで。。。役者さんのすごさはわかりましたが。。。

投稿: KAISEI | 2015年2月21日 (土) 00時21分

>KAISEIさん

ピノッキオもお知り合いがいるので、本来なら伺っている公演だったかな。
少し、ボリュームが多くて、スマートさに欠けるところがあるかもしれませんね。
でも、きっと役者さんの迫力はいい味出してたんだと思いますが。

投稿: SAISEI | 2015年2月21日 (土) 01時48分

少しややこしい書き方をしちゃいましたね。ピノッキオの『双刃』はすじは特に複雑ではなかったと思います。里見八犬伝の登場人物名を使用した芝居で殺陣ががんばったはったのですが心に響かず台詞も空虚に感じたんです。面白いしまた来るわと言ったはったお客さんもやはったので個人差ですかね~ 盛りすぎと思ったのが浮遊許可証なんです。これをバグダッドカフェに比したんです。役者さんはそうそうたるメンバーでしたね。役者さんのスゴさはわかりました。

投稿: KAISEI | 2015年2月21日 (土) 03時27分

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