東京ブラストーリー【KING&HEAVY】150227
2015年02月27日 HEP HALL (110分)
2年ほど前に神戸大学自由劇場の公演で拝見した作品。
(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/121208-ab08.html)
<↑あらすじは少し変わっていますが、ネタバレしますのでご注意願います>
感想はこのリンク先のままでいいかもな。
演劇作品はなかなか難しいことも多くて、感想も難しいけど、ちゃんと秀作だと書いてあるでしょ。
向上心・冒険心を持ち合わせたみたいなことも書いていますね。
ド素人とはいえ、ちゃんと見るところはきちんと見てるんですよ。
この時感じた、この劇団の方々の熱い気持ちが、今でもそのまま維持されていて、かつ、さらに技術を高め、この世界での人脈を拡げた中で完成された公演になっているわけです。
そりゃあ、魅力的だった、面白かった、楽しかったという感想になるのは当たり前というものでしょう。
<以下、ネタバレしますが、上記リンク先との絡みもあって、白字にはしていませんのでご注意願います。この作品はけっこう今でも印象に残っています。本当は観る前からお薦めしたい公演でTwitterとかでもRTしたかったんですけどね。自分の目で観るまではと思っていましたが、これで自信を持ってお薦めできます。観ましょう。この強烈な奇才っぷりと溢れんばかりの熱さを感じられる作品を。公演は日曜日まで>
迷彩の戦闘服を纏う男の堂々たるブラ姿。
およそ、平和記念公園に設置すべきとは思えない銅像。
子供達が戦争ごっこをして遊んでいる。男は思う。平和が訪れたんだなあと。
なあ、裕二。あの頃が嘘のようだな。
目を閉じるとマシンガンの銃声が頭に響く。
チャコール社とシュリンプ社。
下着メーカーの二社はライバルとして激しい闘争を繰り広げていた。
テレビ番組のスポンサーとして視聴率を競い、討論番組ではどちらの下着が魅力的かと掴み合いのケンカ。そんな闘争はいつの日か本当の戦争へと発展してしまう。
戦況はチャコール社が優勢。自らがブラジャーを着用して新製品を開発するという少々、変態な社長の下、優秀な開発リーダー、指揮官を備えて優位に立っているようだ。
優位な立場を確実にしたのは、戦闘型ブラジャー、通称、ヴィーナスを着用して、敵を粉砕する保奈美という女性の存在。
戦争を終わらせたいという平和への気持ちの強さからか敵を傷つけることは無いものの、破壊的な力を持つ彼女の存在は敵だけでなく、味方までもが脅威を感じ怖れられている。特に、女が戦闘などとライバル視してくる熱血漢の男が率いる部隊からは忌み嫌われているようだ。
そのためか、保奈美が唯一、心を許して話ができるのは指揮官の女性だけ。
この時だけは、甘いものが大好きな普通の女性である。もっとも、体格が変わってブラジャーがフィットしなくなるとヴィーナスが起動しなくなって、文字通り、ブラ一枚の女性が戦場に立つことになってしまうのでダイエットには努めているようだが。
対するシュリンプ社。恐らくはビジネスにおいてもそうなのだろう、何でも強引に推し進める社長の下、戦闘員たちは激しい戦いを繰り広げる。
ヴィーナスに対抗するため開発された男性型戦闘用ブラジャー、通称、マルス。男がブラジャーを装着するという、情けない姿になることさえ除けば、その威力は抜群であり、シュリンプ社の劣勢を打開し始める。
そんな熾烈な戦争の中、シュリンプ社の裕二は、敵である保奈美に一目惚れ。
ひょんなことから、スパイ指令を受けたわけでもないのに、チャコール社に潜入することになってしまい、保奈美との交流を深めていく。
敵であるがため、自分の想いをストレートに伝えられない裕二。戦争だから、いつ誰が死ぬか分からないご時勢だからと恋心を封印するかのような保奈美。
それでも、二人の恋心は互いに膨らんでいく。
遂に裕二の正体がばれてしまう日が来る。裕二はシュリンプ社に連れ戻される。
さらには、保奈美が一番信頼していた指揮官もシュリンプ社のスパイだったことが判明する。スパイ行為がばれた彼女には悲しい結末が待っていることは避けられない。
大切な人を、この戦争のせいで失うことになった保奈美。戦争を終わらせたい。そんな気持ちは益々大きくなる。
戦争は長期にわたり、膠着状態に。一時は、ヌーブラを着用して平和を愛する市民団体も活躍して、戦争を止めようとするのだが、所詮、ヌーブラを着けたいだけの変態集団でしかなかったようだ。
疲弊する両社。ビジネスにも支障が出始める。
チャコール社の社長は、シュリンプ社に和解の提案をする。
と言っても、互いにプライドもある。
お互いが損をすることなく、戦争を終結する方法。
ヴィーナスを利用する。
暴走したヴィーナスを両社共通の敵として倒し、戦争を終わらせる。
その無茶苦茶な提案をヴィーナスも受け入れる。これで戦争が終わるなら、それで構わない。
ヴィーナス暗殺は裕二に託される。
両社の戦闘員が入り乱れ、ヴィーナスを攻撃する中、裕二は再び、保奈美と出会い・・・
上記リンク先のあらすじとだいぶ変わったみたい。
戦争の不条理さがより感じられるラストになったような印象が残ります。
でも、同時にその中で、戦いを終結させ、二度と戦い合うことのない平和の世の中は、この戦争の無意味さを知る若い自分たちなんだという強い意志が浮き上がるようなラストにもなっているようです。
上からの不条理な指令により、実際の戦争を創り上げてしまうのは若い自分たち。でも、そこから、自分たちの行動を顧みて、新しい世界を創り上げることが出来るのも若い自分たち。世を変えることが出来る、どんな状況でも熱く人への想いをぶつけ合えるのは自分たちなんだということを知らしめるような話になっているようです。
社長のように、戦局を見ながら、打算的な行動を取ることも出来ず、ひたすら真っ直ぐに感情のままに必死に懸命に動いてしまうがために引き起こされる悲劇もあるけど、そんな経験の中から、自分たちを見詰めて、より良き道を開くことが出来る無限の力を見せるような形で話は締められています。
切なさやもどかしいまでの悔しさを感じるところもありますが、それ以上に、真摯に想いをぶつけたという誇りやこれから先を見据えた強い希望の力も感じさせるところが、このバカバカしいまでの設定の話の中に隠された魅力のように感じます。
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コメント
SAISEIさん、blogの情報として観劇日時の後に観劇時間を加えていただけるとありがたいな、と愚考します(笑)3本はしごの日はわかるんですが(笑)今日は未曾有の4本はしごに挑むかもしれません。
投稿: KAISEI | 2015年2月28日 (土) 10時35分
>KAISEIさん
それ、ちょっと無理なんですよね。
色々あって・・・
本当は日付も書きたくないんですよ。
4本はやばいですよ。
私も昔やって、頭も体も疲れ切ってるし、ブログも書かないかんしで泣きそうでしたもの。
投稿: SAISEI | 2015年3月 1日 (日) 11時01分
結局まいあがれは行けずでした。サニーからうしとらに行く途中プラセボの場所を探したのですが分からず。キンヘビの後に行くのは怖いなと。室屋・中島・米山お三方いずれにも興味があったのですが…
投稿: KAISEI | 2015年3月 1日 (日) 20時58分