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2014年12月 7日 (日)

ウミガメのスープを飲んだ。【大名】141207

2014年12月07日 翔UPファクトリー (70分)

男と女の分かち合い。
愛していますか。そんな質問に対するYESという答えでは、その本当の想いは伝わらない。答えが無いのかもしれない。だから、悩み、あがき、必死に寄り添おうと色々なことをする。それがたとえ無駄なことだと分かっていても。
そんな男と女が本当に分け隔てられるしかない別れの中に追いやられたら。例えば、生と死のような。
自分の想いをどう伝えたらいいのか。想われていることをどう感じ取ればいいのか。
弱いけど優しい人間が出来ること。それは、ただ抱きしめ合うことだけ。
そんなことを感じさせる作品だったように思います。

居間、リビングダイニングで繰り広げられる、曖昧な今、Living Dyingの話。
ウミガメのスープを飲んだ男、男から何かの答えを導き出そうと質問をする女。その答えはYESかNOに限定される。そんな二人を、ガメラ、カメラ小僧のウミガメがまだ降り立てぬ世界の外から望遠レンスで覗き込む。
浦島太郎は、乙姫様を残して、自分の世界へと戻ってしまう。乙姫様に開けてはいけないと言われた玉手箱は寂しさに負けて、開けられて太郎は爺さんになる。
かぐや姫は帝を残して、月の使者と共に月の世界へと旅立つ。かぐや姫に渡された不老不死の薬は帝のむなしさの中に葬られた。
二人の愛を育んだ神田川には、汚れたものが流れ込む。
記者、ライターの男は
仮面ライダーに変身して、ガメラには倒せないゴジラから女を守ろうとする。でも、男はゴジラを助けることを選択し、倒すことは出来ない。
YES、NOに限定された質問は一つの答えを導き出す。それは今のLivingとDyingの曖昧さを消す。
経った今の真実は、たった今の現実を明白にし、ただ今の悲しさを突きつける。
生死が明確となった世界で、未来は壊れ、味蕾は機能を失い、美味しかったウミガメのスープの味を消す。
ウミガメは十月十日を待たずして世界へ降り立つ道を切り開く。ウミガメ、産みの神様は卵を産んで涙する。
男は、もう女との世界には戻れない。仮面ライダーには変身できないので、これまでの想いを返信する。
女はその想いを受け止め、YES、NOでは導き出せなかったもう一つの男との愛の答えを見出す。

みたいな感じの話だと思うのですが・・・
言葉遊びを、どうしてこんなに出てくるんだと驚愕するぐらいに盛り込み、それをリズミカルにハイテンポで奏でていくので、とても頭がついていかない。
さらには、
会話がループしており、男、女、ウミガメが入れ替わり、その内容も視点が変わるからなのか、少しづつ変化します。
ラスト10分ぐらいで、全容を理解させるシーンが描かれ、そこでこんな巡り回るやり取りが成されている真相を知ることになります。

で、結局のところ、凄く泣けるんですけどね。これでは、何が泣けるのかは分からないでしょう。
仕方ありません。せっかくいいもの観て、その良さを伝えてあげれずで申し訳ないとは思いますが、観に行かないのが悪いんですとしか言いようがない。

女は、男の死を受け止めていません。どうも、ケンカをしたような形で、十分に想いを伝えることも出来ずにお別れとなったようです。
だから、男の想いを知るためにもこんなやり取りを繰り広げたのでしょうか。歴史的な物語においても、そんな不意の別れでは、プレゼントした物の意味合いさえ理解されず、悲しい結末を迎えてしまうのに、それでも、何かが分かると思ったのでしょうか。
乙姫様やかぐや姫も、二人の時間を確認するかのように、あんな物をプレゼントしたのかな。
自分が想っていることは自分だから分かるにしても、想われていたことはYES、NOの質問からは導き出せるものではないでしょう。だから、せめて、お別れの後もあなたに寄り添える何かにすがりたかったのか。もう触れ合って、その想いを感じることが出来なくなるから。
女の中で、出てきた答えは、受け止めることの出来なかった男の死という現実。想い合っていたという、きっと女が求めた答えは出てきません。
でも、浦島太郎と乙姫様が、かぐや姫と帝が、その一時に愛を育んだように、そして、その愛を育てた神田川はたとえどうなろうと流れ続けているように、二人の愛がそこにあったことが最後には描かれています。
二人は愛し合っていましたか。その答えはYES、NOなどの答えを必要とせず、ただ抱きしめ合うことで二人だけの答えを導き出したかのようなラストでした。
そして、それは同時に女が、男の死から決別し、自分の生を全うしていかないといけない厳しいものでもあります。女は産みの神様。彼女が涙して、この世に宿す命は、二人の愛の事実を繋げていく、ただ今からの未来の始まりになるのでしょう。

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コメント

こちらに行かれたんですね。たぶんノーマーク。私はロブに行きました。次回本公演はHEPホールでやるそうです。「劇団皆HEPへ」というくらいHEPHEPと聞く今日この頃ですw来年はHEP詣でが多くなるかな…ロブはショート集でしたね。慣れてきたのかショート系では過去一番良いと感じました。際だってというものはなかったですがバランスが良かったし。特殊なネタがなかったのでいろんな層が楽しめそうです。ここも個性的な面々がやはりますね。

投稿: KAISEI | 2014年12月 8日 (月) 00時19分

>KAISEIさん

作家の黒井エミさんを高く評価していますから。
それに、学生さんが卒業しても、仕事しながら演劇を続けていることが嬉しくて、観に行くだけで応援になるならと。

ロブのHEP公演は嬉しい。
大阪の観劇仲間はあまり知らないと思うので。
あれは、観たら間違いなくハマると思うのですがね。
名古屋から間に合えばなんて、ちょっと考えたのですが、さすがに厳しく(゚ー゚)

投稿: SAISEI | 2014年12月 8日 (月) 18時35分

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