INDEPENDENT:14 141128
2014年11月28日 インディペンデントシアター2nd (30分×3、休憩30分、30分×3)
昨日に引き続き、6作品観劇で、今年もコンプリート。
(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post.html)
6年目になりました。
一人芝居は難しい。創り手もそうなのでしょうが、観る側もその観方にいつも悩まされます。
まだ、正直、どう観て楽しめばいいのかよく分からないところがあります。
まあ、役者さんの魅力はほぼ絶対的に感じ取れるのですが、どうも話として妙に厳しい目で見てしまうような感があります。悪く書けば、面白くない、くだらないと切り捨ててしまいたくなるような感じ。
普段の観劇では、そんな時ももちろんありますが、だいたい、どこかに面白味を見出すようにしているのですがね。この一人芝居だけは不思議とそんなところが。
まあ、年に一回の楽しいお祭りとして気楽に触れればいいのでしょうが。
<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>
・「ブーメランパンツ」
中野π子(ザ★ヨウコ)×金哲義(May)
戦隊ゴランジェリーの一員として、日々、か弱い女の子を変態男の手から守る女性、パンツ。でも、そのパンツ丸出しのコスチュームのせいなのか、世間の目は逆に自分たちを変態呼ばわり。
パンツは結婚して引退することに。結婚式では他の4人がドタキャン。唯一、司令官だけが出席。女の嫉妬。あんな奴ら友達じゃない。くだを巻くパンツに司令官は本当のことを告げる。悪の組織が最終決戦を通達。4人はその戦いに向かったと。
パンツは現場に急行。でも、4人は悪の総統と相討ちで帰らぬ人に。自分は仲間を見殺しにした。
荒んだ日々を過ごし、夫からも見捨てられる。駆け込んだのは修道院。自分の罪と向き合う日々。
そんな中、悪の総統の息子が再び現れる。戦うのはゴランジェリー48。まだ、若い女の子たちはかつて、ゴランジェリーが救った女の子たち。
あんな子たちを下着姿で戦わせるわけにはいかない。結婚適齢期を過ぎた自分じゃないと。修道院のマザーも、自分の正体を明らかにし、パンツを戦いへと見送る。
戦いは苦難を極める。必殺技のブーメランパンツも長年の戦いでこれ以上投げれば心臓が止まるから投げることが出来ない。両手も失った。
その時、4人の声がパンツの下に・・・
トライアル予選の頃から面白いと噂になっていた作品。今年は予選を観に行かなかったので、何とか本選までと思っていたので観れただけで嬉しい。そして、評判どおりの面白さ。というか、とてつもない勢いに任せた作品。圧倒される。
金さんってこんな作品も創るんだ
・「生キテマスカラ」
早川丈二(MousePiece-ree)×橋本匡(万博設計)
40歳の男。アパートで目覚まし時計が鳴って目を覚ます。スヌーズ機能にしているので、5分ごとに鳴り続ける。そうしないと、母親が起きてこないから。
男は室温発酵して作るケフィアヨーグルトの工場に勤める。よくクレームが入る。ヨーグルトが腐ったと。当たり前だ。ヨーグルトは初めから腐っている。その腐り具合がちょうどいい時に食べるのだから。
部屋には室温で眠る母。起きてはこない。
男の中で繰り広げられる妄想・・・
難しかった。よく理解できない。
母の死と対峙して、母が生きていたことを理解する。そのことが、男が自分が生きていることを意識づけさせたような感じか。男は生きている。だから働く。そんな想いが、目覚まし時計のスヌーズ機能を解除する。
ケフィアヨーグルト。人は生まれた時から、その生きる過程で、発酵して熟成されていくようなイメージだろうか。意味合いは違うが、腐っていくのも人生で、腐りきるまでが人生。母はそこまでいってしまったのだろう。男は腐りかけ。でも、その頃のヨーグルトがいい味わいを出すように、男も今、食い頃を迎えているのかもしれない。だったら、その魅力を世にアピールしないと。アパートの一室でそれこそ黙って腐りきるのを待っている場合ではない。
母の死に対する囚われから解放され、死と決別し、自らを浄化するように白塗りとなり、生への覚悟を決める男の姿はこれからの男の未来への希望を感じさせると同時に、根強く残る狂気的な部分が交錯して、何とも複雑なラストに映る。
・「肥後系 麗月」
コロ(コロブチカ/サンズエンタテインメント)×堀越涼(花組芝居/あやめ十八番)
人の未来を見ることが出来る麗月。妻が浮気することも予知しており、こんな自分の能力、そして変えられぬ人の運命に絶望を感じていた。
ある日、一人の女性が訪ねて来る。彼女は自分の寿命を見て欲しいという。手相を見立てたところ、長寿の相。彼はそれを告げると、女性は手のひらを小刀で切り付ける。女性の夫の命は後少し。自分もすぐに後を追うつもり。その覚悟が足りない。自分は死ぬ。その運命を自ら切り開こうとしたらしい。
そんな姿を見た麗月。彼女の顔相をもう一度見る。彼女の目から影が消えている。これは死相を表すらしい。彼女は確かに自らの運命を変えた。
実は麗月の妻にも死相が出ていた。運命は変えられぬと諦めていたが、女性との出会いが麗月の考えを変える。
目の影。消えたこの影を戻すには。麗月は妻の目を・・・
妻への愛を描く夫婦愛と、妻の裏切りを妬む男の狂気が交錯。
囚われている運命など、所詮、大したものではない。それに従うのは逃げ。人は運命を切り開くことが出来る。
そんな想いが純愛にも通じるし、鬼畜の成す業ともなるし。
男の妻への想いは、これからの時を共に愛し合って過ごしたかったのか、それとも妻を絶望に追い込む復讐なのか。
男の心の中が、ドロドロとえげつなくも映るし、尊い美しさを醸すようにも思えるしで、何とも不思議な感覚。
・「らせんの冒険」
得田晃子×西川さやか(月曜劇団)×上原日呂(月曜劇団)
朝、起きて健康のために白湯。着替えず寝てしまうこともしばしば。顔はあまり洗わない方がいいとすっぴんで出勤。40分歩く。途中、コンビニで朝食を。サンドイッチを食べながら歩く。途中、猫に挨拶。そして、電車に乗る。ちなみに、遅刻しそうな時は、朝マック。けっこう優雅なひと時。そして、最寄りの駅から電車に乗る。
会社に着いたら、タイムカードを押して、パソコンの電源on。そんな生活を繰り返す女性。
とりあえずに縛られた生活。
そうだ、冒険に出よう。昨日、思い立って1500円で冒険にふさわしい服も買ったし。
冒険。いや探検かな。何をしたらいいのか。つちのこ、雪男を見つければいいのかな。それとも、石油王にでもなればいいのか。
気付けば、女性は見覚えのある昔の街へ。そして、昔、住んでいた家へ。建て替えたはずなのに。
入ってみると、懐かしい部屋。でも、家が火事に。
雪男、ネッシー、カッパ、石油王、宇宙人・・・ちょっと違うのもいるが、UMAが私を助けようとしてくれる。
火の中に飛び込む。熱くない。幻か。じゃあ、キャンプファイヤーみたいなものだ。定番の踊りを。
目が覚めると会社のデスク。夢だったのか。上司は奇妙な目で見てくる。
来月か再来月、休みをください。ゆっくりと冒険をしたいのです・・・
訳が分からないまま、収束させることもなく、しかも夢オチで終わらす。
30分ではおさめきれていない尻切れトンボ感が残るが、まあ楽しい冒険物語ではある。
普段は、じっくりと落ち着いた演技派の姿を見せながらも、ちょっと可愛らしい空気も醸す得田さんの、チャーミングな部分だけにスポットを当てたような作品だろうか。
妙齢女性の日常に潜む憂鬱感を、少女のような純粋さの中で浮き上がらせた感じ。
・「チンピラB」
隈本晃俊(未来探偵社)
撮影現場で待機する男。チンピラBという殺され役で、セリフもちょっとしか無いが何度も繰り返し練習。
そこそこの歳だが、売れっ子俳優の説教を深妙に聞き、かなり年下の演出家には頭を下げてご機嫌を伺う。
チンピラA役の子は、一回りも歳が違い、しかも東京出身なので話が全然、合わないけど、ちょっと先輩風を吹かせたいのか、色々と喋りかける。チンピラAは死体役でセリフが無いからちょっと優越感もあるみたい。
若い男は演劇をしているらしく、チケットノルマのことなど、ちょっと演劇界のおかしな風習をからかったら半切れされてビビる。自分たちの努力をお客様は観に来てくれている。馬鹿にしないで欲しい。その剣幕に男もひるむ。
男はご機嫌伺いで自分の昔話をする。
昔、大阪ローカルだけどまあまあ有名なドラマ。そのオープニングシーン。2月の淀川で流れる死体役だった。でも、撮り直しとなる。ゴミと一緒に浮かんで流れるという演出を要求された。寒いから奥歯がガタガタ震える。でも、死体だから。何とかしようと口を開けた。淀川の汚い水と犬のウンコが口に入ってきた。でも、演出家はその演技を泣いて喜んでくれたんだとか。まあ、結局、最初のVを使われたみたいだが。
男は待ち時間に、チンピラAとBの掛け合いを自分たちで練習しておこうと言い出す。でも、セリフも大して無いしといい顔をしない若い男。さらには台本もサラ品状態。しょうもない役だから、まともに読んでいないらしい。さっきはあんなに偉そうな口を叩いたくせにと怒るやら嘆くやらの男。
そこに演出家がやって来る。役変更の知らせ。チンピラAとBを交換。男はただの死体役に。若い男は東京に帰らないといけないので先撮り。二人の絡みは無し。
一人、取り残された男。あまりの不条理さに台本を叩きつけそうになりながらも、思いとどまり死体役の練習を。
ちょっと感動しちゃって。
まっすぐにひたむきに。虚勢でも何でも張って、その想いを貫き通す。
チャンスは努力している者の下に必ず訪れる。これだけ不条理なことばかりだとめげそうにもなるが、出来ることは努力することだけ。そう信じて、今日も男は自らの道を歩む。
かっこいい。
当日チラシには笑ってもらえるかなあって書いてある。笑えたけど、途中から真剣に男の言動に見入る。むしろ、涙する。男の切なさと素敵な姿に。
・「SO-SU」
坂本祐以(劇団千年王国)×イトウワカナ(intro)
数学大好き、特に素数に憧れる17歳の女の子。
ある日、テレビで見た輝く女の子にビビっとくる。私もアイドルになる。
オーディションを受けてはダメで、特技を身につけようと鍛錬を積んでいる間にムキムキになったり。
いつの間にやら23歳。五人組アイドル、SO-SUを結成。と言っても、一人だけなのだが。そして、新曲完成。
2年もかかった。これではコンサートを開くのもいつのことやら。必死に頑張っていると疲労骨折。
横浜アリーナでコンサートをしたい。デビューとなるコンサートだ。働きまくってお金を貯める。
27歳。お金が足りない。そして、いつの間にか4人がいなくなる。みんなでただライブが出来れば良かったのかもしれない。何で、アリーナにこだわったのか。私の独りよがりだったのか。
もう諦める。バイトは続ける。生活のため。
スポーツ新聞に結婚記事。あの17歳の時に心ときめかせた女の子。もう、これで自分もアイドルにこだわらなくてよくなる。何かほっとした。
でも、また出会ってしまった。心ときめく女の子に。
まだまだ。27歳女子。アイドルに向けて・・・
坂本さんが終始、動き回り、喋りまくりのハードな舞台。
ひたすら走る一人の女の子の姿が描かれる。
素数は何の意味なのかな。1と自分の数字だけで割り切れる数。1が光り輝く女の子で、あとは自分だけの人生なんて感じだろうか。
光り輝く女の子はメタファーで、自分が夢中になれるものとして、それをベースに、あとは自分でしか割ることの出来ない人生を走る姿は何となく素数のイメージではあるが。
元気いっぱい。目指す姿になれるその日まで、ひたすら走り続ける夢をかなえる物語。
| 固定リンク
「演劇」カテゴリの記事
- 【決定】2016年 観劇作品ベスト10 その3(2016.12.31)
- 2016年度 観劇作品ベスト10 その2(2016.12.30)
- 2016年度 観劇作品ベスト10 その1(2016.12.30)
- メビウス【劇団ショウダウン】161209(2016.12.09)
- イヤホンマン【ピンク地底人】161130(2016.12.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント