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2014年11月24日 (月)

dust【千本なぐり】141123

2014年11月23日 カフェ+ギャラリー can tutku (65分)

まあ、かなり苦しさ残る作品でしたが、確かにチラシに謳っているささやかな希望は見えるような気も。
それでも、厳しいかな。
ネオン瞬く深夜の繁華街のどこかの暗闇の中のほのかな光を感じ取れるような人たち。
そんな光だからこそ、かけがえのない大切なものであり、そんなものを見詰めるべき人生のひと時もあるのかな。

ゴミだらけの深夜の繁華街。
清掃員は、ゴミを拾い、掃き、集め、汚れを拭き、磨く。
サラリーマンに嫌がらせを受け、娼婦からはちょっかいをかけられる。
より弱くみじめな人間を蔑むことで得られる自分自身の確認。
ゴミを漁りながら、何かを探している女性に声をかける。
清掃員の前は何をしていたのか。
宇宙飛行士になる夢を持っていたのはいつの頃だったか。

サラリーマンは、会社で出来ない男呼ばわりされている。飲み会では課長におべっか。
昔は医者になりたかったんだっけ。
ゴミを漁る女性に立派なサラリーマンであることをアピールしながら声をかける。お金が欲しいなら、自分を鞭で打って虐げてくれ。
娼婦に声をかけられるが、自分はそんな女を買ったりはしない。それでも、Mだから虐げられたい。

娼婦は夜の街を彷徨う。客がいなければ、それだけのこと。
清掃員にちょっかいをかける。卑屈になっているのか、自分よりみじめな人に興味がある。
自分は娼婦。普通の女とはもう違う。
昔はアイドルを目指していたりしたが。
サラリーマン相手に商売。かっこつけていても、裸になれば、誰でも同じ。

女は深夜の街をゴミを漁りながら彷徨う。
何か光るものが紛れているような気がするから。
パン屋になりたかった。たくさんパンが食べられるから。お金があればそんな夢も無かったのだろうか。
腕には注射の跡がいっぱい。
仕事は見つからない。自分が出来ることは分からない。それでも、自分に役割が欲しい。
そして、自分は今、立って歩いている。

夜が明ける。
娼婦は眠りにつく。
サラリーマンは出勤の時間。清掃員は声をかける。昨晩、自分はMで娼婦に虐げられたことを告白するが、それでも、どこを見てもサラリーマンだと答える。いってらっしゃいの声を受けて、サラリーマンは去る。
女の探し物は見つからない。喫茶店に誘う。疲れた体を温める夜明けのコーヒー。
自分は清掃員。手にするのはホーキ。これで空を飛べるのだろうか。目の前に拡がる夜空・・・

退廃と狂気。そして、ささやかな希望の物語らしい。チラシによると。
まあ、確かにそうかな。
衰えていく破滅に向う道に、狂いそうになるのを、ほんの少しの希望で一線を保っているような感じか。その希望も、夢とかではなく、安堵に近いものみたい。
何かに蔑まれ、虐げられる。社会にだろうか。だから、それを確認するかのように今の自分を生きる。
夢は限界を知り消える。代わりに得た仕事は思ったのと違う。それすら手に入らず、役割を求める。渇いた笑いすら浮かべられない。
自分の幸せはどこに消えてしまったのか。このゴミに埋もれてしまったのだろうか。
上を向けばたくさんの輝く星たち。それはきっと、自分の夢や希望ではない。きっと、この街のどこかにゴミと一緒に紛れ込んでしまっている。だから、下を向いて転がる夢と希望を見つける日を追う。

最初は4人の関係性がよく分からなくて。今も分かってはいませんが。
15分ぐらいは、ゴミを漁る女が世を何も知らない女性、サラリーマンが金と地位を得た男。
娼婦が世を知り過ぎた女性、清掃員が金も地位も失った男。
なんて、観方をしていて、きっと、ある男と女の過去と未来の姿を描いていて、失って分かるもの、知り過ぎて分からなくなるものみたいな構図から何かを導き出そうとしているように思ってましたが。
とんでもないミスリーディングでした。
結局はみんな同じで、蔑まれながらも生きる人たちの姿を描いているのでしょう。人には分からず、仮面を被って。
負の感情だからこそ、明るみでは見えず、こんな深夜の暗闇に浮き上がってきたかのようです。
そんな人たちが、この街に眠る昔の夢はもうゴミと一緒になってしまっていても、どこかにそれがあることで、明日への希望を少しだけ持つような話なのでしょうか。
彼らには、夜空の星はまぶし過ぎて見えなさそうです。それよりも、暗闇の片隅に輝くこともなくひっそりした光の欠片の方が感じ取りやすいみたいです。
ちょっと退廃の要素が大き過ぎて、その希望すら容易に消えそうな感じなのが鬱々しますが、それでも、光は光。人生でそんな時もきっとあるのでしょう。

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コメント

ノーマークでした。しろみそ企画の「下部」の件調べてからコメントしようと思っていたのですが思いがけず十三にて御尊顔を拝し奉り恐悦至極に存じますwすみません。なんかババッと私ばかり話してしまって…失礼をお許しください。45分くらいに着いて新谷さんに前どうぞと言われて席取ってトイレ行ったら混んでて下のローソンのトイレ借りに行って帰ってきてもしやと思って辺りを見渡したらSAISEIさんがいらっしゃったもので。うわぁまたいらんことたらたら書いてる。ということで以後お見知りおきをw

投稿: KAISEI | 2014年11月28日 (金) 00時58分

>KAISEIさん

これは仕方ないです。私もギリギリまで知らなかったので。
鬱々する話だから、まあ良かったかも。

先日はお声掛けいただきありがとうございました。
一人芝居公演の時間がギリギリっぽかったので、最後きちんとお話も出来ずで申し訳ない。
私もちょうどローソンでタバコ吸ってた頃かなあ。

また、どこかの劇場でお会いしましょう。
ありがとうございました。

投稿: SAISEI | 2014年11月28日 (金) 16時11分

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