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2014年11月 1日 (土)

ちゃんとしてる沼【月曜劇団】141101

2014年11月01日 インディペンデントシアター1st (90分)

奇抜な設定過ぎて・・・
どういう頭をしているのでしょうかね。不思議でなりません。
私の沼。あなたの沼。それは違うものなのか、それとも同じものなのか。私の沼はちゃんとしていなくて、あなたの沼はちゃんとしているのか。
そんなものは誰も分からないし、定義だって無い。そもそも、沼なんてそんなものだから。
色々なものが混ぜこぜになっている沼を、その人の世界のような感じで描きながら、その沼を認め合うことで得られる人同士の想い合いに通じさせているような作品だと思います。

<以下、ネタバレがあるので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで。観た方がいいと思うなあ。お~、これは最高と思うシーンがあるので。もちろん、話自体も面白いですけどね>

互いにぎごちなく、距離がある夫婦。
その距離を詰めたいとどちらも思っているのだが、どうしたらいいのか分からず、探り合っては、上手くいかずお互い謝ってばかり。
と、こんな状況になっているのには、ちょっと女も面倒くさいところがあるとはいえ、男側に理由がある。性格とかの問題ではなく、重大なことを隠しているのだ。

沼人。昔は色々といい沼があったのだが、人間によって埋め立てられてしまった。そこで行き場を失った半魚人みたいな者がそう呼ばれている。今は、人工的な沼で、人間とは隔離された生活をしているらしい。このことは国家機密で、極秘に設置された監視局の人たちが、隔離作業や逃亡する沼人の逮捕などの業務を行う。その監視局で伝説になっている優秀な職員が、上記した男である。派手な衣装にマスクをかぶり、エル・ニンジャなんて呼ばれていたヒーローだったようだ。ある日、突然、寿退社というあり得ない理由で引退してしまった。
彼らは、その極秘作業のために人の記憶を操作する特殊な装置を持っている。男はそれを女に使った。彼女は、プラネタリウムで偶然に男と出会い、仲をはぐくんでいったという、男の理想であるロマンチックな偽の記憶を植えつけられて結婚にまで至っている。

そんな彼女の下に、沼人が現れる。人間との間に子供がいて、今はシングルマザーとして、頑張っている女性。
隔離された人工沼をたびたび抜け出し、人間界に遊びに来る常習犯。監視局の職員も、またいつものことかと手馴れた感じで連れ戻そうとするが、なかなか言うことを聞かない。さらには、そのそっくりの姿をした子供もしょっちゅう、人間界に遊びに来る厄介な親子である。
彼女は、少し天然なところがあるのか、沼人を恐れることもなく、今の夫婦仲を相談したりして、仲を深めていく。

そんな中、かつて男が逮捕した極悪沼人が脱走する。
監視局の職員は、この緊急事態に男に復活を要望する。渋っていた男だが、事態が事態だけにそれに協力することに。
と言っても、妻にその正体は隠さないといけない。ただでさえ、ずっとぎこちない間柄だったのに、そんな仕事の隠し事までしてしまえば、関係はよりぎぐしゃくし始める。
極悪沼人は、自分を捕まえた男に恨みを抱いている。たまたま、女に会いに、家に遊びに来ていた沼人の子供を、その男の子供と勘違いして誘拐する。しかも、当てつけのように、エル・ニンジャとそっくりの格好をして。
一方、女はそんなことは露知らず。男の部屋からおかしなマスクを見つけ、彼にコスプレの趣味があるのかと悩みだす。
男は沼人の子供を救い出すために、監視局の職員と共にかつての姿、エル・ニンジャとなって、極悪沼人の下へと向かう。
女は、男の趣味に少しでも近づこうと、これまたとんでもないコスプレをして、男の後をつけ・・・

沼なんてタイトルだし、夫婦仲もぎこちないしで、沼に入り込んでもがき苦しむ人の心を浄化して、抜け出すみたいな話かななんて思って観ていたら、もうラスト30分ぐらいは完全に崩壊。
どうしたんだといった驚愕のドタバタになる。
上記したそっくりの親子とか、エル・ニンジャとそっくりの格好とかが、一つの肝で、同一役者さんが演じるので、ドタバタに拍車をかける。
エル・ニンジャさんの孤独な一人戦いシーンの熱演は素晴らしい。・・・のだが、このシーン、実は女のコスプレがこれまた強烈で、そちらに目を奪われてしまう。何だったら、かぶったりして、見えないから少しズレて欲しいなんて思ったりしてしまい、頑張る姿が切なく哀しく。

作品名の沼は、奥深くて紐解くのは難しいなあ。
色々な沼があって、そこにはまり込む人は沼だなんて思わないのかもしれない。それこそ、その人にとっては温泉みたいに気持ちのいいところなのだろうし。でも、他人から見れば、それは汚い単なる沼で、早く出ないと腐っちゃうよぐらいに思ってしまうのだろうか。
ちゃんとしてるとかしてないって何なのだろう。色々なものが混ぜこぜの沼って、何か定義があって、こうじゃないと沼とは呼べないとかはきっと無い。そんな沼に人はみんなはまって生きているのだろうか。
人工的な沼だなんて、それをちゃんとした沼だなんて言うのかもしれないが、それは、自分がはまっていた本当の沼を、誰もがまあ認める当り障りのない形にした偽物で、そこに浸ってそれでいいと自分に嘘をついているような気がする。

嘘をついていると苦しい。
自分にとっては心地いい沼でも、それを人もそう思うか不安だから、その沼のことを言えないし、ましてや一緒に入ろうなんて言えない。人の差別意識を恐れるみたいなものかな。
自分がはまっている沼はちゃんとしている沼だから大丈夫ですみたいなごまかしを人には見せて、接しようとしてしまう。
この夫婦もそんな感じだろうか。
でも、互いに相手の沼を知りたいし、何だったらその沼に入り込む覚悟があるから、本当の沼のことを語り合いたいと悩んでいる。
作品中では北風と太陽みたいな話になっているみたい。
北風のようにそれを吐き出させるのではなく、普通にそれを言い出せるような太陽のようになりたい。
二人は共に相手に対して太陽のような存在であろうとしているように感じる。
だから、最後は自然に自分たちの想いをぶつけ合う。
そして、偽りの沼から二人とも上がって、二人だけの沼に一緒にこれから入って過ごそうとしているようだった。
プラネタリウムでの出会いとかも全部、嘘っぱちだったが、これからは一緒の沼でそれを本当のちゃんとしたものにしていけばいい。思い出はこれから二人でいくらでも作り上げていける。そんな二人の微笑ましい姿で話は締められている。

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