« 秋の夜長の星降る美空【しろみそ企画】141116 | トップページ | 超贋作サロメ~冒涜版~【劇団衛星】141120 »

2014年11月17日 (月)

庭売り【枠縁】141117

2014年11月17日 人間座 (70分)

気味悪いというのが感想でしょうか。
それと、よく分かりません。後半、かなり不条理になっていき、頭が崩壊してしまいました。
封印されし記憶や負の感情が、日常のちょっとした違和感からどんどん噴き出してくるような怖さを感じさせられます。
おかしく感じ始めた庭でも、そこに住む家の者たちは、その庭を手入れして、ずっと共にしないといけない。
それが、想い合う人と一緒に抱え続けることでもあるといった感覚が、少し気味悪さの中にも光を感じるところかな。

新婚夫婦が、調子よさそうな不動産屋を連れて、新居探し。
夫は小説家。先日、新人賞を受賞し、その賞金で一軒家を購入することにしたらしい。
家屋は少々古びており、掃除の管理が行き届いてないのか、中は汚い。隣の奥さんが管理人で、掃除をするように伝えていたのですがと、不動産屋は言い訳。
その代わり、庭が素晴らしい。妻はそれをいたく気に入った様子。
隣の奥さんがやって来る。ちょうど、庭の管理をしていたところらしい。家の掃除もしてもらわないとと言う不動産屋の言葉を適当にあしらって、夫婦にご挨拶。庭が素敵という妻の言葉にとても喜び、二人はすっかり意気投合。夫も妻がそんなに乗り気ならと購入することに。妻は笑顔で書類に印鑑を。
夫は不動産屋が自分のファンだと知って、ちょっと優越感。本にサインなんかをしたりして。
幸せな未来の始まりの予感。

引越し当日。
夫の兄がほとんど手伝ってくれる。転職ばかり繰り返しているいい加減そうな感じだが、悪い人では無いみたい。家は汚いまま。隣の奥さんは結局、家の中は掃除してくれなかったみたい。庭の管理はバッチリなのに。自分の家の庭はひどく汚いという兄の情報が入るが、ここがあの人もそんなに気に入っているのか。
家の掃除は自分たちですると不動産屋には伝えて二人っきりに。家のことは全部、任せてもらって、夫には執筆活動に集中してもらう。そんな生活を妻は夢見ているようだ。

夫はスランプに陥る。
庭は相変わらず素晴らしいが、どこか違和感が生まれ始める。
あんなところに木があったかしら。
隣の奥さんが今だに勝手に入り込んで庭の手入れをしているらしい。不動産屋に相談して、専門の管理会社に庭掃除は依頼することにしたが、奥さんはそれに憤慨して、許そうとしない。

と、この辺りからかな。
だんだんと訳が分からなくなってくるのは。
夫がいつの間にか失踪する。兄に聞けば、父の葬式以来だそうだ。父が亡くなったことすら妻は知らない。
妻の母は家に遊びに来ようとするが、今はあなたの子供では無く、夫の妻だと言って、拒絶し続ける。
夫は庭を恐れていた。何か字食い虫が現れるみたいなことも言っていた。スランプで気がおかしくなっているのかも。あんな庭があるから。妻は狂気に取り憑かれ始める。
不動産屋から庭を売ることを薦められ、お願いする。

そして、ラストに向けてさらに訳が分からなくなり、頭の中は崩壊。
夫はジョウロの穴から出て来たりする。穴に入る練習をしているらしい。そして、庭にも入り込めるように。そこで、兄と抑圧された父との思い出を語り合い、新人賞作家で未来ある自分と、転職ばかりでその場しのぎの先の見えない兄との間の隠れていた確執が浮き上がることとなる。
庭には、隣の奥さんの離婚届とか、不動産屋が捨てた契約書の確認書とか、妻の日誌とか、兄が昔に書いていた小説だとかが埋まっているみたい。
夫は妻にウェディングドレスを着させてあげれていないし、新婚旅行も連れて行けなかった。
そんな後ろめたさなんかも埋まっているのか。
そんな心の闇の部分の巣窟のような庭。

やっぱりよく分からないですね。
途中、シロアリかなんかの話なのかなとか思って観たりしたけど、どう考えても整合性が取れなくなる。
庭には、不要になったけど捨てられない物が埋まっているのでしょうか。見たくないから、いつも目に触れるような家の中にはあって欲しくないけど、捨てて消え去っても欲しくない。というか、家を変えない限り、捨てることも出来ないのでしょう。そんな
過去の記憶を封印しているかのよう。
カーテンを開け、かつ家から一歩外に踏み出さないといけない庭がそんな物たちを封印しておくのには最適な場所なのか。あとは、目立たないように手入れをしておけば、誰も気付かない。
自分の手の内にあるけど、姿は見せない。心の奥底に隠した負の感情のようなものをイメージする。
でも、そんな物が溜まっていくと、知らずうちに違和感が生まれ、そんな庭に飲み込まれそうになるみたいな感覚。封印されし物たちにこびりつく何かがいるのかもしれない。

そんな違和感は自分の存在を揺らがしもするみたい。
自分が個ではなく、相関的にどういう存在なのかを確認することで自分を確かめているようなシーンも頻発する。
隠している自分の不安や負の感情が、存在を揺らがし、関係性も歪める。そこから逃げることも出来ない。
そんな気味悪い感覚を残す作品だった。

妻を演じる、飯坂美鶴妃さん。夫のために尽くしますというけなげな妻の笑顔と、その夫が姿をくらまし、狂気的に探し出す姿のオンオフが激しく、引くぐらいに怖い。
自分が人を想う感情のまっすぐさなのか、そんな違和感ごときで、動けなくなる夫とはずいぶんと異なる。違和感を振り切って、前へ進む力が必要なのだろうか。

|

« 秋の夜長の星降る美空【しろみそ企画】141116 | トップページ | 超贋作サロメ~冒涜版~【劇団衛星】141120 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

ははは。芸創では確信持てなかったんですよ(笑)80%そうかな、と思いましたが(笑)今は100%です。理由はここでは…またお会いしたときに(笑)今日は京都遠征ですか… この週末の違いはドーンセンターとゲロリストは私は見ずよろずやポーキーズはSAISEIさんは見ずの違いですね。(土)からまわりえっちゃんはSAISEIさんブログの前説に至極納得。ME toな感じ。合うか合わないかでいうと微妙。観たい公演が重なったときに優先するかというと今の段階ではたぶんしないかなァ。直前まで行くか行かないか迷ったんですよねェ。チラシからはビビっとは来なかったんです。好きな女優さんさんが出はるから買った感じですね。(土)よろずやポーキーズは思っていた以上に良かったです。前回作『戦国マサラ』をに行きたかったのですが行けなかったんですがもう少し脚本細かいところ練れるでしょうがエンタメとしては〔エラそうですが〕合格かと。(日)しろみそ企画は前の日の晩まで悩みけっきょく石○1○6○さん、T・Tさんに左右されしろみそ企画を予約しました。ドーンセンターは再演してくれるかなという淡い期待もあるんですが…甘いですかね?そして選んだしろみそは極上の味わいでした。過去観劇(100余)ベスト10に入るかというくらいの大当たり。ただ間の伸びタイムいらないッス。あと最後のところ台風が来ない願いが叶ったんですがあれは台風が来る前に戻ったんですか?(つまりみそらは2人と会ってない)そこがナツミ達のセリフでわからなくなったところでした。
以上すべて初観劇劇団です、っつうかだいたい初観劇が多いです。だって新人ですもの(笑)枠縁は旗揚げ公演の『タウン』に行ったのですが会わず今回は見送り。抽象的なものは頭が悪いからかあまりオモシロイと思わず予定調和な物語にはしるKAISEIでした。明日は曜日変えたアトリエ劇研に行きます。

投稿: KAISEI | 2014年11月17日 (月) 22時44分

確認せずに投稿したら死ぬほど誤字脱字が多い… 過去にも『BIER』が『BEAR』になったりヒドいことこの上なし。せっかくなので追伸ですがしろみそは前回公演『ハッピーウェディング(何か後ついてたけど忘れた)』を観に行きたかったのですが観に行けなかったんです。DVD売ってない劇団さんなので置いて、ってお願いしました。あとSAISEIさんのブログの「女王蟻とその下部」は「女王蟻とその部下」が正しいのかな?

投稿: KAISEI | 2014年11月17日 (月) 22時53分

>KAISEIさん

からまわりは私も最初はそうでした。知らない間にはまっていき・・・
玉一さん、大活躍でしたね。
よろずやはけっこう観続けている劇団なのですが、今回は日程調整できず。早くから満席になったりしたので。
しろみそは、らしい作品でしたね。最後は恐らく時が出会う前まで戻ったんだと思っています。それでも、決して夢幻では無く、想いだけは残っているみたいな。よくあるどこか心に切なさが残るラストなのかなと解釈していますが。
確かにDVDは私も非常に欲しいです。
ちなみに、蟻はあの尻の敷かれようから、「しもべ」といった意味合いで使いました。あの漢字でいいのかはよく分かりませんが、変換で出てきたので。

枠縁は正直、厳しかった。私も感性勝負の抽象的な作品は苦手。ここに不条理性も加わるとだいたい、観ていて思考停止に陥ります。何か感じるところがあるかもと期待して行くことがありますが、だいたいボコボコにされて帰ってきていますね。

アトリエは、本当は火曜日、行こうかと思っていたのですが。
仕事が詰まり気味なのと、入院している母が退院しそうなので、自制しました。ちょっと、残念。

投稿: SAISEI | 2014年11月18日 (火) 11時07分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 庭売り【枠縁】141117:

« 秋の夜長の星降る美空【しろみそ企画】141116 | トップページ | 超贋作サロメ~冒涜版~【劇団衛星】141120 »