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2014年11月12日 (水)

月刊彗星マジック11月号「ヒーロー:英雄編&亡滅編」【彗星マジック】141111

2014年11月11日 インディペンデントシアター1st (40分+30分)

いよいよ最終回。全部観ることが出来て良かった。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/303-585f.html
前回ぐらいから社会風刺の色が濃くなっていましたが、最後も日本とか問わず、国のありかたを問うような話になっていました。
正義のヒーローが悪を倒す。
正義と悪の違いはどこにあるのか。視点を変えれば、正義は悪に、悪が正義になることだってあり得る。
倒すとは力で抑え込むことなのか。それを永遠に繰り返すのか。
そんなことがこの三か月間の連作で描かれているようでした。
正義や悪とかではなく、互いに受け止め合える社会。憎しみや悲しみから悪は生まれる。だったら、その悪が生まれない社会。
そんな社会を実現するために、ヒーローとしての熱き心を胸に戦う人たちの勇敢な姿を見たような気がします。

・英雄編
ヒーローに憧れ、特別任務官の試験に合格した英雄。
ところが担当する小さな島は至って平和で壊滅災害など出現する気配も無い。出たとしても小学生でも倒せるぐらいに弱っちい。都会で活躍するメトロポリマンとかいうヒーローが、その壊滅災害との戦いをテレビ放送までされて、キャーキャー言われているのとは大違い。
こちらは、この前、久しぶりに現れた壊滅災害は、自らの星が発展し過ぎた文明によって滅んだため、この島の美しい海と空の景色を懐かしみ、最期の時を過ごそうとやって来たようで、倒す気にもなれなかった。島で一番素敵な景色が見える山に運び、そこで亡骸を葬ってあげた。
とまあ、平和であることはいいことなのだが、困ることがある。歩合制なので給料が・・・
これでは、妻に美味しいもの一つごちそうしてあげられない。
事情を話せればいいのだが、家族にすら正体を知られてはいけないので、日々、することが無いのに仕事があるように振るまっている。そして、バレないようにピザ屋でバイトしたり。
でも、そろそろ嘘も限界。妻には確実に怪しまれている。どうにかしてくれと、補佐官に願い出るが、どうしようもないことだと手厳しい。
そんな、ある日、男が深傷を負って、英雄の家にやって来る。この男、実はメトロポリマンなのだが、マスクも何もしていないので、妻には誰か分からない。どうやら、何者かに追われ、英雄に助けを求めて逃げて来たらしい。そこに、メトロポリマンのマスクをした女性が現れる。そのメトロポリマンは、男をぶん殴り、妻にまで手をあげようとする。
メトロポリマンと壊滅災害との戦いで、女性の両親が必死に働き、建てた家が崩壊。その後、両親は憔悴して亡くなった。何が正義だ。自分は特別任務官を許さない。女性は自らがメトロポリマンとなって悪評を撒き散らし、この制度を廃止へと追い込むつもり。
本物のメトロポリマンは、女性を倒すべく戦おうとするが、知らせを聞いて、駆けつけた英雄に止められる。彼女は一般人だ。ヒーローは戦うのは壊滅災害だけ。今、するべきことは、彼女の声に耳を傾けること。しかし、その時、補佐官の探知機が女性を壊滅災害と認定する・・・

どうも、この国の実態が浮き上がり始めるような話になっているみたいです。
特別任務官を配置して国民を壊滅災害から守りますということを大義にして、国は自分たちの都合のいいように事を進めようとする。
その実態は全ての国民を幸せにということを掲げながらも、こんな家を破壊されてしまって、国に抗おうとする女性は切り捨てる。さらに、その権力をもって、壊滅災害に認定して、全国民の敵とまでしてしまう。
そんなこの国の異常性は、前回ぐらいから、補佐官をはじめ、活躍する特別任務官たちも気付き始めています。
英雄も自分が思い描いていたヒーローと、特別任務官が異なることに気付いたようです。自分は、全ての人が平和で幸せになる世界を創るために力を尽くしたい。この小さな島のように。
そのためには、壊滅災害だろうと何だろうと、それを受け入れ、その声に耳を傾ける。敵を倒すことでは無く、そんな敵を生み出さないような社会にしたいといった感じでしょうか。
と言っても、英雄自身にも生活があります。国民を守ることはもちろん大切ですが、それ以上に愛する妻を守ることも大事。
壊滅災害に認定された女性と特別任務官として戦わないといけなくなった時、英雄の心は揺れ動きます。業務を全うして生活を守るのか、自分のヒーローとしてのポリシーを貫くのか。
その時、妻からあなたがしたいことをしてという声が掛けられます。英雄は自分の意志で、自らの想いを曝け出し、女性と接します。そんな姿に女性も心を開き、彼女の憎しみはこれから変わるかもしれない社会への希望へと昇華されたようです。
本当の平和、幸せのために自分が出来ること。その道は果てなき厳しいものですが、その道を信じて共に歩もうとしてくれる愛する人を持つ英雄。想われることの喜び、感謝は、英雄がより多くの人たちを真摯に想う姿となり、きっと世界は変わっていくのでしょう。

亡滅編
突然、壊滅災害対策組織本部に呼び出された特別任務補佐官のオメガ子。
何なのか分からないが大きな船で洋上にいる。
普段は姿を見ることも出来ない特別任務長官から、格別任務補佐官への昇進を促される。
そのための試験として、かつて一緒に仕事をした、その触れたものを全て破壊する超能力を身につけた格別任務官、ビューティースポットと戦う。格別任務補佐官は、格別任務官の力が暴走した時、それを止めることも重要な仕事だから。
戦いはオメガ子の勝利。というか、ビュティースポットは子供が生まれてからその力を失っていたみたいだ。
というわけで、オメガ子は格別任務官に昇進。ビューティースポットは、力を失ったので特別任務官に格下げとなり日本に戻る。オメガ子はまた子供を見に行くと声を掛ける。ビューティースポットの表情はどこか暗い。
ところで、この巨大な船はどこに向かっているのか。特別任務官から、ネパールに向かっているという返答を得る。そして、今、世界に起こっている衝撃の事実を聞く。
海上でこれまでの壊滅災害の中で最も巨大なものが現れたらしい。絶望級壊滅災害ととりあえずは呼んでいる。
それが日本へと迫っている。恐らく日本は絶望級壊滅災害によって滅ぼされることだろう。
この船は選ばれし者たちが乗っている。いわば、ノアの箱船みたいなものか。
要は国は日本を捨てた。そして、選ばれし者たちで、ネパールで再生を志すつもりのようだ。
実際に、こんな緊急事態には真っ先に国民のために職務を全うしないといけない防衛大臣や海上保安庁長官などのお偉いさんが乗り込んでいる。また、国による弱者の切り捨て。
そんなことを認めるわけにはいかないと、オメガ子は日本へ自分を戻すように長官に進言するが、まずは絶望級壊滅災害のネーミングをしないといけないとか訳の分からない会議に付き合わされて時間を伸ばされている。
そんな中、本当の隠された真実が長官から語られる。それは、・・・

その真実は、いわば逆ノアの箱舟みたいな感じで、本当に滅びるのはこの船に乗っている連中。
長官は、オメガ子と同じく、国のやり方、上層部の考えに反意を持っていた。そのために、この国をダメにする腐った連中を集めて、一網打尽にしようと考えていたらしい。
長官自身、実は壊滅災害とコミュニケーションがとれる特殊能力を持つ格別任務官で、今回の絶望級壊滅災害出現に乗じて計画が進められたようだ。
オメガ子は、こんなことは本当に国のためにはならないと、格別任務官でもある長官の暴走を止めようと彼と戦う。
長官の気持ちは分からないでもないが、結局はテロと同じようなことなのかもしれない。悪しき力を、力で抑え込んで潰す。今度はその抑え込んだ力が膨張し災いを呼ぶのかもしれない。そして、その力はそれを繰り返すたびに膨大し、やがては全てを滅ぼしてしまうのではないか。
長官の全てのものの心を読める特殊能力を、その人が抱える想いに目を配り、受け止める力として使っていたら。それとも、声を聞き過ぎたのだろうか。弱者たちのたくさんの叫び声は、彼一人が受け止めるにはあまりにも大き過ぎて、彼を狂気へと導いてしまったのかもしれない。
ではどうしたらよかったのかは、オメガ子にも答えは無いのだろう。
それでも、平和を、人々の幸せを実現するために、心を熱く燃やして戦おうとするヒーローがいる。ヒーローはみんなの憧れだ。ヒーローを生み出す社会であるなら、きっといつの日か、壊滅災害などに囚われず、全ての人がより良く生きられる世となるのかもしれない。

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