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2014年11月28日 (金)

~世にも奇妙な欲の物語~【劇団そとばこまち】141127

2014年11月27日 十三Black Boxx (30分×3)

欲をテーマにした3本立て。
食欲、睡眠欲、性欲・・・なんかは本能的な欲でしょう。この作品も本能と言えばそうなのですが、もっと自然に人間だからどうしても生まれてしまう欲を描いているような感じです。
そして、それは全て愛なんて言葉に行き着くみたい。きっと、人間はありとあらゆる時に愛を求めているのかなと思うような話でした。

<以下、ネタバレしますので公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

・人間だもの交差点

大きな交差点の赤信号。ふと向こう側を見上げれば、何も言わずに出て行った彼女が。
青になり、彼女を捕まえて、どうしてなのかを問い詰める男。交差点の真ん中に取り残された二人。
どうしても何も無い。男の姿はシャツみたいなダサい白のタンクトップ。そして、その背中にはLYOOCCO LABEという刺青。彼女の名前であるリョウコ LOVEのつもりらしい。
要するに男のあまりのバカさ加減にあきれて出て行ったのだ。
そんな中、同じような白タンクトップに、フラれた彼女の名前の刺青を入れている男が現れる。高下駄を履いて、ござるという武士のような言葉使い。
男同士は意気投合し、その武士みたいな男はリョウコに惚れる。そこに、さらに、フラれた彼女とそっくりの、ウェディングドレスに付けたたくさんの空き缶を引きずる女。田舎の悪魔除けの風習なのだとか。
武士みたいな男はこちらに告白。リョウコは怒って交差点から出て行く。
たくさんの鯖を付けて引きずる男。鳥を頭に載せた女。おかしな人たちが交差点の真ん中で次々と入れかわり立ちかわり。
そんな奇妙な人たちを通りすがりに見る者たちも、なぜかボーダーやパーカー姿の人が一斉に集まったりして・・・

キャラのおかしさ、その掛け合いに終始、笑いっぱなしなのだが、結局は何を描いているのかな。
副題が関心を持たずにはいられない欲。それが愛とでも言うのだろうか。
行き違いで引き裂かれた愛でも、再び交差した時、その欲が愛をまた生み出すのか。
個性的過ぎる人たちが交差点の真ん中で出会い、そこでスポットを浴びる。見守るのは、その交差点を横切るのを待つ人たち。この人たちは互いに同じようなごく普通の人たち。だからなのか、視線は互いには向かず、交差点の真ん中に向かう。欲なのか、本能なのか。自分と違えば見たくなる。そして、いつか、自分たちもこの交差点の真ん中でスポットを浴びたいという潜在意識を引き起こすのか。
面白いけど、ちょっと人間の心理が不気味にも感じられる作品。

・食卓

高級フランス料理店でカップルが食事。オマール海老にワインなんてシャレた食事。でも、男の会話の節々に女の影が見受けられる。本当に私のことが好きなら、明日、また、美味しいイタリアンに連れて行って。女は男の気を確かめるように、そして、男の嘘を徐々に突き詰めて行く。そして、コース料理も終わり、結論が出た時、女は出て行く・・・
友達6人で2時間のカニ食べ放題。まずはタップリの酢醤油で。次は甘い焼きでいただこうか。仲間内での恋愛なんかも露出しながらの楽しい食事。でも、気付いてしまう。食べているタラバガニはカニでは無い。ヤドカリの仲間だから。本当のカニを食べるツアーはプラス、ン万円だし・・・
お父さん、お母さん、4人の子供の晩御飯。貧乏だから、毎日、おにぎり。具には梅、おかか。なかなかいいのが味っ子。どれが当たるかは運任せだ。今日はさらに特別に当たりの具が二つあるのだとか。公平におにぎりは分けられていく。お母さんと長女は何か目配せをして、長男の皿におにぎりを選んで置いている様子。長男が食べると、それはお父さんが町内の会合でくすねてきた唐揚げと長女が友達からもらったミルキー。受験勉強で大変な長男に・・・

副題が満たされたい欲。食欲。その欲を満たすための食卓。でも、その食卓で本当に満たしたいものは食欲だけだろうか。食欲を満たすだけならば、一人で何かを貪り食えばいい。
食卓を囲む。その囲んだ人たちと想い合いたい。そんな欲の方が大きいのかもしれない。
別に高級料理じゃなくても愛を確かめたい。何が本当に高級なんかは分からないから。本当の男を見極めるのが難しいように。
偽物でもそれで楽しければいいのではないか。気心知れた大切な仲間と、今の自分たちに見合ったものを安く食べる。腹も膨れるし心も満たされる。
貧乏ったらしい食事。その食事は料理して作られる。その料理した人の心を込めて。おにぎりに入っているのは具だけじゃない。もっともっと大切で、そしておいしくお腹も心もいっぱいになる素敵な愛情。

・ほな!

もうすぐ結婚する予定の若いカップルが新居となるアパート探し。
不動産屋が渋滞に巻き込まれて遅くなりそうで、二人は先に部屋を見学。なかなか、いいところだ。
ここには二人と、あと男の父親が住む予定。歳をとって少しボケ気味なので一緒に住まないと。
男は父一人で育てられてきた。母親の顔は知らない。生まれてすぐに、仕事のために家を出て、ずっと帰って来ていないから。戦場カメラマンで、今でも戦地にいるのだとか。
ずっと連絡をしない母に父は文句一つ言わず、お前が結婚する頃にひょこっと帰ってくるかもななんて言いながらいつも笑っている。
二人が見学していると、一人の女性が部屋に普通に入って来る。不動産屋の代理みたいなことを言っているが、どうも怪しい。それでも、なかなか楽しい人なのでいつの間にやら意気投合。
そして、互いの話をしていたら、この女性も、自分の仕事のために生まれたばかりの子を置いて、家を出たらしい。そして、その仕事はカメラマン。あなたは私の・・・

と言った感動の再会話ではなく、この後、一発ドンデン返しが入ります。泣かせておいて、ブラックなオチをつけるのはけっこう、この劇団では定番なので、たやすくは泣かないようにしていましたが、やはり役者さんの演技力は素晴らしく、不覚にもホロリと。で、やっぱり最後に騙される。不動産屋を名乗る女は嘘ばっかり。
どんなに騙されたって好き。それまでに培ってきた愛情があるから。だから、ここも観に行く。この話もそんな感情じゃないでしょうか。短い時間でも、互いに想いを寄せあった若いカップルと不動産屋を名乗る女。そこに生まれた互いの想いは、こんなことになってもまた会いたいななんて気持ちを引き起こすような気がします。だから、本当の親子だったら、どんなに長い時であろうと、きっと。

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コメント

そとばさんは『十二夜』『ゆきむら』そして今回と見てきて悪くはないんですが何か足りない感があります。ただ今回は南園さんが好きになりました。STB十三8は毎回楽しみにしています。今回の曲はイマイチかな。

投稿: KAISEI | 2014年12月 2日 (火) 01時41分

>KAISEIさん

代がかわって、じっくり見せる感じから、軽いエンタメ風な感じになったところが少しあるかもしれませんね。若い方も増えましたし。
芯はしっかりした作品を創るとは思っています。
南園さんは、今回はずいぶんと弾けてましたね。

投稿: SAISEI | 2014年12月 2日 (火) 09時16分

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