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2014年11月 3日 (月)

初々【近畿大学文芸学部芸術学科舞台芸術専攻23期生卒業舞踊公演】141103

2014年11月04日 近畿大学芸術棟新アート館 (75分)

かわるというテーマで女性の人生を踊りで表現した作品。
細かなことは下記しますが、とても素敵な6人の女性が舞台に生み出されていました。
色々ともがいたり、自由に楽しんだりしながら、何度倒れても、また変わろうと立ち上がって、歩もうとしている人たち。そんな力強くも、けなげなくらいに懸命な素敵な人たち。初々しいといった言葉もふさわしく、その姿に美しさと大きな力を感じ、魅了される時間でした。

自由に羽ばたく、泳ぐ。道はこちらですみたいに示してくれる人もいるけど、それには目もくれず、自分の想いのままに駆け回る。目的の場所がどこかは分からないし、その最短距離の道筋も知らないけど、ただ、何かを掴もうと懸命に。
朝を迎える。人生の始まり。何もかもが新鮮な毎日。
たくさんの服の中から、自分の好きな服を着る。無茶苦茶でも構わない。自分が選んだ服だから。時には選んだ服の取り合いになるけど、違う服で妥協なんか出来ない。
そのうち、服は決められた制服になっていく。でも、女の子だから、ちょっとおしゃれを。同じ制服でも、自分の色を出す。人それぞれに名前があるように。私の名前は○○。自分が自分であることを表現する根幹なのかも。
思春期を迎え、自分の道を探し出す。待って。何を追いかけているのか。どこに向かっているのか。
自分が走り出せないのは、何に囚われているのだろう。何かが自分にまとわりついているみたいだ。
自分と人を比べてしまう。あの人と自分は違う。でも自分は自分だから。自分を飾っているものを全部、脱ぎ捨ててしまおう。でも、裸の自分は不安だ。
自分自身の服を着て、素敵に輝いて踊る人がいる。羨望の眼差し。ちょっと真似して踊ってみる。何かが開ける。自分にも自分だけの踊りがあった。
大人になって、色々と好きなことが出来るように。自由のスイッチを押せば、たくさんの箱が出てくる。その中には、自分がどこでも歩いて行ける赤い靴が入っている。
サイクリング、旅行、料理、買い物。ぼんやり景色を眺める時間。もちろん、社会人たるもの、新聞で時事の勉強も。
環境は日々変わっていく。世の中もめまぐるしく変化する時代だから。それに不条理に踊らされたり、いらだちを見せたり。
自由は重い。でも、それと一緒に進んでいかないと。少しずつ少しずつでも。自由を捨てたら、もう動けなくなってしまう。
人生には、ここでやらないといけない時が突然やってくる。準備不足でも、その時が来たら、力を振り絞って動かないと。激しく必死に、赤い靴を履いて。上手く踊れる人がいる。でも、自分は。靴が悪い。叩き付けてはみるものの、それは確かに自分が履いて歩んできた靴。もう一度、履いて踊る。一緒に踊ってくれる人がいるから、きっと乗り越えられる。
仲間の大切さを知ると同時に、やっぱり恋愛も。ひねくれて自分の素顔を隠したり、相手の顔が見えなくなってしまったりすることもあるけど、やっぱり素顔を見せ合って一緒に歩んでいく人なのかも。
ウェディングドレスを着る。ケーキ入刀。祝福に駆け付けてくれる人たちは、みんな、時と共に変わっていく自分と一緒に過ごしてきた人、見守ってくれていた人たち。伝えたいことがたくさんある。
そんな想いを満面の笑顔でブーケに託す。これまでの私を受け取って。そして、私はここからまた変わっていきます。
自分がしたいこと、伝えたいこと。自分の中で膨らみ、溢れる想いが、身体から弾け出て、女性たちは美しく力強い姿を魅せる。

実際に観た方は、こんなんだったかな?と思われるかもしれませんが、書き留めておいたメモから記憶を掘り起こすと、こんな感じになります。
女の子から少女、女性へと変わる人生の流れの中から、自分を表現できる一人の人が生み出されるまでの時間が描かれているようです。
そこには、自然に変わっていくことや、変わらざるを得ないように追い込まれたり、、周囲の人や時代に影響されて変わっていくような、様々な変化の中、楽しみ、苦しみの繰り返しで、自分自身を築き上げていったような姿が感じられます。
女性の人生を描いており、作品中も女性にとって大切な人生の一瞬が多々あるのですが、不思議と女性というよりかは、性を問わない人間を描いているような印象が強く残っています。
今までの自分の変化を見詰めて、これからかわりゆく自分とどう向き合って進んでいくのか。周囲の変化に左右されない自分だけの変化。そんな変化が常に初々しさを生み出すように感じます。

2年前の21期生の卒業舞踊公演を拝見しており、その時のイメージとは確かに違いますね。何か、ご指導の先生が変わって、そのイズムみたいなものが変化しているらしいです。これは、Twitterや当日パンフレットの先生方のコメントを拝見してのこと。まあ、私には何かが変わっていることぐらいが何となく分かるくらいで、詳しいことは分かりません。それよりも、踊りということで伝えようとする表現は言葉を超えた凄みを感じること、踊る方々のそこに立つだけで感じる美しさは、どんな公演でもやはり素敵だなあと思うばかり。
強いて言えば、今回はまとまりみたいなものが際立って感じたようには思います。
女性だけで創り上げたこともあるのかもしれません。
人は変わると、周りの人を変えますよね。お互いに。その変化が一つに収束すると、革命みたいな大きなことが起こるように思います。
この作品では、6人の可愛らしい女性が、作品の時の流れの中、様々に変わっていきます。その変化は自分自身で起こしたものもあるでしょうし、周囲からの影響を受けて変わっていった、変えていったものもあるでしょう。その変化を互いに受け止め合い、一つのゴールを迎えています。最後の力強い、圧倒的な迫力あるダンスは個々の力が、一つにまとまり、この作品の大きな力となって、客にぶつけてきているように感じます。
そんなご自分方の経験してきたことを見詰め、真摯に一つの作品として創り上げたことに、そんな大きなまとまりを感じたような気がします。

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