« ばかみたい、というのはバカではない【劇団アシデマトイ ユニットてんやわんや】141025 | トップページ | おぼろ'14【STAR★JACKS】141029 »

2014年10月26日 (日)

ShortActBattle vol.3 予選ラウンド2週目 141025

2014年10月25日 B.SQUARE (20分+30分+20分+20分、転換など40分)

この週は8団体が決勝進出をかけて争っていたみたいです。
うち、4団体の作品を観劇。
客が10点満点で投票をするシステム。
個々の作品の感想は下記しますが、イベントとしてちょっと段取り悪いですね。今回が3回目とは思えないくらいに。
20分の作品が4つ。間に投票時間が5分としても、18時開演で終演が20時過ぎるのはおかしいです。 受付の対応が悪い、MCが上手く回せていない、持ち時間が厳格に守られていない・・・ 少し、改善すべきところを見出して、次回に繋げる必要があるように感じます。いい企画なのですから。

・ドラマギ : talk with dead

見えない誰かと話をしながら登場するテジナシ、アカツキサトシ。
袋に入った電球を点ける、花びらを燃やしてチョコを出す、水をワインに変える、紙袋に入ったワインボトルを潰して消す、スプーン曲げなどでご機嫌伺い。
ESPカードを用いたテレパシー、描いた絵を再現するマッスルリーディング。
かの有名な霊媒師ダニエル・ダングラス・ヒュームの降霊術を再現。浮遊する机。
私たちには見えていないダニーのいたずら。
消える文字、無くなる紅茶、出てくるコイン。

だいぶ詰め込んで、これでもかと魅せるマジック。
最後はダニエル・ダングラス・ヒュームが舞台に降り立っていたという形で話を締める。
若い学生さん方も多く良かったなあ。多くの人に観てもらいたかったので。壇上に挙げられたきゃな子さんの抜群のリアクションで盛り上がっていたし。 メイクで随分と頬をこけさせていたけど、意味があったのかな。自分が実はdeadみたいなオチかと思って観ていたけど、むしろdeadに取り憑かれているみたいな感じなのか。
この方のマジック公演が気に入っており、昨年ぐらいから公演に通っています。演劇とマジックが融合。それも無理なく、心理学をベースにストーリー性もしっかりしているのが好きで。
決勝にも進んで、より多くの人にということから無条件で10点投票。

・いるかHOTEL : 運命の人

彼氏が知らない女とラブホから出てくるのを見て、失恋した女。
もう苦しい恋はしたくない。
そんな気持ちもあってか、あなたの運命の人を探すという怪しげな勧誘に引っかかり連れて行かれる。
何でも赤い糸は実はたくさんあるのだとか。
おかしなコントローラーを付けられて、いざ体験。
現れるブルース・リーみたいな人。コントローラーのボタンを即座に押して次の人へ。
やって来たのは人の好さそうな男。でも、隣に座るやいなやすぐに寝てしまう。警察官で夜勤明けらしい。
女は、昔、祭りでコンタクトを二つとも落とした時に必死に探してくれた警察官の思い出を語る。で、その警察官がその人。
そういえば、昔、ヒーローを目指すとか言って、顔はいまひとつだったけどかっこいい男の子がいた。で、それもその人。
運命の人。二人は縁結び神社へ。別れた彼氏のことは忘れて、もっと素敵な縁をとお守りをプレゼントされる。
と、ここで時間終了。これはシミュレーションで、あとは実際に会えるような手筈が整えられるらしい。
帰路につく女にお詫びの電話がかかってくる。データミスでさっきの男は実は3日前に亡くなっていたらしい。
かばんの中にはお守りと、彼の優しい言葉が蘇る・・・

実にいい話なんだけど、前半はコミカルでかなり責めていました。
2009年にこの劇団を拝見したことがあるのだけど、何か美しい風景が記憶に残っているのだが、ずいぶんとそれを壊すような勢いのいい笑いの取り方でした。でも、最後はやっぱり、あの時の記憶は確かだったのかもといった、優しい空気が感じられます。
非常に良かったのですが、時間がオーバーし過ぎじゃないでしょうか。
本当は8点でしたが、大きく減点して6点投票。

・私見感 : カウントダウン

元カノから電話がかかってくる。
結婚式の友人スピーチをして欲しい。
式場でスピーチの時間が迫る。自分が彼女に言いたい言葉は、本当にこのスピーチで話す言葉なのだろうか。
そんな中、かつての先生と悪友がタイムマシンを持ってくる。
あの子と出会って恋する五秒前。それから楽しい恋人生活を送って、別れて後悔する5年前。
やり直せる。自分たちは試してみたが、あの子とはやはりどうにもならなかった。お前なら。
半ば、強引に時を戻される男。流れゆく時間の中で、男はあの時伝えたかった言葉を、・・・

恥ずかしくなるような恋愛回想シーンにニヤニヤしながら、探られていく男の想いを見詰める。
まつながさんは味のある熱演だし、石橋啓太郎さんの飄々としたとぼけぶりは最高に笑えるし、式部さんのお調子者っぷりと絶妙な間合いもまたいいし、吉沢ナチさんは普通に可愛らしいし。
そして、さすがは私見感。勢いあるリズムで刻まれる言葉遊びを絡めたセリフの数々、掛け合いは、演劇よりもライブみたいな感覚を生み出す。
カウントダウン。人生はカウントダウンなんだなあと改めて思う。そう、人生は制限時間があって、終わりのあるものだものね。過去に遡ることの方がカウントアップなんだなあと。カウントダウンだと思うと、焦りもしますが、数えられる一つ一つの数字を大切にしたい気も出ますね。0を迎えるまで懸命に悔いを残さず。
実はドラマギに決勝に進んで欲しかったので、微力ながらここは潰しておくかという策略と、予選落ちたら、腹立つから本公演をするぞみたいなことになった方が嬉しいしなあなんて少し考えていたが、あまりの良さに迷わず10点で投票。

・Project R『冴的(さえまと)』 : 何のために

一人の女性が飛び降り自殺を図る。
天体写真家を目指してスクールに通い、アルバイトに精を出さないとと特に落ち込んでいたり、悩んでいる素振りも無かった。
自殺の瞬間を見てしまって、最悪〜だなんて友達に語りながら、自分の思ったままに楽しく生きる女性。
死の理由も分からず、彼女の死に呪縛されてしまう彼氏。
彼女の友人は、彼女の死を慈しみながら、落ち込む彼氏の支えになろうとする。
流れる時間に身を任せて、彼女の死から遠ざかっていく者。
彼氏だけはいつまでも、その時に乗ることができない。やがて、彼は自分の中に狂気を見出し・・・

分かりません。
日常に潜む死への導きを断ち切れなかった人の悲哀みたいな感覚は残りますが、あまり作品に深く入り込んでみようという気になれないような、悪い出来だったように感じます。
趣向を凝らして色々としているみたいですが、どれも中途半端で、話の展開のスムーズさの障害になってしまっているし、登場人物の心情を感じさせることの邪魔にもなっているように思えました。
登場人物のAとかBとかの記号化も何か意味があったのでしょうかね。
大人の雰囲気漂う、独特の世界観があるのですから、じっくりと魅せる落ち着いた作品づくりをした方が、もっと味が出るような気がしますけどね。
懸命に作品に向き合っていることは分かりますし、こうしたイベントに挑戦する意気込みはもちろん立派であるとは思いますが、非常に申し訳ないですが、私の中では久しぶりに酷いもんを観たぐらいの感想です。2点投票。

|

« ばかみたい、というのはバカではない【劇団アシデマトイ ユニットてんやわんや】141025 | トップページ | おぼろ'14【STAR★JACKS】141029 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

 今回も丁寧なお返事ありがとうございます。

25日(土)
「MATCH」15:00~
「衝突と分裂、あるいは融合」18:00~

とハシゴしました。時間堂の初日乾杯も参加しました。中々楽しかったです。秋津ねをさんの料理に舌鼓をうちつつ劇団員の方を始めいろいろな方とお話ができました。10月はやはり18本観劇で終わりそうです。11月の当方の現在の予定は

1日(土)・2日(日)・3日(月)・4日(火)

「おぼろ⁷14」HEP HALL
「五月雨の夜に吼える犬」リーベルホール
「明日カレンダー」KARAKURIスタジオ
「LARPS」大阪市立芸術創造館

8日(土)・9(日)

「蓄電100W・ロード100Mile(ヴァージン)」 HEP HALL
「不思議の国のアリス」 in→dependent theater 2nd
「花田一郎の述懐」 SPACE9
「おモチ味のうどん」 人間座アトリエ

13日(木)~16日(日)

「里見八猫伝」 in→dependent theater 2nd
「姉妹たちよ」 ドーンセンター
「秋の夜長の星降る美空」 大阪市立芸術創造館
「ピエールとリュース」 アトリエ劇研

22日(土)・23日(日)・24日(月)

22日(土)「超贋作オイディプス王~冒涜版~」 11:00~ KAIKA
「超贋作サロメ~冒涜版~」 14:00~ KAIKA
「突撃!ゴールデンチャイナタウン!!」 in→dependent theater 2nd
24日(月)「Amayadori café」 13:00~ 人間座スタジオ


29日(土)・23日(日)

「揚羽」 AI・HALL
「地下4階の人々」 ライブハウス地下一階
「ここだけの話にハローグッバイ再び」 in→dependent theater 1st

となっています。現在のところ劇団衛星の2本と何色何番だけチケットを購入していますw もう一度予定を組み直すので若干の出入りはあると思いますが・・・ 例えば8日・9日は激戦で劇団ショウダウンの宮島さんの初めての外部出演「うしおととら」も組み込みたいですし,22日(土)・23日(日)・24日(月)は「別れても好きな人2014」 in→dependent theater 2ndを何とかして組み込みたいです。「Amayadori café」はイソフラボンのコンサートがある日曜日の公演がお勧めです。お時間があれば是非。そうそう前回書きました『マナナン・マクリルの羅針盤』が池袋演劇祭の大賞に選出されたみたいですね。私としては『錆色の瞳、黄金の海』の方が好きでしたが,無冠というのを遊眠さんもブログで嘆いておられたのでファンとしてはほんとうにうれしいです。『マナナン・マクリルの羅針盤』のダイレクト・メールご自身が出演されるのにもかかわらず約80通も手書きで書かれたのに度肝を抜かれましたからw 私のは「海族」になってましたw

野外公演や一人芝居のお返事ありがとうございました。劇団ひまわりは本公演ではなく大阪俳優養成所の公演なのでいっぱいにはなってませんね。私はいつも(とはいっても3回だけ)前日予約で当日最前列に座って観劇していますw 4月の「魔性の剣」(劇団新感線)10月の「から騒ぎ」(シェイクスピア)はいずれもA&Hホールです。「飛鳥物語」は愛知県芸術小劇場小ホールでこれは後の方の席でしたが・・・ 子どもが多く出演していたのでその知り合いが多かった感じですね。さすがに大劇団?だけあって予約すると「から騒ぎ」の時を除いて一度電話を切って後からかけ直してくれるなど「さすが」と思いました。いろいろ小劇場めぐりをしているとチケットを買ったときや予約を電話でしたときに「ありがとうございます」も言わない。予約の留守電もしくはメールを入れたのに返ってこない,など不快なことにあうこともあるのでこのへんは安心ですね。
 SAISEIさんとお話ししたいのは演劇だけではないんです。朝鮮人街道やお遍路,熊野古道など旅行にも興味をお持ちだったようなので… わたしも歴史が好きなのでぜひ。

 そういえば5月くらいからSAISEIさんのブログを拝見させていただいていると前に書きましたが(それ以前からこのブログの存在は知っていたのですが。一番詳しく観劇感想書いたはるなって)もともとは壱劇屋「ルミエールダンジョン」と斬撃ニトロ「タイムスリップ新撰組」の評価をどうしたはるか見たかったんですね。私はこの二つを見たときにイマイチやってそれは自分の観劇経験が浅いせいなのかどうかを他の人の意見で確認したかったんです。ということで今度の壱劇屋さんは楽しみです。12月2日の火曜日の劇場(匿名劇壇×ブレザー少女)は観に行ける日なのでもしかしたらお会いするかもしれませんね。西田美咲さんも好きな女優さんですが玉一祐樹美さんも好きな女優さんですので。そして匿名劇団も『二時間に及ぶ交渉の末』(匿名劇団初観劇)でスゴイと感じてハマり(『ポリアモリー・ラブ・アンド・コメディ』(DVD観劇)が匿名劇団最高傑作と思っています),今年の私の感性ベスト3に入ってくる作品と思うので(後2つのうちの1つは劇団ショウダウン『錆色の瞳、黄金の海』。あと一つは選出が難しいです。W.Strudel『gift~ギフト~』かなあ。観劇経験が多くなったせいかハードルが高くなってきたような気がします。今年は約120本観劇ペース)。
それでは今日も長々と失礼しました。

投稿: KAISEI | 2014年10月29日 (水) 21時44分

>KAISEIさん

コメントありがとうございます。

11月、けっこう観られますね。
どこかではお会いしそうですね。
私も、そろそろ日程を確定させないといけないのですが、なかなか仕事の日程が決まらずで。
29、30日は出張になりそうな感じで悩んでおります。

林遊眠さんの大賞は本当によかった。
あの凄さを色々な方に知っていただき、また、来年もその機会が与えられたことが嬉しいですね。
いつまでも、身近にいるファンのことを真摯に思ってくれている姿も、多くの方に支持される理由の一つでしょうね。

匿名のポリアモリーは、舞台で拝見して、DVDでも拝見しましたが、あれは見事ですね。
DVDはどうしても、生の迫力に劣るといえども、あのような作りは、DVDでこそ楽しめる魅力を引き出しているように思います。
撮影された武信さんと先日、少しだけお話しましたが、これからもどんどん、新たな映像にチャレンジすると言われていました。

それでは、お互いバテないように、観劇を楽しんでいきましょう。

投稿: SAISEI | 2014年10月31日 (金) 10時02分

遅くなってしまいましたが、ご来場ありがとうございました!
そしていつもながらの丁寧なご感想をありがとうございます。
特にライブのようだというお言葉は本当に嬉しく思います。
高校生で演劇を始めた時から音楽への嫉妬と憧れをずっと持っていますので。

おかげさまで決勝には進ませていただいたのですが、優勝する事は叶いませんでした。
周りが強豪ぞろいだったので、審査自体に納得がいかないという事はないけれども、悔しいものは悔しいですね。
私見感としての活動はしばらくできませんが、作家としての活動は細々と続けますのでよろしくお願いします!

投稿: 緑川 | 2014年11月 5日 (水) 13時36分

>緑川さん

コメントありがとうございます。

いやあ、見事な作品でした。
なかなか一番になるのは難しいものですね。
でも、まだまだ、これからたくさんの機会があるでしょう。
これからも楽しませていただきます。

一千戯曲のDVD購入して、先日、拝見しました。
武信さんとも少しお話しましたが、あれは生舞台とは別に、映像としても楽しめる名作に仕上がっていますね。

投稿: SAISEI | 2014年11月 5日 (水) 20時01分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ShortActBattle vol.3 予選ラウンド2週目 141025:

« ばかみたい、というのはバカではない【劇団アシデマトイ ユニットてんやわんや】141025 | トップページ | おぼろ'14【STAR★JACKS】141029 »