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2014年10月10日 (金)

赤い薬【石橋プロデュース】141009

2014年10月09日 大阪大学豊中キャンパス 学生会館2階大集会室 (95分)

ちょっと感動するぐらいにいい出来。こんなの観れて得したなあって感じだろうか。
まあ、ご出演の役者さん方は、けっこうよく拝見する方々で、その個性的なキャラや、安定した実力は分かっていたとはいえ、思っていた以上にこの作品を魅力的なものに仕上げられている。
あまり、こういう書き方は、よろしくないのでしょうね。本家のMONOに失礼だろうし、このプロデュース公演も別に作品を模倣したわけではなく、自分たちの色で創られたのでしょうから。
それでも、やっぱり、観終えて思ったことは、これはMONOに匹敵する素晴らしい作品。MONOを拝見した時の充足感を十分に得ることが出来る見事な公演でした。

本家のMONOの公演の感想:(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/mono100222-c5a7.html
あらすじはこちらを参照と思っていましたが、あんまり書いていませんね。
当時は観るだけで精一杯だったのかな。
ということで、簡単に。

山奥の臨床治験専門施設。
かなり危険な医薬品の治験も行っているみたいで、姥捨山などと呼ばれたりもしているのだとか。
その代わり、製薬会社がしっかり所長と癒着して、ズブズブの金が流れているらしく、その謝礼金は破格の額となっている。
今回の治験。担当医師すら詳細を知らされていない赤い薬の治験に参加する4人の男性。
みんな、職を失っていたり、借金を抱えていたりと人生につまずいており、かつ身寄りが無い。相当、危険だと考えられている赤い薬の治験にはもってつけの人が揃う。
長期間の治験で暇なのか、訳の分からないゲームで遊んだり、何やら研究をしていた城の話をし出すと止まらないようなおかしな人たちが、まあ、和気あいあいと日々を過ごしている様子。
担当医師は、新米なのであまり詳しいことは知らされず、かつ所長に逆らうことも出来ないので、言われたままに投薬、診察をしているみたい。そんな姿に頼りなさを感じ、みんなから責められたりはするものの、自分たちに真摯に接してくれていることは確かなようで、まあ、そこそこの信頼関係を築き上げている。
担当看護師は、口うるさいけど愛嬌のある人で、みんなからも少し恐れられながらも、親しまれている。城好きの男はその親しみが一線を越えてしまったみたいで、すっかり恋に落ちてしまっている。所詮、叶わぬ恋。だって、看護師は、新米の医師と10年来の恋愛関係にあるのだから。唯一、隙があるとするなら、医師には妻がいて不倫関係だということぐらいか。それも、ちょっと看護師が他の人と仲良くしただけで、10年もの間、妻と離婚することも出来ずにいることを棚に上げて、医師は駄々っ子のようにわめき散らし、看護師もそれに甘やかして対応してしまう状態だから、二人の間に入るのは無理というものだろう。
そんな中、被験者の男たちに赤い薬の効果が出始める。 気が大きくなって、ハイテンションになる。それは、もう馬鹿げたダンスをしたり、ズボンを脱いでも平気でいられるくらいに。
ただ、それは副作用。実際のこの薬の効果は、徐々に暗くおとなしくなっていき、いわば廃人になってしまうような可能性のあるもの。
それを知った看護師は、みんなを脱出させようとするが、医師との関係、被験者たちの謝礼金の問題なども絡み・・・

結局、最後は無事に脱出するものの、二人はまた違う治験に参加するために戻って来る。そうしないと生きていけないから。もう一人はどうなっているのか分からないし、城好きの男は孤独死をしたとかいう噂も。
医師はようやく離婚を決めるが、看護師はここを辞めて新しい人生へと旅立つ。
よーい、はじめ。被験者たちが暇つぶしに作ったゲーム。スクワットのような体勢でただ我慢するだけのもの。それに医師が興味を抱いて、詳しいルールまで決めてしまった。
そんな、ただ耐え抜くだけのゲームの始まりの合図で話は締められている。

自らで苦しい体勢になって、ひたすら我慢の時を過ごす。いずれ、苦しさが頂点を迎え、ひっくり返ってしまうことが分かっていても、はなから無理だと弱音を吐いたり、いや30分は耐えられるとかへらず口を叩いたりして、そんな苦しみの時を過ごす。
何とも切ないが、それが生きるってことなのかもしれない。みんな、降りかかってくる不幸を拭い去ることは出来ないから、それに耐えるしかない。その先がどうであろうと。

赤い薬は何なんでしょうね。
飲むと明るくなって、気が大きくなり、はしゃぎだす。効果が切れ始めると、自らを反省し、謝罪し、おとなしくなる。そして、ぐったりと眠ってしまう。そのうち、廃人へと向かうが、その薬を飲みたくなってしまう。
これは、酒じゃないかと思ったりもしますが、そんな単純なものではないでしょうね。
舞台上に出てくる赤色は、被験者の一人が昔、飼っていたウサギだと言い張る、絵のウサギの赤い目。そして、最後にここを辞める決意をした看護師が羽織るカーディガンぐらいでしょうか。ラストは照明で舞台が赤く染まります。
赤い薬は、自分が幸せだった頃の象徴みたいな感じでしょうか。飲めば、今から目を背けて、その頃に戻れる。あくまで脳内で。赤色。夕焼けのような郷愁感と、真っ赤に燃える高揚感みたいなイメージからそんなことを感じます。
でも、実際は不幸な状態にあるわけで、赤色は体内を通して、濁った赤色、ほうじ茶のような色となって尿に排泄される。ウサギの目のようにその赤色を残しておくことは出来ないのでしょう。幸せの赤は取り込めるようなものではなく、自分の体を通じて、汚い色になって外に出る。
本当はこの汚く排泄される色を見詰めないといけないのかもしれません。今の自分がどうであるのか。その色はたとえ濁っていても、今の自分を表した色なのでしょうから。
看護師が最後に羽織るカーディガンの赤は、茶色に近いそんなちょっと濁ったような赤です。今の自分を受け止めて、いつかまた真っ赤な素敵な色の服を着るようになるといった、これからへの希望、意志を感じさせるような気がします。

対面舞台。途中で気付きましたが、暗転のたびに、舞台が回っていたのですね。よく考えられた舞台です。
そして、観ているうちに、MONOで観た時のことを思い出してきました。
そう、この作品、医師が確か金替さんでめちゃくちゃに面白いのでした。こちらでは、石橋啓太郎さん。そう、この面白さなんだと絶賛するような見事なキャラでした。

 

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