『 「 』【岡村渉/尾上一樹/黒木夏海/谷啓吾 マイム公演】141016
2014年10月16日 KAIKA (50分+35分、休憩10分、25分+40分)
マイム公演は、分かりやすさもあって、とても楽しいですね。
表現を受け止めることの魅力を一番感じやすいところもあるのかもしれません。身体のありとあらゆるところを全部使って、その中で背景も、状況も、展開も、心情も全部描くガチンコな感じですから。
自分の中で拡がっていく物語がとても大切に想えてくるような素敵な作品たちでした。
<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は明日、金曜日まで>
「眠る1秒前の夢」 : 岡村作品
当日チラシにある題名は見ないで、観終えた後、自分の想像力で題名を付けてみるという遊びをしています。
・椅子取りゲーム
(椅子取りゲーム)
目隠しして椅子取りゲームをする二人。椅子はどこにあるのか、もしかしたら無いのかもしれない。スリッパで相手を叩いて威嚇しながら、二人は戦う・・・
奪い合い、戦う二人。最初は二人ともに欲しかったものをどちらが取るかで揉めても、いつの間にかそんな奪い合うものは無くなっているみたいなブラックさも漂う作品。本当はそんな奪い合うものなんて無いのかもしれません。
・Self
(閉じこもる)
いいむろなおきさんがよくされる有名なマイム、迫る壁ですね・・・
おかしさより、何か追い込まれていく悲壮感の方が印象として強く残りました。
・たんぽぽ
(イモ虫と過ごした日々)
イモ虫を大切にする男。イモ虫との楽しい日々。鳥に襲われ、さらわれたイモ虫奪還の厳しい旅を乗り越え、ようやく二人っきりに。でも、イモ虫は動かない。しかし、イモ虫は蝶となって空に羽ばたき・・・
題名が全然、違います。フラッシュダンスみたいな感じに思ったのですが。
そういえば、最初は花がポッと咲くパフォーマンスだったなあ。
両手だけを器用に動かして、イモ虫とか鳥とかが動いているように見せる。と見えていたのですが、全然、違ったのかなあ。羽ばたいたのは綿毛とかだったのだろうか。
・LOVEsody♡(クモ男編)
(悲しき男心)
今日も素敵な羽を身に纏って野原をお散歩する蝶々さん。お花の蜜を吸ってご満悦。でも、蜘蛛の巣に捕まってしまいます。お腹を空かせた蜘蛛さんはジュルリとよだれを。ところが、蝶々さんは、素敵な羽に傷がついたとワンワン泣きわめき、蜘蛛さんは困り果てます。ゴメン、ゴメン。素敵な服を代わりに買ってあげるから。蝶々さんは蜘蛛さんに、ドレス、ネックレス、帽子と好きなだけおねだりして・・・
メタファー作品ですね。かなり笑えました。男の愚かさ、女のあざとさを可愛らしく描きます。カードまで使ってしまいながら、あっさりと若い男に乗り換えられ、切なさが残るラストでした。
・ハーモニー
(音を操る男たち)
ハーモニカ対決。最初は普通に技術を競っていたが・・・
楽器に怒られるような、何か無茶苦茶なことをして、戦い合う姿が滑稽で。
・Love letter
(恋の実り)
ラブレターを書きながらうたた寝。
書いただけで心ドキドキ。デートでワクワク。そんな素敵な恋の夢を・・・
ラブレターが恋の種みたいな感じでしょうか。芽が出ない時も当然ありますが、芽が出ても色々と大変。でも、その成長を一緒に喜び、やがて二人だけの素敵な実を結ぶ。夢なのか現実なのか。恋する人の素敵な時間を見るような作品。
「rob!!!」 : 谷作品
強盗をモチーフにした4つの作品。また勝手に題名をつけています。
(リズムを刻む強盗)
手で足を叩いたり、地団駄踏んだり、イライラする姿をリズムに載せる3人の強盗のハーモニー。当然、うるさいので警報が・・・
抜群のコンビネーション。ミスったりしないものなのでしょうかね。
(コントをする強盗)
抜き足差し足。忍び込む強盗二人組。ところが一人が相当ボケた男で、金庫を見つけるまでにも一苦労。そして、金庫を運ぶ、開ける時にも・・・
完全にお笑いでした。ノリツッコミまでばっちりの。それも、ちょっと古い感じの昭和チックな鉄板ネタ。そう、ドリフみたいな感じ。ドリフターズがみんなマイムが出来て、ネタをすればこんな感じになるのではないでしょうかね。
(かっこつける強盗)
張り巡らせれた赤い糸、いや赤外線センサー。4人の強盗たちは得意の技でそれを見事にすり抜けてクリアしていく・・・
まあ、自分たち体がキレますというのを見せつける作品でしょうか。
(信頼し合えない強盗)
仕事がうまくいったのか、色々なネタ芸を披露して盛り上がる強盗たち。やがて、疲れて、酔いつぶれて朝までぐっすり。一人の強盗が金を持ち逃げして逃走。それを必死に追いかける強盗たち・・・
これも前半はお笑いネタです。物ネタとか、マジック風の。マイムだと何でも出来るので凄いですよね。コントとかでは、剣が無くても、自分で剣を創り出せますし、マジックだって、種とか関係無しに、好きなようにトリックを見せることが出来る。まさに万能な力でした。
「Junction Junky」 : 尾上作品
マイムとアコーディオンの融合。休憩中に題名を見てしまったので、勝手に題名つける遊びが出来なくなってしまいました。
・Yの樹
アコーディオンの動きに合わせて、体を動かす男。
題名は何の意味があるのでしょうか。フラワーロックみたいでしたが。
・歩き直し
歩いても、何回もやり直し。歩き出しを確認、コケても、その歩き方を検証するかのよう。
人生でしょうか。行っては戻りを繰り返し。それでも、確実に進んではいるのでしょうし、どこかにはたどりつけるのかな。何かアコーディオンの動きと似た感じ。それで綺麗な音が生まれるのですから。
・-visko-虫が見た夢
VISKOって何だろう。
カエル?
ストーリーを頭の中で組み立てられませんでした。
ただ、動きが凄いです。ちょっと気持ち悪いくらいにカエルでした。
「私は捨て犬だった。」 : 黒木作品
ある雨の日。ダンボールの中にいた自分。寒くて暗くてお腹も空いて不安の中、眠りにつく。私は捨て犬だった。
朝を迎える。雨は止んで、空は晴れ渡っている。傍に傘が置いてある。誰かが自分のために。近くに捨てたのか、置いてあった紙を頼りに男を探す。
男の家を見つける。男も覚えてくれていたみたいで驚いている。
男は作家みたいだ。置いてあった紙を見せると急に機嫌が悪くなってもう出て行けと言われる。
まだ、一緒にいたいな。出来ればずっと。そんな寂しそうな顔を見せたら、飼ってもらうことになった。ご主人様は、この優しさがきっと良くもあるけど、仕事で損してるのかも。
ご主人様は、原稿が行き詰って、だいぶ無理しているみたい。ついに倒れてしまう。急いで、隣の部屋の女性に助けを求める。まあ、可愛らしい犬なんて撫でられて、ちょっといい気になってしまったが、そんなことをしている場合じゃない。早く、こっち来て。
女性はご主人様を介抱してくれる。料理もなかなかおいしいみたいだ。食べてないから分からないけど。だって、いつもは少しくれるのに、この時は食べようとしたら思いっきり叱られたから。
二人は付き合うことになったみたい。ご主人様と、ご主人様が愛する女性と、自分のことを大切にしてくれる二人。お父さんとお母さん。
そんなある日、おかしな鳥が部屋に入ってくる。飼い主の男が、急いで部屋に捕まえにやって来る。どうも、編集長なのかお偉い人みたいで、お母さんはお父さんの原稿を必死に売り込む。編集長も最初はいまひとつみたいな顔をしていたが、なかなか見込みのある作品が見つかったみたい。
自分はまあ、あんまり関係ないし、よく分からない。それより、鳥っておいしそう。片腕に噛みついてやった。
お父さんの仕事も順調。二人の仲も順調。
そして、自分にもついに恋が。イケメンにナンパされてしまった。花を髪に飾ってくれたりしてもう胸がときめく。そして、妊娠。でも、遊びだったみたい。あいつが違う女と一緒に楽しそうにしているのを見てしまった。
子供がたくさん生まれる。みんな、どこかへともらわれていく。ちょっと寂しいけど、きっと自分と同じように幸せになってくれるはず。
最近、体の調子がおかしい。医者に連れて行ってもらう。お父さんは悲しそうな顔をして、お母さんは涙を流している。そういうことなのだろうな。
あの日、ここでお父さんと出会った。同じように寂しそうに一人ぼっちの犬がいる。抱きかかえて、玄関先へ。
お父さん、お母さん。自分と同じように、またこの子を幸せにしてくれますか。お父さんとお母さんも、また笑顔を見せてくれますか。とっても楽しかったです。とっても幸せでした。あの日から、みんなと一緒に刻んだ時はずっと忘れません。もう私は、・・・
一匹の犬の一生をたどる物語。
悲しいけれど、心温まります。
どんな人生でも、その時間は流れていきます。作品中では、時報の音でその経過を表現しているようでした。時報が鳴った時、次にはどんなことが待ち構えているのか。拾われた犬は、出会った人たちと一緒にその音を楽しみに生きてきたようです。だから、最後の時報の音を聞いた時も、悲しくはなかったのかもしれません。その音は、自分にとっては死を知らせる音でしたが、それは決して終わりではなく、そこから、二人の、そして自分が繋げた生の幸せの始まりだと思えるような、素敵な生き方をしてきたのでしょうから。
夢から覚め、現実の一時を楽しく過ごし、また夢の中へ戻っていくかのような優しい空気を醸す作品でした。
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コメント
こんにちは。私も今日の「を鑑賞させていただきました。
いきなりで申し訳ないのですが、岡村さんの作品Selfで使われていた楽曲がなんであったか覚えていらっしゃいますか?
もしよければ教えていただきたいのですが、、、。
投稿: さく | 2014年10月17日 (金) 23時45分
>さくさん
コメントありがとうございます。
素敵な公演でしたね。
ご質問の件、申し訳ありませんが、全く分からずで・・・
すいませんm(_ _)m
投稿: SAISEI | 2014年10月18日 (土) 11時04分