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2014年10月30日 (木)

おぼろ'14【STAR★JACKS】141029

2014年10月29日 HEP HALL (145分)

私の昨年度観劇308本のベスト1ですから、素晴らしい作品をまた観ることが出来ることは信じて疑わず、足を運ぶ。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-3a2f.html

で、そのとおりの結果だったことだけをとりあえず、速報として記しておきます。
四の五の言わず、是非、観ておきたい作品だと思います。
理由は単純で、笑えたり、泣けたりと色々するのですが、とにかく楽しいのです。

作品としての感想はこれまでに書いてきたので、上記リンク先の感想を参照。
全体的には、話としての面白味はもちろんありますが、個々の魅力を存分に魅せながら、全体のチームとしての結束した力を舞台に浮き上がらせるような感じでしょうか。
力あるなあと色々な意味で感じることが多い観劇でした。

役者さんに軽くコメントしておきます。
目を惹いた役者さんTOP3は、1位:澤井里依さん、2位:奥田卓さん、3位:松木賢三さんかな。

おぼろ小僧、ドヰタイジさん。まあ、ラストの大立ち回りを観て圧倒されない人は普段、どんな観劇をしているのでしょうかね。これ以上に凄いものを観る機会はそんなに無いように思いますが。殺陣うんぬんの技術はよく分かりませんが、息をのむ美しさと秘める力を感じる時間でした。
お花、銭山伊織さん。正直に観ていた時に感じたままを書くと、最初の登場シーンでは、お花のイメージじゃないなとがっかりしました。でも、観ているうちにはまってきて、最後の方は何の違和感も無く。最初に違和感を持ったのは多分、女でいたいという心に反して、男色が濃すぎたのかもしれません。ただ、よく考えてみると、夜鷹のお花を語っている頃は、一筋縄ではいく仕事ではありませんから、そんな荒々しさがあるのは当然なのかもしれません。月から来た少女と出会って、女ではなく、母になろうとし始めた頃から、その優しさが浮き上がってくる。不思議なことに美しく凛とした姿に見えてくる。まさに、ストーリーに沿って変わっていくお花の心と姿が綺麗に描かれていたように思います。

銭形平次、佐藤太一郎さん(吉本新喜劇)。さすがは吉本で上手いですよね、客を掴むのが。抜くところは抜いて、決める時は決める。このメリハリの効かせ方がさすがは、日々の喜劇で鍛えられているのだろうなと。
ゲス吉、阪東浩考さん(劇団五期会)。この方、前回も同じ役。今後、どこかの公演で違う役で拝見した時にきちんと見れるかなと思うぐらいのはまり役。バカなところはもちろん、そのまっすぐで純粋な心に、胸を締め付けられます。
けん、藤井誠さん。手玉に乗せられている男のバカさ加減が絶妙で。普通にしているとかっこいい感じの方なので、本当に普通に騙されてしまっているような空気が情けなく。
鉄太郎、中鶴間大陽さん。この方のための役でした。この方にとっては、当たり前のことなのでしょうから、飄々と平然としたところがまた面白く。
りん、ゆり、梨田いづみさん、HIROKAさん。女性の嫌な巧妙さを出す役どころで、前回はその嫌な表情に本気で嫌悪感を持ったりしましたが、今回は、何か許容できてしまうようなサバサバ感のあるお二人でした。楽しく生きてますみたいな感じで、そんなゲーム感覚の生き方だってありかなと。騙される男の方が悪いみたいな印象の方が大きく、けんのバカさ加減を増強しているようでした。

平賀源内、浜口望海さん。心に何かを抱える深刻な感じの志士みたいな印象が強いですが、多分、この役もはまるだろうなと思っていたら、やはりはまっていました。ちょっと子供のようなお調子者で、母性をくすぐるような感じでしょうか。きっと、女性受けするんでしょうね。男から見たら腹立って仕方ない人ですけどね。
おせん、宮川サキさん(sunday)。この方がご出演されると聞いた時、間違いなくこの役だろうなと。ちょっと毒もあって、可愛さもあって、凛としたスマートさもあって。男が心を許せる素敵な女性像の一つが舞台に現れていました。
おきよ、澤井里依さん。見事なおきよちゃんだったと思います。とことん楽しく明るい元気な女性。弾け方も思いっきりがいい。おぼろ小僧の悪い噂が流れる状況によって変わる表情変化も目を惹きます。幕開け、幕締めの貫録の姿もまた見事。
末吉、レスカじゅんさん。やはりこの方も間合いが上手い。当たり前なのでしょうが。その絶対的な自信や、舞台の慣れからなのか、安心して観ることが出来る方です。ただ、前説、長過ぎ。

月から来た少女、三原悠里さん(Sweet Dreams)、橘ゆいさん。前回、絶賛したお二人がそのままのコンビで再登場。やっぱり、観ていて本当に楽しいお二人だった。思わずずっと微笑んでしまうような。ただ、初日ということもあって、少し抑えているのかな。微笑みでは済まされないくらいに、大笑いなんてところもこれからの公演では出てくるでしょう。

捨丸、松木賢三さん(Rooter/テノヒラサイズ)。感じとして、露骨に荒々しい暴力的なキャラをイメージしていましたが、逆に押し殺すように冷静沈着なキャラでした。それが、秘めたる恐怖や狂気を感じさせて、絶対的に変わることの無い怖い印象を残します。ラスト、この方の大立ち回りも息をのむ凄さです。
寅兵衛、奥田卓さん。捨丸の秘めた恐怖や狂気を開放したキャラをこちらにしたのでしょうか。恨み、憎しみ、悲しみ全部に憑りつかれてしまって狂うしか無かった哀れな男の姿が印象的です。最後、殺されますが、その死ですら安らかになっていない感じで、この業の深さに目を覆いたくなるような悲しみを感じます。

基本的には楽しく観ていただけなので、あまり話としては深く考えていませんが、今回は上を見て生きているといった言葉が印象に残っています。
どんな時でも上や前を見ていた人たちが起こした奇跡の物語。
昔は月を、未来では地球を。
はるか未来には、そこにいる人と出会えるんじゃないかと思いながら月を見る昔の人。
はるか昔に、そこにいた人と出会ってみたいと思いながら地球を見る未来の人。
自分の上に広がる空を観て、そこにある時間の流れと自分と繋がる人への想いを馳せる。
下を向いて地面だけを見ていたら、今の世界の今の自分しか感じられませんものね。
上を向くことはいいことです、きっと。大きな世界の中にいる自分が感じられるのではないでしょうか。そこには、膨大な時間の流れがあって、その流れの中に自分がいる。そして、その自分と繋がっていた、繋がっていく人たちのことを考えて、未来へと想像を膨らませる。
そんな人たちが、共に過ごしたある一時を描いているような話に思います。

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