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2014年10月26日 (日)

ばかみたい、というのはバカではない【劇団アシデマトイ ユニットてんやわんや】141025

2014年10月25日 STAGE+PLUS (90分)

非常に勢いがあって、テンポもよく楽しい作品でした。
ただ、どうも、言いたいことは分かるけど、理解できないところがありますね。
様々な視点から見るその人。多面体のように色々な面を見せてくれますが、それは人や時間、環境などに左右されるもので、こだわるべきものではない。その多面体自体をどう想うのかが大事なことであるようなことを伝えているみたいには思えますが・・・

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

ごく普通の夫婦。
夫は建設現場で働き、妻は家事をする。
そんな夫婦に突然の事故が襲い掛かる。
夫が建設現場で転落。
緊急手術ということで、病院に駆け付けた妻。
ただ、駆け付けた人は、妻だけでは無かった。

 

女子高生の愛人。
借金とり。
元同級生の女。
話を聞けば、夫は女子高生を変質者のごとく誘って愛人にし、1億3千万という多額の借金をし、元同級生の女に多額の金を貸している。
手術担当の医師は居酒屋でちょこちょこ見かけると言う。
さらには、夫はかつらで実はハゲチャビン。
毎日、普通に出かけて、普通に帰って来て、普通に食事をして。長年、ずっとそんな普通の生活を普通の夫と共に過ごしてきた。
そんな夫の知らない顔。
いったい、自分がずっと見ていた夫は何者なのか・・・

 

手術室前の廊下で、こんな人たちがドタバタを繰り広げながら、本当の夫の姿を徐々に浮き上がらせていきます。
本当は女子高生とは自殺するところを救ってそれからも励まし続けていただけ。
借金も、かつて建設現場で一緒に働いていた若者が、つい盗みを働いてしまったことを見逃したが、居心地が悪くなって辞めて金融業に入ってしまった男を助けようと、してもいない借金をしたことにしただけ。
元同級生もねずみ講のようなものに引っかかっている女を助けようとしていた。
医師とは、かつて同じような転落事故があった時に犯した医療ミスを見逃したことから付き合いがある。

 

そんな多面体のような夫を妻は本当に見ていたのか。
夫は妻に迷惑がかからぬように、借金などは全て偽名でしていた。
そんな妻が、夫の真の姿を見出して、それを受け止めるまでを描いているようです。

 

言いたいことは分かりますが、いまひとつ共感できないところが・・・
妻は多面体のある一面だけを見ていたということなのでしょう。他の人たちも彼のある一面を見ていた。
それはそれでいいのでしょうが、その一面から、彼の多面体の内部、彼の本当を見出そうとはしなかった。
全ての面を見ることは出来なくても、その一面から本当の彼自身を見て、信じることが出来るはずだった。
作品中で、事実は一つ、真実はたくさんといった言葉で表現されます。
彼の色々な姿は、全部、彼の本当、つまり真実であるが、そうさせる彼の内部の優しい心を持つ人であるということがたった一つの事実ということでしょうか。
ここがよく理解できない。
この話からは、彼の色々な姿はたくさんの事実。その事実を信じることで、彼の内側の真実が生まれるように思うのです。
最後、妻は医師と浮気をしていたことが明らかになります。
このこともきっと夫は知っていたのでしょう。彼は、人が多面体であることをよく理解しており、自分に見せる面以外にもたくさん面があることにはこだわらず、その多面体自体を受け止めて愛することが出来るような人みたいです。

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