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2014年9月27日 (土)

KISOU本能【N-Trance Fish】140927

2014年09月27日 ABCホール (120分)

いやあ、良かったなあ。
前作もいいなあと思ったけど、今回はさらに好みの作品だった。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-11.html)

人の生きる強さを、生体としての強さとして表現したみたいな感じでしょうか。
一人の悲しみに打ちひしがれて生死の狭間にいる男をマクロ視点で見ながら、その生体を創り上げる体のパーツ一つ一つが意志を持って、必死に頑張って生きようとしていることをミクロ視点で見せるみたいな。
あらゆることに例えられるのだろうな。演劇とかでも、それが盛り上がるとか、その力は、個々の携わる人たちの頑張りや、それに賭ける信念の集合がそうさせるんでしょうから。
細胞レベルにまで、それを突き詰めてみたようなところが、宇宙の法則かのように、全ては前向きに必死に進もうとしているようなことを感じさせて尊い気持ちにさせてくれます。

<以下、大丈夫のような気もしますが、キーワードでネタバレするところがあるので、一応、公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで>

・Prologue
一人の男が、疲れ切った様子で、駅のホームへ。
もう、このまま、飛び込めば・・・

 

・Opening
いつもながらのスピーディーで力強いダンス。
だいたい、ここで圧倒されてポカーンとなる。

 

・His Episode
子供が生まれ、その子との楽しく幸せな日々。
でも、ちょっと目を離した隙に。
取り返しのつかない出来事。不条理に突然襲ってきた別れ。

 

・深淵からの・・・ 「鬼相」
自分への悔い、怒り。
ぬぐえない悲しみが、鬼のようなものを自分の中に生み出し、自分自信を殴り、蹴り、傷つけ始める。

 

・がんばれ、サナダくん1 「寄騒」
寄生虫のサナダムシ。ご主人がこんな状態では、自分の命も危うい。

 

・止めないで 「気双」
?  
思い出せない・・・ 
多分、突然、現れたサナダくんキャラに、頭を惑わされた。

 

・今、見えているのは何?? 「軌捜」
クネクネする視覚。どこへ向かえばいいのか、分からない視線。
見えるはずもない子供を探し求めているのか。

 

・骨のささやき 「基創」
波紋のように拡がる骨の軋み。髄に溶け込む悲しい想い。

 

・がんばれ、サナダくん2 「寄騒」
いつまでも、悲しみに打ちひしがれるな。悲しいことばかり思い出すから。良かったことだってたくさんあるだろう。そして、しっかり食べてくれ。そんな声は男には届かない。

 

・肥満大敵 「危装」
男の幸せだった頃、ぶくぶく太る肥満細胞か。
これではいかんと、身を軽くしてラジオ体操。欲望の強い細胞らしく、自己顕示欲を露骨に出す。

 

・マクロファージは今日もゆく1 「器掃」
肥満細胞の脱ぎ散らかした脂肪を、きちんとお掃除。
貪食とは程遠い可愛らしさを醸す。

 

・Mr,イーサンの悲劇 「脆奏」
ノリノリのロッカー、胃酸分泌細胞、イーサン。
精神的にダメージを受けて、免疫力も落ちた男の体に日和見菌繁殖か。ピロリ菌だろうか。イーサンかなわない。

 

・マクロファージは今日もゆく2 「器掃」
胃壁をだいぶやられた胃。今度はその欠片を綺麗にお掃除。
体を守る最前線の細胞。仕事量も豊富でお疲れ気味。

 

・Mr,イーサンの憂鬱 「奇争」
えらい目にあったイーサン。男の体が弱っているので、自分もそれほど調子が良くない。
でも、食べたものはきちんと消化しないと。
サナダくんも応援に駆け付ける。
ホルモン、タクワン、ゴボウ、オカユと体に鞭打って戦う。

 

・がんばれ、サナダくん3 「寄騒」
人を殺すのは人。でも、生かすのも人。
幸せだったことまで否定するな。みんな、必死にお前を生かそうと頑張ってるぞ。
男にこの声は届くのか。

 

・帰巣本能
赤い血が、男の中を駆け巡る。
生体は、恒常性をもって、体内動態を維持し続ける。

 

・記想本能
頭の中を巡る記憶の欠片。
そんな生きてきた、生きている証は、宇宙の中を彷徨う物質のように、人の体を成長させ続ける。

 

・生走本能
男の中に一筋の光が走る。
子供を想った心、幸せな記憶。それは、亡き子供の心の中にも優しい心として伝わっている。
男はそれを胸に抱いて走り出す。

 

・His Episode
子供との思い出の数々。
その行き着く先に悲しいことが待ち構えていたとしても、その数々の記憶は決して消えることは無い。

 

・Ending
男は幸せな記憶の中に逃げ込んだのではない。
自分の中に生まれた、悔い、憎しみ、悲しみとも向き合って、それと戦い、昇華する。
死を受け止め、自分の生の歩みを決断した男に、これからの人生の祈りが込められる。

 

各々が、小さな自らのために、そして、その自分が構成物となっている大きな自らのために。
そんな生きる力の強さを、真摯に感じさせるような作品でした。

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