デュオ【劇団赤鬼】140923
2014年09月23日 TORII HALL (60分+30分イベント、10分休憩)
この劇団、お得意のハートフルな物語。コメディーをベースにしながら、人の優しい想いを浮き上がらせて感動させるパターンだ。
そんな作品を、お二人の新人女優さんが演じられる。
正直なところを書くと、掛け合いによるコメディー部分はなかなか楽しく面白いが、心を震わせるほどの心情描写の凄みは感じられなかった。このあたりは、やっぱり劇団の先輩役者さん方は凄いのだなあと感じさせられる。
と言っても、お二人には、先輩方には無い原石のような初々しい輝きが見出される。
と、観終えて、そんな感想をブログに書こうと思いながら帰宅して、こうして書いたのだが、よくよく考えるとちょっと違う気がしている。
先輩劇団員の方々は、本公演をはじめ、色々なところで拝見するが、ベテランの位置付けでありながらも、いつも純粋で初々しく輝かれている。それは、この公演で拝見したお二人と何も変わらないように思える。
ということは、原石の輝きが、磨かれてより輝きを増すというような表現ではなく、原石の輝きを残したまま、どれほどの鍛錬を積まれてきたのかはよくは知らないが、たくさんの経験の下、新しい輝きも加わるといった表現の方が適切だろう。
きっと、この公演でお二人を拝見して魅力に感じたところは、これからもずっと味わえて、さらに、鍛えられて得られる精神的にも肉体的にも高まった演劇能力の凄みを感じさせてくれるようになるのではないだろうか。
これから劇団でご活躍されるのだろう若いお二人を見て、改めてそんな、この劇団の魅力を知ることが出来るような公演になっているように思う。
ちさきはいつものように、新聞をじっくり読み、チラシにも全て目を通す。
ホームセンターでライフジャケットが格安。買いに行かなくてはと思うが給料前なので断念。
でも、そんなものより、もっと興味深いチラシを見つけた。早速、そこを訪ねる。
ファミリーデポとかいう会社。家族を作ってくれるサービスを提供しているらしい。
ちょっと裏がありそうだが、明るく元気な女性店員が、両親、兄弟、ペットの基本セットや、それに祖父母や隣のうるさいおばちゃんまでつけた豪華セットの説明をしてくれるが、ちさきが欲しいのはお姉ちゃんだけ。それも、チラシの無料お試し券で。
女性店員に軽く舌打ちされながらも、1時間の無料体験が始まる
ドラえもんの映画を見て、もう時間オーバー。そのまま、延長して町をブラブラ。
ちさきはお姉ちゃんのことを思い出す。
父と諍いを起こして、家を飛び出した姉。妊娠もしており、彼氏の下へと駆けつけるつもりだったのだろう。
玄関先に荷物が一つ転がっている。姉の忘れ物だろう。いや、わざと置いて行ったのだろう。
なかなか、あざとい姉で、学生の頃、いつも重たい絵描きセットをわざと忘れて、そうとは気付かなかった自分が姉の代わりに学校に持って行っていた。
今回も追いかけて来いというメッセージだろう。
恐らくは彼氏の家に直通で向かうために、バス停にいるはず。行くと、姉がバスを待っている。
その時、轟音が鳴り響き、海から巨大な波が押し寄せる。気付いた時には、姉の姿は無く・・・
あの日、自分が姉を家を出る時から止めていたら。
姉は色々なことに気を配って、追い詰められていた。私も、それに同調するように姉を追い詰めてしまった。もっと、友達のように接して、姉の心を癒してあげられていたら。
あのまま、もう二度と会えなくなるなんて夢にも思わなかった。
今でも、新聞を見ていたら、姉のことが載っているのではないかなんて思ったりする。
そんな姉のことで立ち止まってしまったちさきに、姉が厳しくも優しい声をかける・・・
とてもいいお話で、姉妹の想い合いが温かく浮き上がってくる。
失った人の想いを胸に抱いて、自分の道を進んでいく。そして、愛する人がそのような姿でいてくれることを願う優しさ。
お二人の恐らくはかなり頑張ったからであろう自信ある力強い姿からそんなことを感じる話だった。
後半は、3部構成。
新人のお二人、前田ちさきさんと掛江つばささんにあらかじめ質問した回答から、それがどちらの方の回答なのかを先輩劇団員が当てるコーナー。
赤鬼の劇団員になるからには当然知っていて当たり前のことにお二人が答えるカルトクイズコーナー。
先輩劇団員とペアを組み、1分の即興芝居をするコーナー。
ちょっと天然、掴みどころが無く、自由奔放な前田さん。しっかりとしていて、頭の回転も速そうだが、ちょっと抜けたところも見られる掛江さん。共通するのは、先輩劇団員を前にしても、ちょっとブラックな返しも平気でする物怖じしない度胸があるところ。
そんなイメージだったが。
まあ、これから、色々な舞台で拝見するのが楽しみなお二人だ。
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