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2014年9月10日 (水)

月刊彗星マジック9月号「ヒーロー:戦隊編&最強編」【彗星マジック】140910

2014年09月10日 インディペンデントシアター1st (30分+35分)

これは面白いぞ。
ヒーローものは、何かなんぞらしさが嫌なのか、あまり好きではないのだが、これはちょっと別格。
圧倒されるくらいに動き回り、その掛け合いも見事。ビシビシ決まるヒーローの決めポーズに興奮する。
話は、今の自然をも改変しようとして、そのしっぺ返しをくらいつつある人間の姿が描かれているようである。怪獣や怪人は、敵であると同時に、自らが作り出してしまった産物であり、かつての自分たち自身を悔い改めるように葛藤しながら戦うヒーローの想いが伝わるようである。


2作品の連続上演を2回。そのうちの初めの1回を拝見したが、劇場を後にした10分後にはまた、あの舞台で役者さんたちが駆け巡っているのかと思うと、改めて凄さを感じる公演である。
自分たちの想いを、懸命に熱く純粋にぶつけて、私たちの心を震わせる。まさに、舞台にヒーローが現れた公演だったと言えるだろう。
残りの4作品の上演がある10、11月も楽しみだ。第二火曜日は予定を空けておかねば。

2年前の短編集公演の中の、ヒーローといった作品を拡大したものみたい。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/120421-3b67.html

今から30年前。突如として現れた怪獣や怪人。
政府はそれらを壊滅災害と認定し、妥当するための国家公務員職を置く。
国家公務員地方中級試験に合格して採用される壊滅災害対策組織構成官。通称、スーパー戦隊と言われているように、3名以上の団体行動が公務執行に義務づけられている。
上級試験に合格すると、特別任務官となる。公務は単体で執行し、いわゆるヒーローである。
さらに上に格別任務官という職があるが、これは特殊な超能力を持つ者だけがなれる。世界に5人しかいない。
そんな特別、格別任務官といった重要職を公私ともども補佐するのが、特別<格別>任務補佐官。
職に就く者たちは、家族や友人にも正体を隠さなくてはならず、常にマスクをつけて、ヒーローネームで呼び合う規則がある。こんな厳しい任務にも関わらず、給料は歩合制。まあ、労災はしっかりしているようだが。
といったような世界での、ある仕方那市という場所で起こったお話。

・戦隊編
試験を受けて、壊滅災害対策組織構成官となった同期5人。
それぞれ、とにかく自然を守りたい熱い気持ち一心からとか、特別任務官にはなれなかったからとか、補佐官を目指すための研修の一環としてやら、安定した生活を送りたいなど色々な理由があるみたい。
とにかく汗かきで暑苦しい熱血漢のグレートスウェッター、妙齢を迎えてちょっと女性としては寂しい生活を送るビューティースポット、チリチリ頭のスチールウール、思ったらすぐに行動してしまうような勢いがある反面、ちょっと理屈っぽくて窮屈な女性のオメガブライド。あと1人いたのだが、すぐに辞めてしまったようだ。
残された4人で公務を執行する。名前は自然を愛する熱血漢グレートの提案で光合戦隊オキシジェニッカーズ。自然に私たちは生かされていることを表現しており、自然を愛する精神が込められているらしい。
4人は数々の壊滅災害を倒していく。時には無理をし過ぎて大怪我を負うことも。
グレートは、しばらく休まざるを得ないくらいの怪我を負うが、休暇中も鍛錬を怠らない。全ては愛する自然を守るため。そんな姿にビューティーはちょっと想いを寄せ始める。
そんな中、町の仕方那ビーチで強力な壊滅災害が出現。休暇中のグレートを残して3人は現場に急行する。姿は見えない。恐らくは人間の私利私欲によって人工的に改変されたバクテリアが正体。
壊滅災害は、ビューティーの右腕に入り込んで彼女を支配する。暴れる彼女を抑えたのは、駆け付けてきたグレート。
彼は、自然を愛する心の大きさ故に、壊滅災害とも心を通わし合い、人間にされてきたこれまでのひどい仕打ちを謝罪すると共に、ビューティーから自らの体に壊滅災害を移動させる。
人間を憎む壊滅災害の恨みは大きく、彼の意識の世界で暴れ回るが、彼の自然を愛する優しい心がそれをも抑える。
しかし、その結果、彼に待ち構えていた運命は、自然を愛するがばかりに、自然と一体化してしまったかのように、自らの体が壊滅災害に乗っ取られ、木のようになっていくのだった・・・

・最強編
ビューティーは、ある日、管理局に呼び出される。
あのバクテリア型の壊滅災害と対戦した時の後遺症なのか、彼女の右腕は触れるもの全てを消滅させる能力を持つようになった。そのため、彼女は格別任務官に任命される。そろそろ、結婚相手でも見つけて、普通の女性になんて思っていたみたいだが、周囲はそうさせてくれなかったみたいだ。
補佐官は姿を見せずに通信で指示を送るだけみたいだが、冷静で真面目そうなまもるという男が担当する。実際の対戦現場や私生活を補佐するのはオメガ。かつては戦隊オキシジェニッカーズで共に戦った仲間であり、無事に補佐官の試験に合格したらしい。ちなみに、スチールは特別任務官目指して奮闘中。
そして、あのグレートは。彼は、あのちょっと動いただけで汗が吹き飛ぶ姿から分かるように、たぐいまれなる新陳代謝能力を持っており、それが壊滅災害の力に打ち勝ったらしい。
ビューティーの活躍は目覚ましかった。そりゃあ、壊滅災害に触れさえすれば敵を倒せるのだから。
しかし、彼女自身は悩み始める。自分が本当に夢見ていたことは、本当にこんな正義のために戦うことなのかと。
ある日、いつもどおり、壊滅災害の隙を突いて、その右手で触れようとしていた時に異変が起こる。女性の生理現象。なぜかは分からないが、この期間中はその特殊能力が発揮できなくなる。
現場のオメガは危険なので撤退を提案するが、まもるは強行突破させる。生理初期だったためか、何とか、敵は倒せたが、もしものことがあれば非常に危険な状態だった。オメガはまもるに不信を抱き始める。
そして、ビューティーは、やれるだけのことを1年間やって引退することを決意する。
それからも、ビューティーは着実に壊滅災害を倒していく。いまや、世界各国に飛んで、日本だけでなく世界が注目するヒーローだ。
ビューティー、ビューティーと皆から称賛されて呼ばれる。でも、いざ出会うとみんなは自分のことを避ける。触れたら殺されてしまうかもしれないから恐れられているのだ。それに、本当はビューティーなんて呼ばれたくない。本名のなごむと呼ばれたい。特にあの人には。
そんな葛藤に苦しみながらも、いよいよ最後の任務の時がやって来る。
現地に向かい、現れたのは補佐官まもる。オメガはビューティーをかばいながら戦うが相手にならない。
ようやく分かったこの任務官制度の裏側。
補佐官の任務は、用済みの任務官を消し去ること。格別任務官のように特殊な能力を持つ人間は、それこそ、その存在自体が壊滅災害になるという考えなのだ。もちろん、そんな能力は人間には使わないと約束をしても、人間である以上、信じられないということみたいだ。
まもるはあるスイッチを手にする。ビューティーが格別任務官に認定された時、その証として首輪を付けられている。それが自爆装置であり、そのスイッチを補佐官が手にすることになっている。
まもるがスイッチを押す。しかし、何も起こらない。
彼女の右腕の能力は超越していた。触れるものを消滅させるのではなく、停止させてしまう。だから首輪の機能を停止させた。やりようでは時間すらも止めてしまえるみたいだ。
まもるは恐れおののく。
そして、ビューティーは全てを終わらそうとある賭けに出る。右腕で自らの体を触る。能力が無くなるのか、死んでしまうのか。
オメガが反対する中、彼女の右腕が、彼女自身に近づく。
その時、またもや駆け付けてきたのがグレート。彼女の名前、本名のなごむを叫びながら、彼女を抱き締め、彼女の右腕を自らの体に触れさせる。彼の新陳代謝能力が勝つのか、彼女の能力が勝つのか。
数日後、オメガによって、この任務官制度の裏側が世界中に暴露される。各国は制度の在り方を見直し、格別任務官の特殊能力に頼り過ぎたことを反省。
日本では、今日も壊滅災害を倒そうと2人のヒーローが出発しようとしている。
グレートとビューティー。口喧嘩をしながらも、互いの共通の想い、愛する自然のため、正義のために・・・

自然に抗ったために、生み出されたかのような壊滅災害。この正体の源は、そんな人工的に改変された自然を生み出した人間たちの姿のように描かれている感じ。だから、壊滅災害を単純に倒すことは、同時に自分たちをも滅ぼすことに通じてしまっているかのようだ。
人間が、今、戦って得なくてはいけないものは、壊滅災害そのものを倒して勝利を得るのではなく、もうそんなものを二度と生み出さない自然への敬意を取り戻すこと。それは誰もが持つ自然を愛する心、正義を求める心が甦った時に成し得ることのように感じる。
自分たちと同じように、今の自分に悩み、将来の自分に不安を抱えながら、窮屈な世の中を生きている人間であるヒーローたちが、その未来への想いを熱く語り、真摯に行動することで、世が動き始めるかのような感覚を得る。
なんかダサいけど、やっぱりかっこいいヒーローたちの姿に魅せられる作品だった。

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