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2014年9月14日 (日)

PANDORA -Op.3 水の章・大地の章-【Project UZU】140913

2014年09月13日 インディペンデントシアター2nd
            (水の章:120分+ミニライブ30分)
            (大地の章:125分)

昨年に引き続き。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/pandora--op2--p.html

色々な点で非常に上手いなあと思います。
作品は壮大なファンタジーですが、そのエンタメ性を、衣装、ハープ、ダンス、映像をベースにしながら、例年、積み上げていっています。今回は、あれはエアリアルティシューというのでしょうか、新しい要素も組み込む形で、より魅力を高めています。
5年に渡って行う、もう公演というかは一つのプロジェクト。それだけに、次に繋げるだけの物語の深みや、途中から見るとか、キャストが変更したりしても、役の安定した空気が必要だと思うのですが、その点も見事にクリア。
話に関しては、今回、結末を全く変えた物語を二つ用意して、そこから、この作品の世界観をより明確に浮き上がらせるという巧妙さ。
すっかりはまってしまい、もう今から来年の公演が楽しみに。

世界を滅ぼすのは、人が生み出した悪魔なのか。その悪魔は、人同士が繋がることから生まれるのか。
だったら、そんな繋がりを全て拒絶して、世界は破壊した方がいいのか。
いや、そんなことはない。世界を救う勇者は、繋がりが憎しみや悲しみのような悪魔を生み出すにしても、そんなことを超える大切な想いとその想いを抱く時間を与えてくれることを知り、創造による新しい世界を導く。
そんなことを感じるような話であり、これからそんな世界が見られるようなことを思う話でした。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は、月曜日まで>

自称、賢者、周囲からは魔女と呼ばれる水の国と土の国の国境に住まう師であるアリエッタに出された自分のたった一つの宝物を探す宿題のために風の国や火の国の旅から戻って来たルパとマージ。
土の国の姫であるルパは、宝探しはまだ終わってないと騒ぎ、相変わらずのお転婆っぷりを見せているが、父親である国王に仕える口うるさい厳粛な老騎士によって強制送還。マージとの旅は楽しかったらしく、自分とマージがヒーローになって、旅行く先の民を助けるなんて夢を見ながら、土の国へと向かう。

 

一方、マージは、自分が守りたいと思う人がルパであり、彼女こそが自分の宝物であることを知るが、何も出来ない自分の不甲斐なさに落胆して、故郷の水の国に戻る。
アリエッタ先生に帰還の報告。土の国の孤児で、生きるために盗みを繰り返すトークと、その子分のようなクライニーの仲良しコンビもいる。相変わらず、アリエッタ先生は、自分の家に子供たちを招き入れ、まるで家族のように接しているみたいだ。

 

そんな再会の中、突然、2人が現れる。
勇者アガタと竪琴の化身ピュラは、今度は水の国と土の国を破滅から救うために、この地にやって来た。
2人がやって来たということは、この国にもこれまでの風の国や火の国のように、怠惰や怒りのような悪魔がどこかにいて、それを倒さないとパンドラが現れて、国を破滅させてしまうということ。これまで再生させた国と同じように、悪魔を見つけ出すことを目指すが、アリエッタから、そもそも悪魔の目的は何なのか、そして、アガタの母親であるパンドラがなぜ悪魔を憎み、世界を滅ぼそうとするのかという根本的なことを問われるが、それに答えることが出来ない。
そして、アガタは、自分がいくら世界を再生しても、自分は生まれていない存在なので、そこに出会った人たちとの繋がりが生み出されないことに悲しみを感じ始め、パンドラへの想いをより強めていく。そんなアガタを人では無く、竪琴の化身であるがために、アガタが求めるような繋がりは持てないが、ピュラはいつもアガタの傍にいると優しく手を携えて見守る。その携えられた手からは、アガタは温もりを感じ取っているみたい。
アリエッタは、この国の悪魔の存在や、この世界について何かを知っているようだが、それは教えてくれない。ただ、私は、この家を訪ねてくる自分の家族のような人たちを守りたいだけだと。

 

マージは、ルパのことが気になっている様子。もしかしたら、土の国に帰還した後、ここを訪ねて来ているのではないかと思ったようだが、一つの国の姫にそんな時間は無かったようだ。そして、それどころかマージにとっては、気を失うくらいにショックな話が待ち構えていた。ルパと水の国の王子であるウーデンスとの結婚話が進んでおり、土の国でその結婚パーティーが開かれるらしい。
アリエッタから、せっかくだから、勇者の手助けをしてあげなさいなんて言われていたけど、こんな話を聞かされて、マージは、自分は何も出来ない人間だからと落ち込み、自宅へと逃げ帰る。
ところが、ルパはそのパーティーの途中で逃げ出してしまったらしい。自分の想いのままに行動することがモットーである彼女らしい行動ではあるが、水の国と土の国の両国は、ルパを探して混乱状態となる。

 

どうであれ、アガタとピュラが出来ることは、今、悪魔を探し出すことだけ。2人は情報を求めて旅立つ。
問題は、水の国に向かうのか、土の国に向かうのか。
この選択が、世界に異なる2つの行く末を与えることになる。

 

<水の章>
自宅に戻ったマージは、
久しぶりの再会なのに、水の国の宮廷魔術師である姉たちに、勝手に家を出たことを咎められ、まともに魔法を使うことが出来ない自分の無能さを改めて厳しく言及される。
自分に出来ることを追い求めて、マージは再び、アリエッタの下を訪ね、アガタとピュラと行動を共にすることに。
まずは、ルパを探し出して会うことにする。アリエッタの情報では、ルパは土の国にいるらしい。なぜか土の国は彼女を監禁して、再び、水の国へと送り出そうとしない。
ただ、マージはいつの間にかルパをかくまっている誘拐犯として指名手配されており、女装して土の国への潜入を試みる。

 

水の国は、女王が崩御し、このままでは土の国との力の均衡が崩れ、攻め込まれる危険が高い。そのため、女王崩御を隠し、ウーデンスの妹を女王と偽って、ルパとウーデンスの婚姻を成立させ、調和を保とうとしている。そのため、何としてでもルパを水の国に招き入れないければいけない。
ウーデンスは、宮廷魔術師たちに、封印されし精霊を呼び起こし、土の国を攻め込み、ルパの奪還を企む。しかし、その裏には、ウーデンスに想いを寄せ、ウーデンスとルパの結婚を快く思っていない宮廷魔術師たちや、ウーデンスの妹の同じ姫という立場でありながら、自分と異なり自由奔放な生活を送るルパへの嫉妬心が渦巻いていた。

 

マージは、潜入に成功し、ルパと再会するが、ルパの様子がおかしい。マージを認識することが出来なくなっている。あの結婚パーティーの際に、魔術師に呪いでもかけられたのか、これまで出会った人たちの顔が認識できなくなっているみたいだ。
アガタとピュラは、片やまだ生まれていない存在、片や竪琴と、人間ではないからか、認識できており、確かにこの人はマージだと言われても信じがたい状態になっている。
しかし、マージが手にしていた火の国で騙されて購入した使い物にならない剣などから、数々の思い出が導き出され、マージとルパは形ではなく、心で互いを認識し合う。

 

精霊は暴走し始め、国を滅ぼそうとする。
パンドラも現れ、その精霊が多くの嫉妬から生み出され、世界は汚れていると全てを破滅させようとするが、アガタの自分を許し、自分を大切に想ってくれる言葉に揺らぐ。自分には守りたいものは無い。アガタにも憎しみしか感じていない。でも、本当にそうなのか。今、自分の腹の中に宿る命を消し去れば、アガタは生まれず、アガタの創造によって再生する世界は全て滅びる。しかし、そうすることは決して出来なかった。
パンドラは姿を消す。

 

精霊は、ウーデンスが数々の女性に上っ面の愛を語っているだけの弱い人間だったことを知り、ウーデンスへの想いからの嫉妬が意味の無いものだったことに気付いた魔術師や、自由なルパに嫉妬して自分の人生を嘆くのではなく、自分も想いのまま生きればいいということに気付いたウーデンスの妹、そして、アガタたちの力を合わせ、再び封印する。
破滅から救われた両国。水の国の王子、ウーデンスは王位を継承するが、かつてのように想いを寄せてくれる人はいない。弱さを露出してしまった王子を、かつては想いを寄せていた魔術師たちは守りながら国を治める力添えをする決意を抱いたようだ。
ルパとウーデンスの結婚パーティーが再び行われるが、そこにマージが現れ、ルパを連れ去り・・・

 

<大地の章>
パーティーから逃げ出したルパは、トークとクライニーに出会う。金のためなら何でもやる彼らは、現れたアガタとピュラを連れて来るというルパの依頼を受ける。
土の国を訪れていたアガタとピュラは、何のことやら分からないうちに、2人に巻き込まれルパと再会。ただ、トークとクライニーが無銭飲食をしていたため、一緒になって追われており、ルパの居場所がその食堂の娘に知られてしまう。ルパは姫でありながら、よく町に顔を出しており、この食堂の娘とも仲が良かった。だから、誰にも言わないで見逃して欲しいと言うが、食堂の娘は大声でルパの居場所を叫ぶ。
友達なんかじゃない。自分は生活のため必死に生きている。でも、ルパは自由に自分の思いのままに、金の心配も何もなく生きている。いつの間にかその嫉妬が大きくなって、彼女を憎むようになっていたみたい。

 

ルパ、アガタとピュラ、トークとクライニーは、再び逃走。
そして、ルパから、この国を悪魔から守る方法を提案される。それは、城から持ち出した、精霊が封印された箱。これまでの風の国、火の国でも精霊を抑えることで国の破滅を免れていることから思いついたようだ。
ところが、その箱をトークとクライニーは盗み出す。金になると思ったのだろう。さらに、その盗んだ箱を、食堂の娘に見つけられる。ルパからもらったという言葉に、娘は怒りを示す。ルパは私たちを憐れんでいるだけ。そんな人から物をもらうことはいけないことだと。
そんな嫉妬の心がはびこる汚れた世界にパンドラは現れ、箱は開けられ精霊の封印が解ける。

 

水の国の自宅に戻ったマージは、いきなり土の国にさらわれる。見つからないルパをおびき寄せるための材料にするために。
国王はルパに戻って来なければ、このマージを殺すと宣告。
ところが、国王はどのようになろうとマージを殺すつもりでいる。水の国に攻め込まれるきっかけになる可能性があるから。
そんな姿に仕える老騎士は、姫の悲しむ姿を見たくはないと、マージを城から逃げさせる。
そして、マージはルパと再会。

 

精霊は暴走し始め、国を滅ぼそうとする。
その力はどんどん大きくなる。民たちの嫉妬の心を吸い込んでいるかのように。
そして、その嫉妬の矛先は全てルパに向けられたものである。
ルパこそが、この国に潜む悪魔だった。アリエッタが悪魔の存在について語らなかったのは、この事実を知っており、ルパを守り、かつ、この国が滅びない道を見つけようとしていたからだったようだ。
国王は我先に逃げ出そうとし、その途中、箱を持つ食堂の娘を見つけ、全ての原因がこの娘にあると、切りつけようとする。助けに入るトークやクライニーにまでも剣を向ける。
老騎士は、断腸の思いで民を救うために、国王と剣をかわす。
その戦いに、ルパは自らが消える覚悟をして、国王に剣を向けて、その場をおさめる。そして、精霊は再び封印される。

 

全てがおさまり、破滅を逃れた国は、ルパの存在の記憶が無い世界。
いつの間にか、自分たちの傍に現れた嫉妬の悪魔、ルパを消し去り、これから少しずつ、民の前向きなイキイキとした姿を取り戻していく国。
マージは、消えた記憶の中に残る、宝物であったルパとの大切な時間を思い、涙する・・・

 

はしょったり、記憶が曖昧なところがたくさんあって、違うところがあるような気がしますが、だいたいこんな感じの二つの結末がある物語。
両章において、各々の結末を迎えた後、その選択をしたことが正しかったのか、悪魔を倒すということがどういうことなのかをアリエッタから言及される共通のラストで締められます。
そして、これまでもそうだったのですが、今回のように人間が生み出した感情が悪魔というなら、この世界に最初に生まれた悪魔は竪琴の化身であるピュラとなるようです。
彼女は、ある男によって作られ、ある女性に愛を込めて渡されたもの。人を愛するということから、導かれる様々な感情。世界を乱すものでもありますが、この上なく素晴らしきものでもあるはず。でも、それをパンドラは否定し、そんなものがある世界自体を滅ぼそうとしていることになります。
どうしてそんなことになるのか、それはこの次にアガタが向かう国、森の国に全ての真相が隠されているみたいです。
愛を込められて作られた竪琴からは愛の音が奏でられるはずでしょうが、パンドラが放つその音はいつしか憎しみの音に変わってしまったのか。

 

感じとして、水の章は廻る世界、大地の章は破壊から創造される世界みたいなイメージでしょうか。水の章では悪魔が明確にならずに終わります。それで、破壊というかは、やり直しみたいな感じのラストを迎えているような感覚です。
水の世界では悪魔は実在化しなかった。悪魔という言葉が曖昧で、それは、その人、その時、その場によって確かに言葉通りの人に災いをもたらす悪魔であったりもしますが、人を幸せに導く大切なものとしても存在し得るのかもしれません。
ルパは、民にとって嫉妬の対象ではあったのでしょうが、同時に癒しや和みの対象としても存在していたような気もします。少なくとも、マージやアリエッタのような者にとっては、守りたい大切な宝物の象徴だったわけで。

 

国王への忠誠と同時に国を守る宮廷魔術師や老騎士、自らの生徒を守るアリエッタ、、ルパを守るマージ、クライニーを守るトーク、・・・
各々の立場や生き方によって異なる自分の宝物。でも、その想う心は等しいはずです。
ただ、こうして繋がりが生まれた時から、その想う心は揺らぐのが世界の常なのかもしれません。愛から生まれた世界が、なぜか憎しみに溢れた世界に変わってしまった、この世界を見ても、そんな気がします。
繋がる始まりが、切れる終わりへの道の一歩となる。でも、その終わりから、人は新たな始まりを見出す。だから、始まりが終わったことを否定する必要はない。その大切な時を刻んだことを抱いて、新しき始まりを迎えればいい。何となくそんなことを感じ、この作品の主題歌の意味合いも何となく、頭に形となって描かれ始めてきたように思います。

そして、このあたりに、世界を本当に素晴らしき道へと導く術が隠されているように感じます。アガタはそれを知り、世界を創造できるのでしょうか。繋がることの素晴らしさを感じ始め、それを単に憧れではなく、悲しみが伴うものでもあることを今回知ったような彼女。別れの悲しみを超える、出会うことの素晴らしさ、そして共に時を刻む大切さを自らが本当に理解し、その創造の魔法でパンドラの心を変えていくのでしょうか。
また、来年が楽しみです。

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コメント

初めてコメントします。
毎年観劇いただいて、たくさん記事を書いていただいてありがとうございます。

このパンドラも折り返しに来て、私自身結末に向かう道筋がようやく見えてきました。
そういった意味で、今回の公演はとても大切なものになったと思っています。

これからも頑張っていきます。よければこのシリーズ、最後までお付き合いいただければ本当に幸いです。
ありがとうございます。

投稿: 御意 | 2014年9月19日 (金) 19時08分

>御意さん

コメントありがとうございます。

確かに、今回の両作品を拝見して、このPANDORAという作品自体の世界がより明確に感じられるようになった気がします。
益々、楽しみになってきました。

次回はもちろん、最後まで見届けさせていただきたいと思っています。
お体にお気を付けて、ご活躍を(゚▽゚*)

投稿: SAISEI | 2014年9月20日 (土) 12時46分

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